- 着物
- 2026.02.13
着物は素材で変わる!生地の特徴や見分け方と種類別のお手入れ方法

【記事のポイント】
- ✅着物の素材は、基本的に正絹・綿・麻・ウール・化繊の5種類
- ✅着物は素材によって用途や正しい保管方法が異なる
- ✅着なくなった着物はリメイクや買取という選択肢がある
着物の素材を知ることは、着物の価値を正しく理解するために大切な知識です。着物にはさまざまな素材があり、それぞれに独特の魅力と特徴があります。
この記事では、着物の素材の見分け方やお手入れ方法、不要になった着物の活用法などについて解説します。
着物の素材とは?基本5種類の特徴

着物の素材には、正絹・綿・麻・ウール・化繊(ポリエステル)という五つの基本的な種類があります。それぞれの素材は、肌触りや光沢・季節への適性・お手入れのしやすさなど、異なる個性を持っています。
着物選びやお手入れにも大きく影響する着物の素材について、一つ一つの特徴を詳しく見ていきましょう。
正絹
絹は、蚕(カイコ)の繭を原料にした絹糸から作られる天然繊維です。留袖や振り袖といった格式の高い着物には、基本的に絹100%の「正絹(しょうけん)」と呼ばれる素材が使われます。
最大の特徴は、上品で奥ゆかしい光沢があり、肌触りはしっとりとなめらかで、きめ細かいことです。適度な吸湿性と放湿性があり、季節を問わずさらりとした極上の着心地を楽しめます。
ただし、非常にデリケートな素材のため、自宅でのお手入れには注意が必要です。
【絹素材の着物のメリット】
- 軽くて丈夫
- 静電気が発生しにくい
- 汗をかいても肌に貼り付きにくい
【絹素材の着物のデメリット】
- 洗濯が難しい(水に弱く縮みやすい)
- 汗ジミになりやすい
- 日光や経年劣化で変色しやすい
- 虫食いの被害に遭いやすい
綿
綿は、綿花の繊維を紡いだ糸で作られた生地のことです。肌触りが柔らかく、吸湿性と通気性に優れているため、夏場でも快適に着用できます。
また、生地の表面が滑りにくいため、初心者でも着付けがしやすいのが特徴です。汗を吸い取りやすいことから浴衣の素材として定着しているほか、親しみやすい素朴な風合いで、普段着やカジュアルな場面での着物としても愛用されています。気兼ねなくお洗濯できる手軽さも、綿素材の大きな利点です。
【綿素材の着物のメリット】
- 自宅で洗濯ができる
- 耐久性に優れている
- 吸汗性が高い
【綿素材の着物のデメリット】
- 乾きにくい
- 日光で変色しやすい
- シワになりやすく縮みやすい
麻
麻は、植物の繊維から作られる生地です。特に上質な麻織物として知られる「上布(じょうふ)」は、苧麻(ちょま)という植物を原料にしています。通気性と吸湿性に優れているため、日本の蒸し暑い夏を、最も快適に過ごせる素材といえるでしょう。
独特のハリとシャリ感があって丈夫な麻素材は、絽や紗などの着物にも使われる場合が多く、涼やかでおしゃれな印象を与えます。カジュアルなシーンに適しており、夏祭りや散策など普段使いで活躍する着物です。
【麻素材の着物のメリット】
- 軽い
- 吸水性がある
- 通気性が良い
【麻素材の着物のデメリット】
- 生地が硬く伸縮性に劣る
- シワになりやすい
- カビに弱い
ウール
ウールは、動物由来の素材で、主に羊の毛から作られるのが一般的です。着物の素材としては比較的新しく、昭和時代に入ってから広く作られるようになりました。
ほかの素材よりも厚みがあり、暖かい着心地のため、多くは冬の着物として用いられています。高い保温性と扱いやすさを両立した、冬の普段着にぴったりの素材です。
ただし、虫食いの被害に遭いやすく日光で変色しやすいため、保管の際には防虫剤を必ず入れ、直射日光を避けることが大切です。
【ウール素材の着物のメリット】
- 肌触りが柔らかい
- 吸湿性が良い
- 保温性が高い
- 汚れに強い
【ウール素材の着物のデメリット】
- 虫食いの被害に遭いやすい
- 日光で変色しやすい
化繊(ポリエステル)
化繊(ポリエステル)は、石油を原料とする化学繊維です。大量生産が可能で、着物素材としては比較的手頃な価格で手に入るのが特徴です。
かつては「安っぽい」というイメージもありましたが、近年では正絹のような光沢や風合いを持つ「高級ポリエステル」も登場しています。
お手入れが簡単なため、気兼ねなく着物を楽しみたい初心者にも最適です。ただし、天然繊維のような吸湿性や通気性がないため、夏場は熱がこもりやすく、冬場は静電気が起きやすい点には注意が必要です。
【ポリエステル素材の着物のメリット】
- 耐久性に優れ丈夫
- シワになりにくい
- 型崩れしにくい
【ポリエステル素材の着物のデメリット】
- 通気性・吸湿性が低い
- 静電気が発生しやすい
- 生地が滑りやすく着崩れしやすい
査定・出張費・手数料はすべて無料。
着物の素材の見分け方

着物の素材を見分けられるようになると、適切なお手入れ方法が分かるだけでなく、着物の価値を見極める力も身につきます。
ここでは、専門知識がなくても実践できる、手軽な判別方法から確実性の高い方法まで、段階的に紹介します。手元の着物がどんな素材なのか、ぜひ一緒に確認してみましょう。
手触りと光沢で判断する
着物の素材を見分ける基本は、手触りと光沢による判断です。
正絹は美しい光沢となめらかな手触りで、生地をこすり合わせると「キュッキュッ」という独特の音が鳴ります。一方、ポリエステルにも光沢はありますが、絹に比べてしっとり感が少なく、触れた際にやや硬質な印象を受けるのが特徴です。
ウールは他の素材と比べてザラザラとした質感があり、近くで見ると細かな毛羽立ちが確認できます。麻は透け感とハリ感が特徴で、手触りはやや硬めです。綿は光沢が少なく、浴衣に近い手触りが特徴です。
切れ端や糸を燃やしてみる
より確実に着物の素材を識別したい場合は、燃焼テストという方法があります。目立たない部分から1〜2本の糸を抜き取り、ライターなどで火をつけて、燃え方・燃えカス・匂いの状態を観察する方法です。
正絹は黒く燃えて自然に火が消え、燃えカスは指で軽くつぶすと粉々に崩れます。また、髪の毛を燃やしたような独特の匂いがするのも特徴です。
化繊は黒い煙を出しながら燃え続け、燃えた後は硬い玉状の塊になり、石油系の独特な匂いがします。
ただし、この方法は着物を傷めることになるため、最終手段として考えましょう。また、火の取り扱いには十分注意してください。
仕立てをチェックする
着物の仕立て方で確認する方法もあります。
正絹の着物は手縫いで仕立てられることが一般的です。生地の表側を確認して、縫い目が見えなければ手縫いの可能性が高く、正絹の着物である確率も上がります。
一方、ポリエステルの着物はミシン縫いで仕立てられることが多く、表側に細かく均一な縫い目が並んでいます。衿や袖口など目立たない場所の縫い目をチェックすると判別しやすいでしょう。
ただし、最近は正絹でもミシン仕立ての着物があるため、手触りや光沢などと合わせて総合的に見極めることが大切です。
知っておきたい着物の織り方

着物の素材の魅力を引き出すのは、実は「織り方」の違いです。同じ正絹の着物でも、糸の組み合わせ方によって生地の厚みや光沢、肌触りが大きく変わります。
織り方には「平織り」「綾織り」「繻子織り」という基本の三つがあり、それぞれ異なる特性を持っています。それぞれの織り方の特徴と見分け方について見ていきましょう。
平織り
平織りは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を1本ずつ交互に交差させて織る、最も基本的な織り方です。
糸の交差点が多くなるため、生地はしっかりとした硬さとコシを持ちます。3種類の織り方の中では最も摩擦に強く、耐久性に優れているのが特徴です。
代表的な平織りの着物には、絹の羽二重やちりめん、綿のブロードなどがあり、通気性も良いため日常使いの着物としても重宝されています。
綾織り
綾織りは、経糸と緯糸を2~3本ずつ交差させ、糸の交差点が斜めに連続するように織る織り方で、斜文織りとも呼ばれます。
生地表面に斜めの畝(うね)のような模様が現れ、柔らかくなめらかな風合いに仕上がるのが特徴です。糸が密に組み合わさることで厚手の生地となり、保温性にも優れています。
また、斜めに糸が走るため適度な伸縮性があってシワになりにくく、光の当たり方によって表情が変わる光沢感も魅力です。しっかりとした生地感と独特の光沢でフォーマルな場面でも活躍します。
繻子織り
繻子織りはサテンとも呼ばれる織り方です。表面に経糸か緯糸のどちらか一方を長く浮かせて織るのが特徴で、美しい光沢と絹のようななめらかな手触りに仕上がります。
また、糸の交差が少ないことから柔軟性が高く、なめらかで体になじみやすい質感です。フォーマルな場にふさわしい格調高い印象を与えるため、高級な着物では、繻子織りの一種である緞子(どんす)や綸子(りんず)といった生地が使われています。
ただし、糸の浮きが多い分、摩擦に弱く引っかかりやすいため、取り扱いには注意が必要です。
着物の素材の染め方|先染めと後染め
着物の美しさを決める要素は、素材や織り方だけではありません。「いつ染めるか」によって、着物の表情や格、着用シーンなどが変わります。
着物の素材の染め方には、「先染め」と「後染め」の二つの方法があります。
先染めは、糸を染めてから織り上げる技法です。糸1本1本に色を染め込むため、織り上げた生地には深みのある色合いと立体感が生まれます。複雑な柄を表現でき、格式の高い場面でも重宝されるのが特徴です。
一方、後染めは生地を織った後に染める方法です。生地全体をキャンバスのように使って自由に模様を描けるため、繊細な絵柄や鮮やかなグラデーションを表現できます。
| 染め方 | 代表例 |
| 先染め | 西陣織、結城紬、大島紬 |
| 後染め | 友禅染め、江戸小紋、絞り染め |
着物の素材別の保管方法

着物の素材ごとに、適した保管方法は異なります。着物を美しく長持ちさせるには、素材に合った方法で保管することが大切です。
適切な方法で保管しない場合、大切な着物がカビや虫食いの被害に遭い、取り返しのつかないダメージを受けることもあります。着物の素材別に最適な保管方法を紹介します。
絹の着物の保管方法
絹の着物は湿気やカビに弱いため、お手入れや保管には細心の注意が必要です。年に数回、晴天が続く乾燥した時期に虫干しを行いましょう。
保管する際は、基本的に1枚ずつたとう紙に包み、吸湿性に優れた桐材のたんすや衣装箱に平らに重ねて収納するのが理想的です。プラスチックケースを使用する場合は、通気性が悪いため除湿剤をこまめに交換してください。
湿気対策には、置型とシート型の除湿剤の併用が効果的です。また、虫食い防止のため、着物用や金糸銀糸対応の防虫剤を入れましょう。
綿・麻の着物の保管方法
綿・麻の着物は植物性繊維のため、虫食い被害に遭いやすい点に注意が必要です。保管の際はたとう紙に包み、着物専用の防虫剤を入れましょう。
たとう紙は古くなると除湿力が低下し、カビ発生のリスクが高まるため、4~5年に一度のペースで交換することをおすすめします。
麻の着物は摩擦で色移りしやすく、重みでシワにもなりやすいため、1枚のたとう紙に1枚だけ入れて保管します。綿の着物は湿気を吸いやすいため、保管前に陰干しを行い、置型とシート型の除湿剤を併用するのが効果的です。アイロンをかけた場合は、熱を冷ましてから収納しましょう。
ウールの着物の保管方法
ウールの着物も虫食いの被害に遭いやすい素材です。着用後は必ず半日~1日程度陰干しし、湿気を飛ばしてから保管しましょう。
汗や体温による湿気を残したまま収納すると、虫食いリスクが高まります。虫の繁殖を防ぐためには、防虫剤と除湿剤を併用することが大切です。
また、ウールについた虫が他の着物に移ることを防ぐために、正絹などの素材と分けて保管します。衣装ケースでの保管が可能ですが、詰め込みすぎると通気性が悪化するため、収納スペースの65~70%程度にとどめましょう。
着なくなった着物の活用法

長年大切にしてきた着物でも、ライフスタイルの変化で着る機会が減ってしまうことは珍しくありません。たんすの中で眠ったままにしておくのはもったいないと感じている人も多いのではないでしょうか。
着なくなった着物には、着物の素材を生かしたさまざまな活用方法があります。ここでは、おすすめの方法を二つ紹介します。
着物の素材を生かしたリメイク
着物の素材を生かし、日常的に使えるアイテムにリメイクする方法があります。例えば、着物の美しい柄を生かしたクッションカバーや、サッシュベルトなどのファッションアイテムにリメイクするのがおすすめです。
リメイクの際は、まず生地が弱っていないか確認しましょう。軽く引っ張って裂けないかチェックし、ぬるま湯と重曹で手洗いして縮みや色落ちを確認します。激しく縮んだり色落ちしたりする生地はリメイクに不向きです。
アイデア次第でさまざまなアイテムに再生できるため、愛着のある着物を新しい形で楽しめます。
着物の専門業者に買い取ってもらう
着なくなった着物は、専門業者に買い取ってもらうのも良い方法です。
専門業者は着物の素材や産地、作家性を正しく評価できる鑑定力を持っているため、リサイクルショップなどよりも適正価格での買取が期待できます。
買取業者を選ぶ際は、店頭への持ち込みだけでなく、出張や宅配による査定が可能かどうかを確認しておきましょう。特に、枚数が多い場合は、出張査定してくれる業者が便利です。
また、査定料などの手数料についても事前にチェックしておくことをおすすめします。
まとめ

着物の素材には正絹・綿・麻・ウール・化繊といった種類があり、織り方や染め方によっても表情や印象は大きく変わります。着物を長く楽しむには、素材に合わせた適切な方法で保管することが大切です。
また、着なくなった着物はリメイクや買取という選択肢もあります。福ちゃんでは、着物の素材や産地、作家による違いを見極める熟練査定士が、一枚一枚丁寧に査定いたします。出張料・査定料は無料で、女性査定員による対応も可能です。
たんすに眠ったままの着物があれば、まずは無料査定でその価値を確認してみませんか。大切な想いを次の人へつなぐお手伝いをさせていただきます。