都喜エ門の「金ラベル」「銀ラベル」の違いとは？ブランドの概要もご紹介

大島紬の最高峰と称される「都喜エ門（ときえもん）」。

都喜エ門の反物に付けられる「金ラベル」と「銀ラベル」には、どのような違いがあり、着物の価値にどう影響するのでしょうか？

この記事では、まず大島紬の基礎知識から丁寧に解説。その次に、都喜エ門ブランドの歴史と特徴、そして金ラベル・銀ラベルの具体的な違いと見分け方を明らかにします。

さらに、本場大島紬の証紙の種類や都喜エ門の着物の買取相場、高価買取のポイントまで、専門的な情報をわかりやすく網羅。

この記事を最後までお読みいただくことで、都喜エ門に関するあらゆる疑問が解消し、お手持ちの着物の価値を正しく理解できるはずです。大切な都喜エ門の着物を手放す際にも、きっと役立つ情報が見つかるでしょう。

ぜひ最後まで、ご覧ください。

1 大島紬とは？｜日本が世界に誇る絹織物の魅力
2 都喜エ門とは？｜大島紬の最高峰ブランド
3 都喜エ門の着物の金・銀ラベルの違い
4 大島紬の証紙の種類｜本物の価値を見極める
5 都喜エ門の着物の買取相場
6 都喜エ門の着物の買取なら「福ちゃん」へ
7 まとめ

大島紬とは？｜日本が世界に誇る絹織物の魅力

まず、都喜エ門を理解する上で欠かせない「大島紬」がどのような織物なのか、その基本を簡潔にご紹介します。

大島紬は、鹿児島県の奄美大島を発祥とする先染め手織りの平織り絹織物で、茨城県の「結城紬」と並び称される日本を代表する高級紬です。

その精巧な技術と美しさから、日本の着物愛好家だけでなく、世界中の織物コレクターからも高い評価を受けています。

主な産地は、以下のとおりです。

・鹿児島県奄美大島
・鹿児島県鹿児島市
・宮崎県都城市

日本を代表する精巧な織物として、世界的に評価の高いフランスの「ゴブラン織」やイランの「ペルシャ絨毯」と並び称されることもあり、「着物の女王」とも呼ばれる日本の伝統的工芸品です。

ここからは、以下3つの点にフォーカスして、大島紬の奥深い魅力をご紹介します。

・歴史
・定義
・特徴

歴史

大島紬のルーツは、驚くことに1300年以上も前にさかのぼります。

鹿児島では、奈良時代の前から養蚕が行われており、絹糸で紬が織られていました。その事実は、奈良時代に建設された東大寺正倉院の献物帳にも記録して残されています。

江戸時代に入ると、大島紬は薩摩藩の保護のもと高級織物として認知されるようになり、重要な交易品となりました。1720年（享保5年）には、藩の財政を潤すため、また贅沢を禁じる目的で「紬着用御禁止令」が発令されたほどです。薩摩藩が、島民が自由に大島紬を着用することを制限し、主に年貢として納めさせました。

明治時代の初期になると、商品として生産されるようになり、一般市民からの人気も高まります。

大正初期には年間生産量が3万反でしたが、昭和初期の1927年（昭和2年）には、大島紬の歴史上最高となる35万反が生産されたといわれています。

しかし、1945年（昭和20年）になると、第2次世界大戦の影響で生産は一時停止に追い込まれることに。それでも、戦後の1954年（昭和29年）、「本場奄美大島紬協同組合」が設立され、生産が本格的に再開されたのです。

その後、大島紬は再び日本の着物文化を彩る存在となりました。

定義

「大島紬」と正式に認められるためには、以下のような厳格な条件をすべて満たしている必要があります。

・絹100％で作られていること
・先染め手織りであること
・平織りであること
・締機で手作業により加工されていること（※）
・手機で経緯の絣を合わせて織られていること（※）

※本場大島紬の定義です（本場大島紬については、後の章で解説します）

上記の「先染め」は、織り上げる前の糸の段階で染色する染色する技法です。

大島紬では、先染めが用いられています。対照的に、生地を織り上げてから染める技法を「後染め」といいます。

「平織り」は、縦糸（たていと）と緯糸（よこいと）を一本ずつ交互に交差させて織る、最もシンプルな織物組織です。平織りで織られた生地は、丈夫で摩擦に強く、比較的薄手でなめらかな風合いが特徴。

締機（しめばた）は、大島紬の命ともいえる精緻な絣模様を生み出すために不可欠な専用の織機です。

大島紬の製造工程は2段階あります。

まず、絣糸を準備する「締め括り（しめくくり）」という工程があり、次にその絣糸を使って本番の生地を織り上げます。この最初の「締め括り」で、糸を固く締め付けて染料が染み込まない部分を作る際に締機が活躍するのです。

「手機（てばた）」は、人力で操作する伝統的な織機です。職人が経糸と緯糸の絣模様を寸分の狂いもなく合わせながら、一反ずつ丹念に織り上げていきます。

特徴

大島紬の制作には、30以上もの緻密な工程があり、それぞれの工程を専門の職人が分業で担います。多くの熟練した職人の技と情熱が結集して初めて完成する大島紬は、まさに「チームワークの結晶」といえる芸術品です。

【染めへのこだわり】「泥染め」と多彩な表現

大島紬の染色技法として最も象徴的なのが「泥染め」です。

この泥染めは、奄美大島に自生する「テーチ木（車輪梅）」の煮出し液で何度も染め重ねた後、鉄分を豊富に含む泥田に糸を浸けて化学反応させることで、深く渋い独特の黒褐色に染め上げる伝統技法です。

この泥染め特有の黒は、他のどのような染料でも表現できない、大島紬ならではの魅力があります。

近年では、この伝統的な泥染めに加え、白泥染めや色泥染めや化学染料なども用いられ、「白大島」や「色大島」と呼ばれる、より現代的で多彩な色合いの大島紬も作られています。

【デザインの魅力】伝統柄と新たな創造

柄は、亀の甲羅をモチーフにした「亀甲柄」やトンボ、ソテツの葉など、奄美大島の豊かな自然風土に由来する伝統文様が有名です。

最近では、こうした古典柄を大切に受け継ぎながらも、幾何学模様や抽象柄など、現代の感性に合う新しいデザインも数多く生まれています。

【着心地と耐久性】三代着られる丈夫さ

大島紬は非常に軽く、しなやかで肌に馴染む着心地が魅力です。

また、先染めの緻密な織りによってシワになりにくく、非常に丈夫なため、「親子三代にわたって着られる」といわれるほど長持ちします。

着れば着るほど風合いが増し、体に馴染んでいくのも大島紬ならではの楽しみといえるでしょう。

都喜エ門とは？｜大島紬の最高峰ブランド

それでは、数ある大島紬の中でも「最高級」「最高峰」と称される「都喜エ門」とは、どのようなブランドなのでしょうか。

「都喜エ門」は、ブランド名であると同時に、その創始者である「藤都喜ヱ門（ふじときえもん）」氏の名前でもあります。彼は「紬一つをわが命とぞする」を座右の銘とし、70年以上にわたり大島紬の創作に情熱を注ぎ続けた伝説的な染色家・織元です。

藤都喜ヱ門氏は、本場大島紬の伝統技法を深く追求しつつも、それに飽き足りませんでした。常に新しい図柄や染色技法、織りの技術を模索し、時代を先取りする革新的な作品づくりに取り組んだのです。その探求心と卓越した技術から生み出される作品は、従来の大島紬のイメージを覆すものでした。

1973年（昭和48年）には、自身の名を冠したブランド「都喜エ門」を本格的に展開。

このブランドが生み出す大島紬は、何十色もの色糸を巧みに使いこなし、従来の泥大島にはない鮮やかで多彩な色彩と、息をのむほど緻密で複雑な図柄が特徴です。その芸術性の高さは、まるで絵画やタペストリーのようだと評され、織物の専門家からは「ペルシャ絨毯をしのぐ」とまで絶賛されました。

藤都喜ヱ門氏は、その生涯を通じて数々の素晴らしい作品を世に送り出し、大島紬の芸術的価値を飛躍的に高めましたが、1999年（平成11年）に88歳でその生涯を閉じました。

しかし、彼が遺した技術と精神は、今もなお「都喜エ門ブランド」の作品の中に生き続けています。

都喜エ門の着物の金・銀ラベルの違い

都喜エ門ブランドの反物には、品質を証明するラベルとして「都喜エ門」と記されたラベルが付いてきます。このラベルには、「金ラベル」と「銀ラベル」の2種類があります。

この2種類のラベルには、一体どのような違いがあり、着物の価値にどう関わってくるのでしょうか。

「金ラベル」は、都喜エ門ブランドの中でも、とくに厳しい基準をクリアした最高品質の反物にのみ付けられます。

いわば、「最上級の証」です。

金ラベルの反物は、絣（かすり）の精度が極めて高く、色調も美しいのが特徴。絣とは、糸を染める際に「括り」と呼ばれる作業で染まらない部分を作り、その糸を使って織り上げることでさまざまな文様を表現する技法です。この技法により、生地に特有のかすれ具合が表現されます。

「銀ラベル」は、金ラベルに次ぐ高い品質を持つ反物に付けられます。

金ラベルの作品と比較すると、絣の細かさや使用色数、デザインの複雑さなどで若干の違いは見られるものの、都喜エ門ブランドの名に恥じない高い技術と手間をかけて制作された逸品であることに変わりはありません。

これらの品質の違いは、当然ながら市場価格にも反映されており、一般的に金ラベルの反物の方が銀ラベルの反物よりも高値で取引される傾向にあります。

ただし、これはあくまでも相対的な評価であり、銀ラベルの作品であっても、状態や柄行によっては高値が付くことも珍しくありません。

都喜エ門の着物を査定に出す際には、こうしたラベルの違いや、それぞれの作品が持つ細かな特徴まで正確に見極められる、着物の専門知識と経験が豊富な買取業者に依頼することが極めて重要です。

着物の買取を専門的に行う「福ちゃん」では、都喜エ門の金ラベル・銀ラベルの違いはもろろん、柄の希少性や織りの技術、さらには市場の最新動向まで把握した上で「適正な査定額」をご提示させていただきます。

お品物の細部まで注意深く拝見することで、他社よりも高い査定額をご提示できる自信もございますので、ぜひ一度福ちゃんにご相談ください。

無料でご相談・
ご依頼はこちら

電話でお問合せ

0120-947-295

受付時間 9:00～20:00 (年中無休※年末年始は除く)

お申込みフォーム

受付時間 9:00～20:00
(年中無休※年末年始は除く)

大島紬の証紙の種類｜本物の価値を見極める

組合やブランドが定めた厳しい基準を満たし、検査に合格した大島紬の反物には、その品質を証明する「証紙」が貼られています。

この証紙は、大島紬の産地や製造方法、品質を知る上で非常に重要な手がかりとなる存在です。都喜エ門の反物にも証紙が貼られており、ほかの産地の証紙とはデザインや記載内容が異なります。

大島紬の主な証紙として挙げられるのが、以下の3種類です。

・奄美大島産
・鹿児島産
・都喜エ門

ここからは、それぞれの証紙の特徴と見方を詳しく解説します。

奄美大島産｜「地球マーク」が目印

奄美大島で生産され、本場奄美大島紬協同組合の厳格な検査に合格した反物に付けられる証紙です。

証紙には、「本場奄美大島紬」と記されており、特徴的な「地球マーク」が描かれているのも特徴です。

地球マークが描かれている背景には、奄美大島の歴史的な経緯があります。

奄美大島は、戦後の1953年（昭和28年）まで米軍政権下にありました。それまで大島紬は、奄美大島産でも鹿児島産でも「日本国旗」マークの証紙が使われていましたが、米軍政権下にある奄美大島では、この日本国旗マークが使用された証紙の使用が禁じられていました。

1953年のクリスマスに奄美大島が日本本土に復帰したことを機に、日本国旗に代わる新しい商標として「地球マーク」が公募によって誕生。

以来、奄美大島産の大島紬のシンボルとして使われ続けています。

そのほかに、反物の織り口に「本場大島紬」と赤く織り込まれているのも、奄美大島産の大島紬の特徴です。

鹿児島産｜「旗印（日本国旗）」が目印

鹿児島県本土（鹿児島市など）で生産された大島紬の証紙には、「本場大島紬」の文字と共に、「旗印」と呼ばれる日本国旗のマークが描かれています。

大島紬は原則として手織りですが、鹿児島県産のものに関しては、機械織りでも一定の品質基準を満たせば、大島紬として認められる場合もあります。

そして、手織りか機械織りかによって、証紙の発行元や記載内容が若干異なるのです。

具体的に、どのような違いがあるのでしょうか。

大島紬の証紙では、旗印の右側に、伝統的工芸品であることを証明する「伝統マーク」が記されている場合があります。手織りの場合は、この伝統マークの下に発行元として「鹿児島県本場大島紬協同組合連合会」と記載。

これに対して機械織りの場合、伝統マークではなく、発行元として「鹿児島県絹織物工業組合」などと記載されています。また、正絹であることを証明する「正絹シール」が貼られている場合もあります。

購入や査定の際には、これらの違いを確認することが大切です。

都喜エ門｜独自の「太陽印」と金・銀ラベル

都喜エ門ブランドの反物には、上記の奄美大島や鹿児島県の組合が発行する証紙ではなく、都喜エ門が独自に発行する証紙が貼られています。

都喜エ門の証紙は、独自の太陽印が貼られているのが特徴です。証紙の右側には、前述の「都喜エ門」と書かれた金ラベル、あるいは銀ラベルが貼られています。

都喜エ門は「本場奄美大島紬協同組合」や「鹿児島県本場大島紬協同組合連合会」など、特定の共同組合には属さず、組合の証紙は付けられません。

自社で定めた極めて高い品質基準に基づいて検査を行い、独自の証紙を発行しています。このような独自の証紙制度を持つのは、大島紬のブランドの中でも都喜エ門だけといわれており、その高い技術力と品質への自信の表れといえるでしょう。

都喜エ門の着物の買取相場

ずっと大切にされてきた、都喜エ門の着物。

もし手放すことをお考えなら、どれくらいの価格で買い取ってもらえるのか気になりますよね。ここでは、都喜エ門の着物の一般的な買取相場と、少しでも高く売るためのポイントをご紹介します。

買取相場の目安

都喜エ門の着物は、その希少性と芸術性の高さから中古市場でも非常に人気があります。そのため、状態や品質によっては数万円から十数万円、場合によってはそれ以上の買取価格が付くことも珍しくありません。

とくに、金ラベルが付いた状態の良い作品や希少な柄行、人気の高い色調のものは、高額査定が期待できるでしょう。

たとえば、「藤白泥（ふじしろどろ）」などの特殊な技法を用いた作品や、細密な絵画のようなデザインのものは、評価が高くなる傾向にあります。

ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、実際の買取価格はさまざまな要因によって変動します。

査定額を左右する主な要因

査定額を左右する主な要因は、下記のようなものが挙げられます。

・ラベルの種類：金ラベルか銀ラベルか
・絣の精度と複雑さ：模様がどれだけ細かく精巧に織られているか
・色調とデザイン：人気の色や柄か芸術性が高いか
・保存状態：シミ・汚れ・黄ばみ・虫食い・カビ・破れ・擦り切れなどがないか
・サイズ：身丈や裄（ゆき）の長さが、現代の標準的なサイズに近いか（大きい方が有利な場合が多い）
・証紙の有無：本物であること、品質を証明する証紙が付いているか
・市場の需要と供給のバランス：その時々の流行や希少性

たとえ金ラベルが付いていても、保存状態が悪くシミや汚れが目立つ場合は、買取価格が大幅に下がってしまうこともあります。

日頃からの適切なお手入れと保管が、高価買取には不可欠です。

高価買取のポイント

・専門知識のある買取業者を選ぶ
都喜エ門の価値を正しく評価できる、着物専門の買取業者に依頼しましょう。

・証紙やたとう紙も一緒に査定に出す
これらは本物であることの証明や、大切に保管されていた証となります。

・複数の業者に見積もりを依頼する（相見積もり）
1社だけでなく、複数の業者に査定してもらい、査定額やサービス内容を比較検討するのがオススメです。

・できるだけ綺麗な状態で査定に出す
ただし、無理な洗濯やシミ抜きは状態を悪化させる可能性があるので、専門家に相談しましょう。

・売るタイミングを見極める
一般的に、着物の需要が高まる時期（成人式前・卒業・入学シーズン前など）や、買取業者がキャンペーンを行っている時期は、査定額がアップする可能性があります。

上記のポイントを押さえることで、お手持ちの都喜エ門の着物をより納得のいく価格で手放せる可能性が高まります。