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ヴァレンティノの歴史が始まったのは、1950年代末のことでした。
ミラノ、パリでファッション専門学校に通って服飾の制作技術を身につけ、卒業後は有名な工房でさらなる修業を積んだヴァレンティノ・ガラヴァーニが、1959年に独立してローマに本拠を構えました。
当初はなかなか事業が思うように展開できないでいましたが、翌年に父の援助を受け、経営の知識に長けたパートナーのジャンカルロ・ジャンメッティと組んで「ヴァレンティノ」を立ち上げたことで、成功をつかみます。
優れた経営手腕を誇るジャンメッティのもと、ヴァレンティノ・ガラヴァーニはファッションデザインに全力をそそぐことができたため、質の高いアイテムの数々を思うさま展開することができたのです。

創業から2年後の1962年には、早くもアメリカに進出。イタリア発の新進気鋭の高級ファッションブランドとして注目を浴び、やがて世界的に高く評価されるようになります。
1960年代はヴァレンティノにとってまさに大躍進の時期で、1967年には創業者ガラヴァーニがファッション業界においてたいへん権威のあるニーマン・マーカス賞を受賞しています。
また翌年には、ブランドの名をさらに高めることになった「ホワイトコレクション」を発表して話題を呼びました。文字通り輝くような白一色で表現されたスタイリッシュなデザインが、世界を魅了したのです。ちなみにこのとき、ヴァレンティノの代名詞というべき“V”のマークが採用されるようになりました。

その後も順調に成長を続けたヴァレンティノ。1971年、それまで首都ローマにあったブランドの本拠をミラノに移しましたが、以後「ミラノ＝イタリアファッションの本場」と見なされるようになりました。
さらに、1984年には冬のサラエボオリンピック、夏のロサンゼルスオリンピックでそれぞれイタリア選手団のユニフォームを手がけ、翌々年の1986年にはイタリアで最も権威ある勲章の騎士大十字勲章を授与されました。ヴァレンティノ・ガラヴァーニはその後も多大な功績が評価されて数々の賞を受け、2000年にはアメリカのCFDA(アメリカファッション協議会)により生涯功労賞を授与されています。

2008年、ヴァレンティノ・ガラヴァーニは惜しまれつつファッションデザイナーを引退して一線を退きましたが、ブランドそのものは現在もなお、気鋭のデザイナーやクリエイターによって新たな製品を生み出しており、世界中で人気を博しています。