- 宝石/ダイヤモンド
- 2026.11.03
ダイヤモンドの価格は今後どうなる?過去の推移と金・プラチナとの違い

タンスやジュエリーボックスに眠っているダイヤモンドの指輪やネックレスを見て、
「今どれくらいの価値があるのだろう」
「これから価格は上がるのか、それとも下がるのか」
と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
家族から譲り受けた大切な品であればなおさら、手元に残すか、手放すか迷うのは自然なことです。
これから購入を検討している方にとっても、今後の価格動向や相場の決まり方は押さえておきたい情報といえます。
ダイヤモンドの価格は、重さを基準に決まる金やプラチナとは仕組みが異なります。
石そのものの品質や大きさ、人工的に作られたダイヤモンドの台頭、世界情勢や為替レートなど、多くの要素が絡み合って形づくられています。
この記事では、公表されたデータをもとに、ダイヤモンドの価格動向と今後の見通し、過去10年間の相場推移、金やプラチナとの価値の決まり方の違いを解説します。
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ダイヤモンドの価格は今後どうなる?

ダイヤモンドの今後の価格を考えるうえで、最初に押さえておきたい前提があります。
天然のダイヤモンドと、技術の進歩とともに普及が進む「ラボグロウンダイヤモンド(人工的に成長させたダイヤモンド)」を分けて考えることです。
現在の世界市場では、天然石とラボグロウンで価格の方向性が大きく分かれています。
天然ダイヤモンドのなかでもサイズや品質によって相場の動きには差があり、見通しは石の種類ごとに考える必要があります。
ここでは、専門機関のデータや主要企業の発表をもとに、天然石とラボグロウンそれぞれの見通しを整理しました。
天然ダイヤモンドの価格は今後上がる?
天然ダイヤモンドの見通しは、足元の短期的な動きと、中長期的な市場の構造変化を分けて捉えると理解しやすくなります。
ダイヤモンド業界の価格指標を公表しているRapaport(ラパポート)の報告によると、天然研磨石(カットされたダイヤモンド)の提示価格は、一部のサイズで短期的な反発が見られました。
小さめのサイズを中心とした持ち直しで、市場で観察された直近の動きにあたります。
長期的な上昇トレンドへの転換かどうかを見極めるには、もう少し時間をかけた推移の確認が必要でしょう。
世界最大手のダイヤモンド企業であるDe Beers(デビアス)は、2026年7月に公表した上期決算報告のなかで、天然原石市場の現状と見通しに触れています。
同社は、近い将来の原石市場、とりわけ価格帯の低い原石について厳しい環境が続くと見込んでいます。
中期的には、世界の原石生産量が減少し、流通段階の在庫が徐々に適正化されることで、需要と供給のバランスが改善に向かう可能性を示しました。
この見通しは、デビアスが2026年7月時点で示した市場予測として捉えておくとよいでしょう。
見通しの対象は「天然原石」です。カットされた研磨石の価格や、日本国内の中古ジュエリーの買取価格は、為替や品質、販売経路など別の要因も加わって決まります。
天然ダイヤモンドの短期的な動きと中期的な見通しは、次のように整理できます。
※ この表は横にスクロールして閲覧できます
| 期間 | 対象 | 確認されている動向・見通し | 押さえておきたい点 |
|---|---|---|---|
| 短期 (足元の動向) |
天然研磨石 (カット石) |
一部サイズで提示価格の反発を確認 | 長期的な上昇トレンドかどうかは、今後の推移を見て判断する |
| 中期 (今後の見通し) |
天然原石 (採掘された石) |
生産減少と在庫適正化により、需給バランスが改善する見込み (デビアスの予測) |
低価格帯の原石は当面厳しい見込み。研磨石や国内買取価格は別の要因でも変動する |
手持ちの天然ダイヤモンドの価値を考える際は、世界全体の相場に加えて、その石の品質やサイズに目を向けることが大切です。
ラボグロウンダイヤモンドの価格はどうなる?
天然ダイヤモンドの相場を考えるうえで、ラボグロウンダイヤモンドの存在はもはや欠かせません。
ラボグロウンダイヤモンドとは、専用の設備で人工的に成長させたダイヤモンドのことです。
主な製造方法は2つあり、地中深くの高温高圧環境を再現する「HPHT法」と、炭素を含むガスから結晶を成長させる「CVD法」が知られています。
どちらの方法で作られた石も、天然ダイヤモンドと同じ炭素の結晶構造を持ちます。
宝石鑑別の世界的権威であるGIA(米国宝石学会)も、ラボグロウンを天然石と明確に区別して鑑定・評価を行っています。
見た目や物理的な性質は天然石とほぼ同じで、製造コストを抑えやすいことから、近年はファッションジュエリーやブライダルジュエリーとして世界的に注目を集めてきました。
その価格動向は、天然ダイヤモンドとは大きく異なります。生産技術の向上と世界的な設備の増加によって市場への供給量が急速に拡大し、製品の販売価格は下落傾向が続いています。
ラボグロウンは技術や設備の進歩に応じて供給量を増やせるため、希少性が価格を支える天然石とは価格形成の仕組みが根本から異なります。
今後の価格は、供給の動向と消費者需要の変化によって左右されるでしょう。
このように、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドは、市場での位置付けも将来の価格形成も、まったく別の道を歩んでいます。
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ダイヤモンドの価格はこれまでどう推移してきた?

今後の価格を考えるうえでは、過去の価格の軌跡にヒントがあるかもしれません。長期的な相場の推移を把握する代表的な指標に、Rapaportが公表する「1ct RAPI」があります。
この指数は、取引プラットフォームに掲載された天然ダイヤモンドの売り希望価格をもとに、米ドル建てで算出されます。
対象は、GIAのグレーディングを受けたラウンドダイヤモンドのうち、カラーD〜H、クラリティIF〜VS2などの条件を満たす石です。
各品質区分で価格が低いほうから10%にあたる出品を集計しており、国際的な相場の大きな流れをつかむ指標として活用されています。
RAPIが示すのは、こうした一定条件の石の売り希望価格の動きです。
日本の宝石店の店頭価格や、個々のジュエリーの買取価格とは性質が異なるため、世界的な相場の波を客観的に捉える「ものさし」として参照するとよいでしょう。
過去10年の大きな価格推移
2016年から2025年までの10年間、天然ダイヤモンドの相場は世界経済の変動や社会情勢、供給構造の変化を受けて大きく揺れ動きました。
まずは、1ct RAPIの年間変化率を確認してみましょう。
| 年 | 1ct RAPIの年間変化率 |
|---|---|
| 2016年 | −5.0% |
| 2017年 | −5.3% |
| 2018年 | +0.7% |
| 2019年 | −5.3% |
| 2020年 | +5.8% |
| 2021年 | +17.4% |
| 2022年 | −10.7% |
| 2023年 | −20.6% |
| 2024年 | −23.1% |
| 2025年 | −9.9% |
この年間変化率をもとに、2015年末を「100.0」とした参考推移を計算すると、全体の流れがより鮮明に見えてきます。
| 時点 | 参考推移(2015年末=100) |
|---|---|
| 2015年末 | 100.0 |
| 2016年末 | 95.0 |
| 2017年末 | 90.0 |
| 2018年末 | 90.6 |
| 2019年末 | 85.8 |
| 2020年末 | 90.8 |
| 2021年末 | 106.6 |
| 2022年末 | 95.2 |
| 2023年末 | 75.6 |
| 2024年末 | 58.1 |
| 2025年末 | 52.4 |
※参考推移は、Rapaportが公表した年間変化率をもとに、2015年末を100として独自に算出した概算値です。各年の変化率を小数第1位に丸めて計算しているため、実際の指数値から算出した結果とはわずかに差が出る場合もあります。
この10年間の推移は、大きく3つの期間に分けて読み解けます。
緩やかな弱含みの時期
世界的な景気の不透明感や中国市場の需要鈍化を背景に、相場は小幅な上下を繰り返しながら軟調に推移しました。
2018年にわずかなプラスを記録したものの、2019年には再びマイナスへ転じ、2015年末と比べて約14%低い水準となっています。
需要回復と供給制約による上昇期
感染症の世界的な流行により、初期には鉱山の操業停止やサプライチェーンの寸断が起き、供給が滞りました。
その後、欧米を中心とした大規模な経済対策に加え、旅行などの体験型消費が制限された反動から、高級宝飾品へのリベンジ消費が活発化します。
需要の回復と供給制約が重なったことで相場は上昇し、2021年には年間+17.4%という大きな伸びを記録しました。2016年から2025年までの各年末の数値を比べると、2021年末が最も高い水準です。
連続的な調整・下落期
2021年のブームが落ち着くと、世界的なインフレと金利上昇によって消費者の購買意欲が冷え込みました。
中国市場の消費低迷が長引いたことや、低価格なラボグロウンダイヤモンドがブライダル市場を中心にシェアを広げたことも、天然ダイヤモンドにとって強い逆風に。
2023年は−20.6%、2024年は−23.1%と大幅な下落が続き、2025年も−9.9%のマイナスで1年を終えています。
年間変化率をもとに計算すると、2015年末から2025年末にかけて、米ドル建ての1ct RAPIは約47.6%低下したことになります。
この数値は一定条件を満たす天然研磨石の売り希望価格に基づく指標の動きで、個々のダイヤモンドの買取価格の下落率とは別のものです。
為替の変動(円安の進行など)が加わる日本国内の円建て価格も、異なる動きをたどります。
直近の価格動向
長く下落が続いた天然ダイヤモンド市場ですが、2026年に入ると足元で変化の兆しが見え始めました。ダイヤモンドの取引市場では、サイズ(重さ)によって値動きのタイミングが異なります。
2026年6月から9月までの月次RAPIの変化率は次のとおりです。
※ この表は横にスクロールして閲覧できます
| 月 | 0.30 カラット |
0.50 カラット |
1.00 カラット |
3.00 カラット |
|---|---|---|---|---|
| 2026年6月 | +4.2% | +1.3% | −0.7% | +0.4% |
| 2026年7月 | +1.6% | +1.8% | 0.0% | +0.2% |
| 2026年8月 | +2.0% | +2.5% | +0.5% | −0.4% |
| 2026年9月 | +3.2% | +2.5% | +0.3% | +1.5% |
まず目を引くのは、比較的小さな0.30カラットクラスの石が先行して反発した点です。2026年6月には、0.30カラットが前月比+4.2%と明確な上昇を示しました。
主流サイズの1.00カラットは、2025年5月以降、横ばいから下落の状態が続いていました。
2026年8月に前月比+0.5%となり、15か月ぶりに月次ベースでプラスへ転じています。
続く9月も+0.3%とプラスを維持し、3.00カラットのような大粒の石も9月には+1.5%と持ち直しました。
これらはいずれも数か月分の前月比データです。小粒石を中心とした市場在庫の減少などを背景に、価格が部分的に回復している段階といえます。
数年にわたる下落トレンドが終わり、本格的な上昇局面に入ったかどうかは、今後の推移を見守りながら判断していく必要があるでしょう。
ダイヤモンドの価格が上がる・下がる理由

ダイヤモンドの価格は、需要と供給のバランスを土台に、代替品の登場や為替相場の変動など複数の要素が重なり合って動いています。
価格を動かす主な要因を順に見ていきましょう。
ジュエリー需要とダイヤモンドの供給
価格の根底にあるのは、世界中の消費者が求める「ジュエリー需要」と、鉱山から採掘されて市場に届く「供給」の力関係です。
需要面では、アメリカ、中国、インドといった主要消費国の景気動向が直接影響します。
デビアスの2026年上期決算報告によると、世界全体の完成ダイヤモンドジュエリーの販売額は前年並みにとどまりました。
地域別では、経済成長が続くインドで婚礼用ジュエリーなどを中心に堅調な需要が見られます。
かつて世界第2位の市場として成長を牽引した中国本土では消費の停滞が続き、国によって需要の明暗が分かれている状況です。
供給面で重要なのは、鉱山から原石をどれだけ掘り出したかという採掘量に加え、研磨工場で加工されて市場に流通している「研磨石の在庫量」です。
ダイヤモンドが消費者の手に届くまでには、次のような段階を経ています。
-
1鉱山での原石採掘
-
2原石の選別・取引
-
3カッティング・研磨加工
-
4研磨石の卸売流通
-
5ジュエリーの枠へのセッティング
-
6小売店での販売
このサプライチェーンの各段階に在庫が存在します。
2026年半ばに見られた小粒研磨石の価格反発は、製造業者が生産を絞ったことで流通在庫が減り、一時的な品薄感が生じたことが背景にありました。
鉱山を運営する大手企業も、需要の落ち込みに合わせて生産量を調整しています。デビアスの2025年の原石生産量は、前年比で12%減少しました。
こうした生産調整は、市場への供給量や流通在庫に影響を与える要因の一つです。実際の価格は、消費者需要や既存の在庫量、研磨石の流通状況なども合わせて決まります。
ラボグロウンダイヤモンドの普及による影響
近年のダイヤモンド市場で最も大きな構造変化といえるのが、ラボグロウンダイヤモンドの普及でしょう。
世界の研磨加工の主要拠点であるインドでは、ラボグロウンダイヤモンドの輸出にも変化が表れています。
インドの宝石・宝飾品輸出促進協議会(GJEPC)によると、2025/26会計年度(2025年4月〜2026年3月)の研磨済みラボグロウンダイヤモンドの輸出は、前年度と比べて数量が増えたのに対し、米ドル建ての輸出額は10.55%減少しました。
数量が伸びて金額が減ったことから、平均輸出単価の下落が読み取れます。
ラボグロウンの台頭が天然ダイヤモンドに与える影響は、サイズや品質によって大きく異なります。
小粒の天然ダイヤモンドや品質が比較的低い石は、安価なラボグロウンとの競合にさらされ、価格下落の圧力を受けてきました。
「同じ予算なら、より大粒のラボグロウンを選びたい」という消費者の選択が、低価格帯の天然石の需要を奪ったためです。
大粒で高品質な天然ダイヤモンドは、比較的底堅い需要が見られる分野です。
デビアスの2026年上期報告でも、大粒・高品質の天然石の需要は堅調で、小粒で品質の低い石には価格面での圧力が続いていると説明されています。
ラボグロウンの普及は、天然ダイヤモンド市場全体を一律に押し下げるというより、天然石のなかでの「価値の二極化」を加速させているといえるでしょう。
円安・円高と国内価格の関係
日本国内でダイヤモンドを売買する際に見落とせないのが、為替相場(USD/JPY)の影響です。
ダイヤモンドの国際的な価格指標には米ドル建てのものが多く、先述のRAPIも米ドルを基準にしています。
日本円での価格を考える際は、「国際相場の上下」と「為替レートの変動」の2つを掛け合わせて捉える必要があります。
仮に米ドル建ての価格がまったく変わらなくても、為替が1ドル=100円から1ドル=150円へ円安になれば、円に換算した価格は1.5倍に跳ね上がる計算です。
国際相場が米ドル建てで下落していても、同じ期間に円安が進めば、円換算した下落幅は小さくなります。
反対に、国際相場が持ち直しても、為替が大きく円高に振れれば、円換算の価格は目減りするのです。
ダイヤモンドと金・プラチナの価格や価値はどう違う?

お手持ちのジュエリーの価値を考えるとき、「金やプラチナと同じように、相場を見ればグラム単位ですぐに価格がわかるのでは」と考える方も少なくありません。
実際には、ダイヤモンドと貴金属では価値の決まり方が根本的に異なります。
ダイヤモンドが留められたジュエリーは、「貴金属の地金(枠)」と「中央や周囲のダイヤモンド(宝石)」という、性質の異なる2つの要素でできています。
それぞれの特徴を比較してみましょう。
※ この表は横にスクロールして閲覧できます
| 比較項目 | 金・プラチナ (貴金属) |
ダイヤモンド (宝石) |
|---|---|---|
| 主な価格決定要素 | 品位(純度)、地金部分の重量、日々の地金相場 | 重量(カラット)に加え、カラー・クラリティ・カットなどの個別品質 |
| 重さ(重量)の扱い | 同じ品位・取引単価なら、素材価値は重量に比例する | 重量に加えて希少性も評価。同程度の品質なら、1ctの石1つが0.5ctの石2つより高く評価される場合がある |
| 持ち物で確認するもの | 品位の刻印(K18、Pt900など)、石や装飾を除いた地金部分の重量 | 鑑定書に記載された4Cのグレード、石の形状、天然・ラボグロウンの識別情報 |
金・プラチナは品位・重量・地金相場が価格の基本になる
金やプラチナの価値は、明確でシンプルな計算に基づいて算出されます。
基本となるのは「貴金属の種類と品位(純度)」「地金部分の重量」「取引日の地金相場」の3つです。
金やプラチナは金属としての均一性が高く、溶かして精錬すれば純粋なインゴットや新しいジュエリーの材料として再利用できます。
そのため地金としての素材価値は、デザインや傷の有無にかかわらず、主に品位と重量、その日の取引単価をもとに算出可能です。
実際の買取価格には、買取店ごとの単価や手数料、品物の取り扱い条件も関係してきます。
計算の対象になるのは貴金属そのものの重量で、留められている宝石や装飾パーツの重さは含みません。
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ダイヤモンドは重さや品質によって価値が異なる
ダイヤモンドの価値は、「重さ×当日の単価」という単純な計算では求められません。同じ重量でも、石の品質や希少性によって評価が大きく変わるためです。
重さの単位には「カラット(ct)」が使われ、1カラットは0.200グラム(200ミリグラム)と定められています。
同じ1.00カラットのダイヤモンドでも、品質によって数倍から十数倍もの価格差が生じることがあります。
色合い(カラー)、内部の透明度や表面の特徴(クラリティ)、研磨の精度(カット)といった複数の品質基準を総合して評価されるためです。
価格形成には「サイズが大きくなるほど希少性も増す」という特徴もあります。大きな結晶のまま地中で成長し、不純物が少ない状態で採掘されるダイヤモンドは極めて稀です。
そのため、カラーやクラリティ、カットなどの条件が同程度であれば、0.5カラットの石2つよりも、単体で1カラットある石のほうが高く評価される場合があります。
ダイヤモンドの価値は、重さという数値に加え、石一つひとつの個体差や品質の組み合わせを総合的に見極めて定まるものです。
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ダイヤモンドジュエリーには地金の価値もある
ダイヤモンドがセットされたジュエリーの枠に金やプラチナが使われている場合、石そのものの評価に加えて、貴金属としての素材価値も査定の対象になります。
古いデザインの婚約指輪や、長年身につけて擦れが生じたジュエリーでも、枠にはK18(18金)やPt900(プラチナ900)などの貴金属が使われていることが多いものです。
ジュエリー全体の重さを家庭用のスケールで量ると、その数値にはダイヤモンドの重さ(0.5カラットなら約0.1グラム)も含まれます。
査定では、石や装飾パーツの重量を考慮したうえで地金部分の重量を確認します。
石を取り外して計量する方法や、取り外しが難しい場合に石の重さを推定する方法などがあり、具体的な手順は品物や買取店によってさまざまです。
お手持ちの品物の価値を把握する際は、「ダイヤモンド単体の価値」と「地金部分の素材価値」という2つの柱を分けて捉えましょう。
双方が組み合わさって、ジュエリー全体の価値が構成されています。
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ダイヤモンドジュエリーで知られる有名ブランド

ダイヤモンドジュエリーの魅力には、石そのものの品質に加えて、どのジュエラー(宝飾店)が仕立てたかという「ブランドの価値」も大きく関わります。
世界的な名門ジュエラーは、ダイヤモンドの選定に独自の厳しい基準を設け、石の輝きを最大限に引き出すセッティング技術やデザインを確立してきました。
ここでは、ダイヤモンドジュエリーの代名詞ともいえる4つのブランドと、それぞれの象徴的なコレクションを紹介します。
ティファニー|ティファニー セッティング
1837年にニューヨークで創業したティファニーは、ブライダルジュエリーの歴史を大きく変えたブランドとして知られています。
その象徴が「ティファニー セッティング エンゲージメント リング」です。
それまでの指輪は、ダイヤモンドを台座の金属に埋め込むように留めるスタイルが主流でした。
そこでティファニーは、細身の6本の爪でダイヤモンドを台座から高く持ち上げて固定する、画期的なデザインを考案します。
石を空中に掲げるように配置することで、金属部分が目立たず、ダイヤモンドそのものの輝きが際立ちます。
光の反射や屈折によって生まれるきらめきを引き立てる、ティファニーを象徴するセッティングです。
1886年に誕生したこのデザインは、現在のクラシックな一粒石の婚約指輪の定番スタイルを確立するうえで、大きな役割を果たしました。
カルティエ|ソリテール 1895
1847年にパリで創業し、「王の宝石商、宝石商の王」と称されたカルティエ。そのエンゲージメントリングを代表するのが「ソリテール 1895」です。
名前に冠された「1895」は、カルティエの記録に最初のソリテールリングが登場した1895年に由来しています。
ソリテール 1895の特徴は、中央のダイヤモンドを4本の繊細な爪で支えるデザインと、調和を追求したアーム(指輪の腕部分)のラインにあります。
素材にはプラチナのほか、イエローゴールドやローズゴールドを使用したモデルなども。
シンプルなデザインに加え、アーム部分に小さなダイヤモンドを敷き詰めた「パヴェセッティング」のモデルも選べます。
パヴェ(フランス語で石畳の意味)の細やかなきらめきと、中央の大粒ダイヤモンドの強い輝きが美しいコントラストを描く一品です。
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ハリー・ウィンストン|ウィンストン・クラスター
「キング・オブ・ダイヤモンド」と称されるハリー・ウィンストンは、1932年にニューヨークで誕生した最高峰のハイジュエラーです。
創業者ハリー・ウィンストンは、宝石そのものの美しさを最大限に引き出すデザインを重視していました。その理念を象徴するコレクションが「ウィンストン・クラスター」です。
1940年代後半、創業者が自宅の玄関に飾られたヒイラギのリースを見て着想を得たのが始まりと伝えられています。
雪や霜に覆われたリースのきらめきから、形の異なるダイヤモンドを組み合わせる独自の構成が生まれました。
このコレクションでは、洋梨のような形の「ペアシェイプ」、両端がシャープに尖った細長い楕円形の「マーキースカット」、王道の丸い「ラウンドブリリアントカット」など、形の異なるダイヤモンドを立体的に組み合わせて配置しています。
金属部分をできる限り見せないセッティングによって、ダイヤモンドはまるで肌の上に浮いているかのような立体的な輝きを放ちます。
ヴァン クリーフ&アーペル|フルーレット
1906年にパリのヴァンドーム広場で創業したヴァン クリーフ&アーペルは、自然や詩的な世界観を精緻な職人技で表現してきたハイジュエラーとして知られます。
四つ葉のクローバーをモチーフにした「アルハンブラ」が有名ですが、ダイヤモンドの美しさを際立たせたコレクションとして高く評価されているのが「フルーレット」です。
フルーレットは、フランス語で「小さな花」を意味します。厳選された7石のラウンドダイヤモンドを円状に組み合わせ、優美な花の姿を形づくっています。
中央の1石を囲む6石の花びらは、爪留めで固定され、裏面には光を通すための精緻な透かし彫り(オープンワーク)が施された仕様です。
7石のダイヤモンドが一体となって反射し合い、大粒の一石とはまた違った、可憐でまばゆい光の調和を生み出します。
ダイヤモンドの価値を左右するポイント

お手元のダイヤモンドジュエリーの価値を確かめるには、どのような基準で品物を見ればよいのでしょうか。
ダイヤモンドの価値は、石そのものの品質基準である「4C」、手元にある書類や付属品、ジュエリーとしての完成度やコンディションという3つの側面から総合的に見極められます。
カラット・カラー・クラリティ・カットの4C
天然ダイヤモンドの品質を客観的に評価する代表的な基準が、GIA(米国宝石学会)が確立した「4C」です。
重量・カラー・クラリティ・カットという4つの品質要素の英語名の頭文字から、その名が付けられました。
※ この表は横にスクロールして閲覧できます
| 要素 | 名称 (英語) |
表す内容 | 鑑定書で確認するポイント |
|---|---|---|---|
| 重量 | Carat (カラット) |
石の重さ (1ct=0.200g) |
ct表記の数値 (例:0.52ct、1.03ct) |
| 色 | Color (カラー) |
ダイヤモンドの地色 | D〜Zのカラーグレード |
| 透明度 | Clarity (クラリティ) |
内包物や表面の特徴の程度 | FLからI3までの11段階 |
| カット | Cut (カット) |
石のプロポーション、輝き、仕上げなど | 標準的なラウンドブリリアントの場合、ExcellentからPoorまでの5段階 |
4つの要素を順に見ていきましょう。
カラット(Carat)
カラットは、石の重さを表す単位です。先述のとおり、1カラットは0.2グラム。重さが増すほど石の直径も大きくなり、希少価値も段階的に高まります。
カラー(Color)
カラーは、ダイヤモンドの地色を表します。
完全な無色を最高ランクの「Dカラー」とし、黄色味を帯びるにつれてE、F、G……とアルファベット順に下がり、薄い黄色や褐色を帯びた「Z」まで23段階で評価されます。
DからFまでは無色(カラーレス)とされ、高い評価を受けるグレードです。
天然で鮮やかなピンク、ブルー、イエローなどの色を持つ石は「ファンシーカラーダイヤモンド」と呼ばれ、D〜Zとは別の基準で、色の濃さや鮮やかさをもとに評価されます。
クラリティ(Clarity)
クラリティは、石の透明度に関わる基準です。
天然のダイヤモンドは長い歳月をかけて地中で結晶化するため、内部に別の鉱物などの内包物を含んだり、表面に微細な特徴があったりします。
内包物の大きさや位置、数などをもとに11段階(FL、IF、VVS1、VVS2、VS1、VS2、SI1、SI2、I1、I2、I3)に格付けします。
最上位のFLは、10倍に拡大しても内包物や表面の特徴が確認されない等級です。
VS2以上の石は一般に肉眼で内包物を見つけにくく、実際の見え方は石の大きさや内包物の位置、観察条件によって変わります。
カット(Cut)
カットは、研磨技術が直接反映される品質要素で、石のプロポーションや仕上げ、光の反射による輝きなどを評価します。
GIAでは、D〜Zのカラー範囲にある標準的なラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを対象に、カットの総合評価を行っています。
ラウンドブリリアントカットは通常57面または58面で構成され、Excellent(エクセレント)からVery Good、Good、Fair、Poorまでの5段階で評価される仕組みです。
カットの精度が高い石ほど、内部に入った光を効率よく反射させ、強い輝きを放ちます。
鑑定書や付属品から確認できること
購入時や譲り受けた際についていた書類や付属品は、ダイヤモンドの価値を調べるうえで重要な手掛かりになります。
ここで押さえておきたいのが、「鑑定書」と「鑑別書」の違いです。
鑑定書と呼ばれるダイヤモンドグレーディングレポートは、ダイヤモンドの重量やカラー、クラリティ、カットなどの品質を評価し、その結果を記載した書類です。
GIAや日本国内の中央宝石研究所(CGL)などの専門機関が発行しており、無色から淡色の天然ダイヤモンドのほか、天然のカラーダイヤモンドを対象としたレポートもあります。
ラボグロウンダイヤモンドにも専用の評価書類があり、評価方法は機関や発行時期によって異なります。
GIAでは2025年10月から、D〜Zのカラー範囲にあるラボグロウンダイヤモンドの評価サービスを変更し、一定の品質基準を満たす石について「Premium」「Standard」の2区分で評価する方式を導入しました。
基準に達しない石には、この品質評価は付与されません。
一方、鑑別書はその宝石の種類や天然・合成の区別、確認できる処理の有無などを調べた結果を記載する書類です。
宝石の種類や性質を明らかにすることが主な目的で、4Cによる品質評価を中心とするグレーディングレポートとは役割が異なります。
書類を確認する際は、次の点に注目してみてください。
書類の名称や記載内容から、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドのどちらを対象にしたものか確認します。
色を変える高温高圧処理や、透明度を改善するレーザードリリングなどの記載を確認します。処理の種類によっては、通常のグレーディングレポートが発行されない場合もあります。
天然ダイヤモンドでは、カラット・カラー・クラリティ・カットの評価を確認します。ラボグロウンの場合は、発行機関や発行時期に応じた評価方式も確認しましょう。
鑑定書に記載されているのは石の品質評価です。金額や現在の買取価格は、査定によって別途確認します。
ティファニーやカルティエなどのブランドジュエリーでは、購入時のレシートや販売証明書、専用ケース、外箱などの付属品も確認しておきましょう。
付属品は購入経緯やモデルを調べる手掛かりとなり、査定をスムーズに進める助けになります。品物の真贋は、刻印や仕様、製品の特徴などを合わせての判断となるでしょう。
ブランド・デザイン・状態による評価の違い
ダイヤモンドジュエリーの価値は、石単体としての評価にとどまりません。完成品としてのジュエリー全体を見たとき、次の要素が加わります。
ブランドとデザインの需要
世界的なハイジュエラーの定番コレクションは、中古市場でも根強い需要が見られます。
そのため、石と地金の素材価値を足し合わせた金額を上回る、ブランドジュエリーとしての評価がつくケースもあります。
ノーブランドのジュエリーでも、近年のトレンドに合った現代的なデザインであれば、再販しやすい品物として評価されやすくなるでしょう。
品物の状態(コンディション)
ダイヤモンドは天然物質のなかで最も硬いことで知られていますが、強い衝撃が加わると結晶の目に沿って欠けたり割れたりする性質(劈開性)を持っています。
石の縁(ガードル)の欠けや表面の傷は、重要な確認項目です。指輪の金属部分の歪み、アームの摩耗、爪の緩みによる石のぐらつきもチェックされます。
修理やサイズ直しの履歴
指輪のサイズ変更や修理の履歴は、査定時に確認されることがあります。
ブランドジュエリーの場合は特に、加工によって刻印や元の仕様が変わっていないか、修理がブランドの保証条件に影響するかといった点が評価に関わってきます。
ご自身で持ち物を確認する際は、ブランドの刻印や素材の刻印(Pt950、750など)の位置、目立つ傷や石の緩みの有無を落ち着いてチェックしてみるとよいでしょう。
ダイヤモンドは今が売り時?保有・売却の考え方

市場の動向やダイヤモンドの価値構造を理解したうえで、最も気になるのは「結局、今手放すべきか、それとも大切に持っておくべきか」という点ではないでしょうか。
ニュースやインターネット上で目にする相場情報と、実際に受け取る査定額の違いを理解し、順を追って判断を進めることが大切です。
市場相場と実際の買取価格の違い
「買ったときは100万円した指輪なのに、なぜ買取価格はずっと低いのだろう」。
多くの方が抱くこの疑問を解消するには、世の中に存在する「3つの異なる価格」を整理しておく必要があります。
※ この表は横にスクロールして閲覧できます
| 価格の種類 | 内容 | 含まれるコストや条件 |
|---|---|---|
| 国際的な売り希望価格の指標 (RAPIなど) |
国際市場に掲載された、一定条件の天然ダイヤモンド研磨石の売り希望価格をもとにした指数 | 石の品質・形状・重量などに条件があり、実際の成約価格や国内の買取価格とは異なる |
| 新品小売価格 (店頭価格) |
百貨店や宝石店などで一般消費者が購入する価格 | 石・地金の価格、製造・加工費、ブランドや店舗の運営費、利益、消費税など |
| 中古買取価格 (実際の査定額) |
買取店が中古品を買い取る際に提示する価格 | 品質・状態・再販可能価格・再商品化費用などを考慮して算出 |
宝石店で新品のジュエリーを購入するとき、支払う代金にはダイヤモンドや地金の原価に加えて、デザイナーへの報酬、職人の加工工賃、店舗の内装や立地にかかるコスト、広告宣伝費、企業の利益、そして10%の消費税が含まれています。
品物を手放す際の「買取価格」は、現在の市場でその品物(または素材)を再販できる価値を基準に算出されます。
購入時に支払った店舗の運営費や広告宣伝費、消費税などは、売却時の評価対象に含まれません。
購入時のレシートの金額と現在の査定額を直接比べて「ダイヤモンドの相場が暴落した」と判断するのは、適切とはいえないでしょう。もともと含まれているコストの前提が異なるためです。
こうした価格構造の違いを知っておけば、提示された金額を冷静に受け止められます。
今売るか、持ち続けるかを考えるポイント
天然ダイヤモンド市場では、長い調整局面を経て、2026年に入ってから一部のサイズで価格の反発が見られます。
売るか持ち続けるかの答えは、手持ちの石の品質やご自身の状況によって変わります。
保有か売却かを決める際は、市場の相場観だけに頼らず、次の4つのステップでご自身の状況を整理してみることをおすすめします。
1.今後の使用予定や思い入れを整理する
まずは、そのジュエリーを今後ご自身が身につける機会があるか、子どもや家族に受け継ぐ意思があるかを考えます。
「デザインが古くて身につけられないが、リフォーム(リメイク)して使い続けたい」という希望があるなら、無理に手放す必要はありません。
「長年タンスにしまったままで、今後も使う予定がない」「遺品整理で受け取ったが、身につける人がいない」という状態であれば、換金を前向きに検討するきっかけになるでしょう。
2.持ち物の品質・状態・書類を把握する
お手元にある品物の現状を確認します。鑑定書や鑑別書、ブランドの箱や保証書が残っていないか、家の中を探してみましょう。
書類がある場合は、カラット数や4Cの記載をチェックします。
書類が見当たらなくても、指輪の内側やネックレスの留め具にある刻印(カラット数や金属の品位)をルーペなどで確かめておくと役立ちます。
3.個別査定で評価条件と金額を確認する
ご自身の持ち物の本当の価値は、個別の査定で初めて見えてきます。宝石の専門知識を持つ査定士に依頼し、現在の市場における具体的な評価額を出してもらいましょう。
その際、ダイヤモンド自体の評価額と、金やプラチナとしての地金評価額の内訳を確認しておくと、金額への納得感が高まります。
4.評価額とライフプランを照らし合わせて判断する
査定額を見て「使わずに眠らせておくより、旅行や教育費、趣味などの資金に充てたい」と感じるか、「この金額なら、思い出の品として手元に残しておきたい」と感じるかを比べるのもおすすめです。
ダイヤモンドには、ジュエリーとして身につける魅力があり、品質や種類、需要に応じて中古市場でも評価されます。
金やプラチナを使った品物であれば、地金としての素材価値も判断材料になるでしょう。
まとめ

ダイヤモンドの価格は、天然石とラボグロウンでまったく異なる動きを見せています。
天然ダイヤモンドの1ct RAPIは2021年末をピークに下落が続き、2015年末から2025年末までの10年間でおよそ半分の水準になりました。
2026年に入ると小粒石を中心に反発が始まり、主流サイズの1.00カラットも8月に15か月ぶりのプラスへ転じています。
ラボグロウンは供給の拡大とともに価格の下落が進み、その影響で天然石のなかでも大粒・高品質の石と小粒の石との評価の差が広がりました。
金やプラチナは品位と重量、地金相場をもとに価格が決まります。対してダイヤモンドは、4Cや鑑定書、ブランド、コンディションを総合して評価される宝石です。
枠に貴金属が使われたジュエリーなら、石と地金の両方が価値を持ちます。
お手元に残すか手放すかは、今後の使い道や思い入れ、品物の品質、そして実際の査定額を照らし合わせて決めるのが納得への近道です。
まずは、お手持ちのジュエリーが今どのくらいの評価になるのかを知るところから始めてみましょう。
買取福ちゃんでは、ダイヤモンドの品質と地金部分の素材価値をそれぞれ確認しながら、一点ずつ丁寧に査定いたします。
鑑定書が見当たらない品物や、デザインが古く身につけなくなった指輪・ネックレスも、お気軽にご相談ください。

