花瓶とは、四季折々の花を生けて、空間を美しく彩るための器全般を指します。その歴史は非常に古く、陶磁器やガラス、金属など、さまざまな素材で作られてきました。時代や国を問わず、人々の暮らしに潤いと豊かさをもたらしてきたのです。
日本では、華道や茶道の発展とともに、床の間を飾る「花器」や「花入」として、侘び寂びや禅の精神を映す独自の美意識が育まれました。一方、西洋においては、宮殿や邸宅を華やかに演出する室内装飾の要として、マイセンやガレに代表される高度な製造技術が発展したことが特徴です。
現代において、花瓶は単なる実用品の枠を超え、芸術作品としての地位も確立しています。とくに、アール・ヌーヴォー時代のガラス工芸や、歴代の皇帝に愛された中国古陶磁などは世界的にも評価が高く、国境を越えて活発に取引されています。
日本の花瓶も同様に国内外で人気ですが、査定においては作家の署名が記された「共箱(ともばこ)」の有無が重要です。共箱(付属品)が揃うことで、資産価値が高いコレクション品として、さらに高評価を得ることが可能です。



お客様より河井寛次郎作の扁壺花瓶をお買取りいたしました。民藝らしい力強い造形と風合い、保存状態の良さを高く評価させていただきました。