- 切手
- 2023.06.06
1972年札幌オリンピック記念切手(冬季競技大会)の特徴と詳細、買取市場について解説

今回は1972年に北海道札幌市で開催された「第11回オリンピック冬季競技大会」を記念して発行された、「札幌オリンピック記念切手」の特徴や詳細について紹介します。
切手買取市場でもスポーツの祭典である五輪切手は、人気の高い特殊切手です。
1972年札幌オリンピック記念切手とは

「札幌オリンピック冬季大会記念切手」は、1972年に開催された「第11回オリンピック冬季競技大会(札幌オリンピック)」を記念して発行されたオリンピック記念切手です。
発行された時期は開催前年の1971年と開催当年の1972年の2回に分けられ、それぞれ異なる目的で発行されました。
アジア初の冬季五輪、札幌大会の歴史的背景
1972年2月3日から2月13日にかけて開催された札幌オリンピックは、日本国内においては1964年の東京オリンピックに次いで2度目の五輪開催です。
さらに「アジア初開催の冬季オリンピック」としても歴史に名を刻みました。
実は、札幌での冬季五輪開催は1940年(昭和15年)にも一度予定されていました。
しかし、日中戦争の長期化など時局の悪化により、日本政府は開催権を返上。第二次世界大戦の影響もあり、大会そのものが中止となった経緯があります。
それから32年の時を経て、1972年にようやく実現した札幌大会は、まさに待望の開催。
この国民的な祭典を記念し、盛り上げるために、関連する切手が発行されたのは自然な流れでした。
発行は2回!「募金切手」と「記念切手」の違い
札幌オリンピックの切手と聞いて多くの方がイメージするのは1972年発行のものですが、その前年にも関連切手が発行されています。
この2つは目的もデザインも異なるため、切手収集や買取の世界では明確に区別されます。
1971年発行「札幌オリンピック冬季大会募金切手」
1971年(昭和46年)2月6日に発行された切手は、大会開催の記念というよりも、大会の運営資金を広く国民から集めることを目的とした「寄附金つき切手」です。
切手の額面は「15円+5円」と表記されており、郵便料金として使える15円に、寄附金となる5円が上乗せされていました。
購入することで、札幌オリンピックの開催を支援できる仕組みでした。
1972年発行「札幌オリンピック冬季大会記念切手」
1972年(昭和47年)2月3日、つまり札幌オリンピックの開会式当日に発行されました。これは大会の開催そのものを祝う「記念切手(特殊切手)」であり、寄附金は含まれていません。
一般的に「札幌オリンピック記念切手」と呼ばれるのは、こちらの1972年発行版を指すことが多いでしょう。
査定・出張費・手数料はすべて無料。
1972年札幌オリンピック記念切手の特徴とデザイン

札幌オリンピックに関連する切手は、1971年版と1972年版でデザインや額面が異なります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1971年発行「札幌オリンピック冬季大会募金切手」(全2種)
大会の資金集めのために発行された募金切手は、冬季五輪の花形競技である2種目がデザインに採用されました。当時の公式エンブレムもデザイン内に組み込まれています。
✔ 図柄:スキージャンプ
✔ 額面:15円+5円
✔ 発行枚数:2,000万枚
✔ デザイン:ジャンプ台から飛び出すスキーヤーの姿を縦長の構図で表現
✔ 図柄:アイスホッケー
✔ 額面:15円+5円
✔ 発行枚数:2,000万枚
✔ デザイン:氷上でパックを追う選手たちを横長の構図で表現
1972年発行「札幌オリンピック冬季大会記念切手」(全3種)
大会開会式当日に発行された記念切手は、オリンピック競技のハイライトシーンがデザインされました。
額面は当時の国内郵便料金や国際郵便料金などを考慮して2種類が設定されています。
✔ 図柄:スキー競技(アルペンスキー滑降)
✔ 額面:20円
✔ 発行枚数:3,500万枚
✔ デザイン:雪煙を上げて滑降するスキー選手の姿
✔ 図柄:ボブスレー
✔ 額面:20円
✔ 発行枚数:3,500万枚
✔ デザイン:2人乗りのボブスレーが氷のコースを滑走する場面
✔ 図柄:フィギュアスケート
✔ 額面:50円
✔ 発行枚数:2,000万枚
✔ デザイン:フィギュアスケート選手の演技、背景に競技会場を想起させる図案
1972年発行「3種連刷小型シート」
上記の1972年発行切手3種類(20円2種、50円1種)を1枚にまとめた「小型シート」も、同日に発行されました。
✔ 小型シート(3種連刷)
✔ 額面:90円(20円+20円+50円)
✔ 発行枚数:1,500万枚
この小型シートは、切手が3枚連なった「連刷形式」です。
切手の周囲の余白部分に、札幌オリンピックの公式エンブレム(日の丸、雪の結晶、五輪マークを組み合わせたデザイン)が大きくあしらわれているのが特徴です。
1972年札幌オリンピック記念切手は外国切手も存在する

オリンピックのような世界的なイベントでは、開催国以外も記念切手を発行することが通例となっています。1972年の札幌大会も例外ではありませんでした。
世界各国で発行された札幌五輪切手
アジア初開催の冬季五輪を記念して、世界中の多くの国が札幌オリンピックをテーマにした記念切手を発行しました。
たとえば、東ドイツ(当時)、ハンガリー、チェコスロバキア(当時)、北朝鮮、アラブ首長国連邦、モナコなど、大陸を問わずさまざまな国から発行が確認されています。
外国切手の収集価値と買取の可否
これらの外国切手は、各国の特色を反映した多様なデザインが魅力です。
スキーやスケートといった競技はもちろん、開催地である札幌の風景や日本の文化をモチーフにしたものもあり、収集家を楽しませました。
日本国内の切手買取店においても、これらの外国切手は買取対象となる場合があります。
ただし、国や種類、状態によって価値は大きく異なります。未使用のシートや、保存状態が極めて良好なものであれば、評価がつく可能性もあるでしょう。
もし札幌オリンピック関連の外国切手をお持ちの場合は、日本の記念切手とあわせて査定に出してみることをオススメします。
1972年札幌オリンピック記念切手は高く売れるのか

まず、結論からお伝えすると、札幌オリンピック切手(1971年・1972年発行いずれも)の現在の買取価格は額面どおり、あるいは額面をわずかに上回るケースがほとんどです。
価値がつく可能性のある「初日カバー(FDC)」
額面以上の価値が期待しにくい札幌オリンピック記念切手ですが、例外的に評価される可能性のある品が「初日カバー(FDC)」です。
初日カバー(First Day Coverの略)とは、切手の発行日当日に、その切手を貼った封筒に、発行日当日の日付が入った記念の消印(記念印、特印など)を押してもらったものです。
切手そのものだけでなく、消印や封筒のデザインも含めてひとつの収集品とみなされます。
この札幌オリンピックの初日カバーは、切手単体よりも希少性が高く、収集家からの人気もあります。
1971年(昭和46年2月6日)や1972年(昭和47年2月3日)の日付が入った札幌オリンピックの記念消印が押された封筒をお持ちの場合は、切手単体よりも高い評価がつく可能性もあるでしょう。
札幌オリンピック切手の「テートベッシュ」とは?
1972年発行の札幌オリンピック記念切手のシートには関する「テートベッシュ」というものがあります。
テートベッシュ(Tête-bêche)とは、フランス語で「頭と尾」を意味し、切手の印刷シートの中で、隣り合う切手が上下逆さまに配置されて印刷されている状態を指します。
札幌五輪の切手シートは、このテートベッシュの形で製造されました。
上下逆さまに連なったペアの切手は珍しく、収集家にとっては魅力的なアイテムとなっています。
ただし、これもシート単位での現存数が多いため、テートベッシュのペアであること自体が、直ちに高いプレミア価値を生むわけではありません。
とはいえ、通常のバラ切手よりはコレクション品としての価値が認められやすいといえるでしょう。
他のオリンピック切手との価値比較

「札幌オリンピック記念切手は額面通りなのに、他のオリンピック切手は価値が高いと聞いたことがある」という方もいるかもしれません。切手の価値は、大会ごとに大きく異なります。
価値が高いオリンピック切手の例(1964年東京五輪)
日本で発行されたオリンピック切手の中で、札幌大会より高い価値が認められている代表例が「1964年東京オリンピック記念切手」です。
とくに大会開催前に発行された寄附金つき切手は、デザインの評価も高く、発行枚数が札幌大会に比べて少ない状態でした。
また、切手ブームの黎明期であったことから、現存する美品が相対的に少なく、希少価値が認められています。
状態によっては、額面の数倍から十数倍の価格で取引されることもあるでしょう。
札幌・長野五輪切手の価値が額面に近い理由
一方で、1972年札幌大会や、その後に開催された「1998年長野冬季オリンピック記念切手」は、いずれも買取市場では額面もしくは少し上回った価格帯での評価が多く見られます。
これは両大会ともに、発行当時には切手収集が一般的な趣味として定着しており、郵政省も膨大な需要を見越して、数千万枚から億単位という非常に多くの枚数を発行したためです。
どちらも「希少性」が低いため、プレミア価値がつきにくいのです。
国内開催オリンピック記念切手(小型シート)の価値比較
切手の価値は、大会の知名度や新旧ではなく、主に希少性によって決まります。
日本国内で開催された3つのオリンピックについて、大会開催を祝って発行された「小型シート」を比較すると、その違いは明確です。
| 小型シート | 額面 | 発行枚数 | 買取相場(傾向) |
|---|---|---|---|
| 1964年東京オリンピック記念 (5種連刷) |
135円 | 400万枚 | 約900円~1,100円 |
| 1972年札幌オリンピック冬季大会記念 (3種連刷) |
90円 | 1,500万枚 | 約200円~350円 |
| 1998年長野オリンピック冬季大会記念 (10種連刷シート) |
800円 | 5,000万シート | 約1,000円~1,300円 |
※上記は未使用美品(シミ・ヤケ・ヒンジ跡がない状態)の相場目安です。
※買取価格は、切手買取店や市場の需要、在庫状況によって常に変動します。
札幌オリンピック記念切手を高く売るためのコツ

ここからは「札幌オリンピック記念切手を少しでも高く売りたい」とお考えの場合に、価値を下げないためのコツやポイントを紹介します。
シート状になっているものはそのままで
切手がシート状になっているものは、切り離さずにそのままの状態で査定に出すようにしましょう。
札幌オリンピック記念切手は、3種類の切手がまとまっている「小型シート」が発売されています。シート状で買取に出す方が、バラ切手に比べて高値がつきやすい傾向にあります。
きれいな状態を保てるよう心がける
記念切手の買取価格はコンディションに影響されることがあるため、きれいな状態を保てるようにしておくのが重要です。
長期保存する場合には専用の切手アルバムに入れておくなど、保管方法に気をつけましょう。少しでも良い状態で買取に出すのが高価買取への近道です。
適切な買取業者を選ぶ
切手買取業者では、使用済み切手は一切買取を受け付けてくれない場合がほとんどです。福ちゃんでも基本的には未使用品が大前提となっていますが、初日カバーなどの例外もあります。
少しでも高く売るためには、切手買取の実績の多い業者を選ぶようにしましょう。
まとめ

オリンピック大会は、開催国の歴史と文化を反映した催しです。
そのため、オリンピック記念切手は大会当時の特徴や、その時代の文化を色鮮やかに表現しています。切手は小さなアートワークとも言えますし、切手自体にも美術品としての価値があります。
また、オリンピック記念切手は開催国以外でも発行されるケースも多く、スポーツの祭典を祝う記念品として切手収集家だけでなく一般の人々からも人気があります。
現時点であまり高く評価されていない場合でも、時期やタイミングによって価値が高くなることがあります。お手元にオリンピック記念切手をお持ちの場合には、良い状態に保っておくようにしましょう。
札幌オリンピック記念切手 Q&A
記事の最後に、札幌オリンピック記念切手に関する質問とその回答をまとめます。
Q1: 札幌オリンピック記念切手は今でも郵便に使えますか?
A1: はい、未使用であれば今でも郵便料金として使用できます。
ただし、1971年の募金切手(15円+5円)は、郵便料金として使えるのは「15円」部分のみです。寄附金の「+5円」部分は郵便料金には充当できません。
1972年の記念切手(20円、50円)は、そのまま額面通りの切手として使用可能です。
Q2: 使用済みの札幌オリンピック記念切手に価値はありますか?
A2: 残念ながら、使用済み(消印が押されている)の札幌オリンピック記念切手には、買取価格はつかないケースがほとんどです。
唯一の例外は、前述の「初日カバー(FDC)」です。これは、特定の日の記念消印が押されていること自体に価値があるため、使用済みであっても収集品として取引されます。
Q3: 1971年の募金切手の「+5円」の寄附金は換金できますか?
A3: 寄附金部分(+5円)は、郵便局でも買取店でも換金することはできません。
これは当時、大会運営のために集められた寄附金であり、郵便料金としての価値ではないためです。買取査定の際も、ほとんどの場合がこの+5円部分は評価の対象外となります。
Q4: 1964年東京オリンピックの切手も持っていますが、一緒に売れますか?
A4: はい、もちろんです。1964年東京オリンピック記念切手は、札幌大会の切手よりも高いプレミア価値がつく可能性が高い切手です。
福ちゃんでは、札幌五輪切手、東京五輪切手、それ以外の普通切手や記念切手、外国切手など、お手持ちの切手をすべてまとめて査定・買取することが可能です。ぜひ一緒にお見せください。

