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  • 2025.07.27

印象派とは?代表的な画家や絵画を解説!モネやルノワールの作品もご紹介

印象派」といえば、モネルノワールを思い浮かべる方は多いでしょう。

しかし、「印象派とは何か?」と問われると、詳しく説明するのは難しいかもしれません。

この記事では、印象派の歴史や絵画の特徴代表的な画家と作品を、美術初心者の方にもわかりやすく解説します。少し知識を深めるだけで、アート鑑賞がさらに面白くなります。

この記事をきっかけに、印象派の魅力に触れてみてください

この記事のポイント
● 印象派の歴史と特徴がわかる
● 代表的な画家と作品が一目でわかる
● ゴッホと印象派の関係がわかる
● 日本で印象派の絵画を見られる美術館がわかる

印象派とは?

印象派とは

印象派とは、19世紀後半のフランス・パリで起こった芸術運動のことです。当時の伝統的・古典的な美術界の価値観に異を唱え、新しい表現を試みた画家たちのグループが中心になり行われました。

では、彼らは具体的にどのような絵画を描いたのでしょうか。

ここでは、印象派絵画の主な特徴を解説します。

印象派絵画の3つの特徴

印象派の画家たちは、目に映る光景の「瞬間」を捉え、自らが感じたままの「印象」を表現することに重きを置きました。

その代表的な特徴は、以下の3つです。

光の変化を捉えた明るい色彩
屋外の光の移ろいや、水面に反射する光などを、明るく鮮やかな色彩で表現。画家たちはアトリエを飛び出し、チューブ入り絵の具の登場によって可能になった、屋外での制作を積極的に行いました。影の色を表現する際には、単なる黒ではなく、青や紫などさまざまな色を使っています。

身近な人々の日常や風景
それまでの絵画の主流だった神話や歴史的事件ではなく、近代化するパリの風景や人々の日常生活などを好んで描きました。

曖昧な輪郭と大胆な筆づかい
はっきりとした輪郭線を描かず、短い筆づかい(筆触分割)で素早く色を置くことで、全体の雰囲気や空気感を表現しました。絵の具を混ぜ合わせず、隣り合う色が見る人の網膜の上で混ざり合う「視覚混合」の効果を狙ったのも特徴です。

こうした特徴はどれも、当時の伝統的な絵画のルールからは大きくかけ離れた、まさに革新的な挑戦でした。

印象派の誕生

印象派の誕生

印象派は、どのようにして生まれたのでしょうか。その歴史的背景をたどってみましょう。

保守的な美術界への反発

19世紀半ばのフランス美術界は、芸術アカデミーが主催する公的な展覧会「サロン・ド・パリ(官展)」が絶対的な権威を持っていました。

画家として認められるには、サロンに入選することが必須であり、そこでは「神話」や「歴史」を題材にした、伝統的で写実的な絵画が高く評価されていました。

このような保守的な風潮に疑問を抱き、さらに自由で主観的な表現を追い求める画家たちが、次々と現れ始めます。

「バティニョール派」の集い

後に印象派と呼ばれる「モネ」「ルノワール」「ピサロ」「ドガ」といった画家たちは、パリのバティニョール地区にある「カフェ・ゲルボワ」に集いました。

彼らはそこに夜な夜な集っては、新しい絵画について熱く議論を交わしていたのです。彼らの中心には、すでに革新的な画家として知られていた「エドゥアール・マネ」がいました。

サロンに落選し続けた彼らは、自らの手で作品発表の機会を作ることを決意します。そして1874年、写真家ナダールのスタジオを借りて、グループ初の展覧会を開催しました。

これが後に「第1回印象派展」と呼ばれる、歴史的な展覧会です。

「印象派」という名前の由来

しかし、この第1回展覧会は世間から酷評されました。

とくに、クロード・モネが出品した《印象・日の出》は、批評家ルイ・ルロワに「描きかけの壁紙の方がマシだ」と揶揄されます。彼はある記事の中で、この作品名をもじって、彼らのグループを「印象派の展覧会」と嘲笑的に呼びました。

画家たちは当初、この呼び名を気に入りませんでした。しかし、揶揄されたはずのその名前は、世間に広く浸透していきます。

彼らはその状況を逆手に取り、自らの連帯の証として、1877年の第3回展からは堂々と「印象派」を名乗るようになったのです。

このグループ展は、1886年まで計8回開催されました。

では、この革新的な芸術運動を牽引し、美術史を変えた中心人物とは、一体どのような画家たちだったのでしょうか。

印象派の代表的な画家と作品

印象派の画家たち

ここからは、印象派を代表する画家たちとその代表作をご紹介します。

※画家名は一般的な呼称で記載します

クロード・モネ(1840年~1926年)

光の画家」と称され、印象派を生涯にわたって追求した中心的存在です。同じ場所やモチーフを、異なる時間や季節で描き分ける「連作」を数多く制作しました。

少年時代から絵の才能を発揮し、風景画家ブータンとの出会いを機に、屋外での制作に目覚めます。印象派のリーダー格としてグループを牽引し続け、晩年は自宅の庭の睡蓮をテーマにした連作に没頭しました。

モネの代表作

《睡蓮》連作
モネの代名詞ともいえる作品群で、生涯で250点以上描かれました。初期のシリーズでは日本の太鼓橋が描かれ、後期のシリーズでは水面と光の反射そのものに、焦点が当てられています。

《散歩、日傘をさす女性》(1875年)
最初の妻カミーユと、息子ジャンをモデルにした作品です。背後から差し込む逆光によって、人物の輪郭が柔らかく溶け込み、風や光のきらめきが見事に表現されています。

ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841年~1919年)

幸福の画家」と呼ばれ、とくに女性や子どもの肖像画、人々が集う楽しい情景を、豊かで温かみのあるタッチで描きました。

印象派の創設メンバーの1人ですが、後年は古代ローマやルネサンス美術に学び、古典的な技法も取り入れた独自の画風を確立します。

肌の柔らかな質感や、木漏れ日が人物の服や肌に落とす光の表現は、ルノワールならではの魅力です。

ルノワールの代表作

《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》(1876年)
パリのモンマルトルにあった、ダンスホールの賑やかな午後を描いた大作です。木漏れ日の下で談笑し、踊る人々の生き生きとした表情や動きが、幸福感あふれる色彩で捉えられています。

《舟遊びをする人々の昼食》(1881年)
セーヌ川沿いにあるレストランのテラスでくつろぐ、人々を描いた作品です。後に妻となるアリーヌ・シャリゴも描かれています。テーブルの上のグラスやボトルに反射する光の描写に、印象派らしさが表れています。

エドガー・ドガ(1834年~1917年)

印象派展に第8回展をのぞき7回参加しましたが、屋外での制作をほとんど行わず、主にバレエの踊り子や競馬、日常の室内風景などを描きました。

銀行家の裕福な家庭に生まれ、古典的なデッサン力を持ちながら、日本の浮世絵に影響を受けた大胆な構図や、一瞬の動きを切り取ったスナップ写真のような表現を得意としました。

パステル画の傑作も数多く残しています。

ドガの代表作

《バレエのレッスン》(1873-76年頃)
パリ・オペラ座の練習風景を描いた作品です。華やかな舞台の裏にある、厳しいレッスンの様子や踊り子たちの何気ない仕草を、現実的に描写しています。

《エトワール(舞台の踊り子)》(1876-77年頃)
スポットライトを浴びて踊るプリマドンナを描いた作品です。しかし舞台袖には、パトロンとされる黒服の紳士が顔をのぞかせており、華やかさの裏に潜む社会の闇をも暗示させます。

カミーユ・ピサロ(1830年~1903年)

印象派の画家たちの中で最年長であり、温厚な人柄から「印象派の父」と慕われました。

全8回の印象派展すべてに参加した唯一の画家です。 主にフランスの田園風景や農作業をする人々など、素朴な自然を題材にしました。

一時期、スーラの影響で点描画法も試みるなど、常に新しい表現に挑戦し続けた画家でもあります。

ピサロの代表作

《赤い屋根、冬の効果》(1877年)
第3回印象派展に出品された作品です。家々の赤い屋根と冬の木々や畑が織りなす風景を、細かな筆触で描き、色彩豊かな情景を生み出しています。

《白い霜》(1873年)第1回印象派展に出品され、評価が分かれた作品です。霜が降りた畑を農夫が歩く姿が描かれ、長く伸びた影と朝日に輝く霜の表現が印象的です。

ポール・セザンヌ(1839年~1906年)

ピサロに誘われ印象派展に参加しますが、光の「瞬間」を捉える印象派の技法とは異なり、物の形や構造、量感を追求しました。その独自の画風は、後のピカソらに影響を与え、「近代絵画の父」と称されています。

当初は暗い色調の絵画を描いていましたが、ピサロとの交流を通じて明るい色彩を学びます。

後に故郷のエクス=アン=プロヴァンスに引きこもり、独自の探求を続けました。

セザンヌの代表作

《首吊りの家、オーヴェール=シュル=オワーズ》(1873年)
第1回印象派展に出品された作品です。厚塗りの絵の具と安定した構図から、印象派の画家とは異なる、堅固な画面作りへの意識がうかがえます。

《リンゴとオレンジのある静物》(1895-1900年頃)
セザンヌが繰り返し描いた静物画の傑作の1つ。複数の視点から見たモチーフを1つの画面に再構成する試みが見られ、テーブルや果物が意図的に歪めて描かれているのが特徴です。

ジョルジュ・スーラ(1859年~1891年)

科学的な色彩理論に基づき、絵の具を混ぜずに純色の小さな点を並べて描く「点描画法」を確立しました。

この技法を用いた画家たちは「新印象派」と呼ばれます。 スーラの革新的な作品は、最後の印象派展である第8回展で大きな注目を集めました。

31歳という若さで夭折(ようせつ)しましたが、その技法は多くの画家に影響を与えました。

スーラの代表作

《グランド・ジャット島の日曜日の午後》(1884-86年)
2年以上の歳月をかけて制作された大作であり、新印象派の誕生を告げた記念碑的作品です。無数の点で描かれた公園に集う人々は、古典的な彫刻のような静けさと威厳をたたえています。

《アニエールの水浴》(1884年)
セーヌ川で水浴びをする労働者階級の人々を描いた初期の代表作です。点描画法を確立する過渡期にありながら、光と大気の表現、計算された構図が見事です。

このように、一口に印象派といっても、その活動の中には、個性豊かな画家たちが集っていました。

では、同じ時代に活躍したゴッホは、果たして印象派だったのでしょうか。

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ゴッホは印象派?ポスト印象派との違いとは

ゴッホはポスト印象派

「ひまわり」や「星月夜」で知られるフィンセント・ファン・ゴッホは、印象派の画家だと思われがちです。

活動した時代が近く、パリでモネやルノワールといった印象派の画家たちと交流したゴッホは、確かに彼らから大きな影響を受けました。

しかし、彼の芸術は印象派の「その先」を目指したものであり、美術史では「ポスト印象派」の代表的な画家として位置づけられています。

ポスト印象派とは、印象派の後に登場した画家たち(ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌなど)の総称です。

彼らは、光の「印象」をそのまま写し取る印象派のスタイルだけでは物足りないと感じ、より強く「画家の内面」や「感情」を表現することに重きを置きました。

両者の最も大きな違いは、「何を描こうとしたか」という目的にあります。

印象派の目的
目に映る光や大気の「瞬間」を客観的に捉えること。

ゴッホ(ポスト印象派)の目的
目の前の風景を通して、自身の燃えるような「感情」や「精神」を表現すること。

たとえば、ゴッホは印象派から学んだ明るい色彩の技法を、見たままの光を再現するためではなく、自らの激しい情熱や不安を表現するために用いました。

彼の代名詞ともいえるのが、力強い筆づかいの「インパスト」です。

絵の具を分厚く塗りつけた渦巻くようなタッチは、単に物の形を捉えるだけではありません。それはまるで、彼自身の内なるエネルギーをキャンバスに叩きつけているかのようです。

このようにゴッホは、印象派の革新的な技法を吸収した上で、それを自己の内面を表現するための手段へと昇華させた、唯一無二の画家なのです。

印象派の絵画はどこで見られる?

印象派の絵画はどこで見られる?

印象派は世界中で人気が高く、日本でも毎年のようにどこかの美術館で企画展(特別展)が開催されています。

そうした期間限定の展覧会で名作に出会うのも素敵ですが、いつでも印象派の傑作に会える常設展も、日本の美術館の魅力の1つです。

国立西洋美術館(東京・上野)

日本で印象派の作品を鑑賞できる代表的な美術館といえば、東京・上野の国立西洋美術館です。

この美術館は、実業家・松方幸次郎氏が収集した「松方コレクション」を基に設立されました。

常設展では、モネの《睡蓮》をはじめ、「ルノワール」「ドガ」「セザンヌ」といった巨匠たちの珠玉の作品群を、いつでも鑑賞できます。

住所 東京都台東区上野公園7-7
開館時間 9:30~17:30(金・土曜は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始
常設展観覧料 一般 500円、大学生 250円
公式サイト https://www.nmwa.go.jp/

※上記は2025年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトをご確認ください。

海外では、フランスのオルセー美術館が「印象派の殿堂」として世界的に有名です。

まとめ

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この記事では、19世紀のフランスで生まれた革新的な芸術運動「印象派」について、その誕生の背景から絵画の特徴、そして後世に名を残す個性豊かな画家たちをご紹介しました。

伝統に縛られず、自らが目にし、心が捉えた光や空気の「印象」をキャンバスに描き留めようとした彼らの挑戦は、当時の美術界に大きな衝撃を与えました。

そして、その生き生きとした色彩と筆づかいで描かれた日常の風景や人々の姿は、150年以上経った今もなお、世界中の人々を魅了し続けています。

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