• 着物
  • 2025.12.17

着物を保管するタンスがないときの収納&保管のポイント

最近は、着物を保管するタンスがない家庭が増えてきています。
そのため、遺品や譲りものなどで着物を手にした際に困るのが、保管場所です。

着物のためのタンスがない場合、どこで保管するのが一番よいのでしょうか?

この記事では、着物を保管するタンスがない方に向けて、代わりの保管方法や美しく保つコツをご紹介していきます。
着物で使う小物類も、種類ごとにポイントを整理してみましたので、ぜひ参考にしてください。

【この記事の要チェックポイント】

● 桐タンスの代わりになる収納具4選
● 収納前にチェックすべきこと
● 着物と小物を一緒に収納してはいけない

着物を保管するタンスがない!代わりに使える収納とは

着物を保管するタンスがない!代わりに使える収納とは

着物の保管は、桐タンスがない場合でも、以下のような代替品での収納が可能です。

● 桐衣装箱
● 金属製の衣装ケース
● 着物専用の保存袋
● プラスチックケース

それぞれのメリットとデメリットのほか、価格の目安などもご紹介していきます(2026年1月の情報)。
着物のためのタンスがない方は、ぜひ保管の参考にしてみてください。

桐衣装箱

桐衣装箱とは、桐で作られている衣装箱のことで、1段に3~5枚程度の着物が収納できるタイプが一般的です。
着物用として作られているため、よい状態で保管するのに適しています。

メリット・デメリット

桐衣装箱には、着物の保管において、以下のようなさまざまなメリットがあります。

● 調湿効果がある
● 防虫効果がある
● リーズナブル
● 着物をしまうのに最適な大きさ

桐には湿気を吸収する特性があるため、カビや虫などから着物を守ってくれるなど、桐タンスと同じ効果が得られるのが桐衣装箱の特徴。

桐タンスよりも、リーズナブルに購入できる点もメリットの一つです。
大きさは、たとう紙に包んでしまえるように作られています。

リーズナブルとはいえ、ほかの収納方法に比べると価格が高いのは、デメリットといえるでしょう。

購入方法と価格

桐衣装箱は、ネットや家具メーカーなどで購入が可能です。
着物1枚分のサイズから用意されており、価格も、約4,000円台後半から7万円台程度など幅があります。

金属製の衣装ケース

金属製の衣装ケースは、主にブリキで作られている物を指します。
着物を保管するタンスがない場合の代替として利用できるタイプは、現在では中古品がメインです。

メリット・デメリット

金属製の衣装ケースは、気密性が高い点がメリットです。
除湿剤と併用すれば、カビ防止の効果が期待できるでしょう。

デメリットは、ケース本体が重いこと。
着物を収納するとさらに重くなりますので、高い場所で保管する際は、出し入れに注意してください。

購入方法と価格

金属製の衣装ケースは、ネットで購入が可能ですが、ほとんどは中古品です。
新品の金属製ケースは、多くが着物を保管する目的で作られていないため、オススメはできません。

価格に関しては、中古の金属製ケースで約7,000円台程度からが一般的です。

着物専用の保存袋

着物専用の保存袋も、タンスがない場合の保管に便利です。
レーヨンや不織布のほか、機能性フィルムで作られた保存袋など、素材やサイズもさまざまに用意されています。

メリット・デメリット

着物専用の保存袋のメリットは、価格が安く、軽くて取り扱いがしやすいこと。
抗菌・防虫・調湿などの効果がある素材もあり、不織布であれば通気性のよさも挙げられるでしょう。

一方で、着物の収納力がない点は、複数の着物をお持ちの方にとってデメリットといえます。
収納できる着物は基本1枚で、多くても2~3枚までが一般的です。

購入方法と価格

着物専用の保存袋は、ネットまたは呉服店などで購入が可能です。
価格は、約1,000円台程度から用意されており、着物2~3枚に小物類なども保管できるタイプは、約2,000円台程度で購入できます。

プラスチックケース

着物を保管するタンスがない場合、プラスチックケースも代わりに利用できます。
押し入れやクローゼットの衣類整理や、部屋の家具として使われるのが一般的です。

メリット・デメリット

プラスチックケースは、ホームセンターで手軽に手に入れられる点がメリットです。
さまざまなサイズが展開されているため、着物の保管に適した大きさも選べるでしょう。

デメリットは、以下のような点が挙げられます。

● 気密性が低い
● 熱や重圧に弱く変形しやすい
● 除湿や防虫効果がない

気密性が低いため、内部の隅にほこりがたまりやすく、定期的なチェックと掃除が必要です。
除湿剤や防虫剤を使用して、着物をよい状態で保管しましょう。

購入方法と価格

ホームセンターやネットでは、多種多様のプラスチックケースが販売されています。
着物が保管できるサイズは、約3,000円台程度から見つけられるでしょう。

着物の保管に大敵!5つの注意点

着物の保管に大敵!5つの注意点

着物は、ただ保管するだけでは傷みにつながり、本来の価値を下げてしまう結果になりかねません。
着物の美しさを保ち、価値を下げないために、5つの注意点をご紹介します。

● 除湿
● 防虫
● 紫外線
● たんぱく汚れ
● ガス

着物を保管するタンスがなくとも、少しの気配りでよい状態を保てますので、ぜひ参考にしてください。

除湿

着物の保管は、除湿が一番のポイントです。

湿度の高い場所で着物を保管すると、カビやシミが発生しやすくなるため、風通しのよい場所で保管するようにしましょう。

タンスや収納ケースなどに着物を保管するだけでなく、定期的に陰干しを行うのも除湿効果があります。

陰干しのポイントは、晴れて乾燥した日を選ぶこと。
晴天が数日続いた後の日ですと、より湿度も低くオススメです。

雨が降った翌日は湿度が高いため、陰干しには向いていません
梅雨や雨が続く日は、タンスや保管場所に扇風機の風を当てておくと、除湿効果が期待できるでしょう。

防虫

カビやシミとともに、虫食いは、着物にとって大きなダメージ。
希少価値の高い着物であっても、虫食いがあると価値がダウンしてしまいます。

虫食いの被害を防ぐには、湿度が高くならないよう、保管環境に気を配るのがポイントです。
食べこぼしや汗などをそのままにしておくのも、虫食いの原因になりかねません。

虫食いを避けるためにも、染み抜きや、着物専門のクリーニングを依頼するのもよいでしょう。

着物の中でも、ウール素材は虫食いの被害に遭いやすいため、ウールの着物と一緒にタンスなどで保管するのは避けてください。

紫外線

紫外線は、着物の色あせを引き起こす原因の一つです。
そのため、着物を保管する際は、直射日光の当たらない場所を選ぶようにしましょう。

蛍光灯を利用している場合は、陰干しにも要注意。蛍光灯からも微量の紫外線が出ていますので、点灯せずに陰干しを行ってください。

紫外線が強くなる3月~9月頃の外出は、日傘を使用し、日陰を意識するなど、色あせのリスクを避けるのがオススメです。

たんぱく汚れ

時間がたつほど落ちにくい、たんぱく汚れにも注意しましょう。

汗・皮脂・食べこぼし・血液などのたんぱく汚れは、着物に付いたままにしておくと、シミや黄ばみとして残ってしまいます。

着物を着た日は、やわらかい布でほこりを落とし、陰干しを行うなどして、汚れの有無を確認するのも大切です。
水を含んだ布で、着物をたたいたりこすったりすると、色落ちや毛羽立ちなどのダメージにつながります。

たんぱく汚れの対処は、染み抜きや着物専門のクリーニングを利用するようにしましょう。

ガス

一見すると変色に見えるダメージの中には、ガス焼けの可能性もあります。

ガス焼けの原因として、匂い袋・ストーブ・防虫剤などが挙げられ、それぞれ症状が異なっているのが特徴的です。

【匂い袋】
匂い袋は、長年入れっぱなしにしていると、赤みを帯びた変色を引き起こします。

ガス焼けを起こさないためにも、匂い袋が着物に直接触れないように使用してください。

【ストーブ】
着物を畳んだ織り目にできる変色は、ガスストーブや石油ストーブによる酸化窒素ガスや亜硫酸ガスが原因といわれています。

ストーブを利用する際は、定期的に換気を行って、ガス焼けを防ぎましょう。

【防虫剤】
防虫剤の中にも、ガス焼けの原因となる物質が含まれているケースがあります。

防虫剤によるガス焼けを防ぐには、着物の生地との相性に注意し、種類の異なる防虫剤を併用しないようにするのがポイントです。

タンスがない!保管前の着物チェックで美しさを保つ

タンスがない!保管前の着物チェックで美しさを保つ

着物を保管するタンスがない場合でも、以下に記した保管前のチェックで美しさを保ちましょう。

● ほこりや汚れをチェック
● 陰干しをする
● たとう紙に包む
● ぎゅうぎゅうに詰め込まない

保管前のひと手間が、着物の美しさだけでなく、価値も保ってくれます。
順に解説していきますので、ぜひ参考にして、タンスがない場合の着物保管にお役立てください。

ほこりや汚れをチェック

着物を保管する前に、ほこりや汚れがないかしっかりとチェックしておきましょう。

襟元・袖口・裾などの汚れやすい場所は、重点的に確認してください。
小さな汚れでも、時間の経過とともに色が濃くなったり、カビの原因になったりするからです。

布で拭き取れる汚れは問題がありませんが、頑固な汚れを無理にお手入れするのは厳禁。着物を傷める可能性がありますので、着物専門のクリーニング店に相談してみましょう。

陰干しをする

タンス以外に着物を保管する場合でも、美しさを保つために陰干しは必須です。

年に2~3回の定期的な陰干しのほか、着物を着た日は、必ず行うようにしてください。
汗をかきやすい夏はもちろん、冬でも汗ジミが発生する可能性が高いからです。

陰干しのポイントは、直射日光を避け、半日程度を目安に行うこと。
その日にこもった汗などの湿気を放出させておくと、カビや虫食いの被害を防ぎ、着物をよい状態で保管できます。
陰干しは、着物専用のハンガーにつるして、型崩れを防ぎましょう。

たとう紙に包む

タンスがない場合でも、着物は丁寧にたたんでから、たとう紙に包んで保管するのがオススメです。
たとう紙は和紙で作られており、着物に使用することで、次のような効果が得られます。

● 除湿効果
● 防虫効果
● シワ予防

和紙の特性でもある吸湿性は、除湿効果を発揮して、カビを付きにくくしてくれるのが特徴です。

たとう紙で着物を包むと、シワ防止はもちろん、ほこりや汚れを避けられるため、虫食いの防止にも役立ちます。
さらに、着物を重ねて保管する際も、たとう紙で包んでおくと、出し入れもしやすいでしょう。

ぎゅうぎゅうに詰め込まない

着物の保管は、ぎゅうぎゅうに詰め込まないようにするのが美しさを保つポイントです。
着物は重さがあり、生地自体もデリケートですので、重ねすぎるとシワの原因になりかねません。

刺しゅうが施されている着物であれば、糸のよじれが発生する可能性もあるでしょう。
着物を重ねて保管するには、3~4枚が限度だといわれています。

タンスがない場合でも、なるべくスペースに余裕のある保管を心掛けて、着物の傷みを防いでください。

タンスがないときの着物小物を保管するポイント

タンスがないときの着物小物を保管するポイント

着物の保管には、帯のほか、さまざまな小物の収納も考えておく必要があります。
ここからは、着物だけでなく、以下のような小物類もよい状態で保管するためのコツをご紹介していきます。

● 帯
● 帯締め・帯揚げ
● 草履・バッグ
● 足袋
● プラスチック製・ゴム製の小物類

保管の方法次第では、着物を傷める原因となるケースもあるため、しっかりと確認していきましょう。

帯の保管

帯は、着物と同じように湿気を嫌うため、着用した日は陰干しが必要です。
陰干しが終わったら、シワにならないよう丁寧に畳み、たとう紙に包んで保管します。
袋帯は、折り目にクッションとして真綿などを挟んで畳むと、折り目ジワが付きにくいでしょう。
帯はデリケートですので、シミや汚れなどを見つけても、無理に取ろうとするのは危険です。着物専門のクリーニング店などに、相談してみましょう。

帯締め・帯揚げ

帯締めと帯揚げは、風合いを損なわないように保管するのがポイントです。

帯締めは、ふさの傷み・織り目のゆるみに気を付けながら、ゆるめに巻いて保管しましょう。
市販の帯締めケースを使うと、ほかの帯締めとの絡まりや、ふさの傷みを防ぎ、取り出す際もスムーズです。

帯揚げは、二つ折りにした後、三つ折りにして保管します。注意点は、帯揚げ特有のふんわり感をキープしつつも、軽く空気を抜くように畳むこと。
三つ折りの幅は、収納するケースなどに合わせましょう。

草履・バッグ

草履は、保管する前に、しっかりとお手入れをしておきましょう。
まず、やわらかい布で汚れを軽く落とし、陰干しをします。
やわらかい布で落ちない汚れは、硬く絞った布で拭き取ってください。

雨の日でも晴れの日でも、草履を履いた日は、必ず陰干しを行います。
雨に降られなくとも、足裏からの湿気が伝わりますので、カビ防止のためにもしっかり乾燥させておくのが大切です。

バッグは、お手入れに関する説明書きがあれば、内容に沿って汚れを落とします。
繊細な織り生地を使ったバッグも多いため、自己流のお手入れは控えるのが無難です。
説明書きがない場合のお手入れは、購入先またはメーカーに問い合わせてみましょう。

足袋

足袋は、洗濯機で洗った後、シワを伸ばすように干し、きれいに畳んで保管します。

つま先など汚れが付きやすい部分は、洗濯前にブラシで汚れを落としておくと、よりきれいな仕上がりになるでしょう。

汚れがひどい足袋は、洗濯洗剤を溶かした洗剤液の中に一晩置いてから、ブラシでこすって汚れを落とします。
ブラシでこする際は、布の織り目に沿って動かすのが、生地を傷めないポイントです。

プラスチック製・ゴム製の小物は要注意

プラスチック製やゴム製の和装小物類は、着物と一緒に保管しないようにしましょう。
なぜなら、プラスチックやゴムを長期間保管していると、変形や溶けなどが生じて着物を傷める可能性があるからです。

さらに、防虫剤を使っている場合も注意してください。
プラスチック製やゴム製の小物は、防虫剤の成分と化学反応を起こし、着物が変色するケースも少なくありません。

保管は無理!ならば買取で現金化もオススメ

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まとめ

タンスがない場合の着物の保管についてご紹介してきました。
着物の保管に最適といわれる桐タンス以外にも、以下のような代替品の利用が可能です。

● 桐衣装箱
● 金属製の衣装ケース
● 着物専用の保存袋
● プラスチックケース

着物を保管するには、虫食い・カビ・色あせなどのリスク管理に加え、陰干しやお手入れなど、手間がかかるものです。
着物の保管が難しい場合は、ぜひ「福ちゃん」にご相談ください。

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