【芭蕉布】名古屋帯を買取いたしました
- 福岡県
- 50歳代
- 女性

【芭蕉布】名古屋帯
今回お買取したのは芭蕉布の名古屋帯です。
「芭蕉布」は沖縄県大宜味村(おおぎみむら)の喜如嘉(きじょか)で生産されている織物で、1974年に重要無形文化財に指定されています。
「布づくりは畑仕事から始まる」といわれている芭蕉布は、原材料の製造もすべて地元沖縄で行われています。そんな芭蕉布づくりは当然人の手が込んでいて、大量生産はできません。ゆえに一時は消失の危機に直面しましたが、あるひとりの女性によって復活を遂げます。
その女性の名は「平良敏子」。平良氏は戦後の大宜見村で芭蕉布を作り続け、後継者の育成に勤しみました。この行動力、そして彼女が織り上げる芭蕉布の美しさは高く評価され、2000年、人間国宝に指定。
100歳を超える今でも現役で活躍する平良敏子氏。彼女が手がける芭蕉布には他の織物にはない斬新さ、美しさがあります。
今回、そんな芭蕉布を使った名古屋帯を売りたいとご連絡をいただき、出張査定をさせていただくことに。「相見積もりの最中」と伺っていたため、他社より高い買取金額を提示すること、そして他社よりも丁寧な対応をすることを目指し、査定を実施いたしました。
ご訪問前の準備
この日、バイヤーが向かっていたのは福岡市のとある住宅街です。祭りやグルメの人気が高く観光客が途絶えない福岡市ですが、繁華街を抜けると閑静な住宅街が見えてきます。
バイヤーは徐行運転をしながらパーキングエリアを探します。まだ時間に余裕があるため、車内で社内資料やデータの最終確認をして過ごします。
今回の依頼主は50代の女性です。
依頼品が「名古屋帯」ということから、お出かけの際に和服を着られることが多い方なのだろうか、沖縄にご縁がある方なのだろうか……など、色々な想像を膨らませます。
どういう入手経路であれ、貴重なお品物を査定することに変わりありません。福ちゃんが掲げる「安心」「納得」「丁寧」「満足」、すべてを満たす買取になるよう、データチェックを行います。
いよいよ約束のお時間の10分前となりました。バイヤーは白い手袋、ルーペ、風呂敷、タブレット、小型プリンターなどの道具をまとめ、車をあとにします。
訪問・査定
やってきたのはとあるタワーマンションです。該当の部屋番号を確認し、インターホンを押します。
はい
福ちゃんから参りました
あ、はい
短いご挨拶を行い、共用部分の自動ドアを解除していただきました。そしてもう一度玄関ドア横のインターホンを鳴らします。
あ、今でます~
少しすると玄関ドアが開き、依頼主の方とみられる女性の方が現れました。
すみません、お待たせしました
とんでもございません。失礼します
玄関に入り、すぐに名刺を取り出します。福ちゃんのバイヤーは「はじめにご挨拶」を徹底しています。
はじめまして。私福ちゃんから参りました査定士です。本日はよろしくお願いします
あ、よろしくお願いします。では、居間のほうにお願いします
案内されたリビングにはいくつかの段ボール箱が置いてありました。テーブルの上には本日の依頼品とみられるお品物が置かれています。
どうぞ、おかけください
失礼します
向かい合わせとなるように着席したバイヤー。これから行われる買取について説明を行い、同意書にサインをいただきます。
はい、OKです
ありがとうございます。ではさっそくですが……
はい、これなんです
そういって差し出されたのはたとう紙に包まれた芭蕉布でした。
バイヤーは白い手袋を装着し、ルーペを取り出します。
拝見してもよろしいでしょうか
お願いします
慎重にたとう紙を開くと、帯本体と「喜如嘉の芭蕉布」と書かれた証紙が出てきました。これはこの芭蕉布が伝統工芸品であることを示すもの。非常に大切な「付属品」となります。
帯の色は喜如嘉の大地を思わせるベージュで、何色もの糸が線を描くように織られ、ひし形、蝶が織り込まれています。使い込むほどいい味わいが出てきそうなお品物です。
失礼します
はい
帯を広げ、全体の状態を確認します。目視の段階では、目立つシミや汚れなどは見当たりません。模様が織られている部分などの細部はルーペを使ってチェックします。
着用感、使用感が少なく、柄も「まさしく芭蕉布」そして「平良敏子氏らしい手仕事」といえるお品物です。
素晴らしい芭蕉布ですね。こちら、どのように入手されたのかお伺いしてもよろしいでしょうか
実はそれ、母のものなんです
お話によると、依頼主のお母様は70歳を越えて高齢者向けマンションへの引っ越しを決めたのだとか。部屋の中にある段ボール箱はお母様が「生前整理」を行ったもので、現在依頼主が箱の中身の確認し、処分を進めているとのことでした。
そうだったんですね
だから、私はあまりよくわからないんです。訪問着に合わせるにはなかなか難しいだなと思っていたんですが……
ここで芭蕉布の歴史や、人間国宝である平良敏子氏について説明を行ったバイヤー。依頼主は目を丸くして聞いています。
えっ、人間国宝のものだったんですか?
さようでございます
この前来てくれた人はそんなこと言っていなかった……ということは、需要ありますかね?この帯
もちろんでございます。お値段のほうも、頑張らせていただきます
ありがとうございます
一通り説明を行ったバイヤーは「価格調整」の段階に入ります。バイヤーが自分の目で見た情報、そして経験、社内データをもとに計算を行います。
お待たせしました。今回はこちらの金額を出させていただきました
わあ、すごい
ポイントとなったのはやはり人間国宝の作品ということ。また使用感がなく、芭蕉布らしい美しい『織』を堪能できるという点ですね
はい
証紙があったことも評価させていただきました。こちらがあるものとないものとでは、お値段大きく変わってまいります
捨てないでよかったです
バイヤーは続けてこう伝えます。
本当に希少価値の高いお品物なので、よくお考えくださいませ
しかし、依頼主の気持ちは既に固まっている様子。
いえ、お願いします。そのお金を母に渡してあげたいですし、どんなにすごい帯だとしても、私にはとても着こなすことができません
ご家族方と話し合いなどされなくてよろしいでしょうか?
はい。大丈夫です。この帯の価値を知ることができたのも査定士さんのおかげです。よろしくお願いします
依頼主のはっきりとした意思を確認したバイヤーは、契約書の作成に移ります。
では、こちらが今回の契約書でございます。目を通していただき、不明点がなければ署名をお願いします
はい。わかりました
依頼主の署名、本人確認書類を確認し、この日の買取額を手渡します。
こちら、本日の買取金額でございます
ありがとうございます。本当に、福ちゃんに依頼してよかったです
こちらこそ、貴重なお品物をご売却いただきありがとうございます。……以上となりますが、ほかに査定をご希望されるものはございますか?
バイヤーはお買い取りした芭蕉布を丁寧に包み、こう尋ねました。
では、一緒にあの箱の中身を見てもらってもいいですか?
もちろんでございます
ここで追加査定を行ったバイヤー。
しかしこの日は芭蕉布の名古屋帯一点のみの取引となりました。最後にお別れのご挨拶を行います。
このたびは福ちゃんをご利用いただきありがとうございました。またご縁がありましたらよろしくお願いします
今回の買取とまとめ
平良敏子作の芭蕉布(名古屋帯)
今回お買い取りしたお品物は人間国宝・平良敏子の作品です。
非常に状態がよかったこと、希少価値の高いお品物であることなどを考慮し、ご提示できる限界価格に挑戦しました。このたびはご利用いただきありがとうございました。
福ちゃんには着物、帯に精通した査定士が在籍しています。作者や価値がわからない着物の査定も弊社にお任せください。
このたびは、ありがとうございました。
0120-947-295
大変申し訳ございませんが時間を空けてお問合せください。
いただきません。
どのようなことでも、お気軽にご相談ください。
福ちゃんでは、丁寧な査定を心がけております。売りたい・譲りたいお品物があるという方はぜひご相談だけでもお待ちしております。