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  • 2025.12.16

ニッカウヰスキーの種類や特徴、歴史を解説!販売する銘柄も紹介

【記事のポイント】

  • ✅ニッカウヰスキーは1934年に創業された日本を代表するウイスキーメーカー
  • ✅「ニッカウヰスキー」は、北海道の余市蒸留所と宮城峡蒸留所の2つの蒸留所を持つ
  • ✅ニッカウヰスキーの代表的な銘柄には「竹鶴ピュアモルト」「シングルモルト余市」などがある

世界的な評価を得ている「ニッカウヰスキー」は、日本を代表するウイスキーブランドといえるでしょう。創業者・竹鶴政孝の情熱から始まった同社のウイスキーは、個性豊かな香りと味わいで多くのファンを魅了し続けています。

本記事では、ニッカウヰスキーの歴史や特徴をはじめ、モルト、グレーン、ブレンデッドといった多彩なラインアップとそれぞれの特徴、さらには知っておきたいトリビアまで、ニッカの魅力を幅広く紹介します。ニッカウヰスキーをもっと楽しみたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

ニッカウヰスキーとは?

ウイスキーの入ったグラス

ニッカウヰスキーは、1934年に創業された日本を代表するウイスキーメーカーです。「日本ウイスキーの父」と呼ばれる創業者・竹鶴政孝のもと、スコットランドの伝統製法を日本の風土に根ざした独自の技術へと昇華させてきました。

まずは、このニッカウヰスキーがどのような歩みをたどってきたのか、90年にわたる歴史の軌跡と竹鶴政孝の情熱あふれる生涯について詳しく見ていきましょう。

ニッカウヰスキーの歴史

ニッカウヰスキーの歴史は、竹鶴政孝が北海道余市町に設立した大日本果汁株式会社から始まりました。1934年7月2日に設立された大日本果汁株式会社は、1952年にニッカウヰスキー株式会社に社名を変更します。

創業当初はリンゴジュースの製造から事業をスタートしました。その理由は、ウイスキーは製造から出荷まで何年もの時間を要するためです。そして、1940年に初のウイスキーである「ニッカウヰスキー」を発売し、本格的なウイスキー製造への道筋を開きました。

しかし、原料不足・需要低下という戦後の混乱期を迎えてしまいます。この事態をりんご製品の製造で事業を維持しつつ、品質重視のウイスキーを作り続けるという工夫で乗り越えます。

その後、1954年に朝日麦酒株式会社が資本参加したことで経営が安定し、1969年に宮城峡蒸留所が竣工し、2つの蒸留所体制が確立されました。

2001年にはアサヒビール株式会社の完全子会社となり、現在に至るまで日本を代表するウイスキーメーカーとして発展を続けています。

ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝の人物像

竹鶴政孝は、「日本のウイスキーの父」と呼ばれる人物です。1894年に広島県竹原市の造り酒屋に生まれた政孝は、幼少期から酒造りの現場に触れて育ちました。

酒造りへの情熱を抱いた政孝は、大阪高等工業学校で醸造学を学び、1918年にスコットランドへ留学します。現地でウイスキーの製造技術を習得し、運命的な出会いを果たしたリタとも結婚しました。

帰国後、1923年に寿屋(現サントリー)に入社し、山崎蒸留所の建設を指揮します。そして、ここで日本初の本格的な国産ウイスキーを生み出しました。

1934年に独立し、理想のウイスキー造りを北海道の余市で開始します。品質へのこだわりと伝統的な製法を貫き通した政孝の情熱は、現在でもニッカウヰスキーの礎であり続けています。

ニッカウヰスキーの蒸留所

余市蒸留所

ニッカウヰスキーの品質を支える重要な基盤が、北海道の余市蒸留所と宮城峡蒸留所の2つの製造拠点です。それぞれ異なる気候風土と独自の製法を持つこれらの蒸留所は、どのような歴史的背景で設立され、現在どのような製造技術を用いているのでしょうか。

竹鶴政孝が理想のウイスキー造りを追求して選び抜いた2つの聖地について、その魅力と製造の秘密を詳しく紹介します。

ニッカウヰスキー初の蒸留所「余市蒸留所」

余市蒸留所は、1934年に竹鶴政孝によって設立されたニッカウヰスキー初の蒸留所です。竹鶴はウイスキー造りの理想郷を求めて日本各地を探し回り、スコットランドの気候風土に似た北海道の余市にたどり着きました。

世界でも珍しい石炭直火蒸留を採用している点が最大の特徴で、この製法により独特の香ばしさと力強い風味が生まれます。熟練職人が石炭を手作業でくべ入れ、1,000℃を超える火力を調整する技術は現在にも受け継がれています。

蒸留所は三方を山に囲まれ、余市川の清流を仕込み水として使用します。海風が運ぶ潮の香りも、余市モルト特有の風味に影響を与える要素です。敷地内の10棟の建物が国の重要文化財に指定されており、見学ツアーも高い人気を誇っています。

2つの清流に囲まれた「宮城峡蒸留所」

1969年に設立された宮城峡蒸留所は、ニッカウヰスキーにおいて重要な役割を果たす第二の拠点です。竹鶴政孝がこの地を選んだ背景には、興味深いエピソードがあります。

建設地選定の際、竹鶴氏は新川の清流でブラックニッカの水割りを作り、その水質に感動して建設を即決したとされています。この新川の伏流水は、現在も宮城峡蒸留所の仕込み水として使用されているのです。

余市との大きな違いは製法です。宮城峡ではスチームによる間接加熱方式を採用し、上向きのラインアームを持つ大型のバルジ型蒸留機を使用しています。この製法により、余市の力強さとは対照的な、華やかでフルーティーな味わいが生まれます。

敷地内では世界でも希少な旧型のカフェ式連続蒸留機も稼働しており、グレーンウイスキーの製造拠点としても機能する蒸留所です。

ニッカウヰスキーのモルトウイスキー4銘柄

ウイスキーのグラスとボトル、大麦の穂と粒

モルトウイスキーとは、大麦麦芽(モルト)のみを原料として単式蒸留機で製造されるウイスキーのことです。ニッカウヰスキーでは、余市蒸留所と宮城峡蒸留所という異なる個性を持つ2つの拠点で、世界に誇るモルトウイスキーを生み出しています。

竹鶴政孝の名を冠した看板商品から、石炭直火蒸留による力強い味わい、華やかでフルーティーな個性、そして革新的なブレンデッドモルトまで、それぞれに独特な魅力を持つ4つの代表銘柄があります。ここでは、これらの銘柄にはどのような特徴があり、味わいの違いがあるのかを確認しましょう。

竹鶴ピュアモルト

「竹鶴ピュアモルト」は、日本のウイスキーの父である竹鶴政孝の名を冠したニッカウヰスキーの看板商品です。余市蒸留所の荒々しいモルトと宮城峡蒸留所の軽やかなモルトを精緻にブレンドし、ピュアモルトでありながら飲みやすさを実現しています。

リンゴやアンズのフレッシュな果実香にバニラの樽香が調和し、しっかりとしたモルトの厚みとピートのコクが感じられる銘柄です。ビターチョコのような余韻が心地よく続く味わいは、ワールド・ウイスキー・アワードで世界最高賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されています。

シングルモルト余市

「シングルモルト余市」は1989年に世に送り出された、余市蒸留所を代表するシングルモルトウイスキーです。最大の特徴は、世界でも数少ない石炭直火蒸留による独特のスモーキーフレーバーと力強いコクにあります。

バーボン樽やシェリー樽など多様な樽で熟成された原酒を絶妙にブレンドすることで、フルーティーな甘みとピートの香ばしさが調和した深みのある味わいを実現している銘柄です。ストレートやオンザロックで飲むと、豊かな果実の甘さと長い余韻を存分に楽しめるでしょう。

シングルモルト宮城峡

「シングルモルト宮城峡」は、1969年に設立された宮城峡蒸留所で製造されるニッカウヰスキーの代表的なシングルモルトです。竹鶴政孝が「余市と異なる蒸留所で生まれたモルト原酒をブレンドし、より味わい深く豊かなウイスキーを作りたい」という夢を実現するために誕生しました。

余市との大きな違いは製法です。上向きのラインアームを持つバルジ型ポットスチルとスチーム蒸留を採用し、130℃ほどでじっくりと蒸留することで、華やかでフルーティー、優しくやわらかな個性を持つ原酒を生み出します。

蔵王連峰を経て流れる新川の伏流水を仕込み水に使用し、硬度が低くウイスキー造りに不必要とされる成分がほとんど含まれていない水質が、クリアで上品な味わいを演出します。

ニッカ セッション

「ニッカ セッション」は、グレーンウイスキーを一切使わず、モルトだけでブレンドした革新的なブレンデッドモルトウイスキーです。余市、宮城峡、スコットランドのベンネヴィス蒸留所のモルト原酒を大胆にブレンドしています。

「自由」「開放」をコンセプトに、従来のウイスキーの概念にとらわれない飲み方を提案する1本です。かんきつ系の爽やかな香りから始まり、紅茶のような華やかさ、そしてピートの力強いビター感へと変化する表情豊かな味わいが特徴といえるでしょう。

青いボトルには新しい時代への思いが込められ、ハイボールやカクテルベースとしても楽しめる柔軟性を持っています。

ニッカウヰスキーのグレーンウイスキー2銘柄

余市蒸留所の蒸留機

グレーンウイスキーとは、とうもろこしやライ麦などの穀物を主原料として連続式蒸留機で製造されるウイスキーです。一般的にはブレンデッドウイスキーの原料として使用されますが、ニッカウヰスキーでは単体商品としても高い評価を受けています。

特に、世界的に希少な宮城峡蒸留所のカフェ式連続式蒸留機で造られる2つの銘柄は、従来のグレーンウイスキーの概念を覆す革新的な味わいを実現しています。ここからは、これらの銘柄について詳しく解説していきます。

ニッカ カフェグレーン

「ニッカ カフェグレーン」は、世界でも希少な「カフェ式連続式蒸留機」で製造されたグレーンウイスキーです。とうもろこしやライ麦などの穀物を原料とし、一般的なグレーンウイスキーとは異なり、原料由来の甘さがしっかりと残っています。

バニラやクッキー、チョコレートの甘い香り、ハチミツのような優しい甘さの味わいが特徴的で、すっきりとした後味が楽しめます。ストレートで飲むとその魅力を最も感じられるでしょう。

また、クリーンな酒質のため、ハイボールやカクテルベースとしても重宝されています。2016年にはインターナショナル・スピリッツ・チャレンジのグレーンウイスキー部門で「ゴールド」を受賞するなど、世界的にも高い評価を受けているニッカウヰスキーの代表作のひとつです。

ニッカ カフェモルト

「ニッカ カフェモルト」は、カフェ式連続式蒸留機で大麦麦芽を蒸留した、世界でも珍しいウイスキーです。通常モルトウイスキーは単式蒸留機で造られますが、ニッカウヰスキーはあえて連続式蒸留機を使用する革新的な手法を採用しました。

木樽の香りが印象的で、カフェオレやバナナ、メロンのような甘い香りが広がります。味わいにはコーヒークリームや麦芽クッキー、ビターチョコのような深いコクがあり、滑らかな口当たりが特徴です。

2017年のインターナショナル・スピリッツ・チャレンジでは、グレーンウイスキー部門で最高賞の「トロフィー」を受賞した実力は、世界が認めるところです。ストレートで飲むと麦芽本来の甘さと香ばしさを堪能できるでしょう。

種類豊富なニッカウヰスキーのブレンデッドウイスキー

ニッカウヰスキーのブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを巧みにブレンドした製品群です。なぜニッカのブレンデッドウイスキーは、多くの愛好家に選ばれるのでしょうか。それは、余市と宮城峡の個性豊かなモルト原酒と、クセのないグレーン原酒の絶妙な調和に由来します。

代表的な「ブラックニッカ」は1956年の誕生以来、ロングセラーを続ける看板商品です。また、「フロム・ザ・バレル」はブレンド後に樽で再熟成させ、51度という高いアルコール度数で濃厚な味わいを実現しています。

価格帯も幅広く設定されており、リーズナブルな「ハイニッカ」から、創業80周年記念商品である「THE NIKKA」まで、さまざまなニーズに対応します。初心者にはスムースな口当たりの「ブラックニッカ リッチブレンド」、深いコクを求める方には「ブラックニッカ ディープブレンド」がおすすめです。

もっと知りたい!ニッカウヰスキーのトリビア

札幌・すすきのに設置されているニッカウヰスキーの看板

ニッカウヰスキーには、知れば知るほど興味深いエピソードや秘密が数多く隠されています。ここからは、ニッカウヰスキーのトリビアを紹介します。

社名の「ヰ」に込められた創業者の思いや愛情から生まれた「マッサン」という呼び名の由来、ブラックニッカのラベルに描かれた「ニッカおじさん」の正体など、魅力的なトリビアを知ることで、ウイスキーがより一層味わい深くなるでしょう。

ニッカウヰスキーの「ヰ」の意味は?

ニッカウヰスキーの社名には歴史的仮名遣いの「ヰ」が使われていますが、その理由は2つあります。まずは、ウイスキーは「水が命」ということで井戸の「井」を使って登記しようとしたところ、当時は漢字とカタカナを混在させた社名では登記ができなかったため、似たカタカナの「ヰ」を代用したことです。

そして2つめは、英語の「Whisky」の「wi」の発音に近いことです。こうした理由から、ニッカウヰスキーの社名表記には「ヰ」が使われるようになり、現在も当時と変わらず社名に使用されています。

「マッサン」という呼び名は?

2014年に放映されたNHKの連続テレビ小説「マッサン」では、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝と、その妻であるリタとの夫婦奮闘記がドラマ化されました。放送開始から高視聴率をキープし、ニッカウヰスキーをはじめ、日本におけるウイスキーブームの火付け役になったともいわれています。

ちなみに「マッサン」とは、妻のリタが夫である竹鶴政孝のことを親愛の情を込めて呼んでいた愛称です。スコットランド出身のリタにとって、「マサタカサン」という発音は難しかったため、このような愛称で呼ぶようになったそうです。

余市と宮城峡に味の違いはある?

余市蒸留所と宮城峡蒸留所で造られるウイスキーには、製法の違いから生まれる個性の差が明確にあります。

余市蒸留所は石炭直火蒸留を採用し、力強くスモーキーな味わいが特徴です。一方、宮城峡蒸留所はスチーム蒸留とバルジ型ポットスチルにより、華やかでフルーティーな仕上がりといえます。

こうした製法の違いに加え、気候や水質も大きく影響する要因です。余市は冷涼な気候と潮風により複雑で重厚な風味が生まれ、宮城峡は温暖な気候と軟水により上品で軽やかな味わいを生み出します。

ブラックニッカに描かれている「ニッカおじさん」のモデルは?

ブラックニッカのラベルに描かれているひげの紳士は、19世紀のイギリスのウイスキーブレンダーであるW・P・ローリー卿がモデルです。

彼は「キング・オブ・ブレンダーズ」と称された伝説的人物で、卓越した嗅覚と味覚を持つことで知られていました。ラベルの絵は、ローリー卿がウイスキーの原酒をテイスティングしている姿を描いたものです。

竹鶴政孝も立派なひげを蓄えていたため、しばしば「ラベルのモデルは自分なのか」と尋ねられました。しかし竹鶴は「目が青くないだろう」と、ユーモアたっぷりに否定していたといいます。

この「ニッカおじさん」は、ニッカウヰスキーの品質へのこだわりとウイスキー造りの理想を象徴する存在として愛され続けています。

まとめ

グラスに注がれたウイスキーを渡すバーテンダー

ニッカウヰスキーは、竹鶴政孝が創業した日本を代表するウイスキーメーカーです。余市蒸留所と宮城峡蒸留所という個性豊かな2つの拠点から、「竹鶴ピュアモルト」や「シングルモルト余市」などのモルトウイスキー、「ニッカ カフェグレーン」などのグレーンウイスキー、そして「ブラックニッカ」をはじめとする多彩なブレンデッドウイスキーが生み出されています。

それぞれの銘柄には独自の製法による独特の風味があり、初心者から愛好家まで幅広く楽しめるラインアップが展開されています。

1934年の創業以来、品質へのこだわりと伝統的な製法を貫き通した竹鶴政孝の情熱は、現在に至るまでのニッカウヰスキーの礎です。

ニッカウヰスキーを手放す際は、ウイスキー買取に強い「福ちゃん」を活用するのもおすすめです。専門査定で価値をしっかり見極めるため、人気銘柄や年代物のボトルも安心して売却できます。

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