- 古銭/記念硬貨
- 2025.09.01
明治時代の1円は今のいくら?当時の物価と給料からお金の価値を徹底解説

「明治時代の1円って、今のいくらぐらいなんだろう?」古い写真や小説を見ていて、そのような疑問を持ったことはありませんか。
明治時代のお金の価値を現代に換算すると、驚くような金額になることも。
この記事では、明治時代の1円が現在の貨幣価値でどのくらいに相当するのか、当時の物価や人々の給料、生活水準から詳しく解説いたします。
さらに、明治時代に使われていたお金の種類と、現代において高い価値が付く古銭の特徴についても、専門的な情報を元にわかりやすくご紹介します。
あなたの家に眠っているお金が明治時代のものかどうかも、ぜひ一緒に確かめてみましょう。
明治時代の「1円」は現在の価値でいくら?
明治時代のお金の価値を、現代の価値に換算するのは単純な計算では表せません。なぜなら、150年以上の時を経て、物価や経済状況、人々の生活様式が大きく変化しているからです。
インフレーションやデフレーション、技術革新による生産性の向上など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
そこで本章では、当時の給料を基準として、明治時代の1円の価値を分析します。
給与水準の比較から当時のお金の価値を推定し、実際の物価と照らし合わせることで、より実感的な理解を深めていきましょう。
給与ベースで見る1円の価値
明治28年ごろの大学卒業者の初任給は約20円でした。一方、現代の大卒初任給は約25万円前後です。
この比較から計算すると、給与ベースで見た場合、「明治時代の1円=現在の約12,500円」という計算になります(25万円÷20円=12,500円)。
ただし、当時の大学卒業者は極めて少数のエリート層であり、現代とは社会的な位置づけが大きく異なることに注意が必要です。
そこで、より一般的な職業の給料も見てみましょう。
一般労働者の給料から見る価値
明治28年ごろ、巡査(警察官)の初任給は月給8円~10円でした。現代の警察官の初任給を約20万円とすると、この比較では「1円=約20,000円~25,000円」となります。
また、大工や左官などの熟練職人の日給は約50銭~80銭でした。月収に換算すると約15円~24円です。現代の熟練職人の月収を30万円程度とすると、「1円=約12,500円~20,000円」という計算になります。
日雇い労働者の日給は約20銭~50銭と、さらに低い水準でした。月収にすると約6円~15円程度です。このように、職業によって給与水準に大きな差があったことがうかがえます。
物価から検証する価値の妥当性
では、給与ベースで計算した「1円=約12,500円」という価値は、実際の物価と比較して妥当でしょうか。
✔ 米1升(約1.5kg):約10銭 → 現代換算で約1,250円
✔ そば1杯:約2銭 → 現代換算で約250円
✔ 銭湯の入浴料:約1.5銭 → 現代換算で約188円
現代の米1.5kgが約600円前後、立ち食いそばが約400円前後、銭湯が約500円前後であることを考えると、給与ベースの換算はおおむね妥当といえるでしょう。
ただし、品目によって現代との価格差は異なり、米は相対的に高く、サービス業は相対的に安かったことがわかります。
このように、明治時代の1円の価値は、視点や計算方法によって異なりますが、給与ベースで見ると「約12,500円~20,000円」程度と考えられます。
当時の人々にとって1円は、現代の1万円札以上の重みを持つ、貴重なお金だったのです。
査定・出張費・手数料はすべて無料。

明治時代に使われていたお金の種類
では、実際にどのようなお金(硬貨や紙幣)が使われていたのでしょうか。
明治政府は、江戸時代の複雑な貨幣制度を改革し、近代的な貨幣システムを構築しました。
1871年(明治4年)に制定された「新貨条例」により、「円・銭・厘」という新しい貨幣単位を導入。
この改革は、日本の近代化において極めて重要な意味を持ち、現在の貨幣制度の基礎となっています。これらの貨幣の中には、現代において古銭として高い価値を持つものも少なくありません。
お金の単位「円・銭・厘」とは
1871年(明治4年)に制定された「新貨条例」により、日本の貨幣制度は大きく変わります。「1円=100銭」「1銭=10厘」という十進法が採用され、計算が格段に簡単になりました。
これにより、江戸時代までの「両・分・朱」という複雑な貨幣制度は廃止。江戸時代は「1両=4分=16朱」という四進法と十六進法の組み合わせで、商取引において計算が煩雑だったのです。
新貨条例の制定は、日本の商業発展に大きく貢献した歴史的な改革といえるでしょう。
主な硬貨の種類(金貨・銀貨・銅貨)
明治時代に発行された硬貨は、素材によって金貨・銀貨・銅貨に分類されます。
旧金貨には20円・10円・5円・2円・1円の5種類があり、いずれも美しい竜の図案が特徴的でした。後に発行された新金貨は、デザインが変更され、より洗練された印象になりました。
銀貨では、貿易専用に作られた「貿易銀」や、竜が描かれた1円銀貨、旭日と竜が組み合わされた五十銭銀貨などが有名です。
銅貨には、稲穂が描かれた1銭銅貨や半銭銅貨があり、庶民の日常的な買い物に使用されていました。
これらの硬貨は、明治政府の威信をかけて精巧に作られており、芸術品としての価値も認められています。
主な紙幣の種類
明治時代の紙幣は、非常に特徴的なデザインでした。
初期に発行された「明治通宝」は、ドイツで印刷されたため「ゲルマン札」とも呼ばれています。額面は100円から10銭まで9種類あり、西洋風のデザインが特徴的です。
その後、国内での紙幣製造技術が向上し、改造紙幣の「神功皇后札」を発行。神功皇后の肖像が描かれたこの紙幣は、日本で初めて人物の肖像を採用した紙幣として歴史的価値があります。
また、「大黒札」と呼ばれる紙幣には、商売繁盛の神様である大黒天が描かれており、縁起物として人気がありました。
なぜ明治時代の古銭に高い価値が付くのか?
「なぜ古いお金に価値が付くのか?」という疑問は、多くの方が抱く素朴な疑問でしょう。
明治時代の古銭の価値は、決して額面どおりではありません。1円銀貨が数万円、場合によっては数十万円で取引されることも珍しくないのです。
古銭の価値を決定づける要因は複数あり、主なものとして「希少性」「歴史的価値」「素材価値」「保存状態」などが挙げられます。
以下、それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。
現存数の少ない「希少性」
古銭の価値を最も大きく左右するのが「希少性」です。発行枚数が少ない、あるいは現存数が少ない古銭ほど、コレクターからの需要が高く、価値が上昇します。
たとえば、試鋳貨(本格発行前に試験的に作られた硬貨)は、極めて少数しか製造されなかったため非常に高い価値が付きます。
また、特定の年号に発行された枚数が極端に少ない硬貨も、希少価値から高額で取引されているのです。
素材としての「金・銀」の価値
明治時代の金貨や銀貨は、素材である金や銀そのものに価値があります。とくに近年、金や銀の相場が高騰しているため、古銭の素材価値もそれに伴って上昇しているのです。
旧20円金貨には約33.33グラムの金が含まれており、現在の金相場で計算すると、素材価値だけでも相当な金額になります。
しかし、古銭としての希少価値が加わると、素材価値の何倍もの価格で取引されることが一般的です。
このように、古銭は「素材価値+歴史的価値+希少価値」という複合的な価値を持っているのです。
明治時代に発行された古銭一覧
ここでは、明治時代に発行されたお金の一覧をご紹介します。すでに廃止されたお金がほとんどですが、一部には現在でも利用できる貨幣もあります。
※記載年は発行から廃止です。紙幣の廃止年は額面によって異なります。
明治時代に発行された金貨
☑ 旧20円金貨 明治3年・9年・10年・13年・25年
☑ 旧10円金貨 明治4年~明治13年
☑ 旧5円金貨 明治3年~明治4年
☑ 旧5円金貨(縮小) 明治5年~明治30年
☑ 旧2円金貨 明治3年
☑ 旧2円金貨(縮小) 明治9年~明治13年
☑ 旧1円金貨 明治4年
☑ 旧1円金貨(縮小) 明治7年~明治13年
☑ 新20円金貨 明治30年~昭和7年
☑ 新10円金貨 明治30年~明治43年
☑ 新5円金貨 明治30年~昭和5年
▼関連コラム
→ 「新10円金貨」の価値を徹底解説!希少な「明治43年銘」は高額査定も!?
明治時代に発行された銀貨
☑ 旧1円銀貨 明治3年
☑ 新1円銀貨(大型・小型) 明治7年~大正3年
☑ 貿易銀 明治8年~明治10年
☑ 旭日竜大型50銭銀貨 明治3年~明治4年
☑ 旭日竜小型50銭銀貨 明治4年
☑ 竜50銭銀貨 明治6年~明治38年
☑ 旭日50銭銀貨 明治39年~大正6年
☑ 旭日竜20銭銀貨 明治3年~明治4年
☑ 竜20銭銀貨 明治6年~明治38年
☑ 旭日20銭銀貨 明治39年~明治44年
☑ 旭日竜10銭銀貨 明治3年
☑ 竜10銭銀貨 明治6年~明治39年
☑ 旭日10銭銀貨 明治40年~大正6年
☑ 旭日竜5銭銀貨 明治3年~明治4年
☑ 旭日大字5銭銀貨 明治4年
☑ 竜5銭銀貨 明治6年~明治13年
▼関連コラム
→ 貿易銀の買取相場紹介|年代別価値や偽物の見分け方・その他外交用硬貨等
明治時代に発行されたその他の硬貨(銅貨・白銅貨・青銅貨)
☑ 菊5銭白銅貨 明治22年~明治30年
☑ 稲5銭白銅貨 明治30年~明治38年
☑ 2銭銅貨 明治6年~明治17年
☑ 竜1銭銅貨 明治6年~明治21年
☑ 稲1銭青銅貨 明治31年~大正4年
☑ 半銭銅貨 明治6年~明治21年
☑ 1厘銅貨 明治6年~明治17年
明治時代に発行された紙幣
☑ 明治通宝 明治5年~明治32年
☑ 旧国立銀行券 明治6年~明治32年
☑ 新国立銀行券 明治11年~明治32年
☑ 改造紙幣 明治14年~明治32年
☑ 旧兌換銀行券 明治18年~
☑ 改造兌換銀行券 明治24年~
☑ 甲号兌換銀行券 明治33年~昭和14年
☑ 乙号兌換銀行券 明治43年~昭和14年
▼関連コラム
→ 明治通宝の買取価格一覧!全種類の特徴や価値、偽物の見分け方と等
明治時代の古銭の価値を知るなら「福ちゃん」へ
ここまで明治時代のお金の価値について詳しく解説してきました。もしご自宅に該当する古銭があったら、「これってもしかして価値があるの?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
しかし、古銭の価値を正確に判断することは、専門知識なしには非常に困難といえます。同じ種類の古銭でも、わずかな違いで価値が大きく変動することがあるからです。
そこで重要なのが、信頼できる買取専門店での査定です。
なぜ古銭の査定は専門家に見せるべきなのか
古銭の価値は、種類・年号・状態・書体などのわずかな違いで大きく変動します。
たとえば、同じ1円銀貨でも、明治3年と明治4年では価値も数倍違うことがあります。また、一見同じに見える硬貨でも、細かな刻印の違いで希少品と通常品に分かれることもあるのです。
知識のない大衆的なショップなどでは、こうした細かな違いを見逃し、正当な価値が評価されない可能性もあります。
最悪の場合、数十万円の価値がある古銭を、額面どおりの価格で買い取られてしまうことも。だからこそ、古銭の知識が豊富な専門査定士に依頼することが重要なのです。
福ちゃんでは、経験豊富なスタッフによって、お客様の大切な古銭を丁寧に査定いたします。査定は完全無料ですので、お気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、明治時代のお金の価値について、さまざまな角度から解説してきました。
明治時代の1円の価値は、視点によって大きく異なることをおわかりいただけたと思います。これは、150年以上の時を経て、社会構造や経済システムが大きく変化したためです。
当時の物価や給料を具体的に見ることで、明治時代の人々の暮らしぶりがより鮮明に浮かび上がってきました。
お米や野菜中心の質素な食事、銭湯通い、たまの贅沢としてのかけそば。そのような生活の中で使われていた硬貨や紙幣の中には、現代において額面をはるかに超える価値を持つものが存在します。
もし気になる古銭をお持ちでしたら、ぜひ一度、専門家による査定を受けてみてはいかがでしょうか。
お電話が混雑しており繋がらない場合は、大変申し訳ございませんが時間を空けてお問合せください。