• 骨董品
  • 2025.12.16

英一蝶の作品の買取相場は?代表作品や高く売るポイントを解説

【記事のポイント】

  • ✅英一蝶は江戸時代の初期から中期を代表する画家
  • ✅英一蝶の代表作品には「立美人図」や「布晒舞図」などがある
  • ✅英一蝶の作品の買取価格は数十万円から数百万円までと幅広い

江戸時代中期を代表する風流な才子であり、多岐にわたる画題で独自の画風を確立した絵師「英一蝶」の作品は、現代においても高い評価を受けて多くのコレクターを魅了し続けています。

お手元に英一蝶の作品をお持ちの方は、どのくらいの価値があるのか気になることでしょう。この記事では、英一蝶の人物像や代表作品、買取相場や高く売るポイントを紹介します。

英一蝶とは?江戸時代を代表する人気画家の生涯

格子が赤く塗られている吉原の建物

古い絵画を買取に出すなら、作家の経歴や有名エピソードといった最低限の知識は押さえておきたいところです。英一蝶の生い立ちや画家として大成するまでの道のり、人生の転機となった出来事について、時系列で見ていきましょう。

江戸時代・元禄年間に活躍

英一蝶は江戸時代の初期から中期を代表する画家です。元禄年間の1688年~1704年頃に江戸を中心に活躍し、当時の都市文化を背景とした独自の風俗画で人気を博しました。

1652年に京都で生まれた一蝶は、幼い頃に家族と共に江戸に移り、幕府お抱えの狩野派の絵師から本格的に絵を学びます。

その後多賀朝湖(たがちょうこ)や藤原信香(ふじわらのぶか)の名で町絵師として活動したほか、松尾芭蕉に師事して文学的な素養も身に付けています。

独自の風俗画で人気絵師に

狩野派宗家の狩野安信に師事した一蝶でしたが、伝統的な画法に満足せず、次第に独自の表現を追求するようになります。

転機となったのは、菱川師宣や岩佐又兵衛といった人気絵師との出会いでした。彼らの革新的な風俗画に触発され、一蝶も市井の人々を題材とした作品制作に傾倒していきます。

また一蝶は絵師としてだけでなく、吉原の幇間(ほうかん・宴席で客をもてなす太鼓持ちのこと)としても活動していました。庶民の生活や遊郭の風俗を肌で感じ取る経験が、生き生きとした人物描写に役立ったと考えられます。

三宅島への流罪と「島一蝶」としての活動

英一蝶の人生で最大の転機となったのは、1698年(元禄11年)の三宅島への流罪でした。「生類憐みの令」への皮肉をこめた流言にかかわった、あるいは徳川綱吉の生母・桂昌院の縁者を遊所に誘ったなどの大胆な行動が、幕府の怒りに触れたと考えられています。

足掛け12年に及んだ島での生活により、一蝶は画家として新たな境地を開くことになります。江戸の知人からの注文を受けて制作を続ける一方、島民のために神仏画や吉祥画も多く描きました。この時期の作品群は「島一蝶」と呼ばれ、高く評価されています。

恩赦後「英一蝶」を名乗る

1709年(宝永6年)、将軍の代替わりによる恩赦で、江戸への帰還が実現します。すでに60歳に近い高齢でしたが、ここから画号を「英一蝶」に改め、さらに精力的に創作活動を展開していきます。

新しい画号は荘子の「胡蝶の夢」に由来するものでした。島での生活と江戸復帰のどちらが現実なのかという、哲学的な思索が込められています。恩赦後の一蝶は画風にも変化を見せました。

従来の風俗画に加えて、仏画や花鳥画、風景画などの古典的な画題にも積極的に取り組むようになったのです。代表的な作品として「雨宿り図屏風」や「釈迦十六善神図」などがあり、円熟期の技量を遺憾なく発揮しています。

英一蝶の代表作品

金の屏風

英一蝶の芸術的価値を理解するうえで欠かせないのが、彼の代表作品です。初期の風俗画から流罪時代の傑作、そして恩赦後の円熟期まで、各時代を象徴する重要な作品が各地の美術館や博物館に残されています。波乱に満ちた生涯を歩んだ一蝶だからこそ描けた名作を紹介します。

浮世絵に影響を受けた「立美人図」

初期の英一蝶を代表する「立美人図」は、菱川師宣の「見返り美人図」を彷彿とさせる構図で描かれています。体をくねらせて振り返る女性の姿は、まさに菱川派の影響を色濃く反映した作品といえるでしょう。

一蝶が吉原で幇間として活動していた経験も、この作品に深く関わっています。当時、菱川派が吉原を題材とした風俗画を多数手がけていたことから、一蝶は身近で彼らの作風に触れる機会がありました。

「立美人図」には師宣の技法を踏襲しながらも、さらに上を目指そうとした一蝶の工夫や心意気が見て取れます。

重要文化財「布晒舞図」

「布晒舞図(ぬのさらしまいず)」は、国の重要文化財に指定されている英一蝶の傑作です。三宅島への島流しの時代に描かれたと考えられています。

29.7×55.3センチメートルの小さな作品ながら、若衆歌舞伎の役者が白い長い布を翻して優雅に舞う様子が、見事に表現されています。流れるような白布の曲線と鮮やかな赤い着物の対比、そして表情豊かな囃子方の描写も、一蝶の洗練された画才を遺憾なく発揮しているといえるでしょう。

島流しの原因とも伝わる「朝妻舟図」

「朝妻舟図(あさづまぶねず)」は、英一蝶の流罪の一因とされる作品として知られています。琵琶湖畔に浮かぶ小舟で客待ちをする遊女を描いたものですが、絵の中には時の将軍徳川綱吉と、寵臣柳沢吉保の妻との情事を諷した小唄が書かれているのです。

ただし、流罪の原因については諸説あります。先述の通り、桂昌院の縁者を吉原に誘った件や、生類憐みの令への皮肉など、複数の要因が重なった結果と考えられています。

恩赦後に描かれた「雨宿り図屛風」

メトロポリタン美術館所蔵の「雨宿り図屏風」は、恩赦後の英一蝶が手がけた風俗画の集大成といえる傑作です。大きな屋敷の軒先で雨宿りをする人々の情景が描かれています。

にわか雨に降られて屋根の下に集まった人々は、琵琶法師や獅子舞・魚売り・武士、身分も年齢性別もさまざまです。犬や、柱にぶら下がって遊ぶ子どもまでいて、ほのぼのとした雰囲気が伝わってきます。

一蝶は流罪になる前から、何度か雨宿りの絵を描いていました。またこの後に描いたとみられる「雨宿り図屏風」も東京国立博物館に収蔵されています。

英一蝶の作品の買取相場と価値を決める要素

掛け軸を査定する和服姿の男性

英一蝶の作品の買取で気になる具体的な相場と、価格を左右する要因について見ていきましょう。真作かどうかの判断基準や作品の状態が査定に与える影響など、適正価格での買取を実現するために押さえておくべきポイントを詳しく解説します。

買取価格帯は数十万円から数百万円までと幅広い

英一蝶の作品の買取価格は、数十万円から数百万円という幅広い価格帯で取引されています。江戸時代を代表する人気画家として現在でも高い需要があるため、真作であれば高額な査定が期待できるでしょう。

ただし、多くの業者が具体的な買取金額を公開していないのが現状です。これは作品の状態やサイズ、制作時期などによって相場が大きく変動するためです。

島流し前の初期作品・「島一蝶」時代の作品・恩赦後の円熟期作品と、それぞれに固有の価値があるため、まずは信頼できる業者で査定してもらうのが近道といえます。

偽物を見分ける署名と落款

英一蝶の作品の真贋を判断する重要な要素は、署名と落款です。署名は画家が直筆で記した文字であり、落款は作家の印章を指します。これらは作品の真正性を証明する重要な手がかりとなるのです。

しかし英一蝶の作品には偽物も多く出回っているという現実があります。署名や落款まで精密に模倣されているケースもあり、素人には判断が付きにくいかもしれません。

確実な判断のためには、英一蝶の作品の買取に精通した、専門業者への相談をおすすめします。鑑定書や保証書が付属している場合は査定額に数万円の差が生まれることもあるため、大切に保管しておきましょう。

買取価格に影響する保存状態と付属品

英一蝶の作品の買取価格を左右する要素の一つが、作品の保存状態です。掛け軸に見られるカビやシミなどの汚れやシワは、査定額の大幅な減額要因となります。直射日光による退色や虫食いなどの劣化も、買取価格を下げる要因となるでしょう。

コレクターは観賞用として作品を求めるため、状態の悪い作品では本来の価値を楽しめないからです。付属品の存在も査定に大きく影響します。購入時の箱や袋、鑑定書などがそろっている場合、付加価値として査定額に上乗せされる可能性があります。

英一蝶の作品を高く売るためのポイント

電卓と虫眼鏡

作品の価値を最大限に引き出すには、保管方法から業者選びまで、複数の要素を押さえておく必要があります。英一蝶の作品の買取では、数万円の差が生まれることも珍しくないため、事前の準備が重要です。高額買取につながる方法について詳しく解説します。

適切な保管方法で作品の状態を維持する

英一蝶の作品の買取価格は作品の状態によって左右されるため、できるだけきれいな状態を維持することを心掛けましょう。保管の際は、カビやシミができないよう、湿気の少ない場所に置くのが基本です。

飾る場合は紫外線による退色や紙質の劣化を避けるため、直射日光の当たらない場所を選びます。掛けっぱなしの状態も作品に負担をかけるため、定期的に休ませることが重要です。

鑑定書や保証書といった付属品も、湿気や汚れから守る必要があります。これらの書類は真贋判断の重要な材料となるため、作品同様丁寧に扱いましょう。

専門知識のある買取業者を選ぶ

英一蝶の作品を買取に出す際は、専門知識を持った業者を選びましょう。査定士の知識や経験によって評価額は大きく変動します。これは作品の時代背景や技法、真贋判断に関する専門的な知識の差が原因です。

骨董品や美術品の買取実績が豊富で、英一蝶の作品の取り扱い経験がある業者を選ぶことが、適正な価格での買取を実現する鍵となるでしょう。

英一蝶の作品の買取は福ちゃんへご相談ください

買取に出した男性と査定額を提示する笑顔の女性

英一蝶は江戸時代の元禄年間に活躍した画家です。吉原で幇間として働き、将軍家を風刺するなど自由奔放な生き様でも知られています。重要文化財に指定された作品もあり、現在も高い評価を得ています。

英一蝶の作品は数十万円から数百万円という幅広い価格帯で取引されており、真贋判定や状態の確認には専門的な知識が必要です。

福ちゃんでは、熟練の査定員が作品の価値を最大限に引き出す査定を実施しています。買取方法は出張買取・宅配買取・店舗買取に対応しており、女性査定員による対応も可能です。大切な英一蝶の作品の買取は、ぜひ福ちゃんにご相談ください。

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