城間栄順が手がけた【名古屋帯】を買取いたしました
- 東京都
- 60歳代
- 女性

【城間栄順】名古屋帯
今回のお品物は最高級『越後上布』を使用した名古屋帯です。越後上布とは新潟県の南魚沼市や小千谷市で作られている麻織物をさします。
特徴は芋麻を使用していること。撥水性、吸収性に優れ、さらっとした着心地を実現しています。重要無形文化財に指定されている越後上布ですが、現在原料である芋麻の生産者が減少しているため、今後は入手が難しくなるといわれています。
作品を手がけたのは本場琉球紅型(びんがた)作家である城間栄順氏。「紅型三大宗家」のひとつ「城間家」の15代目である城間栄順の作品は、沖縄の自然をモチーフにした作品が多いといわれています。
今回依頼主から「越後上布の名古屋帯を査定してほしい」とご連絡をいただき、出張買取をさせていただくことに。値段を聞いてから決めたい、ということでしたので、「他店より高い買取額」を意識して査定に臨みました。
ご訪問前の準備
バイヤー(査定士)が車を走らせていたのは東京都武蔵野市。人気が高い「吉祥寺」を中心とし、デパートなどの商業施設が多く見られる一方、緑が多く、教育施設が多いことでも知られています。
今回の依頼主は60代の女性。お住まいは吉祥寺エリアにある閑静な住宅街です。バイヤーは依頼主のご自宅を確認し、近くにあるパーキングエリアに車を停めました。ここでしばらくの間、資料や持ち物の最終チェックを行います。
着物の査定は経験と知識が必要です。有名な産地の着物、織物は「証紙」などがない場合もありますから、バイヤーの目利きが査定額を左右することになります。
とくに今回の『越後上布』は無形文化財に指定される条件を達成したもの、そうでなく地元で生産されているものがあるため、その区別も行わなければなりません。
バイヤーは越後上布に関する資料、また作家の城間栄順に関する資料を再確認し、持ち物(白手袋、ルーペ、風呂敷、契約書作成用のタブレット、小型プリンターなど)をまとめます。
いよいよ訪問のお時間です。
訪問・査定
依頼主の自宅に到着したバイヤー。
昭和初期、あるいは平成初期に建てられたと思われる一軒家は大きな3階建てのお住まいで、ベージュと基調としたナチュラルな佇まいです。
外壁から見えるお庭は大変綺麗に整備されており、ガーデニングなどを趣味にされていることがうかがえます。
表札を確認し、インターホンを押します。
はい
福ちゃんから参りました
お待ちしておりました。少しお待ちください
かしこまりました
数分後、依頼主の女性が姿を現し、玄関前の門を開錠してくれました。
どうぞ
ありがとうございます
玄関に入り、バイヤーは名刺を取り出しました。
はじめまして。私、今回の査定をさせていただく査定士でございます。よろしくお願いします
よろしくお願いします。じゃあ今日はこちらで査定してもらえるかしら
ご案内いただいたのは玄関横の応接間でした。床には段ボール箱が多数積み重なっており、引っ越し作業中のように見えます。
こんな状況でごめんなさいね。今、引っ越しの準備中なの
お引越しをされるんですね
ええ。もう子供たちも独立したし……主人の実家に戻ろうかって
なるほど、そういうことだったんですね
短い会話をしたあと、バイヤーは買取の流れを説明します。
ここでキャンセルについて、またクーリングオフ制度について説明を行い、同意書にサインをいただきます。
本当にちゃんとしているのね。安心したわ
お時間をいただきありがとうございました。では、さっそく査定に移りたいと思います
お願いします
依頼主が持ってきたのは着物を包む「たとう紙」に包まれた帯です。
これをお願いしたくて……
依頼主によってほどかれたたとう紙から、花柄の帯が顔を出しました。
紫、深緑、青、赤……「紅型」らしい色使いがとても美しく、「南国らしさ」を感じられます。
バイヤーは白手袋を装着し、風呂敷、ルーペを取り出します。
拝見してもよろしいでしょうか
はい、お願いします
バイヤーは帯を広げ、隅から隅まで拝見します。チェックしているのは帯の状態、帯についている認定証です。
奥様、こちら、一度も使用されていないようですね
ええ。母が購入したものなんだけど、結局一度も着ることないまま亡くなってしまって……私が着られたら、と思ったんだけどまだ一度も着ていないの
なるほど
でも、今後も着ることがなさそうだし……売れるなら売って誰かに使ってもらったほうがいいかなと思って。いい帯のようですし
ありがとうございます。こちらは重要無形文化財に指定されている『越後上布』が使用されている帯でございます
へえ、そんなにすごいものなの
はい。越後地域、現在の南魚沼市を中心に作られている平織のものを総じて“越後上布”というんですが、実はすべてが無形文化財に指定されているというわけではないんです
そうなんですか?
ええ。『越後上布・小千谷縮布技術保存協会』という協会に所属している人が作るもの、かつ条件をクリアしているものしか“無形文化財の越後上布”には認定されないんです
へえ……知りませんでした
ご存知の方は少ないかと思います。ちなみに、作者についてはなにかご存知でしょうか
いえ、とくに。有名な方なんですか?
バイヤーは作者・城間栄順の説明もさせていただくことに。
琉球紅型には3つの御家柄があるんですが、そのうちのひとつ“城間家”の15代目が仕上げた作品でございます
あ、“シロマ”って聞き覚えがあるわ
はい。非常に有名で、15代目も14代目も人間国宝に選ばれているんです
そうだったんですね。お恥ずかしながら全然知らなくて……
いえ。14代目、15代目親子は人間国宝になることを辞退しているんですよ
ここで、城間栄喜、栄順親子のエピソードを紹介するバイヤー。
14代目城間栄喜氏は“現代紅型”の基盤を作った人で、多くの紅型師を育てた実績があるんですが……私は生涯職人だから、と人間国宝を辞退してしまったんです
まあ
15代目も、父が受け取っていないものを受けとるわけにはいかない……と辞退されてしまったんです
まあ……勉強になりました
ひと通り説明を終えたバイヤーはここで査定額を算出するため、タブレットを取り出します。
数分後、計算した額を依頼主に見せました。
今回、当店ではこちらのお値段をつけさせていただきました
えっ……こんなに?
はい。希少な『越後上布』であるということ、人間国宝として選ばれるほどの功績を持つ作家、城間栄順の作品という点を高く評価しました
ありがとうございます
さらに、今回は未使用品であるということ、証紙が揃っているということも加味させていただきました
バイヤーは本日中に決めていただく必要はない、と付け加えましたが、依頼主は既に決心していたようです。
その値段で買い取ってもらえるとは思わなかったので……ぜひお願いします
かしこまりました。では、お手続きに移らせていただきます
バイヤーはタブレットを使って契約書を作成し、依頼主に手渡します。
依頼主はその契約書の内容を確認し、署名を行います。そして、本人確認書類を提示後、用意された現金を受け取りました。
天国の母からお小遣いをもらった気分だわ
お喜びいただけて何よりです。以上となりますが、ほかに気になっているものなどはございませんでしょうか
はい。大丈夫です。ご丁寧にありがとうございました
こちらこそ、貴重なお品物をご売却いただきありがとうございました。また何かございましたらご連絡ください
今回の買取とまとめ
城間栄順が手がけた「名古屋帯(越後上布を使用)」
今回注目のお品物は城間栄順の名古屋帯です。
名古屋帯は「袋帯」よりカジュアルに、そしておしゃれに楽しむことができるよう改良された帯をさします。
今回未使用品であるうえ希少な『越後上布』を使用していること、さらに人気作家が手がけた作品という点を加味し、精一杯の金額を提示させていただきました。
このたびは、ありがとうございました。
0120-947-295
大変申し訳ございませんが時間を空けてお問合せください。
いただきません。
どのようなことでも、お気軽にご相談ください。
福ちゃんでは、丁寧な査定を心がけております。売りたい・譲りたいお品物があるという方はぜひご相談だけでもお待ちしております。