- 骨董品
- 2025.09.17
天下五剣や伝説の一振りも!有名な刀の名前一覧|由来や種類、価値がわかる日本刀の世界

日本刀には、それぞれに特別な名前が付けられています。
歴史に興味のある方や日本刀に興味のある方は、有名な刀の名前やその由来について知りたい、またはご自身が所有されている刀の価値を調べたいとお考えかもしれません。
刀の名前にはその刀を所有していた武将の名前、切れ味にまつわる逸話、見た目の特徴など、さまざまな物語が込められています。
たとえば「童子切安綱」は鬼を斬ったという伝説から、「三日月宗近」は刃文の美しさから名付けられました。
これらの名前を知ることで、日本刀が武器としてだけでなく、歴史と文化を体現する美術品であることがわかります。
本記事では、「天下五剣」をはじめとする有名な刀の名前を紹介するとともに、刀の種類や価値の見極め方についても詳しく解説します。
刀の名前はどう決まる?知っておきたい命名の由来

日本刀は、武士にとって「魂」とも呼ばれる特別な存在でした。武器としてだけでなく、権威の象徴であり、美術品としての価値も高く評価されています。
そのため、とくに優れた刀には個別の名前が付けられ、代々大切に受け継がれてきたのです。
刀の名前の由来は実に多様です。持ち主の名前、切れ味を示す逸話、外見の特徴など、さまざまな要素が名前に反映されています。
ここから、その命名パターンを詳しく見ていきましょう。
所有者や伝来に由来する名前
歴史上の有名な武将や大名が所有していたことから名付けられた刀は数多く存在します。
たとえば「へし切長谷部」は、織田信長が所有していたことで知られる名刀です。
信長が家臣を手討ちにする際、棚の下に隠れていたところを棚ごと「圧し切った」という逸話から、この名前が付けられました。
また、黒田官兵衛が所有していたとされる「圧切長谷部」のように、同じ刀工の作でも所有者によって異なる名前が付けられることもあります。
このように、刀の名前には持ち主の威光や功績が刻まれているのです。
切れ味や逸話に由来する名前
刀の切れ味の鋭さや、その刀にまつわる伝説的な出来事から名前が付けられることも多くあります。
最も有名な例が「童子切安綱」でしょう。源頼光が大江山の酒呑童子を退治した際に使用したという伝説から、この名前が付けられました。
同様に「蜘蛛切」は、蜘蛛の妖怪を斬ったという逸話から命名されています。
これらの名前は、刀の持つ霊的な力や、並外れた切れ味を物語っており、日本刀が武器以上の存在として崇められてきたことを示しています。
査定・出張費・手数料はすべて無料。
《一覧》有名な刀の名前と物語

ここからは、数ある名刀の中からとくに有名な刀の名前を具体的にご紹介します。「天下五剣」と呼ばれる日本刀の最高峰から、物語やゲームで親しまれている刀まで、さまざまな名刀が登場します。
それぞれの刀には、長い歴史の中で紡がれてきた独自の物語も。一振り一振りの刀が持つ個性と魅力を、じっくりとご覧ください。
天下五剣(てんがごけん)
数ある日本刀の中でも、とくに名高い5振りの刀を「天下五剣」と呼びます。これらは日本刀の最高傑作として、現在も国宝や重要文化財として大切に保管されています。
童子切安綱(どうじぎりやすつな)
平安時代の名工・安綱の作で、源頼光が大江山の酒呑童子を斬ったという伝説を持つ名刀です。
現在は東京国立博物館に所蔵されており、その優美な姿と切れ味の鋭さで知られています。刃長79.9センチメートルの太刀で、平安時代の作刀技術の粋を集めた逸品です。
鬼丸国綱(おにまるくにつな)
鎌倉時代の刀工「粟田口国綱」の作品で、北条時政の夢に現れた小鬼を払ったという霊験あらたかな逸話を持ちます。
その後、足利将軍家や織田信長、豊臣秀吉など、時の権力者の手を渡り歩きました。現在は皇室の御物として宮内庁が管理しています。
三日月宗近(みかづきむねちか)
平安時代の名工・三条宗近の代表作で、刃文に三日月形の「打ちのけ」が多く見られることから、この優雅な名前が付けられました。
天下五剣の中でも最も美しいとされ、「名物中の名物」と称されるほど。現在は東京国立博物館が所蔵しています。
大典太光世(おおでんたみつよ)
平安時代後期の刀工・三池典太光世の作で、加賀前田家に伝来した名刀です。
病を治す霊刀としても知られ、前田家では特別な存在として扱われてきました。太刀としては短めの65.7センチメートルという刃長も特徴的で、現在は前田育徳会が所蔵しています。
数珠丸恒次(じゅずまるつねつぐ)
日蓮聖人が身延山で修行中に佩刀したとされる太刀で、柄に数珠を巻いていたことからこの名前が付けられました。
青江恒次の作と伝えられ、宗教的な意味合いも持つ特別な一振りです。長らく行方不明でしたが、大正時代に再発見され、現在は兵庫県尼崎市の本興寺が所蔵しています。
天下五剣以外の有名な刀
天下五剣以外にも、歴史的に重要で多くの人に愛されている名刀が数多く存在します。有名な刀をいくつか見ていきましょう。
へし切長谷部(へしきりはせべ)
織田信長が所有していたことで有名な刀で、長谷部国重の作です。
信長が茶坊主・観内を成敗する際、棚の下に隠れていたところを棚ごと「圧し切った」という逸話から、この名前が付けられました。その後、黒田家に伝わり、現在は福岡市博物館が所蔵しています。
信長の激しい気性を物語る一振りとして、多くの人々の関心を集めています。
加州清光(かしゅうきよみつ)
新選組の天才剣士・沖田総司が愛用したとされる刀です。加州(加賀国)の刀工・清光の作で、実戦的な造りが特徴です。
清光は非人小屋で生まれ育ったという逸話もあり、その境遇から這い上がった刀工の魂が込められた作品として評価されています。
幕末の動乱期に活躍した刀として、歴史ファンからの人気も高い一振りです。
和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)
新選組副長「土方歳三」が愛用した刀として知られています。会津の刀工・和泉守兼定の作で、「之定」の銘を切ることでも有名です。
土方は複数の兼定作の刀を所有していたとされ、その切れ味の良さと頑丈さから、激しい戦闘にも耐えうる実戦刀として重宝されました。
同田貫正国(どうたぬきまさくに)
肥後国(現在の熊本県)の同田貫一派による作刀で、質実剛健な造りで知られます。
華美な装飾を排し、実戦での使用を重視した作風が特徴です。兜割りの逸話も残されており、その頑丈さは折り紙付き。
加藤清正など、九州の武将たちに愛用されたことでも知られ、実用本位の武器として高く評価されています。
小狐丸(こぎつねまる)
平安時代の名工・三条宗近が、稲荷明神の化身である白狐の助けを借りて鍛えたという伝説を持つ刀です。
宗近が1人で刀を打てずに困っていたところ、稲荷明神が童子の姿で現れ、相槌を打って完成させたという神秘的な物語が伝わっています。
この伝説から、小狐丸は神の加護を受けた霊刀として崇められてきました。
刀の名前を左右する「種類」と「刀工」

刀の価値や名前は、その刀がどのような種類に分類されるか、また誰によって作られたかによっても大きく変わります。
太刀・刀・脇差といった種類の違いは、長さだけでなく使われた時代や用途や格式にも関わってきます。
また、刀を作った「刀工」の名前や所属する流派も、刀の価値を決める重要な要素です。
有名な刀工の作品は、それだけで高い評価を受けることが多く、お手持ちの刀がどの刀工の作であるかを知ることは、価値を見極める第一歩になるでしょう。
刀の種類(太刀・刀・脇差など)による違い
日本刀は長さや形状により、いくつかの種類に分類されます。
✔ 太刀
✔ 刀
✔ 脇差
✔ 短刀
「太刀(たち)」は刃長が60センチメートル以上で、反りが深く、主に平安時代から鎌倉時代に使用されました。刃を下にして腰に吊るす「佩く(はく)」という方法で携帯されました。
「刀(かたな)」は、室町時代以降に主流となった形式で、刃を上にして帯に差す「帯刀」という方法で携帯されます。太刀に比べて反りが浅く、より実戦的な造りとなっています。
「脇差(わきざし)」は刃長30~60センチメートルの刀で、刀と共に差す「大小」として武士の正装に欠かせないものでした。
「短刀(たんとう)」は30センチメートル以下の小刀で、護身用や儀礼用として用いられました。
有名な刀工とその流派
日本刀の製作技術は、地域ごとに独自の発展を遂げ、「五箇伝(ごかでん)」と呼ばれる5つの主要な流派が形成されました。
✔ 大和伝
✔ 山城伝
✔ 備前伝
✔ 相州伝
✔ 美濃伝
「大和伝」は奈良を中心に発展し、優美で品格のある作風が特徴です。「山城伝」は京都で栄え、公家好みの上品な作刀を得意としました。
「備前伝」は現在の岡山県で発展し、実用性と美しさを兼ね備えた作風で、多くの名工を輩出。「相州伝」は鎌倉を中心に栄え、正宗や貞宗といった名工により、豪壮で覇気のある作風を確立しています。
「美濃伝」は関(美濃国、現在の岐阜県関市)を中心に発展し、実用本位の量産に適した技術を確立しました。
とくに有名な刀工としては、「正宗」は相州伝の巨匠として知られ、その作品は最高級の評価を受けています。
「村正」は伊勢国の刀工で、徳川家に災いをもたらす「妖刀」として有名ですが、実際は切れ味の鋭い名刀を多く残しています。
「長船」は備前国の刀工集団で、光忠・長光・景光など多くの名工を輩出し、日本刀の一大生産地として栄えました。
お手元にある刀の名前を調べるには?価値を知る第一歩

ご自宅で蔵の整理や遺品整理で見つかった刀が、もしかしたら歴史的価値の高い名刀の可能性もあります。
しかし、刀は銃刀法により所持が規制されている物品でもあるため、取り扱いには十分な注意が必要です。
ここでは、安全に配慮しながら、刀の名前や価値を調べる基本的な方法をご紹介します。ただし、刀の取り扱いに不慣れな方は、決して無理をせず、専門家に相談することをオススメします。
茎に刻まれた「銘(めい)」を確認する
刀の製作者や名前を知る最も確実な方法は、茎(なかご)に刻まれた「銘(めい)」を確かめることです。茎とは、柄(つか)に収まっている部分のことで、ここに刀工の名前や製作年代が刻まれています。
ただし、柄を外して茎を確認する作業は、刀を傷つける恐れがあるため、経験のない方は避けましょう。
専門の刀剣商や博物館など、知識と技術を持った専門家に依頼することが刀にとっても所有者にとっても最も安全な方法です。
鑑定書(認定書・鑑定書)の有無
刀の価値を証明するうえで重要なのは、公益財団法人日本美術刀剣保存協会などが発行する鑑定書です。
「保存刀剣鑑定書」「特別保存刀剣鑑定書」「重要刀剣認定書」「特別重要刀剣認定書」といった各種の鑑定書は、その刀が本物であることを証明し、美術的・歴史的価値を客観的に示すものです。
もし刀とともに鑑定書が保管されていれば、それは非常に重要な書類といえます。鑑定書は再発行が困難な場合も多いため、大切に保管してください。
鑑定書がない場合でも、価値の高い刀の可能性は十分にありますので、専門家による査定を受けてみるとよいでしょう。
有名な名前の刀は価値が高い?

ここまで、刀の名前の由来や種類、有名な刀について詳しく見てきました。
しかし、最終的に多くの方が気になるのは「自分が持っている刀にはどれくらいの価値があるのか」という点ではないでしょうか。
実は、有名な名前が付いていない刀でも、高い価値を持つものは数多く存在します。
無銘の刀や、あまり知られていない刀工の作品でも、その出来栄えや保存状態によっては思わぬ高値が付くことも。重要なのは、専門的な知識を持った査定士による正確な評価を受けることです。
無名の刀でも高価買取の可能性
刀の価値は、有名な名前の有無だけで決まるものではありません。無銘の刀でも、作りの良さや地鉄の美しさ、刃文の出来栄えなどから、高い評価を受けることがあります。
また、江戸時代の新刀や新々刀でも、保存状態が良好で、拵え(こしらえ・刀装具)がそろっている場合は、高額での買取が期待できます。
「うちの刀は無名だから価値がない」と判断する前に、一度専門家の目で見てもらうことが大切です。
とくに、長年大切に保管されてきた刀は、それだけで歴史的価値を持つ可能性があります。
刀の価値を知るなら福ちゃんへご相談を
骨董品買取に強い「福ちゃん」には刀剣に関する専門知識を持つ査定士が在籍しており、一振り一振りを丁寧に査定いたします。
査定料や出張料、キャンセル料などの手数料は一切かかりませんので、まずはお気軽にご相談ください。
福ちゃんでは、これまでに数多くの刀剣を買取してきた豊富な実績があります。市場価値を正確に把握し、適正な価格での買取を心がけています。
大切な刀を手放すかどうか迷っている方も、まずは査定だけでも受けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、刀の名前について、その由来から有名な刀の紹介、価値の見極め方まで幅広く解説してきました。
刀の名前には、所有者の名前や切れ味にまつわる逸話など、さまざまな物語が込められています。天下五剣をはじめとする名刀の数々は、日本の歴史と文化を今に伝える貴重な文化財です。
また、刀の種類や刀工によっても価値は大きく変わり、銘や鑑定書の有無が価値を知る重要な手がかりとなることもおわかりいただけたと思います。
刀は昔の武器としてだけでなく、日本の伝統工芸の粋を集めた美術品として、現代でも高く評価されているのです。

