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  • 古銭/記念硬貨
  • 2025.12.18

1円銀貨の価値はどのくらい?種類と歴史、見分け方のコツを解説

かつて日本で流通していた「1円銀貨」は、明治初期に発行された歴史ある貨幣です。現在では実用品として使われることはなく、希少性の高い古銭としてコレクターから注目を集めています。

特に種類や状態、発行年によって価値が大きく変わるため、手元の1円銀貨がどれほどの価格になるのか気になる方も多いでしょう。

そこで本記事では、1円銀貨の歴史や原料、製造方法といった基礎知識をはじめ、価値が高いタイプの特徴、本物を見分けるポイント、保管方法まで詳しく解説します。売却を検討している方に役立つ情報もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

1円銀貨とは?歴史や発行背景

1円銀貨は、1871年に新貨条例が公布されたことで誕生した貨幣です。当初は海外との貿易専用貨幣として発行され、函館・神奈川・新潟・兵庫・長崎の5つの開港場に限定して流通していました。

1878年からは国内での流通も認められ、実質的な本位貨幣としての役割を担うようになります。貨幣の図柄には天皇の肖像も検討されましたが、多くの人の手に触れるものに使用するのは畏れ多いという理由から、天皇を象徴する龍が採用されました。

その後1897年に貨幣法が制定されて金本位制へ移行し、日本国内での通用は停止されます。しかし、台湾では引き続き流通していたため1914年まで製造が続けられました。

1円銀貨の原料と製造方法

1円銀貨は、その品位(純度)が厳密に定められていました。材質は「銀90%・銅10%の合金(品位九分銀)」です。

この比率は、当時の国際的な銀貨の基準に合わせたもので、国内外での信用を確保する上で重要なものでした。

製造方法は、江戸時代までの手作業による鋳造とは異なり、西洋から導入した最新の圧印機による打製で製造しています。

均一な円形の金属板に精密なデザインを刻印する圧印工法は、偽造防止と大量生産を両立させる近代的な技術でした。

この製造方法により、重量(量目)も26.96g(貿易銀は27.22g)と、極めて高い精度で均一に製造されるようになりました。この標準化こそが近代通貨としての信頼の証といえます。

1円銀貨の種類

旧1円銀貨と新1円銀貨、貿易銀の表と裏

1円銀貨の表面には、中央に龍が彫られています。また、縁に額面や発行年数、「大日本」といった言葉などが彫られているのが特徴です。

龍の刻印が印象深いことから、「龍1円銀貨」と呼ばれることもあります。しかし、発行年数によってデザインや使用目的に違いが見られ、流通量も異なるため価値もさまざまです。ここでは、1円銀貨の種類別に現在の価値を見てみましょう。

旧1円銀貨

明治3年発行の旧1円銀貨は最初に発行された1円銀貨で、使用用途を貿易に限定していたため、日本国内では流通していません。

裏面中央には太陽をかたどった意匠が彫られ、縁に桐紋や菊紋などがあります。約2年間しか発行されておらず希少価値が高いことから、現在は数万円で売買されることが多いようです。

また、表面にある「圓」の9画目が欠けているものは「欠貝圓」と呼ばれていてさらに価値が高く、数十万円することもあります。

新1円銀貨

新1円銀貨には大型銀貨と小型銀貨の2種類があり、文字通り新1円大型銀貨のほうは直径が数mm大きく縁に厚みがあるのが特徴です。

新1円大型銀貨は1874年(明治7年)から発行が開始され、当初は貿易専用でしたが、1878年(明治11年)から国内での使用が許可されました。新1円小型銀貨は1887年(明治20年)に発行開始され、貿易と国内の両方で使用されています。

新1円大型銀貨も新1円小型銀貨もデザインはほぼ同じで、表面中央に龍が刻印され、縁は「大日本」と発行年数に加えて重さや額面・銀位を表す「416 ONE YEN 900」と彫られているのが特徴です。

裏面には「1円」や「菊紋」が刻印されています。新1円大型銀貨は完全未使用品であれば数百万円の買取価格が付くこともあります。新1円小型銀貨は美品・未使用品であれば数十万円で取引されることもあるようです。

貿易銀

1875年(明治8年)、諸外国と貿易する際に使用する目的で貿易銀が製造され始めました。当時、東洋市場で多大な力を持っていたメキシコの8レアル銀貨に習い、純銀の含有量を向上させた貿易銀を国際通貨として発行したといわれています。

表面のデザインは新1円銀貨とほとんど同じですが、縁に重さや銀位を表す「420 GRAINS.TRADE DOLLAR.900 FINE」とあるのが特徴です。また、裏面には「貿易銀」と彫られています。発行枚数が少ないため、数十万円で取引されることもあります。

丸銀

丸銀は、1円銀貨の裏面に丸で囲った「銀」の字が刻印されている種類です。一時は国内でも通用可となった1円銀貨ですが、1897年(明治30年)に金本位制を基本とした貨幣法制定により、通用停止が決まりました。

台湾や朝鮮では圧倒的な流通量となっていたため、即座に通用停止とするのが難しく、当面の間は外地用に丸銀を製造していたといわれています。しかし、丸銀の刻印の有無によって通用の可否が混乱し、市場が荒れたことで丸銀打の製造や通用の実施は停止されました。

丸銀には左打ちと右打ちが存在し、右打ちのほうがより希少性の高い傾向にあります。通常の貿易銀よりも希少性が高い丸銀は、数十万円から100万円以上の価値が付くこともあるでしょう。

円形銀塊

1901年以降に発行された1円銀貨を「台湾銀行兌換引換用圓銀」や「円形銀塊」と呼ぶことがあります。1円銀貨が国内で通用停止されたことから、以降の1円銀貨は国内で貨幣として使用できませんでした。

そのため、明治34年以降の1円銀貨は、1円銀貨ではなく「円形銀塊」と表されることがあります。国内では貨幣として流通していませんでしたが、日清戦争後の台湾では1円銀貨が流通し続けていました。

1901年からは台湾銀行用に「台湾銀行兌換引換用圓銀」として1円銀貨が発行されました。その製造は1914年(大正3年)まで続いたといわれています。

円形銀塊は他の1円銀貨と表裏が異なり、龍の刻印があるほうが裏面です。現存数は少ないとされているため、より高い価値が期待できるでしょう。

なお、ここで紹介している買取相場はあくまでも目安です。実際の買取価格は保管状態や市場の需給バランスなど、さまざまな要因で変動します。詳細は古銭買取業者にご確認ください。

特に価値が高い1円銀貨の特徴

1円銀貨の丸銀の表と裏

1円銀貨の中には、通常の相場を大きく上回る価格で取引されるものが存在します。発行年や製造工程の違い、刻印の特徴などで希少価値の高いものがあるためです。

では、具体的にどのような特徴を持つ1円銀貨が高値で取引されるのでしょうか。ここでは高額査定につながる代表的な4つのポイントを見ていきます。

特定の年に発行されている

1円銀貨は、発行年によって価値が大きく変動します。製造枚数や流通期間が年号ごとに異なるため、希少性に差が生まれるためです。特に以下の発行年は高値がつきやすくなっています。

  • 明治3年(1870年):旧1円銀貨の初期発行年で流通量が少ない
  • 明治7年(1874年):新1円銀貨大型の初期発行年
  • 明治8年(1875年):浅彫りタイプは製造期間が短く希少性も高い
  • 明治11年(1878年):国内流通開始年として注目度が高い
  • 明治12年(1879年):製造枚数が少なくコレクター人気も高い
  • 明治19年(1886年):新1円銀貨小型の製造枚数が極端に少ない

手元の1円銀貨が上記の年に製造された場合、高値が付く可能性があります。ただし、同じ年号でも保管状態や種類によって査定額は変わるため、正確な価値を知りたい場合は専門家への相談が確実です。

正貝円・欠貝円である

1円銀貨の価値を見極める際、「圓」の字体による分類が重要な判断材料となります。旧1円銀貨は「圓」の字の違いによって、普通円・正貝円・欠貝円の3種類に分類されます。

正貝円は、「圓」の字がきれいに刻印されていて欠けがないタイプです。買取相場は1万5,000円~5万円と、普通円よりも高値で取引されます。一方の欠貝円は、「貝」部分の横線が欠けた状態のもので、旧1円銀貨全体に占める割合はわずかです。そのため、買取市場では高値が付く傾向にあります。

手元に1円銀貨がある場合、竜の真下にある「圓」の字を拡大鏡で確認すると、正貝円か欠貝円かの判断が可能です。

エラーコインである

製造過程で発生したミスによって生まれたエラーコインは、通常の1円銀貨よりも高い価値を持ちます。製造時のミスは検品段階で取り除かれるのが基本であり、市場に流通する数が極めて少なく希少性も高まるためです。主なエラーコインには、以下のようなものがあります。

  • 刻印のズレや欠けがある
  • 文字の一部が二重に写る
  • 裏表の向きが一致していない
  • 打刻位置が中心からずれている
  • 刻印の一部が欠損している

エラーの種類や程度によって評価は変動しますが、顕著なエラーが見られるものは、通常品の数倍から数十倍の価格で取引されるケースもあります。ただし、エラーコインは偽造の対象にもなりやすいため注意が必要です。

丸銀打ち・プルーフなどで製造されている

特殊な製造工程を経た1円銀貨は、通常品とは異なる価値を持ちます。その中のひとつである「丸銀打ち」とは、「圓」の字の近くに「銀」の文字を丸で囲んだ刻印が打たれたもので、1897年から1898年までの期間のみ製造されました。

台湾や朝鮮など外地でのみ通用させる目的で打たれたものです。市場の混乱を招いたため製造が早期に取りやめとなり、流通期間も限定的だったことから、今では一定の希少性が認められます。

ただし、丸銀打ちの有無による買取価格の差は、発行年や保管状態と比較すると小さい傾向にあります。

一方、「プルーフ」は鏡のような光沢を持っていて、通常の鋳造品よりも格段に美しい仕上がりが特徴です。製造枚数が限られるためコレクターからの需要が高く、高値で取引されています。

1円銀貨を本物かどうか確かめる方法

ルーペで古銭をチェックしている人の手元

通用中の貨幣を偽造すると罪に問われますが、1円銀貨は現在流通している貨幣ではないため、偽物を作っても犯罪にはなりません。(※本物だと偽って販売・譲渡することは犯罪です)

そのため、偽物やレプリカが多く出回っています。しかし、1円銀貨の本物と偽物は、直径や厚みの数値や重さで見分けられるため、一度チェックしてみましょう。

直径や厚さを調べる

1円銀貨の直径は約38.1mm、新1円大型銀貨は38.6mmです。これより大きすぎたり小さすぎたりするものは、偽物と考えられるでしょう。

また、厚みは測定する位置によって誤差があるため、基準となる数値はないといわれていますが、直径約38.1mm、直径約38.6mmから大幅にかけ離れているものは、偽物の可能性が高いとされています。

質量を調べる

1円銀貨の重さは約26.96gとされており、偽物はこれより軽いものが多い傾向があります。偽物は白銅貨と呼ばれる素材で作られることが多く、直径や厚みを本物に似せて作ると質量が不足します。

経年摩耗で多少軽くなることはありますが、基準値から1.0g以上軽い、または重い場合は偽物の可能性が高いでしょう。

一方で質量を本物に似せて作ると、比重の関係で直径や厚みが本物と異なるものに仕上がります。質量・サイズは本物か偽物かを見極める指標のひとつとして有効です。

絵柄やエッジを細かくチェックする

絵柄とエッジの精密さを確認すると、本物か偽物を判定しやすくなります。本物の1円銀貨は、竜のウロコや葉脈など細かな模様が鮮明に刻印されています。対照的に、偽物は彫りが浅く線の凹凸がぼやけているものが多くなります。

竜の顔や裏面の点の配置も、本物は均等で整然としていますが、偽物は不ぞろいであったり点が抜けていたりする傾向があります。

エッジ部分に目を向けると、本物は等間隔で均一なギザギザが端まで丸みを帯びて刻まれているのが通常です。しかし、偽物は端まで溝が続いていたりバリが目立ったりと、粗雑な仕上がりが見られます。

ルーペを使用して隅々まで観察すれば見分けられることも多いため、焦らず細部を確認してみましょう。

1円銀貨の価値を保つ方法

手のひらに1円銀貨

1円銀貨は適切な環境・方法で保管しないと、硫化による変色や傷が発生してしまいます。高い価値を持つ1円銀貨でも、保管状態が悪ければ査定額は下がってしまうのが現実です。

では、1円銀貨の価値を維持するには、どのような保管方法が適切なのでしょうか。ここからは、保管する際に意識したい3つのポイントについて詳しく見ていきましょう。

コインケースに入れておく

1円銀貨は銀を主成分としているため、空気中の硫黄成分に反応して硫化が進行します。変色を防ぐには、コイン専用のケースやホルダーに収納して空気との接触を遮断するのが効果的です。

まずは、1円銀貨の直径に応じたサイズのケースを選ぶことから始めます。長期保管を考えるなら透明で中身を簡単に確認でき、コインに傷が付きにくい素材を選ぶことがおすすめです。

複数枚をまとめて管理する場合は専用のコインアルバムを活用すると整理しやすくなり、出し入れの際の傷や摩耗からも保護できます。

直射日光や多湿を避けられる場所で保管する

変色や傷が目立つ1円銀貨は、価値が下がる可能性があります。良好な状態を維持するためにも、直射日光を避けられる温度と湿度が安定した環境で保管しましょう。

特に銀は空気中の硫黄成分と反応して黒ずみやすい性質があるため、密閉性の高い容器での保管が理想的です。併せて保管場所に乾燥剤やシリカゲルを一緒に入れて、湿度を管理するとよいでしょう。

適切にクリーニング・メンテナンスする

1円銀貨の汚れが気になる場合は、柔らかい布で優しく拭いて軽く清掃しましょう。ただし、無理に磨くなど、過度なクリーニングは避ける必要があります。1円銀貨を磨くと表面の微細な凹凸が失われ、価値が損なわれる可能性があるためです。

そのため、研磨剤が入っているクレンザーなどの使用は避けましょう。また、水で洗った場合はすぐに水分を拭き取り、完全に乾燥させる必要があります。

1円銀貨の売却は福ちゃんへ

1円銀貨の種類や状態によって、買取価格は大きく変わります。適正な価値を知るには、古銭に精通した査定士による査定が必要です。福ちゃんは古銭買い取りの実績も豊富で、1円銀貨を含む古銭に関する豊富な知識と売買経験を持つ査定士が在籍しています。

明治時代の旧1円銀貨から貿易銀、丸銀まで、それぞれの特徴を正確に見極め、市場価値を反映した買取価格を提示可能です。特年の判定やエラーコインの見極めなど、専門的な知識が必要な査定も安心してお任せいただけます。

査定料や出張費は全て無料です。手持ちの1円銀貨にどの程度の価値があるのか気になる方は、ぜひ福ちゃんへご相談ください。

まとめ

旧1円銀貨(欠貝圓)の表と裏

1円銀貨には旧1円銀貨や新1円銀貨、貿易銀など複数の種類があり、発行年や製造方法によって価値が大きく異なります。発行数が少ない年号のものや、丸銀打ちなどの特殊な方法で製造されたものは、高値で取引される傾向があります。ただし、偽物も多く流通している点は注意点といえるでしょう。

お手持ちの1円銀貨にどの程度の価値があるのか知りたい方は、ぜひ福ちゃんに査定をご依頼ください。福ちゃんにご依頼いただければ、古銭を熟知した査定士が丁寧に状況を確認し、適切な価格を提示します。

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