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  • 2025.11.20

イチローズモルトとは?歴史・特徴・代表銘柄と高価買取のポイント

日本のウイスキーの中でも特に知名度が高く、コレクターからの人気もある「イチローズモルト」。

市場でプレミア価格が付いていることは知っていても、「どのくらいの価値があるのだろう」「そもそもなぜそんなに高いんだろう」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、イチローズモルトの人気が高い理由や、誕生秘話、その特徴と魅力を説明するとともに、代表的な種類や高額取引された事例をまとめました。

イチローズモルトの選び方のポイントもご紹介しているので、「イチローズモルトってどんなウイスキーだろう」と気になっている方はぜひ最後までご覧ください。

【記事のポイント】

  • ✅イチローズモルトは秩父の環境とミズナラ材が生んだ、世界的に評価の高いウイスキーです
  • ✅カードシリーズなどの限定品は希少性が高く、数千万円のプレミア価格が付く可能性があります
  • ✅福ちゃんでは、専門の鑑定士が無料で丁寧に価値を見極め、安心してお任せいただけます

イチローズモルトとは?人気の理由と世界的評価

イチローズモルトとは、埼玉県秩父市にある「秩父蒸溜所」にて、株式会社ベンチャーウイスキーが製造・販売を手がけているジャパニーズウイスキーです。

日本製のジャパニーズウイスキーは、スコッチやアイリッシュなどと肩を並べる世界5大ウイスキーの一つですが、その中でも特に世界的な評価が高く、数々の受賞歴を誇る上質なモルトウイスキーとして知られています。

ここではそんなイチローズモルトの誕生や由来、魅力についてご説明しましょう。

イチローズモルトの誕生と由来

「イチローズモルト」という名は、秩父蒸溜所の創業者である肥土伊知郎(あくといちろう)氏に由来しています。

伊知郎氏は、江戸時代から続く造り酒屋「東亜酒造」設立者の孫です。大学卒業後に一般企業へ入社しましたが、しばらくして実父が経営していた東亜酒造で酒造りに携わることになりました。ところが、当時の東亜酒造は申告な経営難に陥っており、最終的に日の出通商(現日の出ホールディングス)への売却が決まってしまいます。

当時、東亜酒造が運営していた埼玉県羽生市にある羽生蒸溜所には数千個の原酒樽が残っていましたが、日の出通商はウイスキー事業からの撤退を予定していたため、全て廃棄される運命となっていました。

伊知郎氏はこれに反発し、原酒を引き継ぐために単身独立を決意。日の出通商からウイスキー事業を買い戻し、自らウイスキー事業を立ち上げました。

そうして2005年に誕生した「イチローズモルト ヴィンテージシングルモルト」は世界で高く評価され、やがてイチローズモルトは日本の誇るプレミアムウイスキーとして称賛を集めるようになったのです。

イチローズモルトの特徴と魅力

イチローズモルトが国内外で高く評価されている理由は、独自のミズナラ材発酵槽をはじめとする製法や、秩父産の素材への強いこだわりにあります。

独自の製法を用いて醸造されたイチローズモルトは世界的に権威のある品評会で栄えある賞を連続受賞するなど、輝かしい評価を受け続けています。

ここからはイチローズモルトの特徴と魅力、世界的な評価についてご説明します。

ミズナラ材の発酵槽

イチローズモルト最大の特徴は、世界で唯一ミズナラ材を使用した発酵槽を使用している点です。

ミズナラはドングリの実がなるナラの一種で、日本固有の木であることから、別名「ジャパニーズオーク」とも呼ばれています。

ミズナラ材を熟成樽として使用する蒸溜所は他にもありますが、発酵槽に使用しているのは世界でただ一つ、秩父蒸溜所だけです。

ウイスキーの味わいや香りは発酵樽の素材によって大きく左右されるため、北海道産のミズナラ材を使用した独自の発酵槽を使用したイチローズモルトは、白檀や伽羅を思わせるようなオリエンタルな香りを楽しめるウイスキーに仕上がっています。

そもそもなぜミズナラを発酵樽に使う蒸溜所が他にないのかというと、ミズナラは本来、樽材に適していない素材と認識されていたためです。加工するのが難しい上、香りが強過ぎることから、酒造りには向かない素材といわれていました。

しかし、樽の加工法の進歩と、新樽では強過ぎる香りが時間経過で芳醇な香りを醸し出すという事実が発見されたことにより、秩父蒸溜所にて発酵樽として用いられるようになりました。

こうした世界初の試みから生まれたジャパニーズウイスキーは、他では堪能できない独特な味わいと香りを楽しめる逸品として、世界のウイスキー愛好家から好評を得ています。

100%秩父産ウイスキーへの挑戦

イチローズモルトの特徴は、原料の大麦から乾燥用の泥炭(ピート)まで、秩父産の素材にこだわっているところです。原料となる二条大麦はドイツやイングランド、スコットランドのものを多く使用していますが、一方で秩父市吉田地域で作られた二条大麦も採用。

吉田地域は二条大麦の栽培に適した土地で、味・香りともに高品質な麦が育つといわれています。また、製麦から瓶詰めまでの全ての工程を秩父蒸溜所内で行うことで、「100%秩父産」ウイスキー造りを目指しているところもイチローズモルトならではの特徴です。

ウイスキー造りにおいて気候は非常に重要ですが、秩父蒸留所のある埼玉県秩父市は夏は高温多湿で気温が30度を超える日も多い一方、冬は乾燥して朝晩は氷点下になるほど冷え込みが厳しい場所です。

このような寒暖差はウイスキーの熟成を促進させる要因となり、また前述のミズナラ樽を用いることで、複雑でフルーティな香りが生まれるとされています。さらに、秩父は良質な水にも恵まれている土地です。適度にミネラル分を含みつつ、硬過ぎず柔らか過ぎない癖のない水が、イチローズモルトの味わいを支えています。

このように恵まれた環境で造られるイチローズモルトは、「100%秩父産」のウイスキー造りに挑戦する「秩父の地ウイスキー」として大きな話題を集めています。

世界最高峰の評価と受賞歴

イチローズモルトの評判は日本国内にとどまらず、海外でも評価されており、これまでに多数の名誉ある賞を受賞しています。

例えば世界的なウイスキーコンテストとして知られる「ワールド・ウイスキー・アワード(World Whiskies Awards):WWA」では、ブレンデッドウイスキー・リミテッドリリース部門において世界最高賞を7年連続で受賞。

同アワードでは、2017年に「イチローズモルト 秩父ウイスキー祭2017」がシングルカスク・シングルモルトウイスキー部門で最高賞に選ばれるなど、さまざまな部門で受賞・入賞を続けています。

また、世界100カ国以上で発行されているウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」のジャパニーズモルト特集では、カードシリーズの「キング・オブ・ダイヤモンズ」が最高得点のゴールドアワードを受賞。

さらに、アメリカのウイスキー専門誌である「ウイスキーアドボケート」では、ジャパニーズ・ウイスキー・オブ・ザ・イヤー受賞するなど、メジャーな専門誌からも高く評価されています。

秩父蒸溜所の設立は2007年と歴史こそ浅いですが、発酵樽や原料、醸造環境へのこだわりは世界的に認められており、ジャパニーズウイスキーの中でも人気ブランドとしてその名を響かせています。

イチローズモルトの希少性と高額事例

イチローズモルトは、秩父蒸溜所で最初に醸造された「秩父ザ・ファースト」が発売当日に予約のみで完売するなど圧倒的な人気を誇るブランドです。

一方で、秩父蒸溜所は比較的小規模な蒸溜所であることから、年間生産量は大手蒸溜所に比べるとかなり少なく、入手するのは困難です。

そもそもウイスキーは長い年月をかけて醸造するものなので、大量生産が利かず、イチローズモルトのように世界的に高く評価されている逸品ほどプレミア価格が付きやすい傾向にあります。特に、数量限定品や人気シリーズはコレクター需要も高く、市場で高値で取引されているケースも多々見られます。

具体的な事例として、2019年夏には、香港の競売でイチローズモルトの希少な「カードシリーズ」全54本セットが約9750万円という驚きの価格で落札されました。

カードシリーズは、トランプのカードにちなんだ名前が付けられた限定ボトルで、2005年から2014年にかけて順次発売されたものですが、54本セットは世界に4つしか存在しないといわれており、その希少性が約1億円という高額落札につながったのでしょう。

イチローズモルトの代表的な種類

初代イチローズモルトが発売されたのは創業翌年に当たる2005年で、ウイスキーブランドとしての歴史はそれほど長くありませんが、これまでにリリースされたイチローズモルトの種類は100種類近くに上ります。

ここでは、イチローズモルトの中でも特に代表的な種類を4つピックアップし、その特徴や魅力についてご紹介します。

ホワイトラベルシリーズ

ホワイトラベルは、イチローズモルトの中でも特に定番といわれる代表的なシリーズです。

秩父蒸溜所を含む9つの蒸溜所のモルト原酒と、2つの蒸溜所のグレーン原酒をブレンドして造られており、柔らかな黄金色が特徴です。

レモンピールやオレンジピールに由来するフレッシュな柑橘系の香りと、オーク由来の深みのある甘さが合わさって、爽やかながらコクのある余韻を残します。爽やかな香りがするので、ロックや水割りだけでなく、ハイボールを楽しむのにも適しているでしょう。

希少性の高いイチローズモルトの中では比較的手に入りやすく、かつ値段も手頃であることから、「イチローズモルトを試してみたい」という方におすすめの銘柄とされています。アルコール度数は46度です。

ダブルディスティラリーズ

「2つの蒸溜所」という意味を持つダブルディスティラリーズは、その名の通り、羽生蒸溜所と秩父蒸溜所それぞれのモルト原酒をブレンドして造られたピュアモルトウイスキーです。

葉っぱの形をしたラベルが特徴的なリーフシリーズと呼ばれる種類の一つで、緑色のラベルが目印となっています。

羽生蒸溜所の原酒はパンチョン樽やシェリー樽、秩父蒸溜所の原酒はミズナラ樽をそれぞれ使用。2つの原酒が合わさったダブルディスティラリーズは、オリエンタルな香りと甘いニュアンスを両方堪能できるぜいたく仕様になっています。

自然の風味を損なわないよう、冷却ろ過や人工着色などは行っておらず、素材そのものの良さを味わえるところが特徴です。

2009年のWWAではベストジャパニーズ・ブレンデッドウイスキーに選出されるなど、世界的な評価も高いことから、コレクター市場でも人気の品となっています。アルコール度数は46度です。

【関連記事】
ウイスキーのアルコール度数はどれくらい?ほかのお酒と比較しながら解説

秩父シリーズ

秩父蒸溜所で最初にリリースされたシングルモルトウイスキー「秩父ザ・ファースト」を筆頭とした秩父蒸溜所発のシリーズです。

秩父ザ・ファーストはバーボン樽熟成のモルト原酒のみを使用したウイスキーで、パンチのある深い味わいを堪能できるところが特徴です。2013年に7,400本限定で発売されたレア品であることから、市場での希少価値は高く、入手するのは難しいといわれています。

秩父シリーズには他にも、「秩父 ポートパイプ」、「秩父 IPA カスク フィニッシュ」、「秩父 ザ・ピーテッド カスクストレングス」、「秩父 オン・ザ・ウェイ」など、さまざまなバリエーションが展開されており、発売年ごとに異なる趣向がこらされているところが特徴です。

毎年新しい限定商品が発売されているので、手に入れるチャンスはありますが、人気シリーズ故にすぐ完売してしまうため、定価で購入するのは難しい銘柄ともいわれています。

【関連記事】
ウイスキーの「シングルモルト」と「ブレンデッド」とは?

カードシリーズ

カードシリーズは、2005年~2014年にかけて計58種類が発売された人気の高いシリーズです。
ジョーカーを含むトランプのカードを模したラベルが付けられているのが特徴で、ジョーカー以外の全てのボトルが一つの樽(シングルカスク)でボトリングされています。

元々の生産量が非常に少ない銘柄であることから、1本1本にプレミア価値が付いており、市場では高値で取引されています。前述の通り、54種がセットになったものは約1億円の高値が付いたことでも話題になりました。

カードシリーズは全58種全てが高く評価されていますが、希少価値はラインナップごとに多少異なります。特に注目されているのはラベルにスペードのエースが描かれた「エース オブ スペーズ」、モノクロのジョーカーが特徴的な「ジョーカー モノクローム」などで、他の種類よりもさらなる高値が付く可能性があるでしょう。

イチローズモルトの選び方

イチローズモルトは多様なラインナップを展開しているため、初めての方は「どれを選べば良いか分からない」と悩んでしまいがちです。

イチローズモルトは種類によって味わいや風味が異なるので、ニーズや目的に合わせて興味を抱いたものを選ぶと良いでしょう。

ここではイチローズモルトの選び方の一例として、ケース別におすすめのシリーズをまとめました。

初めての方には「ホワイトラベル」

イチローズモルトを初めて飲むという方には、定番シリーズのホワイトラベルがおすすめです。

モルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたホワイトラベルは、複雑な風味を醸し出しながら、飲みやすさも兼ね備えているところが大きな特徴です。口当たりがやさしく、ウイスキー初心者でも飲みやすいことから、イチローズモルトの入門編として最適な1本といえるでしょう。

また、イチローズモルトの中では比較的手軽に入手できるのも特徴で、定期的に入荷している酒屋や、ボトルを提供している飲食店なども探せば見つかります。

価格も比較的手頃なため、最初の1本として選びやすい銘柄です。ただし、フリマアプリやネットオークションなどでは定価を大きく上回る価格で出品されていることもあります。

バランスの良い味わいを求めるなら「ダブルディスティラリーズ」

バランスの良いウイスキーを味わいたいのなら、2種のモルト原酒をブレンドしたダブルディスティラリーズがおすすめです。

シトラス由来のすっきりとした香りと、はちみつやクリームの甘い香り、さらにはハーブのスパイシーなフレーバーも重なって、複雑な風味を堪能できます。一方で余韻は爽やかなので、ウイスキーを飲み慣れている方はもちろん、初心者の方にも勧めやすい銘柄となっています。

実際、ストレートやロックで飲みやすいウイスキーとしても知られており、ウイスキーの風味をダイレクトに味わいたい方にもぴったりです。

もちろんハイボールとして飲んでもOKです。フレッシュな果実と爽快感のある炭酸は相性が良く、フルーティな甘味と酸味を同時に楽しめます。

秩父蒸溜所の個性を堪能するなら「秩父シリーズ」

秩父蒸溜所で作られた個性豊かなウイスキーを楽しみたいのなら、「秩父」の名前を冠した秩父シリーズを選ぶのがおすすめです。

秩父シリーズにはさまざまなラインナップがありますが、代表的なものとしては「秩父オンザウェイ」や「秩父ウイスキー祭」などがあります。

秩父オンザウェイは秩父蒸溜所から定期的に発売されているシリーズで、「道の途中(オンザウェイ)」という名の通り発展途上にあるウイスキーであることから、リリースごとに異なる味わいを楽しめます。

一方の秩父ウイスキー祭は毎年2月に開催されている秩父ウイスキー祭りで抽選販売される限定品です。秩父蒸溜所こだわりのウイスキーという点は共通していますが、毎回中身やラベルが変化するため、毎年飲み続けても飽きが来ません。

秩父蒸溜所ならではの味わいを試してみたいという方は秩父シリーズの中から気になった銘柄を選んでみると良いでしょう。

究極の希少性を求めるなら「カードシリーズ」

「とにかくレアなイチローズモルトを試してみたい」という方には、イチローズモルトの中でも特に入手困難なカードシリーズがおすすめです。

ジョーカーを含む全58種は、それぞれ見た目・味わいに違いがあるため、コレクションとしてはもちろん、風味の差も楽しめるでしょう。

ただし、前述の通りカードシリーズはどの種類も非常に希少価値が高く、市場でもめったに見かけることがありません。特に人気の種類は希少価値が高く、定価を大幅に上回るプレミア価格が付いています。

カードシリーズを手に入れたいのなら、インターネットを中心にアンテナを張り巡らせ、イチローズモルトの情報をいち早くつかめるよう工夫してみてはいかがでしょうか。

イチローズモルトを高く売るなら福ちゃんへ

イチローズモルトは、2000年代に初めて発売された比較的新しいブランドですが、発酵樽や原料、醸造環境への強いこだわりが世界中の愛好家から高く評価されています。

過去には世界的な賞も数多く受賞しており、国内外からイチローズモルトを買い求める人は決して少なくありません。特に限定品や人気シリーズは希少価値が高く、入手困難であることから、市場ではプレミア価格で取引されているケースも多々見られます。

ウイスキー好きなら至高の逸品を堪能するのもおすすめですが、「譲り受けたイチローズモルトの取り扱いに悩んでいる」「自宅にあるイチローズモルトにどれくらいの価値があるのか知りたい」という方は、ぜひ買取専門業者に査定を依頼してみましょう。

福ちゃんでは、ウイスキーやブランデー、ワインなどさまざまなお酒に精通した査定士が、お客様がお持ちになったお酒を1本1本丁寧に査定し、適正な買取価格をご提示いたします。

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