【松枝玉記】反物を買取いたしました
- 大阪府
- 50歳代
- 男性
松枝玉記 反物
今回、査定させていただいたのは反物です。福ちゃんでは、お着物として仕上がっているものだけでなく、反物の査定買取も行っています。今回のご依頼主は「反物なんですが大丈夫でしょうか」と不安をお持ちだったようですが、喜んで出張査定に向かわせていただきました。
「家に昔からある反物で、価値があるか分からない」とのことでしたが、付属している紙に「久留米絣」「重要無形文化財・技術保持者 松枝玉記作」と書いてあるという情報をお聞きし、これは高価買取が期待できると胸をふくらませつつ、査定に向かいました。ご依頼主は、大阪府堺市にお住まいの50代の男性です。買取業者のサービスを利用するのは今回が初めてということでしたので、丁寧な説明と査定を心がけました。
ご訪問前の準備
薄曇りながらも雲の切れ目からは淡い太陽の光がそそぎ、過ごしやすい気候の中でそぞろ歩く人々の足取りも軽い、ある日のことです。
福ちゃんのバイヤー(査定士)は、大阪府堺市の住宅街へと車を走らせていました。
暦の上では冬ですが、そろそろ春が近づきつつあり、やや暖かくて過ごしやすい日となっていることもあり、街並みには多くの人の姿が見られます。
平日の午後ということもあり、さすがに家々が建ち並ぶ住宅街に入ると人通りはまばらになりますが、下校途中らしい小学校低学年の子どもたちが連れ立って歩いていたり、お買い物に向かうらしい奥様の姿も見られたりします。
そんな中、バイヤーはご依頼主のお宅の近くにあるコインパーキングに車を停めました。
時刻は午後3時15分といったところ。お約束の時間は午後3時半なので、それまでに査定の準備をあらためて行うことにします。
今回は、事前にお客様からの情報として「松枝玉記氏が手がけた久留米絣の反物」であるということは確認できています。
国の重要無形文化財に認定されている作家が手がけた反物だということで、高価買取の期待が高まりますが、もちろん状態によってはどのような結果になるか分かりません。
バイヤーは、あらためて買取相場の確認を行います。
さらに、白手袋をはじめとする査定の道具がきちんと揃っているかの最終確認も欠かせません。
書類を作成したり査定額を計算したりするために使うタブレットや、書類をプリントアウトするための小型プリンターもチェックし、充電が十分になされているかなど確認します。
訪問・査定
さて、そうこうするうちにそろそろ約束の時間が近づいてきました。
バイヤーは車を降り、事前にお伺いしていた住所を頼りに、お客様のご自宅へと向かいます。
向かった先は、昔ながらの瓦屋根と玄関の引き戸が特徴的な和風建築のお宅でした。
玄関に向かってチャイムを鳴らすと、少ししてから今回のご依頼主が顔を出されます。
福ちゃんから参りました、本日はよろしくお願いします
ああ福ちゃんですね、ありがとうございます。どうぞどうぞ、入ってください
玄関に招き入れられたところで、バイヤーはあらためて名刺を取り出します。
あらためまして、本日はよろしくお願いします。今回は私が査定を担当させていただきます
ああ、はいはい。遠いところをわざわざ。しかし今日はわりと暖かくてよかったですね
そうですね、では失礼します
はい、そこのスリッパ使ってくださいね
ありがたく使わせていただくことにして、奥の書斎へ。
壁一面が本棚になっており、たくさんの書籍が並べられているのが印象的なお部屋です。
重厚感のあるデスクには、作業中らしいパソコンが置かれていました。
お仕事中でしたか?
いえいえ、今日は時間的に余裕があるので気にしないでください
聞けば、とある大学で講師をされているとのこと。
その日は担当する授業がないので家にいるのだというお話でした。
じゃあ、さっそく見てもらいたいんですが……ちょっと取ってきますね
ご依頼主はいったん部屋を出て、しばらくしてから紙に包まれた反物を抱えて来られました。
これなんですけどね……古い物なんで、価値があるのかどうかイマイチよくわからんのですが
ありがとうございます。ではさっそく査定に入らせていただきたいのですが、その前に……
バイヤーはタブレットを取り出し、同意書を表示させます。福ちゃんでは、同意書を確認していただき、サインしていただいてから査定を開始するというルールで行っています。
そのことを説明すると、ご依頼主は感心されたご様子でした。
なるほど、しっかりしていらっしゃるんですねえ
恐れ入ります
その後サインをいただいたので、いよいよ査定スタートです。
反物を包んでいた紙を開くと、そこには間違いなく独特の風合いを見せる久留米絣がありました。
そして、事前にお伺いしていた通り「久留米絣」「重要無形文化財・技術保持者 松枝玉記作」という表記も確かに確認できます。
松枝玉記というのが作家さんの名前だと思うんですが、調べてみるとなかなか有名な方らしいですね
そうですね、松枝玉記さんは1957年に、久留米絣の技術を評価されて国の重要無形文化財に認定された方です。特に、こちらの反物もそうですが、藍染の技術に優れていたといわれています
なるほど、そうなんですね
はい。特にこちらの反物は、藍染が綺麗に仕上げられているのがわかります。とても上質なお品物です
ふむふむ……しかし1950年代に活躍されていたということは、かなり古いものなんじゃないですか、これも。紙も色あせていますし
確かに、時代を感じさせるお品物ではありますが、状態は非常に良いです。こちらのお宅に昔からある反物ということでしたね
多分、このあいだ亡くなった母のものなんだと思いますが、整理していたら出てきたんです
なるほど、大切にされてきたものだったのですね。状態は非常に良いです
じゃあ、結構高く買い取ってもらえますかね?
では、計算させていただきますね
バイヤーはタブレットを取り出し、計算を行います。
実際に査定した印象から割り出した価格と、市場価値とを掛け合わせ、妥当と思われる金額を算出。そして、タブレットをご依頼主に示してお値段を告げました。
古い物なのに、良いんですかこんなに高く……
はい。まずは松枝玉記さんの作品ということで希少価値もありますし、それにお母様がたいへん大事になさっていたんだと思いますが、状態も非常に良好なので、この値段をつけさせていただきました
ありがとうございます。ではこれで買い取ってもらえますか
かしこまりました。手続きを行いますね
バイヤーは、買取の手続きを開始します。
ご依頼主の身分証を確認させていただいたうえで、契約書と明細書を作成。契約書を確認していただき、サインをいただく間に買取の現金を用意します。
そちらをお渡しし、クーリングオフ制度を利用できることなどご説明して完了です。
では、こちらで査定は以上となりますが、何かこの機会に、ほかに買い取って欲しいというものや価値を知りたいというものなどはありませんか?
うーん、今のところはないですね。でも、今はちょっと出かけていないのですが、妻に聞いたら何かあるかもしれません。そのときはまたご連絡してもよろしいですか
もちろんです。その際は私の名前を出していただいたら話がスムーズだと思います
わかりました。じゃあ何かあったらお願いします
今後とも福ちゃんをよろしくお願い致します
今回の買取とまとめ
【松枝玉記】の反物
今回、買取させていただいたのは久留米絣の反物。久留米絣の技術がきわめて高いことから、国の重要無形文化財に認定されている松枝玉記氏が手がけたものです。
澄んだ藍色を基調とした反物で、お客様のお宅に眠って長い年月が経過していましたが、保存状態がとてもよかったこともあり、状態はきわめて良好でした。とりわけ藍染の技術に秀でていた松枝玉記氏らしい上質な久留米絣の魅力を、十分に伝えてくれるお品物でした。
希少価値もあり、状態も非常に良いということで、高価買取が実現しました。
このたびは、ありがとうございました。
福ちゃんでは、丁寧な査定を心がけております。売りたい・譲りたいお品物があるという方はぜひご相談だけでもお待ちしております。