【北村武資】の袋帯を買取いたしました
- 神奈川県
- 50歳代
- 女性

北村武資の袋帯
今回お買取したお品物は正絹の袋帯です。袋帯は着物に合わせる帯の中では「一番格式が高い帯」とされており、結婚式や成人式など式典の際に着用されます。そして今回ポイントとなるのが作者・北村武資氏です。北村武資は「復元不可」とされてきた織技法『羅』、『経錦』を完全再現させました。彼の手によって復活した二つの技法は、どちらも重要無形文化財として指定されています。北村武資が手がける織物の特徴は「繊細かつ雅」。繊細で奥ゆかしい、といった表現がふさわしい作品ばかりです。
ちなみに『羅』は中国で発掘された「長沙馬王堆漢墓」に含まれていた絹織物の写真から、そして『経錦』は奈良時代に途絶えた唐の織物を再現したもの。古代中国の織物が持つ華やかさと、北村氏が持つ「和の美しさ」が見事に融合されており、見る者の心を魅了します。
今回、依頼主から「帯の査定をしてほしい」というご依頼をいただき、出張買取をさせていただくことになりました。依頼主の方は「あまり着物に詳しくない」ということだったので、その点もしっかりご説明することを心がけました。
ご訪問前の準備
バイヤー(査定士)が車を走らせていたのは神奈川県の横浜市。かつて外国人外交官の住宅地が近くにあったとされるこのエリアは高級住宅街として知られています。
バイヤーは事前に依頼主の自宅を確認し、周辺のパーキングエリアを探します。車を停め、オペレーターから共有されている依頼主の情報、依頼品について再確認します。
今回の依頼主は50代の女性です。
依頼品は「母親の遺品整理の際に出てきた帯」ということだそうです。
実は、遺品整理の際に処分されてしまう着物や帯、また骨董品は数知れないといわれています。バイヤーは「当店にご連絡をいただけてよかった」という気持ちで社内資料に目を通しました。
そして査定道具(白手袋、ルーペ、風呂敷、タブレット、小型プリンター)に不備がないかを確認します。お約束の時間まであと10分というところで、車をあとにしました。
訪問・査定
依頼主のお住まいは洋風な造りが特徴の大きな一軒家です。大きな門があり、門の中には高級車と電動自転車が2台停められていました。このあたりは坂が多いため、近距離の移動には電動自転車が必須なのでしょう。
バイヤーはインターホンを押下し、来意を告げました。
はい
福ちゃんから参りました
あ、今行くので少しお待ちください
かしこまりました
少しすると、カラーニットを上品に着こなしたご婦人が顔を出してくださいました。
どうぞ
玄関にご案内いただきます。中に入ったバイヤーは手指の消毒を行い、名刺を取り出します。
初めまして。私福ちゃんから参りました査定士です。本日の査定を担当させていただきますので、よろしくお願いします
こちらこそ、よろしくお願いします
今回は奥様のご意向でリビングにご案内いただきました。
車以外の査定を受けるのは初めてで……ちょっと緊張してます
初めて買取業者を利用される方はみなさん緊張されるという方も多いのですが……どうぞ、気を楽にしてください
バイヤーは笑顔でそう答えました。
リビングにはおしゃれなラグが敷かれており、中世ヨーロッパを感じるソファー、ローテーブルが設置されています。どうやらこのスペースでテレビを見たり、歓談をしたりされているようです。
また、ローテーブルには依頼品と見られる木箱が準備されていました。
どうぞ、かけてください
失礼します
バイヤーは、はじめに今回の買取の流れやキャンセルについて説明しました。同意書に依頼主のサインをいただき、いよいよ査定のスタートです。
では、査定を始めたいと思います
お願いします。……これが今回見てもらいたい帯なんです
目の前に差し出された木箱には「北村武資」の文字と印が押されています。こうした部分も重要な査定のポイントになるため、バイヤーは白手袋を装着し、ルーペを使って入念にチェックしました。
こちら、開けて拝見してもよろしいでしょうか
はい。もうすべてお任せするので
かしこまりました
丁寧に箱を開け、蓋を風呂敷の上に置きます。
中からは藍鼠(あいねず)色と規則的に織られたひし形の模様が特徴的な帯が現れました。経験豊富なバイヤーはこの瞬間に「質の高いもの」「高級品」のオーラを感じ取っているといいます。
今回のバイヤーも「この依頼品は間違いなく高価買取が実現するお品物だ」と確信していました。
失礼します
もう一度依頼主に声をかけ、帯を広げます。ここでシミや虫食い、ほつれなどがないか、ルーペを使って細部まで確認します。
こちらの帯はお母さまのお品物と伺っていますが……
ええ、そうなんですよ。詳しいことはよくわからないんだけど……
さようでございますか
あまり使用感の無い状態であることから、着用回数が少なかったのだろうと想定したバイヤー。
非常によい状態で保管されています
あ、そうですか。じゃあ何とか売れそうかしら
しっかりお値段つけさせていただきます
査定を終了したバイヤーはタブレットを取り出し、買取額の算出を行います。
今回、当店ではこちらの金額を出させていただきました
タブレットに提示された金額を見た依頼主は目を丸くしました。
え~、すごい。そんなにいい帯だったの?
ええ。人間国宝であられる北村武資氏が仕立てた貴重な帯でございます
人間国宝?母さんたら、そんな凄い方のものを持っていたのね……だからそんなに着ていなかったんだ
そうかもしれませんね。北村武資という方は、日本が誇る織物職人なんです
へえ……柄が独特ですよね
ここで、人間国宝・北村武資について説明を行ったバイヤー。
唐の織物を復活させた偉業や、北村氏が生み出す織物の素晴らしさについて解説しました。
本当に貴重なお品物ですので、ゆっくり検討してみてください
そうですね……はい
そう頷いた依頼主は何かを考えている様子。バイヤーは静かにその様子を見守ります。
やっぱり、そのお値段でお願いします
ご家族と相談されなくて大丈夫でしょうか?
ええ、大丈夫です。人間国宝の帯と聞いて本当に凄いと思ったし、売らずに取っておくべきかと思ったんだけど……多分箪笥の肥やしになってしまうわ
バイヤーは奥様の話に耳を傾けます。
欲しいといってくれる人に着て欲しいし、福ちゃんにお願いします
かしこまりました。……では、お手続きに入らせていただきますね
お願いします
依頼主の買取の意思を確認したバイヤーは、タブレットと小型プリンターを使って契約書の作成をはじめました。
依頼主は事前に用意していた運転免許証をテーブルに置きます。
では、こちらの内容をご確認いただき、署名をお願いします
わかりました
バイヤーは依頼主が契約書の内容を確認しているあいだに、現金の用意を行います。
書きました
ありがとうございます
本人確認書類の確認を行い、現金を渡します。
ありがとうございます。思っていた以上に高く売れて驚きました
そう言っていただけて何よりです。……以上となりますが、ほかに査定を希望されるものはございますか?
いえ、もう大丈夫です
かしこまりました
バイヤーは買い取りしたお品物を丁寧に包み、最後のご挨拶を行います。
では、本日は福ちゃんをご利用いただきありがとうございました。また機会がありましたら、よろしくお願いします
今回の買取とまとめ
【北村武資】の袋帯
今回注目のお品物は人間国宝・北村武資が手がけた袋帯です。
正絹で丁寧に織られたこちらの商品は、非常に優雅で上品な仕上がりとなっています。また今回は使用感が少ないこと、北村武資本人のものだとわかる署名と印があったことなどを考慮し、お値段のほうも頑張らせていただきました。
依頼主の方にもご満足いただける結果となり、うれしく思います。
このたびは、ありがとうございました。
0120-947-295
大変申し訳ございませんが時間を空けてお問合せください。
いただきません。
どのようなことでも、お気軽にご相談ください。
福ちゃんでは、丁寧な査定を心がけております。売りたい・譲りたいお品物があるという方はぜひご相談だけでもお待ちしております。