- 古銭
- 2025.01.23
ヤン・ファン・リーベックと9つの意匠|南ア「1966年銘 金貨銀貨セット」を読み解く

南アフリカ共和国の通貨は、その激動の歴史を映す鏡のように、変遷を重ねてきました。
当記事では、1966年に発行された希少な「金貨・銀貨セット」に焦点を当て、コインの芸術性と歴史的背景、現代における価値について深掘りします。 南アフリカの雄大な自然と豊かな文化を精緻に表現したこのコインセットは、世界中の愛好家たちが探し求める、至高のコレクションアイテムです。
アフリカ古銭にご興味をお持ちの方や、アフリカ古銭の売却をお考えの方は、ぜひ最後までご一読ください。
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目次
南アフリカ共和国「1966年銘金貨銀貨セット」とは?

1961年、南アフリカはイギリス連邦を離脱し、完全な共和国として新たな歴史を刻み始めました。
この大きな転換期に、通貨制度も刷新されます。
従来のポンド・システムに代わり、独自の通貨単位「ランド(Rand)」を導入することが決定したのです。
この通貨改革の一環として、1961年から1983年にかけて、多種多様な記念貨幣や流通貨幣が発行されました。
その中でも、「1966年銘 金貨銀貨セット」は、当時の南アフリカにおける貨幣製造技術の粋を集めた、特別な存在といえるでしょう。
セット内の各コインには、南アフリカの多様な自然や歴史をモチーフとした、個性豊かなデザインが施されています。 それらのデザインには、目覚ましい発展を遂げる国の姿と、新たなアイデンティティ確立への強い意志が投影されています。
とくに、金貨と銀貨は国家の象徴としての役割を担う、重要な意味を持つものでした。
これらのコインは、当時の「プレトリア造幣局」で製造され、発行直後から世界中のコレクターの注目を集めました。
各コインのデザインとその背景を知ることは、南アフリカの自然や文化、そして当時の政治情勢を理解する上で、貴重な手がかりとなるのです。
南アフリカ「1966年銘 金貨銀貨セット」の種類と特徴
このコインセットは、金貨・銀貨・ニッケル貨・銅貨で構成されています。
特筆すべきは、表面のデザインです。
すべてのコインが、南アフリカの歴史的偉人「ヤン・ファン・リーベック(1619-1677)」の肖像画で統一されているのです。
彼は「オランダ東インド会社」の社員として、1652年にケープタウンを建設したことで知られています。
南アフリカの歴史を語る上で欠かせない「最重要人物の1人」です。
興味深いことに、肖像は硬貨の額面によって異なる角度や表情で描かれており、それぞれに個性的な魅力が宿っています。
表面のデザインで歴史的意義を強調する一方、裏面には異なるデザインを採用。南アフリカが誇る豊かな自然や文化が、生き生きと表現されています。
ここからは、当セットに含まれる主要コインの「裏面デザイン」を中心に、詳しく見ていきましょう。
種類1:「2ランド金貨」

セットの中で、最も額面が高い2ランド金貨。
素材には22金(純度91.7%)が用いられ、その輝きは格別です。
裏面には、南アフリカを代表する動物「スプリングボック」が、今にも駆け出しそうな躍動感あふれる姿で描かれています。
高く跳躍するその姿は、国家の発展と未来への飛躍を象徴しています。
▼南アフリカ共和国「2ランド金貨」の概要
・品位:金91.7%
・重量:約7.99g
・直径:約22mm
・厚さ:約1.57mm
・額面:2ランド
種類2:「1ランド金貨」

2ランド金貨と同じ、純度91.7%(22金)の金を使用しながらも、直径約19.5mmと、より小ぶりなサイズに仕上げられた1ランド金貨。
しかし、その小ささの中に、高度な彫刻技術が凝縮されているのです。
裏面には、2ランド金貨と同様に「躍動感あふれるスプリングボック」が描かれています。より小さなサイズに合わせて構図が見事に調整され、完璧なバランス美を実現しています。
小さいながらも、その精緻な美しさは、まさに小さな芸術品といえるでしょう。
▼南アフリカ共和国「1ランド金貨」の概要
・品位:金91.7%
・重量:約3.99g
・直径:約19.5mm
・厚さ:約1.1mm
・額面:1ランド
種類3:「1ランド銀貨」

高品位の銀(純度80%)を使用した、流通貨幣における最高額面です。
裏面には、右向きのスプリングボックが優雅に佇む姿が描かれています。
「SOLI DEO GLORIA(神にのみ栄光)」の銘文が、厳かな雰囲気を添えています。
写実的でありながら、銀貨特有の柔らかな質感を活かした動物描写は、見事というほかありません。
▼南アフリカ共和国「1ランド銀貨」の概要
・品位:銀80%
・重量:約15g
・直径:約32.7mm
・厚さ:約2.25mm
・額面:1ランド
種類4:「50セントニッケル貨」

ニッケル製の50セント硬貨には、南アフリカを代表する3種類の花が、緻密にデザインされています。
裏面を彩るのは、「アルムリリー(カラーリリー)」「アフリカンリリー(アガパンサス)」「ゴクラクチョウカ(極楽鳥花)」の3種類です。
これらの花々は、南アフリカの豊かな植物相を象徴するだけでなく、文化的にも重要な意味を持っています。
▼南アフリカ共和国「50セントニッケル貨」の概要
・素材:ニッケル
・重量:約9.5g
・直径:約27.85mm
・厚さ:約2.2mm
・額面:50セント
種類5:「20セントニッケル貨」

20セントニッケル貨の裏面には、南アフリカの国花である「キングプロテア」が堂々と描かれています。
その存在感は、まさに“花の王様”。
周囲にあしらわれた小枝のデザインが、全体の美しさを引き立てています。
▼南アフリカ共和国「20セントニッケル貨」の概要
・素材:ニッケル
・重量:約6g
・直径:約24.2mm
・厚さ:約1.84mm
・額面:20セント
種類6:「10セントニッケル貨」

10セントニッケル貨の裏面を飾るのは、ケープタウン地域に自生する「アロエ・スコトリナ」です。
この植物は、伝統医療に用いられる薬草としても知られており、南アフリカの文化や人々の知恵を象徴する存在です。
鋭い葉の形状など、細部まで精巧に表現され、南アフリカの自然の神秘と美しさを伝えています。
▼南アフリカ共和国「10セントニッケル貨」の概要
・素材:ニッケル
・重量:約4g
・直径:約20.7mm
・厚さ:約1.7mm
・額面:10セント
種類7:「5セントニッケル貨」

5セントニッケル貨の裏面に描かれているのは、南アフリカの国鳥「ブルークレーン」。
細く長い足と優雅な佇まいが、自然の調和と平和を象徴しています。
右側に刻まれた額面が、全体の構図を引き締めるアクセントとなっています。
▼南アフリカ共和国「5セントニッケル貨」の概要
・素材:ニッケル
・重量:約2.5g
・直径:約17.35mm
・厚さ:約1.6mm
・額面:5セント
種類8:「2セント銅貨」

2セント銅貨の裏面に描かれているのは、南アフリカの野生動物「オジロヌー」が力強く歩む姿です。
筋肉の隆起や毛並みの質感など、細部までこだわり抜いた描写は、野生動物の生命力とエネルギーを感じさせてくれます。
銅貨ならではの柔らかな質感が、その躍動感をいっそう引き立てています。
▼南アフリカ共和国「2セント銅貨」の概要
・素材:銅
・重量:約4g
・直径:約22.45mm
・厚さ:約1.71mm
・額面:2セント
種類9:「1セント銅貨」

最小額面の1セント銅貨には、枝にとまる2羽の「ケープスズメ」が描かれています。
日常のワンシーンを切り取ったような、親しみやすいデザインです。
羽毛の柔らかな質感や、枝の精緻な描写など、細部にまで職人技が光ります。
▼南アフリカ共和国「1セント銅貨」の概要
・素材:銅
・重量:約3g
・直径:約19.05mm
・厚さ:約1.57mm
・額面:1セント
南アフリカ「1966年銘 金貨銀貨セット」の市場価値

南アフリカ共和国「1966年銘 金貨銀貨セット」は、希少性の高さから、コインコレクターの間で高い評価を受けています。
オリジナルの箱や付属品が揃っている完品であれば、その価値はさらに高まります。また、金貨や銀貨の状態が良ければ、買取価格の上乗せにも期待できるでしょう。
2ランド金貨と1ランド金貨は、22金(純度91.7%)および純度80%の銀を使用している点が、セット全体の価値を大きく高める要因につながっています。
なお、各コインには、英語表記の「SOUTH AFRICA」と、アフリカーンス語表記の「SUID AFRICA」の2種類の刻印が存在します。
偽物と勘違いして処分したりしないよう、注意しましょう。
福ちゃんでは、古銭の買取を強化中です。
南アフリカの金貨・銀貨セットの買取実績も豊富です。
希少なコインセットでも、専門知識と経験に基づき、適正な査定額をご提示いたします。
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まとめ
「1966年銘 金貨銀貨セット」は、南アフリカの歴史・自然・文化を精緻なデザインで表現した、芸術性の高いコレクションアイテムです。
それぞれのコインに込められた意味を知ることで、その魅力はさらに深まることでしょう。
市場価値も高いこれらの金貨を含む古銭セットをお持ちでしたら、買取専門店での査定をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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