「きじ航空切手」を買取いたしました
- 福岡県
- 60歳代
- 男性

【航空切手】きじ航空切手
今回お買取したのは「きじ航空切手(16円)」です。1950年1月に発行されたこの切手は、国際郵便用の切手として発行されました。額面は「16円」「34円」「59円」「103円」「144円」の5種類です。
国によって異なる郵便料金に対応できるような額面になっています。ちなみに1950年、公務員の初任給は約4,000円。食品や日用品などの単価は現在の約20分の1といわれているため、国内郵便用の切手と比べると高額な切手でした。
また、時代は戦後復興期。外国に手紙を送る人はごく一部であることから発行数も限られていました。そのため現在残っているきじ航空切手にはプレミア価格がついています。
今回の依頼主は60代の男性です。
「切手には詳しくないから見て欲しい」とのことで、出張のご依頼をいただきました。お問い合わせの段階で「古い切手である」ということ、「鳥の絵」「エアメール(AIR MAIL)と書かれている」とお聞きしていました。
また今回の依頼主は「あまり時間がない」ということだったため、丁寧かつスピーディーな査定を心掛けて説明をさせていただきました。
ご訪問前の準備
この日バイヤーが車を走らせたのは福岡県福岡市。政令指定都市である福岡市は「グルメの街」としても有名ですが、海外からの訪問も多く国際的なビジネスの場でも重宝されています。
バイヤーがしばらく車を走らせると、博多湾が見えてきました。
依頼主のお住まいは活気ある商店街を抜けた先の閑静な住宅地にあります。
時刻は午後2時前。平日の昼下がりということもあって人通りはほとんどありませんが、保育園・幼稚園に入る前の子どもとそのご家族がちらほらと見受けられました。
依頼主のご自宅の近くにあるパーキングに車を停め、査定に必要なアイテム(白手袋、ルーペ、風呂敷など)、契約書の作成に必要なアイテム(タブレット端末、小型プリンター)を搬入用のカゴにまとめます。
それからバイヤーは事前に用意してきた資料を入念に確認しました。
切手の買取は切手の希少性、状態によって買取額が大きく変動します。また経験と知識が求められる査定の仕事は、常日頃から偽造品の情報や注意点をチェックする必要があります。
「今回の依頼品はおそらく“きじ航空切手”」
そう予想していたバイヤーはきじ航空切手の情報を整理し、依頼主のご自宅に向かいました。
訪問・査定
お約束の時間が近づいてきたため、バイヤーは依頼主のご自宅へ向かいました。
インターホンを鳴らすと、依頼主と思わしき男性の声が出迎えてくださいました。
玄関に入り、バイヤーが最初に行うのは自己紹介です。
はじめまして。私、福ちゃんから参りました査定士です。本日、私が査定をさせていただきます
ありがとうございます。よろしくお願いします
用意していただいたスリッパに足を通し、リビングに案内していただきました。
テーブルを挟み、バイヤーは依頼主の向かい側に座りました。査定の前に当日の流れ、キャンセルに関することなどを説明します。
わかりました。お値段を聞いてから検討したいと思います
はい。無理に決める必要はまったくございませんので、ぜひ検討材料にしてください
そして、依頼主が席を立ち、例の切手を手に戻られました。
きじ航空切手と見られる切手がシート状で保管されています。
現存するものは“バラ切手”であることが多く、バイヤー自身もシート状のものを見るのは初めてでした。
そのため、この切手が本物のきじ航空切手である場合、間違いなく高価買取の対象になります。
こちら……どちらで入手されたのかお伺いしてもよろしいでしょうか
亡くなった父の金庫から出てきたんです
なるほど……
現金とか宝飾品は出てこなかったんですが、契約書などの書類と一緒にこの切手が出てきましてね
バイヤーは金庫の中に入っていたと聞き、この保存状態の良さに納得しました。
それでは、失礼します
はい、お願いします
白手袋を装着し、ルーペで細部を確認します。
隅々までチェックを行い、この切手がきじ航空切手(16円)だと確信したバイヤー。
どうですかね
はい、間違いなく“きじ航空切手”ですね
キジ……なんですか?
きじは鳥類の“キジ”です。それに“航空券”などの“航空”と書いて“きじ航空切手”です。これは戦後に発行された国際郵便用の切手なんです
あ、AIRMAILと書いてありますよね
はい。いちばん安いものが16円で、いちばん高いものが144円なんですが、国によって郵送料が違うことを考慮してこの金額が設定されていたといわれています
16円で国際郵便が送れたのかと思ってしまいました
おそらくそうではなく、現地のレートに合わせて組み合わせて使っていたのだと思います
へえ……すごい。でもなんでキジなんだろう?
当時、日本はGHQによって統治されていた時代で、飛行機を所持できなかったんです
ほう
そのため、航空機の絵ではなく日本の国鳥であるキジを採用したと伝えられています
そんなエピソードがあるんですね
はい。しかも、戦後にこの切手を使って海外に手紙を送る人はごくわずかで……
あんまり需要がなかったんですね
おそらく、この切手を見たことがない人のほうが多かったでしょうね。発行数も少ない切手でした
そうなんですね
発行数が少ないので希少性があるのですが、なおかつこちらの切手はシートになっていますね、きじ航空切手はバラの状態で残っていることが多く、シートの状態で残っているのは珍しいです
なるほど。じゃあけっこう高いお値段が付いたりしますか?
少々お待ちください。計算しますね
切手の状態や相場などをあらためて確認し、バイヤーは適正と思われる価格を算出します。
今回の金額ですが……こちらになります
ええっ、本当ですか?
はい。先ほど申し上げましたとおり、“きじ航空切手”は発行数が少ないんです。バラでも数千円の価値があるといわれている切手がシート状であること、汚れがないことなどを価格に反映させていただきました
これは参ったなぁ。思いもよらない展開になってしまいました
ゆっくりと考えてください。本当に価値があるものだということをご理解いただけただけでも十分です
いや……その金額ならぜひお願いしたいです
買取の意思を確認したバイヤーは契約書の作成をはじめました。
作成した契約書に署名をいただいたことを確認し、現金をお渡しします。
以上で終了となりますが、ほかに気になっているものなどはございませんでしょうか
いえ、大丈夫です
かしこまりました。また何かございましたら、お気軽にご連絡ください
はい、そうさせていただきます。丁寧に見ていただきありがとうございました
こちらこそ、ありがとうございました
今回の買取とまとめ
シート状のきじ航空切手(16円)
戦後復興である1950年以降日本で発行されたきじ航空切手。国内郵便での使用も可能とされていましたが、外国郵便用である切手が一般に流通することはほとんどありませんでした。
今回高価買取のポイントとなったのは、状態の良さです。
バラで見つかるだけでも珍しいといわれている切手がシート状で保管されていたこと、金庫で保管されていたため経年劣化が少なく、ヒンジ跡(収集の際に留め具として使うもの)などがないことを評価し、精いっぱいの金額を提示させていただきました。
このたびは、ありがとうございました。
0120-947-295
大変申し訳ございませんが時間を空けてお問合せください。
いただきません。
どのようなことでも、お気軽にご相談ください。
福ちゃんでは、丁寧な査定を心がけております。売りたい・譲りたいお品物があるという方はぜひご相談だけでもお待ちしております。