フィルムカメラとは?特徴や種類を解説【カメラの豆知識】
スマートフォンやデジタルカメラで手軽に写真が撮れる現代において、あえてフィルムカメラを選ぶ人が増えています。デジタル全盛の時代に、フィルムカメラが再び注目されているのはなぜでしょうか?
それは、デジタルでは再現できない独特の風合い、アナログ操作ならではの撮影体験、そして所有する喜びなど、フィルムカメラだけが持つ魅力があるからです。
今回のコラムでは、カメラ初心者の方に向けて、フィルムカメラとは何か、その特徴や種類、そして現代におけるフィルムカメラの魅力について詳しく解説。この記事を読み終える頃には、フィルムカメラに対する理解が今よりもずっと深まります。ぜひ最後までご覧ください。
目次
「フィルムカメラ」とは?
フィルムカメラとは、デジタルセンサーの代わりにフィルムを使用して画像を記録するカメラです。フィルムには感光剤が塗布されており、レンズを通過した光がフィルムに当たることで「化学反応」が起こり、像が焼き付けられます。
フィルムカメラの歴史は古く、ロール型のフィルムは1888年にアメリカの「イーストマン・コダック社」によって初めて発売されました。その後、1935年には同社からカラーフィルムも発売され、フィルム技術の進化とともにカメラ本体の小型化・高性能化が進みます。
1925年には、現代のフィルムカメラの原型となる「ライカA型」がエルンスト・ライツ社から発表。このカメラは、現在でも世界中で最も多く使用されている35mmフィルム規格の礎を築きました。
日本では1928年に旭日写真工業が「菊フヰルム」を発売し、国産初のロールフィルムが登場。
さらに1941年には小西六(のちのコニカ、現コニカミノルタ)から日本初のカラーフィルム「さくら天然色フィルム」が発売されるなど、日本の写真技術も急速に発展しました。
デジタルカメラの普及以前は約100年間、フィルムカメラが写真の主役でした。
近年では、フィルムカメラとあわせて「オールドレンズ」にも注目が集まっています。オールドレンズは、現代のレンズとは異なる描写特性を持ち、フィルムカメラと組み合わせることで独特の表現が可能です。
※オールドレンズについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。
→ 古いレンズは売れる?オールドレンズの特徴やメリット・デメリットについて
「フィルムカメラ」の特徴
フィルムカメラには、デジタルカメラにはない独特の魅力があります。
ここでは、主な特徴を3つ紹介します。アナログならではの個性的な特徴が、フィルムカメラ最大の魅力ともいえるかもしれません。
写真のプリントアウトが必要
フィルムカメラは、撮影した画像をその場で確認できません。撮影後、フィルムを現像し、専用紙にプリントアウトする必要があります。
現像・プリントには時間と費用がかかりますが、その過程があるからこそ、1枚1枚の写真を大切にする気持ちが生まれます。
また、プリントアウトを待つ間のワクワク感も、フィルムカメラならではの楽しみといえるでしょう。
フィルムカメラならではの表現力
フィルムカメラは使用するフィルムの種類によって、写真の仕上がりが大きく変化します。メーカーや種類によって、色味、粒状感、コントラストなどが異なり、多様な表現が可能です。
たとえば、「粒状性(りゅうじょうせい)」が強いフィルムは、ざらついた質感でレトロな雰囲気を「写真表現」として演出できます。
写真が柔らかく温かみのある仕上がりになるのは、フィルムカメラならではの表現力や特徴であるといえます。
モノとして所有する喜びがある
現在、復刻版など一部のカメラを除き、フィルムカメラの新製品はほとんど製造されていません。そのため、フィルムカメラを使う場合は、中古品を購入するのが一般的です。
なかには、20~30年以上前のヴィンテージカメラもあり、時代を感じさせるノスタルジックなデザインや、フィルムを手動で回すなどのアナログ感が特徴です。
デジタル製品にあふれる現代において、そんなアナログ感が逆に新鮮であると評価され、フィルムカメラが再びブームとなっています。
どこかレトロな雰囲気を持ったフィルムカメラは、その存在自体にカッコよさがあり、当時は新品で買えなかった高価な機種を、中古品で所有する方も増えているのです。
デジタルカメラと比べると不便で非効率ではありますが、むしろそれを個性として捉えてフィルムカメラを選ぶ方も多く、所有欲を満たしてくれる最高のカメラとして人気が高いのも、フィルムカメラの特徴です。
「フィルムカメラ」の種類
フィルムカメラには様々な種類があります。ここでは「フィルムカメラの種類」として代表的な7つの種類を紹介します。
最近では若い世代の方や、「カメラ女子」と呼ばれるような女性の方々が、フィルムカメラを所有されるケースも増えています。
一眼レフカメラ
一眼レフカメラは、レンズを通して入ってきた光をミラーで反射させ、ファインダーに映し出すことで、撮影する画像を直接確認できるカメラです。
撮影時にはミラーが跳ね上がり、光がフィルムに到達して画像が記録されます。「レフ」とは反射という意味で、ミラーで光を反射させていることから一眼レフと呼ばれます。
一眼レフカメラの最大の特徴は、レンズ交換が可能なことです。
標準レンズ以外にも、単焦点レンズ・広角レンズ・望遠レンズ・マクロレンズ・魚眼レンズなど、様々なレンズを装着することで、多様な撮影表現が可能です。
被写体や撮影シーンに合わせて最適なレンズを選べるため、撮影の幅が大きく広がります。一般的に35mmフィルムを使用します。
二眼レフカメラ
二眼レフカメラは、上下に2つのレンズが配置された独特の形状が特徴のカメラです。主に、上のレンズでファインダー(ファインダー用レンズ)を覗き、下のレンズで撮影(撮影用レンズ)を行います。
ファインダーに映る画像は左右が逆さまになっているため、慣れるまでは少し戸惑うかもしれません。しかし、その独特の操作感も二眼レフカメラの魅力のひとつです。
二眼レフカメラで撮影される写真は、正方形(スクエアフォーマット)であることが一般的です。
このスクエアフォーマットは、独特の構図や世界観を表現するのに適しており、近年、若い世代を中心に人気が高まっています。主に120フィルム(中判フィルム)を使用します。
コンパクトカメラ
コンパクトカメラとはその名のとおり、小型軽量で持ち運びに便利なカメラです。ポケットやバッグに手軽に収納できるため、日常のスナップ撮影や旅行など、様々なシーンで活躍します。
多くのコンパクトカメラはレンズ交換ができない固定レンズ式で、操作もシンプルです。そのため、カメラ初心者でも気軽に扱えるのが魅力です。
35mmフィルムを使用するため、フィルム代やプリント代も比較的安価です。
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レンジファインダーカメラ
レンジファインダーカメラ(距離計連動カメラ)は、「距離計」を使ってピントを合わせるカメラです。
ファインダー内に二重像が表示され、この二重像を合わせることでピントを合わせます。一眼レフカメラのようにミラーがないため、小型軽量で静音性に優れているのが特徴です。
ライカに代表される高級機種が多く、操作にはある程度の慣れが必要です。
しかし、レンジファインダーカメラならではの速写性や静音性は、ストリートスナップや報道写真など、特定の撮影シーンで大きなメリットとなります。35mmフィルムを使用します。
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中判カメラ
中判カメラは、35mmフィルムよりも大きな120フィルムや220フィルム(中判フィルム)を使用するカメラです。
フィルムサイズが大きいため、35mmフィルムよりも高画質で、より多くの情報を記録できます。また、大きなボケ味を活かした印象的な写真も撮影が可能に。
中判カメラには、一眼レフタイプ・二眼レフタイプ・レンジファインダータイプなど、様々な種類があります。ハッセルブラッド・マミヤ・ローライなど、名機と呼ばれる機種が多く存在し、プロの写真家にも愛用されています。
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大判カメラ
大判カメラは「シノゴ」と呼ばれる、「4×5インチ(102×127mm)」以上の大きなシートフィルムを使用するカメラです。フィルムサイズが非常に大きいため、極めて高精細で高画質な写真が撮影できます。
風景写真や建築写真など、細部まで鮮明に表現したい場合に最適です。
大判カメラ最大の特徴は何といっても、使用するフィルムの画面サイズが大きいことでしょう。4×5(シノゴ)フィルムと35mmフィルムを比べた場合、およそ13倍もフィルム面積の違いがあります。
シノゴの次に「エイト・バイ・テン」「バイテン」ともいわれる、「8×10インチ(203×254mm)」の撮影フォーマットが普及しています。
大判カメラは、「アオリ」と呼ばれるレンズの傾きを調整する機能を備えていることが多く、被写体の歪みを補正したり、特殊な表現をしたりすることも可能です。
操作は複雑ですが、その分、撮影の自由度が高く、様々な表現に挑戦できます。
インスタントカメラ
インスタントカメラは、撮影後すぐにプリントアウトできるカメラです。日本では「ポラロイドカメラ」や富士フイルムの「チェキ」などが有名ですね。
なんといっても、現像の手間がなく、その場で写真が手に入る手軽さが魅力です。また、独特の風合いを持つ写真が撮影できるのも特徴です。
近年では、デジタルデータも保存できるハイブリッドタイプのインスタントカメラも登場しており、アナログとデジタルの両方を楽しめます。
レトロな雰囲気や現像するまでのワクワク感を手軽に楽しめることから、若者を中心に人気が高まっています。
まとめ
この記事ではカメラ初心者の方に向けて「フィルムカメラとは何か?」をメインに、その特徴や種類について解説しました。
フィルムカメラは、カメラ本体に別売りのフィルムを入れて撮影することで、フィルムに画像を記録できる仕組みを持ったカメラです。デジタルカメラが普及するまでは、一般家庭からプロまで広く使われていました。
近年では使用される機会が少なくなったフィルムカメラですが、デジタルカメラやスマートフォンなどのデジタルデバイスが普及したことで、逆にそのアナログ感が新鮮で価値があると見直され、再びフィルムカメラへの注目が集まっています。
フィルムカメラをもっと知りたい方は、当コラム内でお伝えしたフィルムカメラの特徴や種類なども参考にしていただき、フィルムカメラを深堀りしてみてはいかがでしょうか。
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