- お酒
- 2025.02.04
高級ブランデーの基礎知識|世界三大ブランデーや飲み方を紹介

ブランデーは、フルーツをおもな原料とする蒸留酒のことで、使われるフルーツはブドウのほか、リンゴ・洋ナシなどです。ブランデーは熟成年数などによりランク付けされており、高級なものは1ボトル10万円を超える銘柄も。
当記事では、ブランデーの基礎知識に加え、ブランデーのランク付けについて詳しく解説いたします。
高級ブランデー好きなら知っておきたい世界三大ブランデーの情報や、高級ブランデーの飲み方にも触れるため、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそもブランデーとは?

ブランデーは、「果実を主原料とする蒸留酒」の総称です。蒸留酒とは、醸造酒(発酵液)を蒸留して造られたお酒のことで、水とアルコールの沸点が異なることを利用して造られます。
ブランデーの原料としてもっとも多く使われているフルーツはブドウです。そして、ブドウを原料に発酵させて造った醸造酒がワイン、ブドウの醸造酒を蒸留したものがブランデーです。
ブランデーの名称はオランダ語の「brandewijn 」が語源であり、「焼いたワイン」という意味があります。
ブランデーは原料にリンゴ、サクランボ、洋ナシ、プラムなどブドウ以外のフルーツが使用されることも多いお酒です。
ブドウ以外のフルーツが使われたブランデーは、ブドウのブランデーと区別するために「フルーツブランデー」と呼ばれています。
ウイスキーもブランデーと同じ蒸留酒ですが、ウイスキーの原料は大麦・ライ麦・トウモロコシなどの穀物で、ブランデーとは香りや味わいが大きく異なるります。
高級ブランデーの基本|世界三大ブランデーとは?

高級ブランデーについて語るときに欠かせないのが、「世界三大ブランデー」です。世界三大ブランデーは、コニャック、アルマニャック、カルヴァドスの3種類を指します。3種類それぞれが原料や製造法、味わいの特徴が異なります。
コニャック
コニャックは、フランスのコニャック地方で採れたブドウを原料として造られたブランデーです。
コニャック地方は、ワインで有名なボルドー地方の北に位置します。この地域で栽培されるユニ・ブラン、フォル・ブランシュ、コロンバールなどのブドウ品種がコニャックに使用されているのです。
コニャックの原酒(オー・ド・ヴィー)は、コニャック産のブドウを醸造してできた白ワインを、シャラント式単式蒸留器で2度蒸留する製造方法です。
約70%までアルコール度数を高めた原酒を、リムーザン産かトロンセ産のオーク樽で最低2年以上熟成させます。
熟成後、さまざまな熟成年数や栽培地域の原酒を調合し、よりまろやかな風味と芳醇な香りに仕上げたものがコニャックです。
コニャックの有名な銘柄は、「クルボアジェ」「ヘネシー」「マーテル」「レミーマルタン」の、4ブランドが挙げられます。
アルマニャック
アルマニャックは、フランス南西部のアルマニャック地方で生産されているブランデーです。コニャックと同様にユニ・ブラン、フォル・ブランシュ、コロンバールなどのブドウ品種を原料にしています。
アルマニャック地方にある3つの生産地域で収穫されたブドウから造るワインを、連続式蒸留器で1回蒸留したものがアルマニャック原酒です。その後、原酒はリムーザンオーク樽で最低1年間熟成されます。
アルマニャックは、力強くて野性味のある男性的なブランデーといわれています。アルマニャックの有名な銘柄は、「シャボー」「ジェラス」「ドメーヌ・ボワニエル」「ダローズ」などです。
カルヴァドス
カルヴァドスは、フランスのノルマンディー地方に位置するカルヴァドス県と、その周辺で造られているリンゴを原料としたブランデーです。
ノルマンディー地方はリンゴや洋ナシの主産地として知られており、デュレ、サンマルタン、サントーバンなど48品種がカルヴァドスの原料として認められています 。
また、原料の10~30%なら洋ナシを使用することも可能です。
カルヴァドスはリンゴの果汁を発酵させたシードル(アップルワイン)を、単式蒸留機で2回蒸留、もしくは連続式蒸留機を使用して造られます。その後、リムーザンやトロンセ産の古いオーク樽で、最低2年間熟成させて完成です。
アルコール度数40度以上の強いブランデーながらも、リンゴの甘酸っぱい果実味から口当たりがよく、ストレートやロックでも飲みやすいでしょう。
「シャトードブルイユ」「ブラー」「マスネ」などが人気の銘柄です。
ブランデーのランク

ブランデーは、原酒の熟成年数によってランク付けされるのが特徴です。
ブランデーの多くは、さまざまな熟成年数の原酒をブレンドして造られています。そして、ブレンドされた原酒からもっとも若いものをランク付けの基準とし、熟成年数を表す単位「コント」でランクが定められます。
下記でご紹介しているのは、「ブランデーのランク」についてです。ブランデー初心者にもわかりやすく解説しているため、ぜひご参考にしてください。
▶︎ ブランデーの「VSOP」や「XO」など種類の違いについて
スリースター
スリースターはブランデーでもっとも下のランクで、コント2以上、つまり熟成2年以上のブランデーを指します。コニャックの場合はコント2以上、アルマニャックではコント1以上です。
「V.S.」「V.O.」「V.S.O.」「V.S.O.P.」
「V.S.」や「V.S.O.P.」などの表記も、熟成年数によって決まるブランデーのランクです。以下チャートで、それぞれの意味とコントの基準をまとめました。
V.S. | Very Superiorの略で、「とても特別」という意味をもちます。コント2以上、熟成期間4~7年のブランデーです。 |
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V.O. | Very Oldの略で、「とても古い」という意味をもちます。アルマニャックでは、コント4以上、つまり熟成期間が最低4年とされています。 |
V.S.O. | Very Superior Oldの略で、「とても優れていて古い」という意味をもちます。コント4以上のブランデーです。 |
V.S.O.P. | Very Superior Old Paleの略で、「とても優れて古い、澄んだ」という意味をもちます。コント4以上、熟成年数7~10年のブランデーです。 |
同じメーカーでもV.S.よりはV.O.、V.O.よりはV.S.O.P.の方がランクの高いブランデーとされ、販売価格も高くなります。
さらに上の等級
V.S.O.P.のさらに上は、「ナポレオン」「X.O」「オル・ダージュ」といったランクがあります。
ナポレオン | コニャックではコント6以上、熟成年数12~15年のものが多数です。アルマニャックではコント5以上とされています。 |
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X.O. | Extra Oldの略で、「限りなく古い」という意味をもちます。コント10以上、最低熟成年数10年で、熟成年数20~25年のものが多数です。 |
オル・ダージュ | Hors d’âgeは直訳で「年齢を超えた」という意味をもち、公式の熟成年数を超える期間熟成された最高品質のブランデーです。コント10以上で、1ボトル10万円を超える高価なものも。 |
高級ブランデーの飲み方

高級ブランデーはどのような飲み方が一番美味しいのでしょうか。ブランデーの代表的な飲み方は、以下のとおりです。
ストレート | 何も加えずにそのまま飲む方法です。高級ブランデーならではの、華やかで深みのある味わいをダイレクトに感じられます。 |
---|---|
オンザロック | グラスに大きめの氷を入れ、その上からブランデーを注ぎ、ゆっくりと転がしながら飲む方法です。時間が経つと、少しずつ氷が溶けてアルコール度数も低くなり飲みやすくなります。また、時間とともに変化する味わいを楽しめるのも特徴です。 |
水割り | ブランデーを、常温のミネラルウォーターで割って飲む方法です。ブランデーと水を1対1で割った水割りは、「トワイスアップ」と呼ばれます。 |
ソーダ割り | ブランデーを、冷やしたソーダで割って飲む方法です。炭酸の刺激とブランデーの相性がよく、カクテルなど軽やかなドリンクにも最適な飲み方です。 |
ブランデーは、カクテルのベースとしても使用されています。
ブランデーベースのカクテルには柑橘系の酸味が爽やかな「サイドカー」、カカオとフレッシュクリームを加えた「アレキサンダー」、オレンジリキュールやオレンジジュースを加えた「オリンピック」などさまざまです。
さらに、下記では「ブランデーの飲み方」について記述しております。さまざまな楽しみ方を詳しくご紹介しているため、ぜひご参考にしてください。
▶︎ ブランデーの飲み方にはどのような種類がある?ストレート以外の楽しみ方もご紹介
フード・ペアリングも重要
高級ブランデーは、原料のフルーツやオーク樽によって生まれる奥深く豊かな香りと、長期熟成によるまろやかな味わいが楽しめるお酒です。
高級ブランデーならではの複雑な風味を最大限に堪能するためには、合わせる食べ物もこだわるとよいでしょう。
下記は、高級ブランデーの美味しさをさらに引き立ててくれるオススメのフードです。
- ✔️ ビターチョコレート
- ✔️ ドライフルーツ
- ✔️ ナッツ
- ✔️ サラミ
- ✔️ 生ハム
- ✔️ チーズ
- ✔️ クラッカー
フルーツをベースに造られるブランデーは、少し甘みのある食べ物との相性が抜群です。しかし、甘いおつまみだけだとメリハリがないため、甘いものと塩気あるもの両方をそろえるとなおよいでしょう。
まとめ
高級ブランデーを語る際に欠かせない知識として、世界三大ブランデーの「コニャック」「アルマニャック」「カルヴァドス」の、3つが挙げられます。
また、ブランデーは原酒の熟成年数によってランク付けされており、熟成年数が長いものほど高級とされます。
ランクには、「V.S.」「V.O.」「V.S.O.」「V.S.O.P」「ナポレオン」「X.O.」などの種類があり、最高ランクの「オル・ダージュ」は1ボトル10万円を超える銘柄も。
高級ブランデーを味わう際は、飲み方やフードとの相性を考えることも重要です。複雑な風味を際立たせるために、甘みのある食べ物や塩気のある食べ物などをバランスよく用意するとよいでしょう。