- 骨董品
- 2025.07.22
「絵画技法の一覧」油絵や水彩など13種を徹底解説!モチーフ・様式別の分類もご紹介

絵画鑑賞に、難しい知識は必要ありません。まずは感性のままに、自由に楽しむのが一番です。
しかしながら、作品がどのような技法で描かれているかを知ると、その魅力や画家の意図をより深く理解でき、アート鑑賞の楽しみ方が何倍にも広がります。
「この絵の質感は、どうやって出しているんだろう?」
「油絵とアクリル画って、何が違うの?」
この記事では、そのような疑問にお答えするべく、代表的な絵画技法を一覧でわかりやすく解説します。さらに、「モチーフ(主題)」や「様式(流派)」といった、別の角度からの分類法もご紹介。
ぜひ、アートの知識を深めるきっかけとしてお役立てください。
【画材・技法別】絵画の分類一覧

絵画は、使われる絵具(画材)や描き方(技法)によって、仕上がりの質感や表現が大きく異なります。
ここでは、代表的な絵画技法13種類を、それぞれの特徴と代表作とともにご紹介します。
技法名 | 概要・代表作 |
---|---|
油彩画(油絵) | 顔料を乾性油で溶いた「油絵具」で描く技法。15世紀頃に確立された西洋絵画の主流で、乾燥が遅く重ね塗りや修正がしやすい特徴があります。光沢のある重厚な表現から透明感のある描写まで可能です。 【代表作】 レオナルド・ダ・ヴィンチ『モナ・リザ』 フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』 |
水彩画 | 顔料を水溶性のアラビアゴムで練った絵具を水で溶いて描く技法。水の量によって、にじみやぼかしを活かした透明感あふれる柔らかな作風が魅力です。 【代表作】 アルブレヒト・デューラー『野ウサギ』 J.M.W.ターナー『青いリギ山』 |
日本画 | 岩絵具や胡粉といった天然顔料を膠(にかわ)で接着させ、和紙や絹に描く日本の伝統技法。独特の構図や、マットな質感、線描による表現が特徴です。 【代表作】 竹内栖鳳『班猫』 東山魁夷『道』 |
水墨画 | 墨の濃淡、かすれ、にじみだけで万物を表現する中国由来の技法。描かれていない「余白」も美の一部として捉え、作家の精神性を色濃く反映します。 【代表作】 雪舟等楊『秋冬山水図』 長谷川等伯『松林図』 |
アクリル画 | アクリル樹脂から作られた絵具で描く技法。水で溶きますが、一度乾くと耐水性に変わるのが最大の特徴です。油彩風の厚塗りから水彩風の薄塗りまで、多彩な表現ができます。 【代表作】 村上隆『フラワーズ・フラワーズ・フラワーズ』 トム・トムソン『ジャックパイン』 |
テンペラ画 | 顔料を卵(主に卵黄)で溶いて描く古典技法。乾燥が非常に速いため、繊細な線を幾重にも重ねて描きます。発色が良く、時を経ても変色しにくいのが特徴です。 【代表作】 サンドロ・ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』 フラ・アンジェリコ『受胎告知』 |
フレスコ画 | 主に壁画に用いられる古典技法。壁に塗った漆喰が生乾きのうちに水で溶いた顔料で描きます。顔料が漆喰と一体化するため、極めて高い耐久性を持ちます。 【代表作】 ミケランジェロ『最後の審判』 ラファエロ『アテナイの学堂』 |
パステル画 | 棒状の画材「パステル」を紙に擦り付け、指などでぼかして描く技法。筆を使わないため、ふんわりとした柔らかな色彩と独特のマットな質感が魅力です。 【代表作】 エドガー・ドガ『休息する二人の踊り子』 オディロン・ルドン『トルコ石色の花瓶の花』 |
ペン画 | ペンとインクを使い、主に「線」で表現する技法。線の強弱や重なり(クロスハッチング)で、緻密な描写や力強い立体感を生み出します。 【代表作】 レオナルド・ダ・ヴィンチ『レダと白鳥(の頭部のための素描)』 伊藤彦造『忠臣蔵』 |
版画 | 木や金属などの「版」に図像を彫り、インクを付着させて紙などに刷る技法の総称。「木版画」「銅版画」「リトグラフ」など、版の仕組みにより多数の種類があります。 【代表作】 葛飾北斎『富嶽三十六景』(木版画) アルフォンス・ミュシャ『黄道十二宮』(リトグラフ) |
シルクスクリーン | 版画の一種で、インクが通る穴を開けたスクリーン(版)を使う技法。Tシャツのプリントにも使われ、ポップで鮮やかな色彩表現が特徴です。 【代表作】 アンディ・ウォーホル『マリリン・モンロー』 草間彌生『かぼちゃ』 |
コラージュ | フランス語で「糊付け」の意。写真や布、木片など、さまざまな素材を画面に貼り付けて構成する技法です。ピカソらが創始したとされます。 【代表作】 パブロ・ピカソ『籐椅子のある静物』 ラウル・ハウスマン『美術評論家』 |
デジタル | パソコンやペンタブレットとソフトウェアを用いて描く現代の表現方法。油彩風や水彩風など、あらゆる既存技法を再現(シミュレート)できます。 【代表作】 ビープル『EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS』 マッド・ドッグ・ジョーンズ『REPLICATOR』 |
画材や技法の違いがわかると、絵画の持つ表情の豊かさや、画家のこだわりが見えてきますね。
では、画家たちはこれらの技法を使い、一体「何」を描いてきたのでしょうか?
次の章では、絵画を分類するもう1つの大きな軸である、「モチーフ(主題)」に注目してみましょう。
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【モチーフ(主題)別】絵画の分類一覧

絵画は「何が描かれているか」というモチーフ(主題)によっても分類されます。
どのようなモチーフが好んで描かれてきたのか、代表的なものを一覧で見ていきましょう。
分類名 | 概要 | 代表作 |
---|---|---|
風景画 | 自然、街、建造物など、屋外の風景を主題として描いた絵画。 | クロード・モネ『睡蓮』 フィンセント・ファン・ゴッホ『夜のカフェテラス』 |
静物画 | 花、果物、器物など、静止したものを主題として描いた絵画。 | フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』 ポール・セザンヌ『頭蓋骨のある静物』 |
人物画 | 人物が描かれた絵画の総称。特定のモデルではない、名もなき人々を描くことが多い。 | ジャン=フランソワ・ミレー『落穂拾い』 クロード・モネ『散歩、日傘をさす女』 |
肖像画 | 特定の人物の姿を後世に伝えるため、本人をモデルに描かれた絵画。人物画の一種。 | レオナルド・ダ・ヴィンチ『モナ・リザ』 ヨハネス・フェルメール『真珠の耳飾りの少女』 |
宗教画 | キリスト教の聖書や神話の物語など、宗教的な主題を描いた絵画。 | レオナルド・ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』 グスタフ・クリムト『ユディトⅠ』 |
歴史画 | 歴史上の重要な出来事や、国家的な事件を主題として描いた絵画。 | ウジェーヌ・ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』 ジャック=ルイ・ダヴィッド『マラーの死』 |
風俗画 | 特定の誰かではない、市井の人々の日常の暮らしや風俗を主題として描いた絵画。 | ピーテル・ブリューゲル『農民の婚宴』 ディエゴ・ベラスケス『卵を調理する老婆』 |
博物画 | 動植物や鉱物などを、科学的な記録として精密に描いた絵画。図鑑などに使用される。 | アルブレヒト・デューラー『犀』 エルンスト・ヘッケル『自然の芸術諸形態』 |
これで「どのように描かれたか(技法)」と「何が描かれたか(モチーフ)」がわかりましたね。
しかし、同じ風景画でも、画家の活躍した時代や所属するグループによって、その表現方法はまったく異なります。
次の章では、絵画を読み解く上で最も重要な「美術様式(流派)」について見ていきましょう。
【美術様式(流派)別】絵画の分類一覧

絵画の歴史は、新しい価値観やスタイルを掲げる「様式(流派)」が、次々と生まれては移り変わっていくことで作られてきました。
それぞれの時代背景と共に、その特徴を見ていきましょう。
様式(流派)名 | 概要 | 代表作 |
---|---|---|
バロック | 17世紀ヨーロッパで主流。劇的な光と影の対比で、ドラマチックな臨場感を表現。 | レンブラント・ファン・レイン『夜警』 ヨハネス・フェルメール『真珠の耳飾りの少女』 |
ロココ | 18世紀フランスが中心。貴族文化を背景に、甘美で優雅、軽やかな愛の世界を描く。 | ジャン・オノレ・フラゴナール『ぶらんこ』 フランソワ・ブーシェ『アモルの標的』 |
新古典主義 | 18世紀後半〜。華美なロココへの反発から、古代ギリシャ・ローマのような荘厳で調和の取れた美を理想とした。 | ジャック=ルイ・ダヴィッド『ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト』 ドミニク・アングル『グランド・オダリスク』 |
ロマン主義 | 19世紀前半。新古典主義の静的な調和に対し、個人の感情や情熱、時には神話的な恐怖などをダイナミックに描く。 | ウジェーヌ・ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』 フランシスコ・デ・ゴヤ『我が子を食らうサトゥルヌス』 |
写実主義 | 19世紀半ば。ロマン主義的な理想化を否定し、目の前にある現実の風景や労働者の姿などをありのままに描こうとした。 | ギュスターヴ・クールベ『オルナンの埋葬』 ジャン=フランソワ・ミレー『落穂拾い』 |
印象派 | 19世紀後半のフランスが中心。光の変化や空気感を捉えるため、戸外で素早く描くスタイルを確立。近代絵画の幕開けを告げた。 | クロード・モネ『印象・日の出』 ピエール=オーギュスト・ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』 |
抽象絵画 | 20世紀初頭〜。具体的な形を描かず、色・形・線といった純粋な造形要素で世界を表現しようとする芸術運動。 | ワシリー・カンディンスキー『コンポジションⅧ』 ピート・モンドリアン『コンポジション』 |
これで、絵画を読み解くための3つの視点、「技法」「モチーフ」「様式」が出揃いました。
これらの知識があれば、1枚の絵画が持つ歴史的な価値や、画家のこだわりをより深く感じられるはずです。そして、そうした価値ある絵画を買取に出される際は、専門家による正しい評価が不可欠となります。
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まとめ
この記事では、絵画を深く理解するための3つの視点「画材・技法」「モチーフ(主題)」「美術様式(流派)」について、一覧でご紹介しました。
● 画材・技法
油彩、水彩、日本画など、作品の質感や表情を決める要素
● モチーフ(主題)
風景画、人物画、静物画など、画家が「何を描いたのか」というテーマ
● 美術様式(流派)
印象派、バロック、写実主義など、時代背景や価値観を反映したスタイル
たとえば、同じ「風景画」でも、印象派の画家が描いたものか。あるいは、バロック様式の画家の手によるものかによって、その歴史的な背景や評価は大きく異なります。
これら3つの視点を掛け合わせることで、お手元にある絵画が持つユニークな価値が見えてくるのです。
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