銀瓶とは、その名のとおり、銀を主素材として作られた湯沸かしのことです。鉄瓶が茶の湯(抹茶)の「侘び寂び」を象徴する一方、銀瓶は「煎茶道」の華として重用されました。明治・大正期の文人墨客に愛された、高貴で洗練された佇まいが特徴です。
最大の特徴は、沸かしたお湯の質が変わる点にあります。銀瓶でお湯を沸かすと、水質がまろやかになり、絹のように滑らかで甘みのある白湯(さゆ)になる、といわれています。そのため、玉露などの繊細な茶葉の味わいを引き出すのに最適とされ、多くの茶人から長く愛用されてきました。
さらに、現代においては単なる茶道具の枠を超え、貴金属としての普遍的価値と金工美術としての希少性を兼ね備えた「資産」として、再評価が進んでいます。とくに名工による作品は、アジアを中心とした海外コレクターからの評価も高く、美術品市場において安定した人気を誇っています。



純銀製の銀瓶「利光刻 梅牡丹」をお買取りいたしました。純銀ならではの風格と高い工芸性を備えた作品として評価いたしました。