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- 2023.09.30
《中国切手》人民解放軍建軍30周年の種類と特徴を解説!中国の軍事切手一覧

1957年に発売の中国切手「人民解放軍建軍30周年」の種類や特徴について解説します。
「南昌蜂起」をきっかけとして誕生する「中国人民解放軍」が切手のテーマとなった記念切手で、切手買取市場でも高価買取事例のある中国切手です。
本記事では、全4種の切手の詳細な図案解説から、現在の市場価値、そして「軍事切手」というジャンルの中での位置づけや比較など。
収集家やお手元に切手をお持ちの方が知りたいはぜひ最後までご覧ください。
「人民解放軍建軍30周年」切手とは

人民解放軍建軍30周年切手は1957年に中国で発売された記念切手です。
中国人民解放軍の建軍30周年は、中国人民解放軍の設立から30年を記念するための節目です。同切手セットはこれを祝う目的での発行となります。
中国人民解放軍は、1927年8月1日に南昌での南昌蜂起とともに設立されました。このため、毎年8月1日は中国で「建軍節」として祝われています。
査定・出張費・手数料はすべて無料。
「人民解放軍建軍30周年」切手の特徴やデザイン

中国切手「人民解放軍建軍30周年」は、全4種類のデザインで構成されています。
建軍のきっかけとなった出来事やその後の人民解放軍の活動など、30年の歴史を振り返るシーンが占めています。
4種類とも、さまざまな芸術家による油絵が再現された切手デザインが特徴です。それぞれのデザインテーマは以下のとおり。
✔ 南昌における蜂起(額面4分、発行枚数600万枚)
✔ 毛主席と朱徳両軍の合流(額面4分、発行枚数600万枚)※12月15日発行
✔ 八路軍の黄河渡河(額面8分、発行枚数800万枚)
✔ 南京の解放(額面8分、発行枚数800万枚)※12月15日発行
「南昌における蜂起」(紀41. 4-1)の図案
南昌における蜂起の原画は、著名な画家である「莫朴」による油絵とされています。この図案は、1927年8月1日に江西省南昌で起きた武装蜂起の準備シーンを描いたもの。
中央で翻る大旗のもと、兵士たちが腕を振り上げ、決起の雄叫びを上げている様子が伝わってきます。これが、中国人民解放軍の直接的な誕生のきっかけとなりました。
この歴史的事件は、立場によって呼称が異なります。
中国共産党側からは「南昌起義」と呼ばれ、輝かしい革命の始まりと位置付けられています。
一方で、対立した国民党側からは「南昌暴動」と呼ばれることもありました。
第三国である日本では、中立的な表現として「南昌蜂起(なんしょうほうき)」という呼称が一般的に用いられますが、これらはすべて同じ出来事を指しています。
「毛主席と朱徳両軍の合流」(紀41. 4-2)の図案
毛主席と朱徳両軍の合流は、「王式廓」が描いた絵に基づくデザインになっています。
南昌蜂起の後、各地で活動していた共産党の部隊は、国民党軍の追撃を受け、厳しい状況にありました。
この切手は、1928年4月に、毛沢東が率いる「秋収蜂起」の部隊と、朱徳や陳毅が率いる「南昌蜂起」の残存部隊が、江西省と湖南省の境界にある井崗山で合流を果たした歴史的な瞬間を描いています。
この合流により、中国共産党は初めてまとまった規模の軍事力(「中国工農紅軍第四軍」を結成)を持つことになり、その後の革命運動の大きな基盤となりました。
「八路軍の黄河渡河」(紀41. 4-3)の図案
八路軍の黄河渡河は中国の芸術家「彦涵」の絵に基づいたデザインです。八路軍が戦場に赴く様子がうかがえます。
八路軍とは、日中戦争が勃発した後の1937年、国民党と共産党が一時的に協力した際に、共産党の主力部隊(紅軍)が国民革命軍第八路軍として再編された際の呼称です。
この切手は、八路軍が抗日戦争の激戦地である華北へ向かうため、中国文明の象徴である「黄河」を渡る情景を描写。
川を渡り終えた兵士たちが、現地の人々から熱烈な歓迎を受けている様子が描かれており、人民と共に戦う軍隊の姿を象徴しています。
「南京の解放」(紀41. 4-4)の図案
南京の解放では、南京市民が人民解放軍を歓迎している場面が描かれています。
日中戦争後、国民党と共産党の協力関係は決裂し、再び内戦が勃発。当初は国民党軍が優勢でしたが、人民解放軍(1946年に八路軍などから改称)が次第に戦局を逆転させました。
この図案は、1949年4月23日、人民解放軍が国民党政府の首都であった「南京」を占領した場面を描いています。
街中を進む戦車、風になびく無数の赤旗、そして歓喜する市民の姿が非常に印象的なデザインです。
この「南京解放」は、共産党の勝利と中華人民共和国の成立(同年10月1日)を決定づける象徴的な出来事でした。
▼中国切手「人民解放軍建軍30周年」の詳細
・発行日:1957年8月10日
・額面:4分、8分(※100分=1元)
・切手デザイン:全4種類
・発行枚数:600万枚~800万枚
発行日が2回に分かれている点について
この切手セットは発行日が2回に分かれています。
「南昌における蜂起」と「八路軍の黄河渡河」は8月10日に発行
「毛主席と朱徳両軍の合流」と「南京の解放」は12月15日に発行
このように発行日を分けた明確な理由は公式には発表されていませんが、いくつかの推測がされています。
1つは、印刷や製造のスケジュール上の都合という説です。彫刻版という印刷技術が必要であったため、全4種を同時に準備することが難しかった可能性が考えられます。
もう1つは、記念行事を盛り上げるための演出という説です。
8月の「建軍節」に合わせて第1弾を発行し、年末に向けて第2弾を発行することで、30周年の記念ムードを年間を通して持続させる狙いがあったともいわれています。
コレクターにとっては、全4種をそろえるために2度の機会を待つ必要がありましたが、現在ではこの発行日の違いが切手の価値に大きな差を生むことはありません。
「人民解放軍建軍30周年」切手の市場価値

買取福ちゃんでは、人民解放軍建軍30周年切手をはじめとした中国切手の査定買取を行っております。価値のある記念切手の高価買取なら、福ちゃんの査定買取サービスをご活用ください。
人民解放軍建軍30周年切手は、切手買取市場でも額面以上での取引事例が多くある切手です。切手の状態次第では高価買取にも期待できるでしょう。その主な理由は以下の3点。
歴史的な価値
この切手は、中国共産党と人民解放軍が歩んだ「南昌蜂起」から「南京解放」に至るまでの歴史を、4枚の切手で描いた壮大な物語です。
中国近代史の重要な転換点を記録した「歴史的資料」としての価値を持つ切手として扱われています。
著名な画家による芸術的価値
莫朴や王式廓といった、中国を代表する芸術家たちの作品を原画に採用している点も、価値を高める大きな要因でしょう。
彫刻版で再現された原画の力強さや緻密さは、切手というキャンバスのなかで表現されており、アートとしての収集対象にもなっています。
希少性とコレクター需要
発行枚数は600万〜800万枚と、天文学的な希少性とまではいきませんが、発行から60年以上が経過していること、そして文化大革命による混乱期を経て、美しい状態で現存するものはごくわずか。
国内外の中国切手コレクターからの需要は根強く、美品のセットは常に市場で求められる傾向が見られます。
「人民解放軍建軍30周年」だけではない!中国軍事切手とその価値
今回の「人民解放軍建軍30周年」は、これら他の軍事切手と比較してどのような価値を持つのでしょうか。代表的な切手の相場例を比較してみましょう。
| 切手名 | 発行年 | 参考買取相場 (完品) |
特徴 |
|---|---|---|---|
| 人民解放軍建軍25周年(紀17) | 1952年 | 500円~1,500円 (4種完セット) |
ペア中間目打ちもれなどはプレミアで1万円以上も。 |
| 人民解放軍建軍30周年(紀41) | 1957年 | 5,000円~10,000円 (4種完セット) |
芸術性が高い。新中国初期の記念切手として人気。 |
| 人民解放軍建軍41周年(文11) | 1968年 | 1,500円~4,000円 (1種完) |
プロパガンダの側面が強い切手。 |
| 人民解放軍建軍50周年(J20) | 1977年 | 500円~3,000円 (5種完セット) |
文革直後。発行枚数が比較的多く、集めやすい。 |
※上記の相場は、シミ・ヤケ・破れ・ヒンジ跡などがない「美品」の状態を基準とした一例です。
※実際の買取価格は、切手の現物の状態、希少性、市場の需要などによって大きく変動します。最新の正確な価格については、必ず査定を受けてご確認ください。
記念切手の価値を上げるポイント

お手持ちの「人民解放軍建軍30周年」切手の価値を最大限に引き出すためには、査定時にどのような点がチェックされるかを知っておくことが重要です。
状態(シミ・ヤケ・カビ・破れ)
切手の保存状態は最重要項目です。日本の気候は湿気が多いため、切手にシミや黄ばみ(ヤケ)、カビが発生しやすい環境です。
また、紙製品であるため、折れや破れ、欠けなども査定額に大きく影響します。暗く湿気の少ない場所で、切手専用のストックブックやファイルに入れて保管しましょう。
しばらく利用しない場合には切手が劣化する前に少しでも早いタイミングで買取に出すのもオススメです。
裏糊(うらのり)の有無
切手の裏側に塗られている糊が、発行当時のまま綺麗に残っている状態(「糊あり」「裏糊美品」と呼ばれる)は、高く評価されます。
使用済みはもちろん、水に濡れて糊が落ちてしまったり、アルバムに貼り付いて糊が劣化したりしていると、減額の対象となるため注意しましょう。
ヒンジ跡
かつての切手収集では、「ヒンジ」と呼ばれる蝶番のような小さな紙片で切手をアルバム台紙に貼る方法が主流でした。
しかし、このヒンジを剥がした跡が残っていると、現代のコレクション市場ではヒンジ跡として扱われ、査定額が下がってしまいます。
セット(4種完)であるか
この切手は4種類すべてがそろった「4種完セット」だと価値が高まります。バラの状態でも買取は可能ですが、もし全種お持ちの場合は、セットで査定に出すことをオススメします。
まとめ

1927年8月1日、中国共産党の指導の下、朱徳、周恩来などの指導者たちによって南昌で武装蜂起が行われました。この蜂起は、国民党による共産党員への大規模な弾圧に対抗するものです。
しかし、蜂起は失敗し、蜂起の指導者たちは他の地域へと撤退します。それでも、この南昌蜂起は中国共産党にとって、武装の必要性と軍事力形成の重要性を確認する契機となりました。
人民解放軍建軍30周年を記念して発行された今回の切手は、中国の近代史において非常に重要な時期を象徴しています。
繊細かつ巧みにデザインされた切手、そしてそれぞれの切手が伝える独自のストーリー。
これらは切手収集家や歴史愛好者にとって魅力的であり、複数の要素が組み合わさることで、切手の価値はさらに高まります。
切手発行に至った背景やそれぞれが描く歴史的なエピソード、芸術的価値などを考慮すると、枚数限定の人民解放軍建軍30周年切手は価値のある切手といえるでしょう。
「人民解放軍建軍30周年」切手に関するQ&A
最後に、お客様からよく寄せられるご質問とその回答をまとめました。
Q1. この切手は今でも郵便に使えますか?
A1. 中国では販売停止でも停用指定がない限り、旧切手は郵便に有効です(現行料金に合うよう複数枚貼付など)。ただし窓口運用に揺れがあるため、実用よりもコレクション用途が一般的です。
また、日本国内の郵便に使用することはできません。これらは収集用の切手として扱われます。
Q2. バラ(1枚)だけでも買取してもらえますか?
A2. はい、喜んで買取いたします。バラ1枚からでも査定・買取は可能です。
ただし、4種類すべてがそろった「4種完セット」の状態が最も高い評価となります。もし他の種類もお持ちでしたら、ぜひご一緒にお出しください。
Q3. シミや黄ばみがあって状態が悪いのですが、価値はゼロですか?
A3. 価値がゼロになるとは限りません。
シミや黄ばみ、折れなどがある場合、美品に比べて査定額は下がってしまいますが、「人民解放軍建軍30周年」切手は元々の価値が高いため、状態が悪くてもお値段がつくケースが多くあります。
ご自身で「これはダメだろう」と判断なさらず、まずは一度、福ちゃんの切手査定を受けることをオススメします。
Q4. 切手アルバムに貼りついてしまっています。
A4. 無理に剥がそうとしないでください。
切手アルバム(とくに古い黒台紙のもの)に貼りついた切手を無理に剥がそうとすると、切手が破れたり、裏皮が剥がれて「傷物」になってしまい、価値が大きく下がってしまいます。
アルバムに貼り付いた状態のままで、そのまま査定にお出しください。経験豊富な査定士が、最適な方法で価値を判断いたします。

