伊那紬の特徴とは？買取に出す場合の「査定額アップのポイント」も解説

やわらかな光沢と、草木染めによる温かみのある色合いが魅力の「伊那紬」。

長野県伊那谷地方で100年以上にわたって受け継がれてきたこの織物は、今もなお多くの方に支持されており、中古買取市場でも安定した需要があります。

本記事では、伊那紬の特徴を整理した上で、買取相場や高く買い取ってもらうためのコツをご紹介します。

大切にされてきた伊那紬を手放そうか迷われている方は、実際に売却する前に、ぜひこちらの記事を参考にしていただけると幸いです。

【この記事のポイント】

• ✅伊那紬は国の伝統的工芸品に指定されている織物
• ✅中古市場における買取相場は「～20,000円」
• ✅主な売却先として、フリマアプリ・オークション、リサイクルショップ、着物の買取専門店が挙げられる
• ✅査定額をアップさせるためには、査定前のお手入れ、証紙の有無、買取に出すタイミングが重要

伊那紬とは

ここでは、伊那紬の概要を簡潔にご紹介します。

伊那紬とは、長野県南部の伊那谷地方で生産されている紬で、100年以上もの歴史があります。

伊那紬は、「草木染め」と呼ばれる染め技法が用いられているのが特徴です。伊那谷地方にある草木を原料にした染料で染め上げることで、深みのある色合いや、やわらかい光沢が生まれます。

こうした特徴を持つ伊那紬は、長野県で生産されている松本紬や上田紬とともに「信州紬」と呼ばれます。信州紬は国の伝統的工芸品に指定され、着物愛好家から高い評価を受けてきました。

伊那紬の歴史

伊那谷地方は寒さの厳しい信州の中でも比較的暖かく、養蚕や製糸工業が盛んであったことから、「蚕の国」「絹の国」と呼ばれてきました。

現在広く知られている伊那紬は、もともとは女性たちが家族のために織り上げた反物がルーツだといわれています。江戸時代、信州では農業の副業として繭や絹織物の生産が盛んになりました。生産された繭のうち、良質なものは京都などの都市圏に出荷されましたが、穴が開いているなどの不良品は出荷できませんでした。そこで、不良品となった繭を使い、家族のために反物を織ったのが伊那紬の始まりといわれているのです。

伊那谷地方は、南アルプスや中央アルプスに囲まれ、信州の中でも自然豊かな場所として知られています。そのような土地柄を生かし、自生している草木からつくった染料で染める「草木染め」の技術も発展していきました。

このような技術の発展とともに、伊那紬を生産する織元も増え、最盛期には120軒以上もの織元があったとされています。しかし、着物を着用する機会の減少とともに、織元は徐々に減少し、現在残っている織元は、「久保田織染工業株式会社」のただ1つとなりました。

久保田織染工業株式会社では、これまでに受け継がれた技術を大切にしながら、美しい風合いの伊那紬をつくり続けています。

伊那紬の制作工程のこだわり

ここでは、伊那紬の制作工程のこだわりについて、詳しく見ていきましょう。

伊那紬は、糸づくりから染め、織りの工程まで、すべての工程を工房内で一貫して制作しているのが特徴です。1つひとつ人の手でつくっているため、似た色柄であったとしても、2つとして同じものはありません。

ここからは、以下2つの点にフォーカスして、制作工程のこだわりを解説していきます。

・さまざまな糸の組み合わせ
・色調豊かな「草木染め」

さまざまな糸の組み合わせ

伊那紬の特徴の1つとして、やわらかい肌触りやふわりとした風合いが挙げられます。この風合いを生み出す上で重要な工程が、「糸づくり」です。

伊那紬の糸づくりの手順は、以下のとおりです。

1.糸繰り
製糸工場から納められる「かせ」の状態を、ボビンに巻き取っていきます。

2.合糸
製品に合わせた太さや風合いの糸をつくるために大切な工程です。生糸や玉糸、紬糸をそのまま使用したり、数本を組み合わせて撚り合わせたりしていきます。

玉糸とは、「玉繭」から紡ぎ出した糸のことです。通常は1匹の蚕が1個の繭をつくりますが、2匹の蚕が共同で1個の繭をつくることがあり、後者の方法でつくられた繭を「玉繭」といいます。玉糸は節があり扱いにくい一方で、丈夫で光沢があるのが魅力です。

紬糸は、真綿（繭を煮て広げ、乾かして綿状にしたもの）から紡いだ糸です。紬糸は手で撚りをかけるため太さが均一ではなく、素朴な風合いがあります。

3.揚返し
糸をかせの状態に戻します。

4.精錬・糸叩き
精錬とは、石けんと熱で余分なタンパク質を落とし、水で洗い流す工程です。最後に糸叩きをすることで、艶があるだけでなく空気を含んだしなやかな仕上がりになります。

色調豊かな「草木染め」

伊那紬のもう1つの特徴として、滋味あふれる色合いが挙げられ、こうした色合いは「草木染め」と呼ばれる技法によって生まれます。

伊那紬の草木染めの原料となるのが、2つのアルプスに囲まれた自然豊かな土地で育った草木です。具体的には以下のような草木を使用し、多彩な色彩の染料をつくっていきます。

・山桜（やまざくら）
・矢車玉（やしゃだま）
・白樺（しらかば）
・りんご
・カラマツ
・槐（えんじゅ）
・どんぐり
・一位（いちい）
・ロッグウッド

これらの草木を煮出してつくった染料で糸を染め、色の具合を見ながら染めを繰り返していきます。染料を濃くして糸の色合いを調整するのではなく、染めの回数を増やして調整することで、安定した色合いに仕上がります。

草木染めで染め上げられた糸はやわらかい色合いをしており、どのような色同士で織っても喧嘩することがなく、よくなじむのが特徴です。

なお、草木染めは黄色や茶色系の色合いが多く、草木だけではつくり出すのがどうしても難しい色合いも存在します。そのため現在では、色のバリエーションを増やすために、化学染料も併用されています。

伊那紬の買取相場は？

この記事をお読みの方の中には、伊那紬を買取に出そうか検討されている方もいらっしゃるかと思います。

買取に出す際に気になるのが、「どれくらいの価格で買い取ってもらえるのか」という点ですよね。

買取福ちゃんにおける伊那紬の買取相場は、「〜20,000円」です。

ただ、これはあくまでも目安であり、お品物によって買取価格は変わってきます。お持ちの伊那紬にどれくらいの価格がつくのかご興味のある方は、福ちゃんの無料査定をぜひご検討ください。

伊那紬の買取を考えているなら要チェック！主な売却先

伊那紬を買取に出す際、どこに売却すべきか悩まれる方もいらっしゃるでしょう。

そこでここでは、伊那紬の主な売却先と、それぞれの特徴を整理していきます。

・フリマアプリ・オークション
・リサイクルショップ
・着物の買取専門店

フリマアプリ・オークション

フリマアプリ・ネットオークションは、スマホやパソコンさえあれば、ご自宅で出品作業が完了する点がメリットです。

ご自身で価格を設定でき、お品物の需要によっては、リサイクルショップや着物の買取専門店よりも高値で売れる可能性もあります。

一方で、お品物の撮影や、購入希望者とのメッセージのやり取り、梱包・発送作業などをすべてご自身で行わなくてはなりません。

さらに、設定した価格ではなかなか買い手がつかず、最終的に大幅に値下げせざるを得なくなることもあります。

リサイクルショップ

リサイクルショップのメリットは、全国各地に店舗が多数あり、地域を問わず利用しやすい点です。予約なしで査定してもらえることがほとんどで、お出かけついでに利用できるのも魅力といえるでしょう。

リサイクルショップは、着物だけでなく洋服や家具、家電など幅広いジャンルを取り扱っていることが多いものです。着物以外にも手放したいものをお持ちの方は、リサイクルショップにまとめて持ち込めば、一度に買い取ってもらえて便利でしょう。

こうしたメリットがある反面、高価買取は期待しにくいのが懸念点です。

リサイクルショップには基本的に、着物に精通した査定士が在籍していないため、着物の買取専門業者と比べると買取額はどうしても低くなってしまいます。

着物の買取専門店

着物の買取専門店の最大のメリットともいえるのが、ほかの売却方法よりも高値での買取を狙いやすい点です。

着物の価値は、「お品物の状態」だけでなく、「産地」「使われている技法」「デザイン」「制作年代」など、さまざまな要素によって決定づけられます。

着物の買取専門店には、着物のことを熟知した査定士が在籍しており、こうした要素をすべて考慮した上で価値を正しく判断してくれるでしょう。

一方で、リサイクルショップと比べると店舗数が少ないという懸念点もあります。

ただ、着物の買取専門店は、「店頭買取」のほかに「出張買取」や「宅配買取」を用意していることも多いです。ご自身に合った買取方法を選ぶことで、スムーズな売却につながるでしょう。

伊那紬の査定額をアップさせるコツ

伊那紬を買取に出す際、少しの準備や意識をするだけで査定額がアップすることがあります。

具体的には、以下のようなコツを押さえることが大切です。

・簡単なお手入れをしてから査定してもらう
・証紙も一緒に出す
・できるだけ早めに買取を依頼する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

簡単なお手入れをしてから査定してもらう

買取に出す前に簡単なお手入れをするだけでも、お品物の印象が良くなって査定額アップにつながります。

たとえば、着物を長期間保管していてほこりがついている場合は、着物用ブラシなどを使って優しく落としましょう。

シワがついている場合は、直射日光の当たらない風通しの良い場所で陰干しをするだけでも、状態が改善することがあります。

ただし、着物の状態を少しでも良くしようと、買取前にクリーニングに出していただくことはオススメしません。

クリーニングに出していただいたことで査定額がアップしたとしても、クリーニング費用のほうが高くついてしまう可能性もあるからです。

そのため、お手入れはご自宅でできる範囲にとどめていただくことをオススメします。

証紙も一緒に出す

着物の価値を証明するために重要となるのが、証紙です。

証紙はどの着物にもついてくるわけではなく、有名産地や伝統的工芸品、厳格な審査基準を満たした着物にだけついてきます。

着物にもともと証紙がついていた場合、その証紙をなくしてしまっても買い取ってもらえることがほとんどです。ただ、証紙がそろっていると着物の品質を確実に示すことができ、査定額アップにつながります。

伊那紬の場合、以下のような証紙がついてきます。

・伝統証紙
経済産業大臣の指定を受けた伝統的工芸品に貼られる証紙です。伝統の「伝」の文字と、日本の心を表す赤丸を組み合わせたデザインが特徴です。

・久保田織染工業株式会社の証紙
伊那紬をつくる唯一の織元、久保田織染工業株式会社が発行する証紙です。中央に「伊那紬」と大きく書かれており、下部に社名や住所などが記されています。

できるだけ早めに買取を依頼する

買取に出そうとお考えになった時点で、できるだけ早めに買取を依頼することも、査定額アップのポイントです。

というのも、着物はいくら大切に保管していても、時間の経過とともに少しずつ劣化していってしまうものです。中古買取市場において、お品物の状態は査定額を決める重要な要素であり、劣化の見られる着物はマイナス査定となってしまいます。

こうした理由から、状態の良いうちに査定に出していただくことをオススメします。

多くの買取専門業者では、無料で査定を行っており、査定後のキャンセル費用もかからないことが一般的です。そのため、まずは1度査定してもらい、どれくらいの価格がつくのかだけでも把握いただくと良いかもしれません。

伊那紬の買取なら【福ちゃん】にご相談ください！

伊那紬は国の伝統的工芸品に指定されており、数ある紬の中でも確固たる地位を確立しています。その一方で、伊那紬の生産を続ける織元は現在1つしかなく、希少性が高まっています。

こうした特徴を持つ伊那紬は、状態やデザインによっては高値がつくことも珍しくありません。

「所有している伊那紬にどれくらいの価格がつくのか知りたい」
「できるだけ高く買取してもらいたい」

このようにお考えの方は、着物に精通した査定士が在籍している【買取福ちゃん】にご相談ください。

福ちゃんでは、お品物の状態だけでなく、糸の風合いや使われている染め技法など、伊那紬ならではの評価ポイントも丁寧に確認した上で、できる限りの査定額をご提示させていただきます。

福ちゃんでご用意している買取方法は、「出張買取」「宅配買取」「店舗買取」の3種類です。

いずれの買取方法も、査定料やキャンセル料といった費用は一切かからず、原則としてお品物1点からでも査定を承っております。（宅配買取の査定後にキャンセルとなり、お品物のご返送をご希望の場合のみ、返送料がお客様のご負担となりますのでご了承ください。）

「自分が持っている着物は買い取ってもらえるのかな？」

といったご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

伊那紬は、長野県伊那谷地方で受け継がれる伝統的な織物です。伊那紬は、伊那谷地方に自生する草木を原料とする「草木染め」が採用されており、素朴で深みのある風合いを特徴としています。

こうした特徴を持つ伊那紬の価値は、保存状態や証紙の有無、デザインなど複数の要素によって大きく変わるため、ご自身だけで正確に判断するのは難しいものです。実際、正確な価値を知りたいとお考えになり、専門的な知識を持つ査定士に査定を依頼する方も、数多くいらっしゃいます。

【買取福ちゃん】では、伊那紬をはじめとする全国各地の着物の買取実績が豊富で、専門の査定士が1点ずつ丁寧に状態や希少性を確認いたします。証紙がないお品物や、シミがあるお品物も査定対象としておりますので、買取してもらえるのかご不安な場合も、まずは一度ご相談ください。

福ちゃんでは、お客様のお気持ちに寄り添った対応を心がけております。お品物に対する想いに耳を傾け、次の使い手につなげていくために全力でサポートいたしますので、ぜひ福ちゃんにお任せください。