- 古銭/記念硬貨
- 2022.11.17
ジョージ5世5ポンド金貨(1911年銘)の特徴や価値について解説|ソブリン金貨

英国王ジョージ5世の戴冠を記念して発行された5ポンド金貨。
英国コインの歴史において、国王の即位や戴冠式といった国家的な慶事に際して発行される記念金貨は、その芸術性と希少性から極めて高い評価を受けてきました。
今回ご紹介する「ジョージ5世5ポンド金貨」は、1911年という特定の年にのみ製造された逸品です。
通称「クインタプル・ソブリン」とも呼ばれるこの大型金貨は、圧倒的な存在感と美しいデザイン、そして限られた発行枚数により、市場では高値で取引される傾向にあります。
お手元にこの金貨をお持ちの方、あるいは英国金貨の収集を検討されている方に向けて、その価値と歴史的背景、そして売却時に知っておくべきポイントを解説します。
ジョージ5世5ポンドソブリン金貨とは?1911年戴冠記念の至宝

ジョージ5世5ポンド金貨は1911年にイギリスで発行されたソブリン金貨です。ジョージ5世の肖像が描かれたソブリン金貨は1911年から1925年にかけて発行されました。
この5ポンド金貨は通貨としての役割を超え、国王の威信と英国王立造幣局(ロイヤルミント)の技術の粋を集めた、まさに至宝と呼ぶにふさわしい金貨となっています。
ジョージ5世の人物像と激動の時代
英国貨幣史において、ジョージ5世の治世は1910年から1936年まで続きました。
ジョージ5世(1865年~1936年)は、アルバート・エドワード(エドワード7世)とアレクサンドラ妃の次男として生まれます。
本来は兄であるアルバート・ヴィクターが王位を継承する予定でしたが、兄の急逝により、ジョージが王位継承者となりました。祖母は、大英帝国を繁栄させたヴィクトリア女王です。
ジョージ5世は、国民から深く敬愛された国王として知られています。その人柄は、真面目で実直、そして責任感が強いことで知られていました。
また、彼は熱心な切手収集家としても知られ、そのコレクションは世界的に有名です。
彼の治世は、まさに激動の時代でした。1914年に勃発した第一次世界大戦では、ジョージ5世は国民を鼓舞し、イギリスを勝利へと導く重要な役割を果たします。
また、ドイツとの関係が悪化する中、1917年には王家の姓をドイツ系のサクス=コバーグ=ゴータ家からウィンザー家に改称。これにより、国民との一体感を強めました。
大戦後には、アイルランド独立戦争や世界恐慌など、国内外で多くの困難に直面。しかし、ジョージ5世は常に国民に寄り添い、その誠実な姿勢で国民からの信頼を勝ち得たのです。
その後、1924年には大英帝国博覧会を開催し、文化的な発展にも貢献しました。
このように、ジョージ5世はイギリス王室の歴史の中でも、とくに重要な役割を果たした国王のひとりです。
発行は1911年の単年度のみ|発行枚数2,812枚
ジョージ5世5ポンド金貨の特徴は、発行された年と枚数にあります。ジョージ5世の5ポンド金貨は、ジョージ5世の戴冠年である1911年にのみ発行されました。
ジョージ5世の治世下において、この5ポンド金貨が製造・発行されたのはこの単年度だけであり、他の年号のものは存在しません。
特筆すべきは、その発行枚数の少なさです。記録によれば、発行枚数はわずか2,812枚に限られています。
さらに、1911年の戴冠記念のプルーフ仕上げとして製造されたもので、流通目的の打刻ではありませんでした。
なお、ジョージ5世の治世中には5ポンド金貨の追加発行はなく、次に5ポンド金貨が発行されるのは1937年のジョージ6世戴冠時となります。
通称「クインタプル・ソブリン」の意味と由来
この金貨は、専門的なカタログや収集家の間では「クインタプル・ソブリン」という名称で呼ばれることがあります。これは「5倍のソブリン」という意味を持ちます。
英国の標準的な金貨である1ポンド金貨(ソブリン金貨)と比較して、ちょうど5枚分の重量と金の含有量を持っていることに由来します。
当時の英国金貨において最高額面に位置するこのコインは、物理的な重量感だけでなく、資産としての重みも兼ね備えていました。
手に取ったときに感じる約40グラムのずっしりとした重量感は、他の金貨にはない特別な満足感を味わえるでしょう。
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ジョージ5世5ポンド金貨のスペックとデザイン詳細

金貨の価値を判断するうえで、物理的な仕様と描かれたデザインの美しさは欠かせません。
ここでは、ジョージ5世5ポンド金貨が持つ具体的な数値データと、英国の芸術家たちが手がけた意匠について詳しく見ていきます。
一覧表|直径・重量・品位などの基本データ
まずは、この金貨の客観的なデータを確認しましょう。以下の表は、1911年当時の英国金貨標準に準拠したスペックをまとめたものです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 額面 | 5ポンド(£5)〔ソブリン金貨5枚分相当〕 |
| 発行年 | 1911年のみ |
| 発行枚数 | 2,812枚(プルーフのみ) |
| 重量 | 約39.94グラム |
| 純金含有量 | 約36.62グラム(AGW 1.1775トロイオンス) |
| 素材(品位) | 22カラット(約91.67%) |
| 直径 | 約36.0ミリメートル |
| 縁(エッジ) | ギザありのミルドエッジ |
| 貨幣の向き | メダル方向(表裏の図柄が同方向) |
比較として挙げると、通常の1ソブリン金貨(1ポンド)は重量が約7.98グラム、直径が約22.05ミリメートルです。
この5ポンド金貨は、それらのちょうど5倍の重量を持つ大型金貨であることが数値からも分かります。素材はいずれも伝統的な22金(クラウンゴールド)で統一されています。
表面デザイン|バートラム・マッケナルによる「ジョージ5世の肖像」
金貨の表面には、ジョージ5世の横向きの肖像が描かれています。
この肖像の特徴は、王冠や月桂冠を戴いていない「素頭像(無冠)」であることです。威厳に満ちた表情と、細部まで表現されたヒゲの描写が印象的です。
この肖像を手がけたのは、オーストラリア出身の彫刻家エドガー・バートラム・マッケナル。肖像の首元の切り落とし部分には、彼のイニシャルである「B.M.」が小さく刻まれています。
マッケナルは当時、ジョージ5世からとくに厚い信任を得ており、コインだけでなく郵便切手の図案なども広く手掛けた人物です。
肖像の周囲にはラテン語で「GEORGIVS V DEI GRA: BRITT: OMN: REX F. D. IND: IMP:」という銘文が刻まれています。
これは「ジョージ5世、神の恩寵によるすべてのブリテンの王、信仰の守護者、インド皇帝」という意味を持ち、大英帝国の広大さと王権の強さを示したものです。
裏面デザイン|ピストルッチの傑作「聖ジョージの竜退治」
裏面には、英国コインの代名詞ともいえる伝統的な図案が採用されています。それは「聖ゲオルギウス(セントジョージ)の竜退治」です。
図案では、聖ジョージは古代ギリシャ風の裸身像(兜とマントを着けた裸体)として描かれ、馬上から剣で竜に挑む場面が表現されています。
このデザインの原作者である「ピストルッチ」は19世紀に英国王立造幣局で活躍したイタリア出身の彫刻家で、ソブリン金貨の「聖ジョージの竜退治」図案で知られています。
1817年にソブリン金貨へ採用されて以降、別の逆面図案が用いられた時期も挟みつつ、英国金貨を象徴する図案として繰り返し採用され、現在も多くのソブリン金貨で用いられている傑作です。
地面の右側にはピストルッチのイニシャル「B.P.」が、中央下部には発行年である「1911」の数字が刻まれています。
5ポンド金貨という大きな盤面(直径約36ミリ)においては、このピストルッチのデザインがいっそう映え、馬の筋肉の隆起やドラゴンの表情など、細部まで鑑賞できるのも大きな魅力です。
なぜこれほど価値が高いのか?市場評価と希少性の理由

ジョージ5世5ポンド金貨は、含まれている金の価格(地金価値)だけで取引されることはまずありません。それを遥かに上回る「プレミア価値」が付加されています。
現存数の少なさと「プルーフ金貨」としての品質
最大の要因は、やはりその圧倒的な希少性です。発行枚数は2,812枚とされますが、現存数はそれを下回る可能性もあるでしょう。
加えて、この金貨がすべて「プルーフ仕上げ」で作られた点も重要です。プルーフ貨とは、収集家向けに特別な工程を経て製造された硬貨のこと。
磨き上げられた極印(金型)を使用し、鏡のように輝く平らな面(フィールド)と、梨地状に艶消しされた図案のコントラストが美しく表現されます。
他のジョージ5世金貨との比較(ソブリン・ダブルソブリン)
ジョージ5世の治世下では、1ポンド(ソブリン)や2ポンド(ダブルソブリン)金貨も発行されました。これらは基本的に5ポンド金貨と共通のデザインと品位を持っています。
しかし、サイズと重量には明確な差があります。
たとえば、1ソブリン金貨は約8グラム、2ポンド金貨は約16グラムですが、5ポンド金貨は約40グラムにも達します。
図案や品質は共通であっても、サイズと重量が飛び抜けて大きいこの5ポンド金貨は、シリーズのなかでも別格の存在として扱われます。
コレクターの心理として、ソブリン、ダブルソブリン、そしてクインタプル(5ポンド)をセットでそろえたいという需要も強く、その頂点に位置する5ポンド金貨は常に高い注目が集まっているのです。
購入・売却時に知っておきたい真贋と鑑定のポイント

高額で取引されるコインであるため、取引においては慎重な判断が求められます。とくに、偽物のリスクや、状態による価格変動については正しい知識を持っておく必要があります。
鑑定機関(NGC・PCGS)のグレーディング重要性
現在のコイン市場、とくに高額なアンティークコインの取引においては、第三者鑑定機関によるグレーディング(格付け)が非常に重視されます。
代表的な機関として、アメリカのNGC社やPCGS社が挙げられるでしょう。これらの機関によって真贋が保証され、かつ保存状態がグレードで示されたコインは、市場での信頼性が格段に高まります。
ジョージ5世5ポンド金貨はプルーフ貨であるため、わずかなヘアライン(微細な傷)や曇りによってグレードが変わり、それが買取価格に大きく影響します。
強いコントラストの個体は、NGCでは「Cameo/Ultra Cameo」、PCGSでは「Cameo/Deep Cameo」などの指定で高評価になる傾向があります。
もしお手元のコインが鑑定済みでスラブ(プラスチックケース)に入っている場合は、そのケースを開封せずにそのまま査定に出すことが鉄則です。
偽造品やレプリカへの注意喚起
人気と価値が高いコインには、残念ながら偽造品やレプリカが存在します。
近年作られた精巧な偽物だけでなく、過去に宝飾品用として作られた金メッキの模造品なども市場に紛れ込むことがあります。
真贋を見分ける基本的なポイントとして重量の計測がありますが、精巧な偽造品は重量や直径までも本物に近づけて作られている場合があります。
エッジのギザの刻み方や、細部の彫りの深さなど、プロの目で見なければ判別できない要素も多々あります。確実な価値を知るためには、信頼できる専門業者への相談が不可欠でしょう。
ジョージ5世5ポンド金貨を高く売るなら「福ちゃん」へ
1911年発行のジョージ5世5ポンド金貨は、英国金貨の中でも特別な逸品です。
その希少性と価値を正しく理解し、適正な価格で取引するためには、専門的な知識と経験を持つ買取業者の選定が重要です。
買取福ちゃんには、古銭や外国コインに精通した経験豊富な査定士が在籍しています。
ジョージ5世5ポンド金貨のような希少なアンティークコインについては、貴金属としての重さ(地金価値)だけで査定することはありません。
発行年・発行枚数・鑑定有無・保存状態・オークション動向などの要素を踏まえ、貴金属価値だけでなくコレクター市場での評価も考慮した査定を行います。
まとめ

ジョージ5世5ポンドソブリン金貨は、1911年にわずか2,812枚のみ発行された、英国金貨の歴史に残る名品です。
約40グラムという重量感、プルーフ仕上げの美しい輝き、そしてマッケナルとピストルッチによる芸術的なデザインは、現代においても色あせることのない魅力を放っています。
もしお手元にこの金貨をお持ちで売却をお考えなら、ぜひ一度福ちゃんの無料査定をご利用ください。
よくある質問(Q&A)
最後に、ジョージ5世5ポンド金貨に関して、お客様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1:1911年以外のジョージ5世5ポンド金貨はありますか?
いいえ、存在しません。ジョージ5世の5ポンド金貨は、1911年の戴冠記念として発行された単年度のみの金貨です。
もし他の年号が刻まれたジョージ5世の5ポンド金貨を見かけた場合は、模造品やレプリカである可能性も高いため注意が必要です。
Q2:鑑定書やケースがなくても買取してもらえますか?
はい、問題なく買取可能です。福ちゃんではプロの査定士が品物を直接拝見し、真贋と価値を見極めます。
ただし、もし当時の純正ケースや鑑定機関の証明書が残っている場合は、プラス査定となる可能性がありますので、ぜひ一緒にお出しください。
Q3:表面に少し傷があるのですが、売れますか?
買取可能です。プルーフ金貨は無傷であることが理想ですが、発行から100年以上経過しているため、経年による変化はつきものです。
希少性が極めて高いため、多少の傷や汚れがあっても地金価格以上のプレミア価値が付くケースも多くあります。
ご自身で磨いたり洗浄したりするとかえって価値を損なう恐れがありますので、そのままの状態で見せていただくことをオススメします。

