【郡上紬】を買取いたしました
- 愛知県
- 60歳代
- 女性

郡上紬着物
今回のお品物は、岐阜県郡上市で生産されている着物『郡上紬』です。縦縞と横縞が格子状になっているものが代表的なデザインとされており、染色に使われるのはすべて地元の天然植物という特徴を持っています。
そして何よりあたたかくて、柔らかいのがポイント。着心地がよく、「ずっと着ていたい」と思わせてくれるのが郡上紬の最大の特徴です。
そんな郡上紬ですが、近年は伝統継承者が減少していること、すでに廃業してしまった作り手が多いことから生産数が減少しているといいます。今回、依頼主から「紬の査定をお願いしたい」とご依頼をいただき、出張査定をさせていただくことになりました。買取業者を利用するのは初めてということでしたので、わかりやすい説明、納得のいく買取を意識して査定に臨みました。
ご訪問前の準備
バイヤー(査定士)が車を走らせていたのは名古屋市の高級住宅街。古い歴史を持つ寺社仏閣があるこのエリアは、明治時代以降から「格式高いエリア」として認知されてきました。
また、名古屋駅へのアクセスもよく、愛知県を代表する企業の重役などが多く住んでいるといわれています。
バイヤーは事前に依頼主のお宅を確認したあと、車を近くのパーキングエリアに停めました。ここで行うのは「最終チェック」です。
依頼主の情報、依頼品に関する資料に漏れがないか確認を行います。
今回の依頼主は60代の女性とのこと。事前の情報によると「生前整理」を行っているそうで、今回の着物だけはしっかりした査定のもと手放したいとおっしゃっていたのだとか。
バイヤーは「福ちゃんを選んでよかったと思ってもらいたい」という一心で業務を行っています。
それは今回の査定に限ることではありませんが、大事なものを自らの意思で手放す「生前整理」の場合、とくに気配りや配慮が求められます。
くれぐれも失礼のないように、と肝に銘じながら持ち物(白手袋、ルーペ、風呂敷、契約書作成用のタブレット、小型プリンターなど)を用意し、車を後にしました。
訪問・査定
さてお時間となり、依頼人のご自宅の前に到着したバイヤー。
昭和時代に建築されたと思われる大きなお屋敷には、高級国産車が数台並んでいました。
門横にあるインターホンを押し、来意を告げます。
はい
福ちゃんから参りました
あ、はーい
それから少しして、グレーヘアの女性が現れました。
ヘアスタイルと合わせたグレーのニットがよくお似合いです。
門が開錠され、数メートル先の玄関に向かいます。
すみませんねぇ、来ていただいてしまって
とんでもございません。お気軽にご連絡くださいませ
玄関に到着し、バイヤーは名刺を取り出してご挨拶を行いました。
改めまして、私、福ちゃんの査定士でございます。本日はよろしくお願いします
よろしくお願いします
広い玄関には腰をかけるスペースも見られました。
いかがされますか?プライバシー保護の一環で玄関での査定も承っておりますが……
いえ、お着物ですので、客間でお願いします
かしこまりました
ご案内いただいた客間は20畳ほどある立派なお部屋でした。
質のいいソファー、テーブルが設置され、ところどころに有名ブランドのフィギュリンが置かれています。
どうぞ、おかけになって
失礼します
向かい合わせになるよう座ったバイヤーは本日の買取に流れについて説明を行い、そのうえで同意書へのサインを求めました。福ちゃんでは、お客様に同意書へのサインをいただいたうえで、初めて査定を開始することが可能となります。
わかりました。じゃあ、価格に納得がいかない場合は遠慮なくキャンセルさせてもらうわね
はい、よろしくお願いします
同意書にサインをいただき、いよいよ査定の始まりです。
これを見て欲しいの
手にしていたのは、たとう紙に包まれたお着物です。バイヤーは白い手袋を装着しました。
拝見してもよろしいでしょうか
ええ、お願いします
たとう紙の紐を丁寧にほどき、畳まれている着物を取り出します。
郡上紬を表す証紙、「郡上紬」という字が織られている端切れも同梱されています。
持ち込んだ風呂敷の上で紬を開き、全体を確認します。
この時点で、虫食い、シミ、汚れなどがないかを入念にチェックします。また、ルーペを使って織物の細部までしっかり確認を行います。
こちらの郡上紬、着用はされていないように見えるのですが……
ええ。一度も着ていないの
やはりそうでしたか。差し支えなければ、入手経緯をお伺いしてもよろしいでしょうか
ええ。馴染のお店から購入したのよ。50を過ぎたくらいから紬を着るようになってね……
依頼主のお話によると、「良い紬が入った」と連絡が入り取り置きをお願いしたものの、理想のデザインではなかったとのだとか。
でもなかなか入らないものみたいだし、取り置きをお願いしていた手前、買わずに帰るのは失礼かと思ってね
なるほど……
こうして入手経路を確認し、中古品ではないことを確かめたバイヤー。
今回の査定は終盤へと近づきました。いよいよ、査定結果を発表するときです。
ここでバイヤーはタブレットを取り出し、査定額の算出を行いました。
今回、当店がお出ししたのはこの金額です
そうですか……まあ、そこそこ高いという感じなのね
はい。郡上紬であることに間違いはないのですが……もう少し複雑なデザインであればこれ以上のお値段をつけられたかと思います
そうよね、やっぱり。私もそれが気になっていたの
お話からすると、奥様はもっと明るい色、“郡上紬らしい格子柄”をお求めだったのではないかなと
そうなのよ、ちょっと質素すぎる感じがするかもね。とても上品なんだけれど
あとは八掛のお色味ですね。紺と相性のいいオレンジですが、紬の場合、着用する方を選んでしまうんです
そうよね
ただ、未使用品であること、保管状態の良さなどはしっかり評価させていただきました
どうもありがとう
依頼主の表情を見たバイヤーは、「焦らずゆっくり決めてください」と付け加え、依頼主の様子を見守ります。
そしてしばらくしたあと、依頼主が口を開きました。
やっぱり、あなたにお願いするわ
よろしいのでしょうか
ええ。相見積もりをしようとも考えたんだけど……あなたとっても丁寧に査定をしてくれたし、何よりお着物のことをよくわかっていたからね。私の好みもわかってもらえてうれしかったわ
ありがとうございます
こちらこそ、ありがとう
依頼主の意向を確認したバイヤーは契約書の作成、印刷に取りかかります。
このあいだに、依頼主は本人確認書類を用意し、印刷された契約書に目を通します。
はい、署名しました。これ、免許証ね
拝見します
署名いただいた契約書、本人確認書類の確認を完了し、用意した現金をお渡ししました。
でも、よかったわ。ここまで値段がつけば十分です
ありがとうございます。そう言っていただけて安心いたしました。以上となりますが、ほかに処分をお考えのものなどはございませんでしょうか
そうね、今後いろいろ出てくると思うんだけど……それはまた今度お願いするわ
かしこまりました。査定は無料ですので、またいつでもご連絡ください
ありがとう
こちらこそ、本日は福ちゃんをご利用いただきありがとうございました。またよろしくお願いします
今回の買取とまとめ
郡上紬(ぐじょうつむぎ)
今回注目のお品物は岐阜県郡上市で生産されている『郡上紬』です。
古くから農業を営む方々によって生産されていた郡上紬ですが、はじめは「くず繭」を用いて作った農民用の紬がもとになっているという説があります。
第二次世界大戦中にこの地域の織物文化が衰退する危機にさらされましたが、それを救ったのは宗広力三氏でした。彼は地元の織物文化の継承、そして復興を目指し、「郡上紬」の研究に励んだと記録されています。
今回はそんな郡上紬の歴史、希少性を最大限に評価し、精一杯のお値段をつけさせていただきました。
このたびは、ありがとうございました。
0120-947-295
大変申し訳ございませんが時間を空けてお問合せください。
いただきません。
どのようなことでも、お気軽にご相談ください。
福ちゃんでは、丁寧な査定を心がけております。売りたい・譲りたいお品物があるという方はぜひご相談だけでもお待ちしております。