- 古銭/記念硬貨
- 2026.10.09
5銭硬貨の価値は?主要12種類と特年・手変わりを解説

かつて日々の暮らしのなかで使われていた5銭硬貨は、額面に換算すると1円の20分の1、すなわち0.05円にあたる貨幣です。
昭和28年に施行された小額通貨整理法によって、1円未満の通貨は同年末限りで支払い手段としての役目を終えました。
現在の5銭硬貨は、額面ではなく、種類や年銘、手変わり、保存状態などをもとに古銭として評価されます。
古銭市場では、数十円から数百円程度で扱われる一般的なものがある一方、希少な年号や手変わり、状態の良い個体では数万円以上の値が付く例もあり、評価の幅は大きくなります。
本記事では、通常発行された5銭硬貨を、素材・意匠・規格の違いなどをもとに12種類に整理しました。
各種類の仕様をはじめ、明治の銀貨、明治から大正の白銅貨、昭和戦時下の各素材硬貨の特徴を順に解説します。
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5銭硬貨の価値は?主要12種類の特徴を一覧で紹介

5銭硬貨は、明治期の銀貨から戦時下の錫貨まで、時代とともに素材や規格を変えながら製造されました。
古銭としての価値を見る際は、まず種類を特定し、そのうえで年銘や手変わり、保存状態を確認していくことが基本です。
5銭硬貨の主要12種類と価値を見るポイント一覧
主要12種類の基本的な規格と、価値を見る際に注目したいポイントを一覧にまとめました。
※ この表は横にスクロールして閲覧できます
| 種類名 | 主な年銘 | 主な材質 | 重量・直径・孔径 | 価値を見るポイント |
|---|---|---|---|---|
| 旭日竜5銭銀貨 | 明治3年〜4年 | 銀800・銅200 | 1.25g 15.15mm(日本銀行資料) 16.15mm(貨幣商資料) 無孔 |
明治3年銘の「明瞭ウロコ」は、 通常品より高く評価される傾向 |
| 旭日大字5銭銀貨 | 明治4年 | 銀800・銅200 | 1.25g 15.15mm(日本銀行資料) 16.15mm(貨幣商資料) 無孔 |
前期型と後期型があり、 前期型はより高く評価される傾向 |
| 竜5銭銀貨 | 明治6年〜10年 (通常流通) |
銀800・銅200 | 約1.35g 約15.15mm 無孔 |
明治7年銘や「ハネ明」「止銭」などの手変わりに注目。 明治13年銘は極めて希少な特殊銘 |
| 菊5銭白銅貨 | 明治22年〜30年 | 銅750・ニッケル250 | 約4.67g 約20.60mm 無孔 |
明治28年銘は製造枚数が少なく、 特年として高く評価 |
| 稲5銭白銅貨 | 明治30年〜38年 | 銅750・ニッケル250 | 約4.67g 約20.60mm 無孔 |
明治36年銘が代表的な特年。 明治30・33・35・37年銘も注目 |
| 大型5銭白銅貨 | 大正6年〜9年 | 銅750・ニッケル250 | 約4.27g 約20.60mm 孔径4.20mm |
年銘と保存状態を確認。 摩耗が少なく図柄が鮮明な個体ほど評価されやすい |
| 小型5銭白銅貨 | 大正9年〜12年 昭和7年 |
銅750・ニッケル250 | 約2.62g 約19.09mm 孔径3.90mm |
昭和7年銘は大正期より製造枚数が少なく、 収集市場でも注目される年銘 |
| 5銭ニッケル貨 | 昭和8年〜12年 (通常流通) |
純ニッケル | 約2.80g 約19.00mm 孔径5.00mm |
通常流通銘は保存状態が重要。 昭和13年銘には極めて希少な不発行貨がある |
| 5銭アルミニウム青銅貨 | 昭和13年〜15年 | 銅950・アルミ50 | 約2.80g 約19.00mm 孔径4.00mm |
摩耗や変色、 製造時の光沢の残り方を確認 |
| 5銭アルミニウム貨 | 昭和15年〜18年 | 純アルミニウム | 1.2g→1.0g→0.8g 約19.00mm 無孔 |
発行時期によって重量規格が異なる。 昭和16年銘には1.2g型と1.0g型があり、傷や摩耗も評価に影響 |
| 穴あき5銭錫貨 | 昭和19年 | 錫930・亜鉛70 | 約1.95g 約17.00mm 孔径4.00mm |
刻印の残り方や摩耗、 変色・腐食の程度を確認 |
| 鳩5銭錫貨 | 昭和20年〜21年 | 錫930・亜鉛70 | 標準2.00g 約17.00mm 無孔 |
鳩の羽など細かな図柄の残り方や、 傷・変色・腐食の程度を確認 |
5銭硬貨の評価では、発行された時期だけでなく、年銘、手変わり、製造枚数、保存状態などが重要な判断材料です。
とくに、明治28年銘の菊5銭白銅貨や明治36年銘の稲5銭白銅貨のような特年、旭日竜5銭銀貨の明瞭ウロコをはじめとする手変わりは、同じ種類の通常品とは異なる評価を受けることがあります。
まずは種類と年銘を確かめ、図柄の細かな違いや硬貨の状態まで順に見ていくと、お手元の5銭硬貨が持つ特徴を整理しやすくなるでしょう。
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明治期に発行された5銭銀貨3種類の価値と特徴

明治維新を経た日本は、新貨条例を制定して近代的な貨幣制度を整えました。
明治初期の5銭銀貨は銀を主体とした素材で作られ、精巧な竜図や菊花紋章が刻まれている点に大きな魅力があります。
旭日竜、旭日大字、竜の3種類があり、わずかな図柄の違いや彫刻の差異が、市場評価の分かれ目です。
旭日竜5銭銀貨
旭日竜5銭銀貨は、明治3年から明治4年の年銘を持つ、日本で最初の近代5銭硬貨です。品位は銀800・銅200、標準重量は1.25gと定められました。
直径は資料によって表記が分かれ、日本銀行資料では15.15mm、国内の貨幣商資料では16.15mmとされています。
表面には宝珠を抱く竜とともに元号、大日本、五錢の文字が刻まれ、裏面を飾るのは菊花紋章、桐紋、日章(旭日)の緻密な彫刻です。
明治3年銘には、明瞭ウロコと呼ばれる手変わりが存在します。手変わりとは、使用された極印の違いなどによって、図柄や文字の細部に繰り返し確認される差異のことです。
明瞭ウロコは、竜の胴部にある鱗の輪郭が通常品よりもはっきりと確認できる個体を指します。
市場での出現頻度が低いため、明瞭ウロコには通常品より高い価値がつく傾向が見られます。
見分ける際は、竜の胸部から胴体にかけての鱗を拡大鏡でじっくり観察してみましょう。
旭日大字5銭銀貨
旭日大字5銭銀貨は、明治4年銘のみが存在する銀貨です。日本銀行資料では、発行開始を明治5年(1872年)としています。
品位は銀800・銅200、重量は1.25gで、旭日竜の基本規格を引き継ぎました。
直径は資料によって表記が分かれ、日本銀行資料では15.15mm、国内の貨幣商資料では16.15mmとされています。
表面の中央には五錢の文字が太く力強く配置され、裏面を構成するのは菊花紋章と旭日、桐文様です。
この銀貨は前期型と後期型に分類されます。判別の手がかりは、旭日の光線数、周囲を囲む玉の数、桐の花とつぼみの位置関係です。
前期型は後期型より高く評価される傾向があり、評価にも差が見られます。光線や玉の輪郭がきれいに残っている個体ほど、型の判別はしやすくなるでしょう。
竜5銭銀貨
竜5銭銀貨は、通常流通向けとして主に明治6年から明治10年にかけて製造されました。品位は銀800・銅200のまま、重量は約1.35g、直径は約15.15mmへと改められています。
表面には円形の枠内に迫力ある竜が描かれ、裏面には菊花紋章、桐紋とともに五錢の文字が大きく刻まれました。
通常流通年のなかで高く評価されているのが明治7年銘です。
製造枚数は明治9年が約554万枚、明治6年が約559万枚、明治7年が約780万枚です。明治7年銘の評価は、製造枚数以外の要素も含めて市場で形成されたものといえるでしょう。
竜5銭銀貨には、文字の形に関する手変わりが広く知られています。
「明」の字の日偏下部が跳ね上がり、月偏側につながるように見える手変わりです。明治6年、9年、10年などで知られ、通常文字より高く評価される傾向があります。
「錢」のつくりにある筆画の一部が跳ねず、止まった形に見える手変わりで、明治8年・9年銘などで確認されています。
竜5銭銀貨を語るうえで欠かせない存在が明治13年銘です。
製造79枚とされ、プレゼンテーション用の貨幣セットなどに含まれた特殊な品として知られています。
通常の流通貨とは区別して扱われ、現存数が極めて少ないことから、一般的な価格表で一定の相場を示すことが難しい銘年です。
年号の刻印を確かめる際は、十の位と一の位の数字を丁寧に見極めてください。
明治から大正期の5銭白銅貨4種類の価値と特徴

明治時代中期になると、小さな5銭銀貨は日常で扱いにくかったことから、より大型の白銅貨へと切り替えられました。白銅は銅とニッケルの合金です。
菊5銭、稲5銭、大型5銭、小型5銭と、意匠や形状の改良が重ねられていきました。白銅貨4種類の特徴と、注目される年号を解説します。
菊5銭白銅貨
菊5銭白銅貨は、明治22年から明治30年にかけて発行された、日本で最初の白銅貨です。
材質は銅750・ニッケル250、標準重量は4.665g(現代資料では約4.67g)、直径は20.606mm(同約20.60mm)と、銀貨から大きく拡大されました。
中央に穴のない無孔硬貨で、縁は平滑に仕上げられています。
表面には菊花紋章と五錢、英字の5SENが配され、裏面には大きな漢数字の五、元号、大日本の文字が並ぶ構成です。
多くの年でまとまった枚数が製造されたため、明治28年銘など一部を除けば現存数は豊富です。
菊5銭白銅貨のなかでとくに注目されるのが明治28年銘。ほかの主要年と比べて製造枚数が少なく、古銭市場では特年として扱われています。
裏面の年号に二十八年と刻まれているかどうかが、最初に確かめたいポイントです。
稲5銭白銅貨
稲5銭白銅貨は、明治30年から明治38年にかけて通常流通向けに製造されました。
組成とサイズは菊5銭白銅貨と同じく、銅750・ニッケル250、重量4.665g、直径20.606mmの無孔貨です。菊5銭白銅貨では、単純な図柄による偽造が問題となりました。
その後に登場した稲5銭白銅貨では、一方の面にたわわに実る稲穂と五錢、もう一方の面に旭日と大日本、年号、英字の5SENを配した、より細かな意匠が採用されています。
菊花紋章を用いない近代硬貨としても知られる一枚です。
最大の注目銘柄は明治36年銘です。製造枚数が少なく、近代の白銅貨を代表する特年銘として市場に認知されています。
明治30年、33年、35年、37年も準特年として、並年より高く評価される傾向があります。
大型5銭白銅貨
大正6年から大正9年にかけて発行された大型5銭白銅貨は、5銭硬貨として初めて中央に穴を設けた有孔貨幣です。
材質は従来の白銅(銅750・ニッケル250)を受け継ぎ、重量は約4.27g、直径は約20.60mm、孔径は4.20mm。この有孔化には材料を節約するとともに、偽造を防ぐ目的がありました。
表面には穴を取り囲むように菊花紋章、桐紋、五錢の文字が配され、裏面には古代の青銅鏡に由来する八稜鏡の枠線と、青海波の幾何学文様が施されています。
発行期間は4年間と比較的短い硬貨です。状態を見極める際は、青海波の細い線が擦り切れずに残っているかどうかが要点となるでしょう。
小型5銭白銅貨
小型5銭白銅貨は、大正9年から大正12年、および昭和7年に製造されました。
大正9年の規格変更により、直径は約20.60mmから約19.09mmへ、重量は約4.27gから約2.62gへと縮小されています。
材質は白銅(銅750・ニッケル250)、孔径は3.90mmで、図柄の基本構成は大型5銭白銅貨をそのまま引き継ぎました。
大正後期から昭和初期にかけて広く使われた硬貨で、古銭市場での残存数は豊富です。
年号による違いとして押さえておきたいのが、昭和7年銘でしょう。大正期から年数を隔てて単年のみ製造されたこの年銘は、製造枚数が比較的少なく、収集家の関心を集めています。
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昭和期に発行された5銭硬貨5種類の価値と素材の変化

昭和に入ると、戦時体制の進展とともに貨幣用の金属は急速に逼迫します。昭和13年の臨時通貨法制定を契機に、小額貨幣の材質や規格を柔軟に変更できる体制へ移行しました。
ニッケルからアルミニウム青銅、純アルミニウム、錫へと、短期間のうちに素材が入れ替わります。
5銭ニッケル貨
5銭ニッケル貨は、通常流通向けとして昭和8年から昭和12年にかけて発行されました。
兵器や特殊鋼の材料として戦略的価値の高い純ニッケルが用いられ、重量2.80g、直径19.00mm、孔径5.00mmの有孔貨幣として設計されています。
表面には菊花紋章、旭光、瑞鳥である金鵄、五錢の文字が描かれ、裏面を彩るのは勾玉をつないだ連環文様と桜花です。
昭和8年から昭和12年銘は製造枚数が多い一方、極めて特異な位置にあるのが昭和13年銘でしょう。
造幣局の製造記録には昭和13年が含まれるものの、日中戦争の進展に伴ってニッケルの回収と軍事転用が進み、正式発行には至りませんでした。
製造された硬貨の多くが鋳潰されたとされ、現存例はごく少数です。通常流通品とは性質が異なる、極めて希少な不発行貨として知られています。
5銭アルミニウム青銅貨
昭和13年から昭和15年にかけて発行されたのが、5銭アルミニウム青銅貨です。ニッケルの使用停止に伴い、代用素材として銅950・アルミニウム50の合金が採用されました。
重量は2.80g、直径は19.00mm、孔径は4.00mmで、中央に穴が開けられています。
表面には菊花紋章と桐文様、裏面には左右に二分した二重桜花と大日本、年号が刻まれ、新品時には鮮やかな黄金色の光沢を放ちました。
発行期間は短いものの、流通を支えるためにまとまった枚数が製造されています。
保存環境や取り扱い方によって表面が変色することがあり、光沢や表面の状態も評価に影響するでしょう。
5銭アルミニウム貨
昭和15年には、純アルミニウム製の5銭貨が採用されました。製造は昭和18年まで続き、中央の穴は廃止されて直径19.00mmの無孔貨幣となっています。
表面には菊花紋章、瑞雲、五錢、裏面には金鵄と大日本、年号が描かれました。
その後、アルミニウムが航空機材料として重要性を増したことから、資源節約のため重量が段階的に引き下げられます。
図案はそのままに、規格だけが3段階で軽くなっていきました。
✔ 昭和15年〜昭和16年前期:基準重量1.2g
✔ 昭和16年後期〜昭和17年:基準重量1.0g
✔ 昭和18年:基準重量0.8g
昭和16年銘には1.2g型と1.0g型の双方があり、精密な秤で量れば仕様の違いを確認できます。純アルミニウムは軟らかい金属で、流通時の擦れや打ち傷が付きやすい素材です。
穴あき5銭錫貨
アルミニウムの使用量削減が進むなか、昭和19年には5銭硬貨の素材が錫主体の合金へ変更されました。こうして登場したのが穴あき5銭錫貨です。
材質は錫930・亜鉛70、重量は約1.95g、直径は17.00mm、孔径は4.00mm。表面には菊花紋章と桐文様、瑞雲が刻まれ、裏面には大日本と年号が記されています。
同年8月には錫の調達も難しくなり、製造は中止になったとされています。
錫を主体とするこの硬貨は比較的軟らかく、流通時の摩耗や保管環境による表面変化が生じることもあります。
そのため、刻印の残り方や変色・腐食の程度も状態評価のポイントになるでしょう。
鳩5銭錫貨
鳩5銭錫貨は、5銭硬貨として最後の銘柄です。
昭和20年銘と昭和21年銘が知られており、日本銀行資料では発行開始を昭和21年(1946年)としています。昭和21年10月に製造を終えました。
材質は穴あき錫貨と同じ錫930・亜鉛70の合金で、標準重量は2.00g、直径は17.00mmの無孔貨です。
最大の特徴は、終戦に伴う図案の変更にあります。
表面には平和の象徴である鳩が羽ばたく姿と菊花紋章が描かれ、裏面には桐紋と算用数字の5、そして戦前までの大日本に代わって日本政府の文字が刻まれました。
大量に製造されたため残存数は多い硬貨です。傷みやすい錫素材でありながら、鳩の羽の筋目が鮮明に残り、表面に腐食のない未使用品は評価も高まるでしょう。
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5銭硬貨の価値を左右するポイント

お手元の5銭硬貨を評価するとき、専門家は硬貨が持つ素性と現在の状態を総合的に照らし合わせます。
発行数や現存数が少ない特年・希少年号
貨幣の市場価値を形づくる基本原理は、需要と供給のバランスです。
製造枚数が少なかった年号や、その後の回収や戦災によって現存数が絞られた硬貨は、市場に出てくる頻度が低く、希少性が高まります。
菊5銭白銅貨の明治28年銘と稲5銭白銅貨の明治36年銘は、その代表例でしょう。
同種の並年銘と比べて現存数が限られ、収集家からの引き合いが集まります。竜5銭銀貨の明治7年銘のように、製造枚数の順位以上に市場で高く評価される年号も見逃せません。
図柄や文字が異なる手変わり
近代初期の硬貨には、同じ年号でも細部の彫刻が異なる手変わりが存在します。
手変わりとは、同じ型式の硬貨でも、使用された極印の違いなどによって繰り返し確認される図柄や文字の差異です。偶発的な打刻ずれや製造エラーとは区別して扱われます。
旭日竜5銭銀貨の明瞭ウロコ、竜5銭銀貨のハネ明や止銭、旭日大字5銭銀貨の前期型・後期型が、代表的な手変わりとして体系化されてきました。
通常の刻印を持つ硬貨より現存数が少ないものは、収集市場で独自のプレミアムを形成します。微細な線のつながりや跳ねの有無が、評価を引き上げる決め手になるのです。
保存状態
評価額に大きく影響するのが保存状態です。国内の古銭市場では、未使用品、極美品、美品、並品などの状態表示が広く使われています。
具体的な判定基準は業者ごとに定められているため、同じ「美品」でも店によって幅が生じる点は覚えておきたいところです。
観察されるのは、金属表面の光沢だけにとどまりません。
流通による刻印の摩耗、落下や接触による打ち傷、薬品などによる人為的な洗浄跡、経年による腐食の程度までが総合的に見られます。
菊花紋章の花弁の筋や竜の爪、稲穂の粒といった繊細な彫刻が製造当時の鋭さを保っている個体は、並品より明確に高く評価される傾向です。
5銭硬貨を見つけたときの扱い方と保管方法

古い5銭硬貨を見つけた際は、取り扱い方ひとつで、その後の評価が変わってきます。状態を変えずに保つための基本原則と保管方法を確認しておきましょう。
自己流の洗浄や研磨を避ける
古い硬貨を見つけると、黒ずみや汚れを落としてきれいにしたくなるかもしれません。
古銭の場合は、金属磨きや研磨剤、重曹、硬いブラシ、薬品などを使って自己流で磨かないことが大切です。
研磨剤やブラシを使うと、金属の表面に細かな擦り傷が生じ、元の表面状態を損なうことがあります。
収集市場では、人為的な洗浄や研磨の跡がある硬貨は洗浄品や傷物として扱われ、貴重な特年銘であっても評価が下がる要因となるのです。
長い年月のなかで自然に形成された変色や風合いは、その硬貨がたどってきた歴史の証拠です。
表面の汚れや腐食への処置が必要だと感じた場合は、専門家に相談して判断を仰ぎましょう。
元の箱や台紙は残し、硬貨は安定した環境で保管する
硬貨が古い桐箱や紙袋、アルバム、台紙などに収まっていた場合、その箱や包み紙は捨てずに残しておきましょう。
手書きのメモなど、入手経路や保管状況を示す記録が残されていることもあり、整理するうえで貴重な手がかりになります。
古い紙や塩化ビニールを含むビニール、木材のなかには、酸や可塑剤、揮発成分によって金属を傷めるものがあります。
硬貨と直接触れている容器の材質が不明な場合は、保存用の不活性なホルダーへ硬貨を移し、元の箱や台紙は来歴資料として別に保管すると安心です。
保管場所には、高湿度や急激な温湿度変化を避けられる、乾燥した安定した環境を選びます。
硬貨同士が触れ合わないよう個別に保護し、確認するときは表裏面に触れずに縁を持つと、皮脂の付着を抑えられるでしょう。
まとめ

明治から昭和にかけて発行された5銭硬貨は、日本の近代化と激動の時代背景を色濃く映し出しています。
銀貨から白銅貨、そして戦時体制下のニッケル、アルミニウム、錫へと移り変わった12種類の硬貨には、それぞれ固有の歴史と特徴がありました。
現在の価値を大きく左右する要素として、年号、手変わり、保存状態が挙げられます。
菊5銭の明治28年銘や稲5銭の明治36年銘といった特年銘、旭日竜の明瞭ウロコや竜5銭のハネ明といった手変わり、そして当時の姿をきれいに留めた保存状態が重なることで、古銭市場での評価が大きく高まることがあります。
自宅で見つかった硬貨は、自己流で磨くことを避け、元の箱や台紙は来歴資料として残しながら、硬貨本体を安定した環境で保管することが大切です。
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5銭硬貨の価値に関するよくある質問
古い5銭硬貨をお持ちの方から寄せられる疑問について回答します。
現在でも支払いに使える?
5銭硬貨は昭和28年12月31日限りで通用力を失っており、現在の買い物などの支払いには使えません。
根拠となるのは、昭和28年(1953年)に公布・施行された「小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律」です。
現代の法律でも「銭」は1円の100分の1を表す計算単位として残されています。硬貨そのものは、古銭・歴史資料として市場で取引される存在となりました。
汚れやサビがあっても価値はある?
汚れや変色、青サビのある硬貨でも、古銭としての価値が認められる例は数多くあります。
硬貨の価値は表面の美観に加えて、年号の希少性、手変わりの有無、現存数が総合的に考慮されて決まるためです。
磨くと表面に傷が付いて評価を損ねるおそれもあるため、そのままの状態で査定や鑑定に出すことをおすすめします。
陶器製の5銭が存在するのは本当?
陶器で作られた5銭は実在します。昭和20年の戦争末期、金属資源が極限まで不足するなかで、有田や瀬戸、京都などの製陶所において粘土を焼成した陶貨が製造されました。
流通開始の前に終戦を迎えたため正式には発行されず、多くが破棄された未発行貨です。本記事で整理した12種類とは別枠の特殊な硬貨となっています。
銀行で現在のお金に交換できる?
銀行の窓口に持参しても、現在の通貨への両替や交換は受け付けられません。
昭和28年の法律によって小額通貨が失効した際、法定の引換期間は原則として昭和29年1月4日から6月30日まででした。
現金化を希望する場合は、古銭としての価値を評価できる買取業者や専門店に相談するのが現実的な方法です。

