- 古銭/記念硬貨
- 2023.09.04
絵銭とは?買取価格紹介!狐や馬・七福神などの種類や価値等解説

「絵が描いてある古いお金を持ってるんだけど」
「絵銭って価値あるの?」
昔のお金で絵が描いてあるものは、絵銭という古銭かもしれません。
この記事では、「絵銭」について解説しています。
高額買取のポイントや絵銭にまつわるQ&Aも紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
絵銭とは?

「絵銭」とは、絵などが描かれている銭貨の形をしたものです。
実際に貨幣として使用されていたものではありません。
形状は、一般的な銭貨と同じく円形で中央に四角い穴(丸孔のものもある)が開いているのが特徴です。
材質は主に銅や鉄が用いられました。大きさは一文銭サイズのものから、直径5~6cmを超える大型のものまで多岐にわたります。
恵比寿・大黒といった七福神、馬を引く人(駒曳き)、富士山、家紋、経文など、多彩な図柄や文字が見どころでしょう。
絵銭の起源と歴史的背景
絵銭がいつごろから作られ始めたか、正確なことはわかっていません。室町時代に足利義政が作ったという伝説(六条銭)もありますが、これは後世の創作と考えられています。
学術的な定説では、絵銭が本格的に製造され始めたのは江戸時代初期、17世紀後半とされています。
その背景には、徳川幕府の貨幣政策が大きく関わっています。
寛文10年(1670年)、幕府は「寛永通宝」以外の銭貨の流通を禁止しました。これにより、それまで民間で私的に鋳造されていた古銭や渡来銭が使えなくなったのです。
この政策変更によって仕事を失った鋳造技術者たちが、自らの技術を活かし、通貨ではない「擬似貨幣」として絵銭の製造を始めた、というのが有力な説のひとつです。
江戸時代を通じて絵銭は全盛期を迎え、18世紀には種類も数も飛躍的に増えました。
京都の鏡職人や奈良の釜職人が副業として作ったり、寺社が参詣者向けに頒布したりと、担い手も多様化。
明治時代に入り、新貨条例(1871年)によって近代貨幣制度が整うと、伝統的な絵銭作りは衰退します。
しかし、一部は民芸品や縁起物として作り続けらるものの、戦後は製造・流通することはなくなり、現在は歴史資料や骨董品として収集・研究の対象となっています。
子どものおもちゃやお守り、記念品などのような使われ方をしていたとされていますが、用途は定かではないようです。
絵銭と寛永通宝との違い
絵銭について考えるとき、よく比較対象となるのが寛永通宝です。これらとの決定的な違いを整理しておきましょう。
寛永通宝は、江戸時代を通じて日本全国で流通した正式な「通貨」です。幕府や各藩の銭座(公的な鋳造所)で作られ、物の売買に使用されました。
一方、絵銭は通貨ではありません。寛永通宝の形を模倣してはいますが、あくまで護符や玩具といった特定の目的のために私的に作られたものです。
ただし、「座銭」と呼ばれる一部の絵銭は、裏面のデザインが寛永通宝とそっくりで、銭座で作られた可能性も指摘されており、両者の関係性の深さもうかがえます。
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絵銭の主な種類と価値

- ✔︎ 水戸虎銭(みととらせん、みとこせん)
- ✔︎ 鏡屋銭(かがみやせん)
- ✔︎ 大迫銭(おおはさません)
- ✔︎ 五位堂銭 菊(ごいどうせん きく)
- ✔︎ 浅間銭(あさません)
- ✔︎ 紋切銭(もんきりせん)
- ✔︎ 打印(だいんせん)
- ✔︎ 福神類
- ✔︎ 駒曳き銭(こまびきせん)
- ✔︎ 念仏銭(ねんぶつせん)
- ✔︎ 題目銭(だいもくせん)
- ✔︎ 上棟銭(じょうとうせん)
- ✔︎ 穴一銭(あないちせん)
- ✔︎ 面子銭(めんこせん)
絵銭には実にさまざまなデザインがあり、ものによっては高い価値がつきます。
ここでは、主な種類とその価値について解説します。
水戸虎銭(みととらせん、みとこせん)

「水戸虎銭」は、水戸藩がつくった地方銭です。
片側に虎が刻印され、反対側には「富国強兵」と彫られています。
一般的には水戸藩が鋳造した地方銭(藩銭)として扱われますが、図案に特徴があることから絵銭の一部として評価を受けることもあります。
デザイン性・文化性が高いので当時から注目されており、現在もコレクターに人気です。
状態によりますが、数万円から数十万円の価値がつくこともあります。
鏡屋銭(かがみやせん)

「鏡屋銭」は明治時代から大正時代にかけてつくられた絵銭で、鏡職人がつくったと言われています。
めんこ用につくられたので分厚くしっかりしており、家紋があしらわれることが多く、鶴丸や木瓜などさまざまな紋様が刻印されました。
鏡師は高い鋳造技術を持っていたため、鏡屋銭には精緻で立体的な彫りのものが多く、その造形美が高く評価されています。
デザインが多種多様なので買取価格の幅は広いですが、コレクターの間で人気が高い「五七桐」や「梅花」が彫られているものは数十万円の値がつく可能性もあるでしょう。
大迫銭(おおはさません)

盛岡藩が江戸時代につくったお守りの絵銭で「大迫銭」というものがあります。
大迫銭座で金運を向上させるためにつくられ、当時は縁起物として親しまれていました。
片側には猿が馬をひく様子が描かれており、反対側は波形と上部に大迫の「大」が彫られているのが特徴です。
当時の収入源は馬が欠かせない農作業であったため、その健康を守る動物が猿と信じられていたことからそういったデザインになったと考えられています。
数万円前後で取引されることが多く、高ければ数十万円の値がつくこともある絵銭です。
五位堂銭 菊(ごいどうせん きく)

かつて鋳物産業が栄えた五位堂でつくられた絵銭のなかに「五位堂銭 菊」というものがあります。
鋳物職人があまりものの鉄を使って菊などの模様をあしらい、つくられていました。
子どもが石蹴りとして遊ぶおもちゃ用だったと言われています。
菊などの模様があしらわれ、状態が良ければ数万円で取引されることもあります。
浅間銭(あさません)
「浅間銭」は、浅間神社の信者が護符として身に付けたと言われている絵銭です。
めんこにも使用されていたという記録があり、絵柄は大国様や富士山など、いくつも存在します。
人気のデザインは「浅間恵比寿」「浅間二神」「南蛮人」で、状態が良ければ数十万円の査定額が期待できるでしょう。
紋切銭(もんきりせん)
「紋切銭」は、1750年以降に飾職人が製造したと言われている絵銭です。
デザインには飾職人らしい繊細さが見られ、当時人気が高かった歌舞伎役者の頭文字や定紋があしらわれていることが多いとされています。
コレクターたちにも人気の絵銭なので、デザインによっては数十万円の買取価格がつく可能性もあるでしょう。
高額査定される傾向にあるデザインは、「亀甲かたばみ」「岩」「鼠」といったものです。
打印銭(だいんせん)
「打印銭」には、薄いつくりの「陽刻銭」と分厚いつくりの「陰刻銭」があります。
陽刻銭は文字が浮き出るように彫られており、陰刻銭は文字が筋彫りになっているのが特徴です。
陽刻銭は子どものおもちゃ用と言われていますが、陰刻銭の用途ははっきりわかっていません。
非常に薄いものは高額買取されることがあり、数十万円の値がつくこともあります。
福神類

絵銭には夷様や大黒様などの「福神」が描かれているものがたくさんあります。
両面に福神が刻印されていたり、片面だけ刻印されていたりと、刻印のされ方もさまざまです。
福神の絵柄だけをまとめて販売していることも多く、それほど福神の絵銭には人気があります。
大きいサイズで希少価値が高い福神は、数十万円で取引されることもあるでしょう。
駒曳き銭(こまびきぜに)

「駒曳き銭」とは馬が描かれている絵銭で、前述した大迫銭も駒曳き銭の一種です。
当時、馬は神の乗り物であると信じられており、異界往来できる動物として神聖視されていました。
そのため、呪物として用いられることもあったとされています。
駒曳き銭にはさまざまなパターンのデザインがあり、珍しいデザインのものは数万円以上になることもあります。
念仏銭(ねんぶつせん)

「念仏銭」は、「南無阿弥陀仏」と刻印されており、文字が主体となっている絵銭です。
浄土真宗や浄土宗の信者が護符として持ち歩いていました。
貨幣として流通していた寛永通宝の2倍ある「大念仏」と呼ばれるものもあります。
故人が冥途で三途の川を渡る際の渡し賃(六文銭)の代わりとして、実際に棺に納めらるケースもあったようです。
デザインは文字が中心の素朴なものですが、当時の人々の真摯な信仰心が込められています。
主要な絵銭のなかでは買取価格はあまり高くありませんが、寛永通宝より大きい直径のものは万単位の査定額がつくこともあるでしょう。
寛永通宝について詳しくはこちら↓
寛永通宝の買取価格!種類別価値やレアものの見分け方、高額査定のポイントも
題目銭(だいもくせん)

「題目銭」は「南無妙法蓮華経」の文字が彫られており、お墓から出土することが多い絵銭で、買取相場は数千円です。
用途ははっきりわかっていませんが、葬儀など故人に関連していると考えられています。
日本では、三途の川を渡る際に渡船料が必要だと信じられており、死者とともに棺桶にお金を入れる習慣がありました。
そういった用途のお金を「六道銭」といいますが、題目銭も六道銭に使用されたという記録があります。
上棟銭(じょうとうせん)

「上棟銭」は民間の家や神社など仏閣の上棟式が行われる際、記念にまいたとされる絵銭です。
たくさんの種類があり、「諏訪神社」や「花岡神社」の上棟銭が有名どころです。
状態などによりますが買取価格は数千円となることが多く、素材や大きさなどによっても左右されます。
穴一銭(あないちせん)
穴一という昔の遊びに用いられた絵銭を「穴一銭」と言います。
穴一とは、穴を掘ってそこに銭貨を投げ入れ、穴の中にある銭貨を弾き出す遊びです。
豊富なデザインで彫られており、宝珠や福の神、弁慶と義経の戦いを描いたものもあると言われています。
デザインによっては数十万円の買取価格になりますが、ほとんどのデザインは数千円で取引されることが多いでしょう。
人気のデザインかどうか、一度買取業者に査定してもらうことをおすすめします。
面子銭(めんこせん)
「面子銭」は子どものおもちゃとしてつくられた絵銭で、めんこに用いられていました。
めんこがしやすいように片面が無地の平らになっており、分厚いのが特徴です。
穴一銭と似ていますが、寛永通宝に近い厚さのものが穴一銭で、直径に対して厚みが大きいものを面子銭と区別されています。
数千円で取引されることが多く、絵銭のなかでは比較的価格が落ち着いている傾向にあります。
絵銭を高額買取してもらうポイント

- ✔︎ 他の古銭もまとめて査定してもらう
- ✔︎ 古銭に精通した買取業者を選ぶ
絵銭は実にさまざまなデザインがあり、なかにはそんなに価値がないものもあります。
しかし、他の古銭も含めて査定してもらうと、1枚ずつよりも評価が高くなる可能性があります。
また、種類が多いのでプロでないとしっかり価値を査定するのは難しいでしょう。
明治以降、収集家向けに作られたレプリカや「創作絵銭」も存在するため、江戸時代に作られたオリジナルの品かどうかの見極めがポイントです。
そのため、業者選びも重要になってきます。数多の古銭取引をこなしている買取業者を選択しましょう。
絵銭の買取は福ちゃんへ

絵柄がデザインされた古銭を「絵銭」といいます。
通貨としては使用されておらず、遊びやお守り、儀式などに用いられました。
実にさまざまな絵銭が存在するため、価値は古銭に精通したプロでないと量れないでしょう。
福ちゃんには、デザインや素材、大きさ、希少性など、さまざまな面を考慮して査定できる専門家が在籍しています。
絵銭の買取は福ちゃんにお任せください。
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