- 骨董品
- 2025.07.21
オールドノリタケの裏印一覧で年代や販売国を知ろう!

100年以上の時を超え、今なお世界中のコレクターを魅了し続けるオールドノリタケ。
その華麗で繊細なデザインは、日本の美術工芸品の金字塔ともいえるでしょう。作品の裏側にある「裏印(バックスタンプ)」には、一つひとつに製造された年代や背景など、輝かしい歴史が刻まれています。
「この裏印はいつの時代のものだろう?」
「自分の持っているオールドノリタケの価値はどのくらい?」
この記事では、そのような疑問にお答えすべく、オールドノリタケの代表的な裏印を一覧でご紹介します。
お手元のオールドノリタケの価値を知り、その歴史に思いを馳せる豊かな時間の一助となれば幸いです。
オールドノリタケとは

オールドノリタケとは、アンティークの食器や装飾品の総称です。
一般的に、1891年頃から第二次世界大戦が終わる1945年頃までに、現在のノリタケカンパニーリミテドが製造したものを指します。
この時代は、明治政府が外貨獲得のために輸出産業を推し進めた「殖産興業」の真っ只中。ノリタケの前身である貿易商社「森村組」は、日本の美術工芸品を欧米へ輸出する中で、品質の高いディナーウェアの需要を痛感し、自社での製造を決意します。その熱意が結実したのが、1904年に設立された日本陶器合名会社、後のノリタケでした。
オールドノリタケ最大の特徴は、欧米の流行を敏感に反映した、国際色豊かなデザインです。
19世紀末には、植物や昆虫などをモチーフにした、流麗なアール・ヌーヴォー様式のデザインが流行しました。その後、20世紀に入ると時代のニーズに応え、幾何学的でモダンなアール・デコ様式へと作風を変化させていきました。
その豪華絢爛なデザインを支えたのが、職人たちによる、まさに神業ともいえる技巧でした。
絵の具を厚く盛り上げて立体感を出す「盛上(もりあげ)」や、金を点で盛り上げて宝石のような輝きを放つ「金盛(きんもり)」といった、高度な装飾技法を惜しみなく使用。
オールドノリタケは、その芸術性の高さから、しばしば世界最高峰と謳われたイギリスの名窯ロイヤルウースターになぞらえられるほど、海外で絶大な人気を博しました。
査定・出張費・手数料はすべて無料。

オールドノリタケの裏印一覧

オールドノリタケの裏印は70種類以上あるといわれ、製造年代や輸出先の国によってデザインが異なります。裏印を見れば、お持ちの品がいつ頃、どこ向けに作られたものかがわかるのです。
ここでは代表的な裏印17種を、製造年が古い順にご紹介します。
通称・特徴 | 製造年・輸出先・その他 |
---|---|
【メープルリーフ印】 メープルの葉の下に「NIPPON」、右側に「Hand Painted」 |
1891年~ アメリカ向け ファンシーウェア(※1)中心 色:グリーン、ブルー |
【初期マルキ印】 円の中に象形文字の「木」 |
1900年頃~ イギリス向け ファンシーウェア 色:グリーン、ブルー |
【マルキ印】 初期マルキ印の上に筆記体で「Noritake」、下に「MADE IN JAPAN」 |
1908年頃~1910年頃 イギリス向け 色:グリーン、ブルー |
【初期ヤジロベー印】 ヤジロベーの上に「RC(※2)」、下に「NORITAKE」 |
1908年~ 日本国内向け 色:グリーン、ブルー |
【M-NIPPON印】 月桂樹の中に「M」。後年「M-JAPAN印」に変更 |
1910年頃~ アメリカ向け ファンシーウェア中心 色:グリーン、ブルー、ピンク、金 |
【ロイヤルソメツケ印】 文字のみ「Royal Sometuke」「NIPPON」 |
1911年頃~ アメリカ向け 染付作品に使用 色:藍 |
【ライジングサン印】 日の出のデザイン |
1912年頃~ アメリカ向け ファンシーウェア、ディナーウェア 色:ブルー |
【ノリタケホウオウ印】 文字のみ「Noritake Howo」「MADE IN JAPAN」 |
1916年頃~ アメリカ向け 染付作品に使用 色:藍 |
【月桂樹RC印】 アーチ型の月桂樹の下に「RC」 |
1920年頃~ 国内、インド、インドネシア向け ファンシーウェア、ディナーウェア 色:グリーン、マロン |
【サクラ印】 サクラの花のデザイン |
1924年頃~ アメリカ向け ファンシーウェア 色:グリーン、マロン、ブルー |
【チカラマチ印】 月桂樹の中にドーム型屋根 |
1928年頃~ アメリカ輸出向け 色:グリーン、マロン |
【月桂樹M印】 月桂樹の中に「M」 |
1933年頃~ 日本国内、アメリカ向け ディナーウェア 色:多色、ゴールド |
【アゼリア印】 アゼリアの花のデザイン |
1934年~ アメリカ向け 色:マロン |
【月桂樹日陶印】 月桂樹の中に縦書きで「日陶」 |
1935年~ 日本国内向け ファンシーウェア、ディナーウェア 色:グリーン、マロン、藍 |
【ボーンチャイナ印、シカ印】 シカのデザイン |
1935年頃~ 国内、輸出向け ボーンチャイナ製品に使用 色:多色 |
【ボーンチャイナマルキ印】 月桂樹の中にマルキ印と「BORN CHINA」 |
1940年頃~ 国内、輸出向け ボーンチャイナ製品に使用 色:マロン、ピンク、黒、金 |
【ボーンチャイナカップ印】 脚付カップのデザイン |
1940年頃~ 国内、輸出向け ボーンチャイナ製品に使用 色:多色 |
※1:ファンシーウェアとは、花瓶・飾皿・飾壺など、食器以外の作品のこと。
※2:RCはRoyal Crockeryの略で、高級磁器を指します。
一覧をご覧いただくと、オールドノリタケの裏印がいかに多様で、時代と共に変化してきたかが、おわかりいただけたかと存じます。
お手元の品と見比べていただくだけで、それが作られた時代や輸出先の国といった、壮大な歴史背景に思いを馳せられるでしょう。
オールドノリタケの裏印を知ることは、ご自身のコレクションの価値を知るための、最も重要な第一歩です。
しかし、オールドノリタケの裏印が持つ物語はこれだけではありません。
次の章では、一覧の中でもとくに象徴的な「NIPPON印」や「マルキ印」に込められた、さらに深い歴史的な意味を読み解いていきましょう。
オールドノリタケの裏印に隠された歴史の意味

オールドノリタケの裏印を見ていると、「なぜJAPANではなくNIPPON?」「マルキ印の由来は?」といった疑問が湧いてきませんか?
ここでは、オールドノリタケの裏印に込められた歴史的な意味を深掘りします。
「NIPPON」印が使われた理由
裏印に日本語ローマ字表記の「NIPPON」が使われているのは、当時のアメリカの法律が関係しています。1890年に制定されたマッキンリー関税法により、輸入品に原産国を表記することが義務付けられました。
その際、日本からの輸出品には「NIPPON」の表記が採用されたため、翌1891年から日本の輸出業者はこの表記を使い始めます。その後、1921年に英語表記である「JAPAN」に統一されるまでの約30年間は、主に「NIPPON」印が使われました。
つまり、裏印が「NIPPON」であれば1921年以前、「JAPAN」であればそれ以降の製品である可能性が高い、という大まかな年代判別の目安になります。
「マルキ印」に込められた想い
マルキ印は、円の中に漢字の「木」が入ったデザインで、森村組の「村」を表したという説もありますが、より有名なのは「困難」の「困」を元にしたという説です。
これは、当時「純白の磁器製造」という悲願の達成に苦心していた、創業者・森村市左衛門氏たちの「この困難な状況を必ず打破する」という、執念にも近い強い想いを表していると伝えられています。
このデザインには、「困」の字の四角い「くにがまえ」を円(丸)に変えることで「困難を円満に収め」、さらに中の「木」の縦棒を槍に見立てて「困難を突き破る」という、二重の願いが込められているのです。
オールドノリタケの買取相場と価値が決まるポイント

オールドノリタケは骨董品としての価値が非常に高く、世界中にコレクターが存在します。そのため、状態やデザインによっては高価買取が期待できます。
アイテム別の買取相場例
まずは、大まかな目安として、アイテム別の「買取相場例」をご紹介します。
● カップ&ソーサー: 3,000円~30,000円
● 花瓶・飾壺: 10,000円~100,000円
● 飾皿(プレート): 5,000円~50,000円
● ティーセット・ディナーセット(完品): 数万円~数十万円
ご覧のとおり、同じアイテムでも買取価格には大きな幅があります。これは、後述する「年代」「デザイン」「装飾の技法」、そしてお品物の状態によって、価値が大きく異なるためです。
たとえば、シンプルなカップ&ソーサーは数千円が中心ですが、金彩や手描きが豪華なアール・ヌーヴォー期の作品であれば、数万円といった高額査定になることも珍しくありません。
さらに、市場に滅多に出回らないミュージアムクラスの希少品や、美術品として極めて評価の高い作品の場合は、上記相場を大幅に上回る金額が付く可能性も十分にあります。
買取価格を決める5つの重要ポイント
オールドノリタケの真の価値は、以下のポイントを総合的に評価して決まります。
1. 状態(コンディション)
ヒビや欠け、修理跡はもちろん、金彩のスレや剥がれ、絵柄の変色なども査定に影響します。保存状態が良好であるほど価値は高くなります。
2. 年代と裏印
裏印によって製造年代が特定できます。一般的に、年代が古く現存数が少ない希少な裏印の作品ほど、高価買取が期待できます。
3. デザインと技法
とくに「アール・ヌーヴォー」や「アール・デコ」といった美術様式が色濃く反映された作品は、世界的に人気が高く高額です。また、「金盛」や「ビーディング」といった、職人の手作業による立体的な装飾が施されたものは、芸術的価値も加わります。
4. 希少性
もともとの製造数が少ない作品や、特定の国にのみ輸出された珍しいデザインのものは、市場に出回ることが少ないため希少価値が高まります。
5. 付属品の有無
共箱(ともばこ)と呼ばれる、作品が作られた当時に入れられていた「オリジナルの木箱」が付属している場合、査定額が大きく上がることがあります。
このようにオールドノリタケの価値は、「単純な古さ」だけでは決まりません。
だからこそ、これらの要素をすべて見極められる、専門の査定士による正確な価値判断が不可欠なのです。
偽物に注意!オールドノリタケの見分け方

人気の高いオールドノリタケには、残念ながら多くの偽物が出回っています。誤って偽物を手にしないためにも、本物を見分けるポイントを知っておきましょう。
偽物を見分ける3つのポイント
1. 裏印を確認する
オールドノリタケの裏印の多くは、「メープルリーフ印」「マルキ印」「M-NIPPON印」の3種類です。偽物はこれらの裏印を模倣しているものの、本物と比べるとロゴのサイズが不揃であったり、文字が太く潰れていたりと、作りが雑な傾向にあります。
2. 金彩の輝きを比べる
本物の金彩は、長年の時を経て落ち着いた、奥深い輝きを放ちます。一方、偽物は金の色が明るすぎたり、輝きが強すぎたりと、ギラギラとした安っぽい印象を受けます
3. 全体の作りを見る
絵付けの精密さや、盛上装飾の繊細さも重要なポイントです。本物は細部まで丁寧に作られていますが、偽物は絵柄がぼやけていたり、装飾が雑だったりします。
これらはあくまで「簡易的な見分け方」です。
最も確実なのは、信頼できる骨董品店や買取業者を選ぶことです。
オールドノリタケの買取は「福ちゃん」にお任せください!

希少価値の高いオールドノリタケをご売却されるなら、その価値を正しく見極められる専門業者に依頼することが、何よりも重要です。
福ちゃんは、オールドノリタケをはじめとする、骨董品の買取実績が豊富です。経験と知識を兼ね備えた査定士が、お客様のオールドノリタケに込められた想いと共に、その価値を最大限に評価させていただき、適正な買取価格をご提示いたします。
福ちゃんでは、査定士がお客様のご自宅までお伺いする「出張買取」に力を入れております。
壊れやすいオールドノリタケを店舗まで持ち運ぶ必要がなく、ご自宅で査定から買取まで完結するため、大変ご好評いただいております。
また、「これは価値があるかわからない」といったお品物がほかにもございましたら、その場でまとめて無料査定させていただくことも可能です。「オールドノリタケの査定ついでに、蔵の整理もお願いしたい」といったご要望も大歓迎です。
もちろん、お近くの店舗にお持ち込みいただく「店舗買取」も心よりお待ちしております。
まとめ
この記事では、オールドノリタケの代表的な裏印を一覧表でご紹介しました。
● オールドノリタケは1891年~1945年頃までに作られたアンティーク品
● 裏印を見れば製造年代や輸出先がわかる
● 「NIPPON」印は1921年以前の製品である可能性が高い
● アイテムやデザインによっては数十万円以上の高価買取も期待できる
華麗で繊細な美しさを持つ、オールドノリタケ。
機会があればその裏印に隠された歴史をぜひ、読み解いてみてください。
福ちゃんでは、オールドノリタケを積極的に買い取っております。汚れやヒビがあるからと、あきらめていたお品物も、ぜひとも一度ご相談ください。
査定内容に関わらず、査定料・キャンセル料は一切いただいておりません。
まずは、福ちゃんの無料査定をお試しになってみることから始めてみませんか?
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