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  • 2025.06.05

普段着としての男性和服に注目!袴を取り入れる着物男子も

和服には男性の魅力を引き出す力があります。

近年、その魅力に気づき「普段着に和服を取り入れてみたい」と考える男性が増えています。

とはいえ、いざ和服を着ようと思っても、数々の疑問や不安が頭をよぎるのではないでしょうか。

でも、ご安心ください。
この記事で、そのお悩みはすべて解消できます。

この記事でわかること
● 普段着にオススメの男性和服のスタイル
● 和服の洗濯やお手入れ方法
● 着こなしに必要な小物やインナー【一式】

● 和服を着る男性のイメージや、選ばれる理由
● 季節ごとの着物の基本ルール(袷・単衣・薄物)

普段着に和服を取り入れたい男性が抱く疑問」に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。

この記事を読み終える頃には、読者様もきっと、自信を持って「着物男子」としての一歩を踏み出せるはずです。

目次

男性の和服について

男性の和服について

【男性和服の基本ルール】季節と「衣替え」を知る

洋服と和服の大きな違いの1つが、季節への対応の仕方です。

洋服は半袖や長袖と「」で季節に対応しますが、和服は「仕立て方」を変えることで、日本の美しい四季を快適に過ごせるよう工夫されています。

この季節ごとの仕立ての違いこそが、和服の「衣替え」の基本ルール。

まずは、下の表で3種類の着物の概要と着用時期を掴みましょう。

種類着用時期の目安特徴
袷(あわせ)10月~5月裏地あり。風を通しにくく暖かい。最も基本の仕立て。
単衣(ひとえ)6月・9月裏地なし。軽やかで風通しが良い。季節の変わり目に最適。
薄物(うすもの)7月~8月裏地なしで、生地が透ける。真夏を涼しく過ごすための着物。

この3つの着分けルールは、季節の和装を考える上での「大前提」となります。

逆にいえば、この点さえ押さえておけば、季節感のない“ちぐはぐ”な印象になってしまう失敗を、未然に防げるのです。

では、この重要な基本ルールを踏まえながら、それぞれの着物が持つ特徴や魅力を、さらに詳しく見ていきましょう。

袷(あわせ)| 裏地があり暖かい、最も基本の着物【10月~5月】

」とは、表地と裏地の2枚の生地を縫い合わせて仕立てた着物で、肌寒さを感じる10月から翌年の5月までと、最も長い期間にわたって着用されます。

裏地があるため風を通しにくく、冬の寒い日でも、この袷の上に羽織や防寒具を重ねることで暖かく過ごせます。

重厚感と品格があり着用期間も長いため、初めてご自身の和服を仕立てるなら、まずこの「袷」をそろえるのが間違いのない選択です。

単衣(ひとえ)| 軽やかで風通しの良い、季節の変わり目の着物【6月・9月】

単衣」は、その名の通り裏地を付けず、1枚の布で仕立てられた軽やかな着物です。夏の始まりである6月と残暑の厳しい9月という、季節の変わり目に最適です。

ただし、これはあくまで目安です。とくに近年のように、5月でも真夏日があったり、10月に厳しい残暑が続いたりする場合には、この単衣が大変重宝します。

ルールに縛られず、その日の気候やご自身の体感に合わせて柔軟に着こなすことこそ、普段着和服を楽しむコツです。

薄物(うすもの)| 真夏を涼やかに過ごす、透け感のある着物【7月~8月】

薄物」は、単衣の一種ですが、最も暑い7月と8月に特化した、より涼しさを追求した着物です。単衣との決定的な違いは、生地そのものに透け感があること。

絽(ろ)」「紗(しゃ)」「羅(ら)」といった、織り目が粗く風通し抜群の生地が使われ、見た目にも涼を届けます。

こちらも、温暖化の影響で9月に入っても酷暑日が続くような年には、臨機応変に着用して無理なく快適に過ごしましょう。

男性和服の普段着|洗濯・お手入れについて

男性和服の普段着|選択・お手入れについて

【男性和服の教科書】洗濯・お手入れ完全ガイド

和服を普段着として気兼ねなく楽しむためには、「自宅で簡単にお手入れできるかどうか」が非常に重要です。高価なクリーニングに毎回出すとなると、普段着にするのは難しいですよね。

そこで、最初は「自宅で洗える素材」を選ぶことが、男性が和服デビューを成功させる最大のコツです。

まずは「洗える素材」を選ぶのが鉄則

初心者の方が普段着として選ぶなら断然、綿(コットン)・麻(リネン)・ポリエステルといった、自宅で洗濯できる「洗える和服」がオススメです。

上記のような素材なら、汗や食事の汚れなどを気にすることなく、洋服と同じ感覚で気軽に着られます。最近では、一見すると正絹と見紛うような、上質なポリエステル製の着物も数多く登場しています。

自宅でのお手入れ方法【4ステップ】

洗える和服の洗濯は、以下の4ステップで簡単に行えます。

1. 洗濯表示を必ず確認
まずは和服についている洗濯表示を確認し、「洗濯機OK」か「手洗いのみ」かを見極めましょう。

2. 綺麗に畳んで「洗濯ネット」へ
シワや型崩れを防ぐため、袖畳みなどで綺麗に畳んでから、必ず洗濯ネットに入れます。洗剤はおしゃれ着用の中性洗剤を使い、洗濯機の「手洗いコース」や「ドライコース」などの弱水流で優しく洗いましょう。

3. 「着物ハンガー」で形を整えて陰干し
脱水はごく短時間(30秒〜1分程度)で済ませます。干す際は、真っすぐな長い棒のついた「着物ハンガー」を使うのが理想です。肩や袖の形を整え、シワを手で優しくパンパンと叩いて伸ばし、直射日光を避けて風通しの良い場所で陰干しします。

4. 「当て布」をしてアイロンがけ
生乾きの状態か、乾いた後に霧吹きで湿らせてからアイロンをかけます。テカリを防ぐため、必ず上から「当て布」をしてください。素材に合った温度設定も忘れずに行いましょう。

以上の4ステップを守れば、洗える和服はご自宅で簡単にお手入れできます。

この方法なら、汗や汚れを気にせず、普段着としてどんどん活用できますね。ただし、このお手入れ方法は、あくまで綿や麻、ポリエステルといった「洗える素材」に限った話です。

では、和服(着物)の中でも最もデリケートな素材である「正絹」の場合は、どうすれば良いのでしょうか。

デリケートな「正絹」は専門家にお任せ

普段着として楽しむ和服にも、ここ一番のおしゃれ用として、絹100%でできた「正絹(しょうけん)」の着物をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。その美しい光沢と、しなやかな肌触りは、他の素材にはない特別な魅力があります。

しかし、この正絹の着物だけは、お手入れのルールがまったく異なります。結論から申し上げますと、ご自宅での洗濯は必ず行わないようにしてください。

なぜなら、絹は水に非常に弱い天然繊維だからです。無理にご自宅で洗ってしまうと、以下のような取り返しのつかない事態を招く危険性があります。

生地の深刻な縮み
着られなくなるほどサイズが変わってしまうことがあります。

光沢の消失
絹特有の美しい光沢が失われ、くすんだ印象になります。

色泣き・移染
染料が水に溶け出し、他の部分に色が移ってしまいます。

風合いの変化
生地が硬く、ゴワゴワになってしまうことがあります。

では、どうすれば良いのか。

答えは1つ、「着物専門のクリーニング店」に相談することです。

専門のクリーニング店では、着物の知識が豊富な職人が、水を使わない特殊な溶剤で洗う「丸洗い」や、部分的な汚れを落とす「シミ抜き」など、生地の状態に合わせた最適なお手入れを行ってくれます。

高価な和服(着物)だからこそ、その価値を守るためにも、お手入れは必ずプロに任せましょう。

普段着に和服を着る男性のイメージ

普段着に和服を着る男性のイメージ

◇ 周囲の視線が変わる?男性和服がもたらす「3つの好印象」

普段着に和服を取り入れると、その方の印象は周囲からどう見られるのでしょうか。実は、そこには洋服では得難い、多くのポジティブな効果が隠されています。

ここでは、和服が男性に与える代表的な「3つの好印象」について、その理由とともに深掘りしていきます。

品格と動じない大人の「落ち着き」

和服を身に纏うと、自然と背筋が伸び、一つひとつの所作が丁寧になります。

その凛とした佇まいは、見る人に「育ちが良さそう」「地に足がついている」といった、品格と内面的な成熟を感じさせます。

騒がしい日常の中で、静かに自分の時間を保っているような、動じない大人の落ち着き。それが、和服が醸し出す第一の魅力です。

遊び心と、人生を愉しむ「余裕」

あえて手間のかかる和服を普段着として選ぶその姿は、「時間に追われず、自分のスタイルを愉しんでいる」という、精神的な余裕の表れと映ります。

この「こだわり」や「遊び心」が、ミステリアスな魅力や、さらには経済的な豊かさといったイメージにもつながっていくのです。単なる服装ではなく、ライフスタイルそのものが豊かであるという印象を与えます。

「ギャップ」が生み出す、特別な存在感

ほとんどの男性が洋服で過ごす現代において、和服を着ているというだけで、その他大勢から一歩抜け出した、特別な存在感を放ちます。

これは、着物が持つ「非日常感」が生み出す効果です。普段のスーツやカジュアルな姿を知っている人ほど、そのギャップに「おっ」と目を引き、ご自身の新たな一面として強く印象に残るでしょう。

周囲から「一目置かれる存在」になる、とはまさにこのことです。和服は着用者をその他大勢の中に埋もれさせない、強力な個性となります。

普段着としての男性和服

普段着としての男性和服

◇ まずはここから!普段着にオススメの男性和服「3つの基本スタイル」

和服って、なんだか堅苦しくてハードルが高そう……

和服が初めての方がそのように感じるのは、当然のことです。しかし、実は男性の和服には洋服と同じように、あるいはそれ以上に、リラックスして楽しめるスタイルが存在します。

まずは、初心者の方でも挑戦しやすい代表的な「3つの基本スタイル」から、お気に入りを見つけてみましょう。

着流し| 最もシンプルで「粋」な基本形

挑戦しやすさ:★★☆

着流し」とは、羽織や袴を着用せず、着物と帯だけで着こなす、最もシンプルでスタンダードなスタイルです。時代劇で町人が歩いている姿をイメージすると、わかりやすいでしょう。

無駄を削ぎ落としたミニマルな装いは、その人の個性を引き立て、こなれた「」な雰囲気を演出します。

気軽でありながら和服の魅力を存分に味わえるため、初心者がまず目指すスタイルとして最適です。寒い季節以外は楽しめ、つばの小さなハットなどを合わせる現代的な着こなしも人気です。

書生風|知性と個性が光る「和洋折衷」

挑戦しやすさ:★★★

着物の下にスタンドカラーなどのシャツを着用し、袴を履くスタイルです。

明治~昭和初期の男子学生がしていた着こなしで、レトロで知的な雰囲気が魅力。漫画やアニメの登場人物にも見られるため、イメージしやすい方も多いでしょう。

足元にブーツやスニーカーを合わせるなど、「和洋折衷」のおしゃれを存分に楽しめるのが、このスタイルの醍醐味です。また、シャツを着ることで、長襦袢の半衿を汗や皮脂汚れから守れるという、お手入れ面での実用的なメリットもあります。

作務衣・甚兵衛| 着付け不要の「最楽」和服

挑戦しやすさ:★☆☆

着付けや帯結びが、どうしてもハードルが高い」という方に最適なのが、作務衣甚兵衛です。

どちらも上下が分かれたセパレートタイプで、帯も不要。洋服と同じ感覚で、着るだけで和の装いが完成します。

とにかく楽でリラックスできるため、まずは部屋着やワンマイルウェアとして取り入れるのがオススメです。

両者の違いは、以下のとおりです。

種類作務衣(さむえ)甚兵衛(じんべい)
元々の用途僧侶の作業着夏の室内着・湯上り着
形状上衣と長ズボン上衣と半ズボン(膝丈)
着用シーズン通年主に夏

いかがでしたか。

まずは、作務衣や甚兵衛から気軽に和の装いに親しんでみるのも良いでしょう。

より本格的な着こなしに挑戦したくなったら、次はそのスタイルに必要不可欠なアイテムをそろえていきましょう。

次の章で詳しく解説します。

おしゃれ着・普段着にオススメの男性和服

おしゃれ着・不安着にオススメの男性和服

【応用編】羽織と袴で、普段着の和服を「格上げ」する

着流しスタイルに慣れてきて、「もう少しきちんと見せたい」「おしゃれの幅を広げたい」と感じたら、次はいよいよ「羽織」と「」の出番です。

この2つのアイテムは、普段着の和服にプラスするだけで、全体の印象を劇的に変えてくれる、いわば「格上げ」アイテム。

それぞれの役割と魅力を知って、ワンランク上の着こなしを目指しましょう。

羽織(はおり)| 1枚で「きちんと感」をプラスする万能アウター

「羽織」は、着物の上に着るジャケットのようなものです。

洋服でたとえるなら、Tシャツ1枚でいるのと、その上にジャケットを羽織るのとでは、印象が大きく変わりますよね。和服における羽織も、まさにその役割を果たします。

1枚羽織るだけで、ぐっときちんとした印象になり、防寒や、着物をホコリから守る「ちり除け」の役割も。さらには、気になるお腹周りを隠してくれるといった「体型カバーの効果」もあります。

パーティーや同窓会、初詣といった少し改まったお出かけの際には、羽織を着用するのが大人のマナー。着物と共布の色無地などを選ぶと、よりフォーマルな印象になります。

逆に、普段着としてカジュアルに着るなら、あえて着物と色柄を変えて、自由なコーディネートを楽しむのが醍醐味です。

袴(はかま)| 立ち姿を美しく見せる、風格のボトムス

「袴」は、着物の上から履く、いわばボトムスにあたる和服です。成人式や卒業式など、フォーマルな儀式の際に着用するイメージが強いですが、書生風スタイルのように普段着として楽しむのも非常に粋です。

袴には、ズボンのように股が分かれた「馬乗り袴(うまのりばかま)」と、スカートのような筒状の「行灯袴(あんどんばかま)」の2種類があります。

見た目が引き締まり、武士のような堂々とした風格を演出できるのが袴の大きな魅力。また、意外にも足さばきが良くなって動きやすいという実用的なメリットもあります。

着物の裾が乱れるのを気にせず、颯爽と歩けるため、長時間のお出かけにもオススメです。

春・夏|男性の普段着和服

春・夏|男性の普段着和服

【コーデ例】春夏の着こなし術|色と素材で季節感を遊ぶ

着物の「衣替え」の基本ルールを覚えたら、次は色や素材で季節感を表現してみましょう。洋服と同じように、少し色合いを意識するだけで、断然おしゃれな印象になります。

春の着こなし(3月~5月)

冬の重たい色合いから抜け出し、心も軽やかになる春。この季節は、袷(あわせ)の着物を基本としますが、色で春らしさを取り入れるのがポイントです。

たとえば、淡い若草色や空色、ベージュなどの明るい色を選ぶと、春らしい柔らかな雰囲気を演出できます。

そうした淡い色の着物に、濃い色の帯をきりっと締めると、全体の印象が引き締まり、洗練された印象になります。

夏の着こなし(6月~9月)

単衣(ひとえ)や薄物(うすもの)で過ごす夏は、見た目にも着心地にも「涼感」を意識するのが、おしゃれの鍵です。

色は、白や紺、鼠色(ねずみいろ)といった、すっきりとした寒色系が人気。見ている人にも涼しげな印象を与えます。

素材は、汗をよく吸い、肌触りもさらりとした「綿麻(めんあさ)」や、表面に凹凸があって肌に張り付きにくい「しじら織」などが、普段の着用としてとくにオススメです。

どちらも自宅で気軽に洗濯できるため、汗をかく季節に最適です。

【初心者にオススメ】新定番「デニム着物」

「もっと気軽に、洋服の延長線上で和服を楽しみたい」という方には、近年人気の「デニム着物」が最適です。

丈夫で、自宅で気軽に洗濯できるのはもちろん、Tシャツやパーカー、スニーカーといった洋服のアイテムとも相性抜群。何より、着込むほどに色落ちし、ジーンズのように「自分だけの一着」に育てていく楽しみがあります。

春や秋の単衣として、まずワードローブに加えてみてはいかがでしょうか。

秋・冬|男性の普段着和服

秋・冬|男性の普段着和服

【コーデ例】秋冬の着こなし術|重ね着で楽しむ暖かな装い

秋から冬にかけては、和服の「重ね着」が最も楽しくなる季節です。

色や素材、洋服のアイテムも柔軟に取り入れながら、暖かく粋なコーディネートを楽しみましょう。

秋の着こなし(9月~11月)

残暑の残る9月は「単衣(ひとえ)」、そして肌寒さを感じる10月からは「袷(あわせ)」へと衣替えをするのが秋の基本です。

コーディネートには、茶色や辛子色(からしいろ)・深緑・ワインレッドといった、こっくりと深みのある「秋色」を取り入れると、ぐっと季節感が増します。

無地の着物に、秋の草花が描かれた羽織を合わせるのも、風情があって素敵です。

暑さが残る日には、着物は単衣のまま、帯や小物だけを秋色に変えるだけでも、季節を先取りしたおしゃれな印象になります。

冬の着こなし(12月~2月)

袷(あわせ)の着物を基本に、さまざまなアイテムをプラスして「防寒」と「おしゃれ」を両立させるのが、冬の着こなしの醍醐味です。

洋服のアイテムも積極的に取り入れてみましょう。

冬の重ね着アイデア

首元のおしゃれ
マフラーやネックウォーマーは、防寒具としてだけでなく、コーディネートの「差し色」としても活躍します。

インナーの工夫(和洋折衷)
着物の下にタートルネックのセーターやパーカーを合わせる人気のスタイル。首元が暖かいだけでなく、半衿を皮脂汚れから守れるという実用的なメリットもあります。

本格的な防寒アウター
羽織の上に、さらに「和装コート」や、大正ロマンを感じさせる「とんび(インバネスコート)」を重ねることで、真冬でも暖かく過ごせます。

手元・足元の小物
手袋や、ブーツといった洋装の小物をアクセントとして取り入れるのも、普段着ならではの自由な楽しみ方です。

このように、さまざまなアイテムを組み合わせることで、和服のコーディネートは無限に広がります。

そして、どのような着こなしをする上でも、その土台として必要不可欠なのが、帯・履物・襦袢といった「縁の下の力持ち」の存在です。

和服の土台を正しく選ぶことが、全体の印象を決定づけ、着心地の良さにもつながります。

次の章で、詳しく見ていきましょう。

普段着にそろえたい!男性和服に合う小物とインナー

普段着にそろえたい!男性和服に合う小物とインナー

◇ 普段着にそろえたい!男性和服の「小物・肌着」完全リスト

着たい和服のスタイルが決まったら、次はその着こなしに必要不可欠な、小物や肌着類をそろえていきましょう。

これらを正しく選ぶことが、全体の印象を決定づけ、着心地の良さにもつながります。

ここでは、最低限そろえておきたい必須アイテムを一つひとつ解説します。

肌着と襦袢| 着心地と着姿を決める「縁の下の力持ち」

襦袢や肌着は、汗や汚れから大切な着物を守り、着崩れを防ぐための重要な役割があります。

基本的には「肌襦袢」→「長襦袢(または半襦袢)」→「着物」の順に重ねて着用します。

肌襦袢(はだじゅばん)
最も内側(肌に直接)に着る、綿素材などの肌着です。汗を吸い取る役割があり、こまめに洗濯して清潔に保ちましょう。

長襦袢と半襦袢
肌襦袢の上に重ねる下着で、着物の襟元から見える「半衿(はんえり)」を縫い付けて使います。普段着には、手入れが楽で動きやすい「半襦袢」がとくにオススメです。

【比較表】長襦袢 vs 半襦袢

長襦袢(ながじゅばん)半襦袢(はんじゅばん)
形状着物と同じ、足首までの丈腰までの丈
特徴正統派の着こなし / 防寒性も高い手入れが楽で動きやすい
オススメきちんとした着こなしをしたいときに普段着に最適。初心者にオススメ

このように、正統派で「きちんと感」の出る長襦袢と、手軽で「実用性」の高い半襦袢、という違いがあります。

普段着として和服を始めるなら、まずはお手入れが楽な「半襦袢」を1枚用意するのがオススメです。

お茶会や観劇など、少しおしゃれをしたい特別な機会ができたときに、「長襦袢」を買い足すと、着こなしの幅がぐっと広がります。

帯|全体の印象を引き締める「中心」アイテム

帯は、着付けに必要なだけでなく、全体の印象を大きく左右するコーディネートの要です。男性の和服には、主に2種類の帯が使われます。

詳細を下記の比較表にまとめました。

【比較表】角帯 vs 兵児帯

角帯(かくおび)兵児帯(へこおび)
特徴幅が狭く硬い素材で締めやすい幅が広く柔らかい素材で伸縮性がある
結び方「貝の口結び」など決まった結び方決まりはなく蝶々結びなど自由
着用シーンフォーマル〜普段着まで万能普段着・リラックスシーン限定
オススメ最初にそろえるべき1本自宅でのくつろぎ着などに

洋服のベルトにたとえるなら、「角帯」はビジネスシーンでも使える革のベルト、「兵児帯」は休日のリラックスした布製のベルト、と考えるとわかりやすいでしょう。

まずは、どのような場面でも対応できる「角帯」を基本の1本として用意するのがセオリーです。

和服に慣れてきて、よりリラックスした着こなしも楽しみたくなったら、2本目の選択肢として「兵児帯」を迎えてあげると、コーディネートの幅がぐっと広がります。

履物| 足元を固める「雪駄」と「草履」

和服の足元には、雪駄草履が欠かせません。

どちらも試着して、鼻緒(はなお)が自分の足に合うか確かめてから購入するのが、足が痛くならないコツです。

履物も比較表にしてみました。

【比較表】雪駄 vs 草履

雪駄(せった)草履(ぞうり)
主な素材竹皮の畳表・底は革など革・布・ビニールなどさまざま
構造薄く歩くと「しなる」重ね芯が多く厚みがあり丈夫
履き方素足で履くことも多い(粋とされる)基本的に足袋を着用

どちらも普段着に合わせられる魅力的な履物ですが、とくにラフで「粋」な印象を目指すなら、素足でも様になる「雪駄」が人気です。

これから蒸し暑くなってくる季節には、雪駄に使われる竹皮などのさらりとした感触が、足元を快適にしてくれるでしょう。

もちろん、最終的には好みで選ぶのが一番です。しかしどちらを選ぶにしても、購入前に必ず試着して、ご自身の足と「鼻緒」との相性を確かめることが、失敗しないための最も重要なポイントとなります。

※鼻緒(はなお)とは、雪駄や草履などの足を支える紐のことです

男性の普段着|なぜ和服が選ばれるのか?

男性の普段着|なぜ和服が選ばれるのか?

◇ 【洋服にはない5つのメリット】普段着に「和服」が選ばれる理由

なぜ今、あえて普段着として「和服」を選ぶ男性が増えているのでしょうか。その背景には、現代の洋服にはない、和服ならではの圧倒的なメリットが存在します。

ここでは、男性が普段着に和服を取り入れるべき「5つの理由」を、一つひとつ詳しく解説していきます。

【理由1】流行に左右されない「普遍性」

移り変わりの激しい洋服のトレンドと違い、和服には「流行り廃り」がほとんどありません。日本の伝統衣装として完成された「」は、何十年経っても決して古びることがないのです。

この普遍性は、一着を長く大切に着続けられることを意味します。つまり、普段着に和服を取り入れることは、目先の消費ではなく、タイムレスな価値への「賢い投資」ともいえるでしょう。

【理由2】 年齢とともに魅力を増す「成長性」

和服は、着る人の年齢を選ばず、その時々の魅力を最大限に引き出してくれます。若い男性が着れば、落ち着きと貫禄が生まれ、経験を重ねた男性が着れば、渋みと大人の余裕が香り立ちます。

20代で購入した1枚が、持ち主とともに時を重ね、40代・50代と、年齢に応じて異なる味わいを見せてくれる。そのような「成長する衣服」である点も、和服ならではの大きな魅力です。

【理由3】姿勢が整い、立ち姿が美しくなる「見た目」

和服が「品よく見える」のには、明確な理由があります。和服を纏うと、帯が腰を支えるコルセットの役割を果たし、自然と背筋が伸びて、胸を張った美しい姿勢になるのです。

この凛とした立ち姿が、自信や品格、落ち着きといった好印象を周囲に与えます。ただ羽織るだけでなく、心身ともに整えてくれる。

それが、和服の持つ不思議な力です。

【理由4】 意外なほど簡単で、奥が深い「着付け」

着付けが大変そう」というのは、女性の着物に対するイメージがほとんど。実は、男性の着付けは非常にシンプルです。おはしょりもなく、帯の結び方も数種類覚えれば十分。慣れてしまえば、ネクタイを締めてスーツを着るよりも、ずっと手早く着替えられると感じる方も少なくありません。

それでいて、帯の締め方や素材選びなど、こだわり始めればどこまでも探求できる奥深さも併せ持っています。

簡単だけど、奥が深い

このバランスが、多くの男性を惹きつけるのです。

【理由5】 日本の四季を快適に過ごす「機能性」

和服は、見た目の美しさだけでなく、日本の四季を快適に過ごすための知恵が詰まった、非常に機能的な衣服です。

冬は、重ね着によって生まれる「空気の層」が体温を保ち、見た目以上に暖かく過ごせます。

梅雨に入り蒸し暑くなってくる季節には、単衣や薄物といった風通しの良い着物と、汗をよく吸う麻の襦袢を合わせることで、意外なほど涼しく過ごせます。

日本の気候風土が生んだ、合理的な衣服。

それが、和服なのです。

新しい和服の資金に。着なくなった男性和服は「福ちゃん」へ

新しい和服の資金に。着なくなった男性和服は「福ちゃん」へ

この記事をきっかけに「自分も和服を新しく始めてみよう」と思われた方も、きっといらっしゃるでしょう。そのようなとき、多くの方が「クローゼットに眠る古い和服などを売却し、新しい一着の購入資金にしたい」と考えます。

しかし、男性用の和服は女性用に比べて流通量が少なく、一般的なリサイクルショップでは価値を正しく判断されず、買取を断られるケースも少なくありません。

だからこそ、男性和服の価値を熟知した「着物買取専門店」に依頼することが非常に重要です。

着物の買取実績が豊富な「福ちゃん」では、男性和服の買取も行っております。

福ちゃんの強み

専門知識
着物に精通した査定士が、お品物の価値を最大限に引き出します。

豊富な買取実績
男性用の着物や帯も、数多くお取り扱いしております。

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(年中無休※年末年始は除く)

まとめ

この記事では、男性が普段着に和服を取り入れる魅力と、その具体的な方法について、さまざまな角度から解説しました。

流行に左右されない、普遍的な価値と年齢を重ねるごとに深まる味わい。そして、ただ纏うだけで背筋が伸び、心まで整うような不思議な感覚。和服には、現代の洋服にはない、多くのメリットが詰まっています。

着付けが簡単な「作務衣」から始めるもよし、基本の「着流し」で粋を極めるもよし、あるいはシャツやブーツと合わせる「書生風」で個性を表現するもよし。

「袷・単衣・薄物」という季節のルールも、難しく考える必要はありません。蒸し暑い日には、涼しい素材を選ぶ。日本の気候に寄り添う、ごく自然で合理的な知恵なのです。

もう、「何から始めればいいかわからない」と悩む必要はありません。この記事で、普段着として「和服の世界」への扉を開ける、多くの鍵が手に入ったはずです。

まずはお休みの日に、お気に入りの和服を纏って、ご近所を散歩してみてはいかがでしょうか。きっと、いつも見慣れた景色が、少しだけ違って見えるでしょう。

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