着物作家・古澤万千子とは?
買取相場はどのくらい?
今回は着物作家の古澤万千子(ふるさわまちこ)についてまとめてみました。
古澤万千子は唯一無二の世界観を表現する染織家として有名な着物作家で、絞り染めのほか型絵染め、友禅染めといった伝統的な技法を使い分け多くの作品を生み出しています。
彼女が手がけた作品は「個性的」「オリジナリティがある」などと表現されることが多く、着物愛好家たちの中でも注目されています。そんな古澤万千子の着物は買取の世界でも「高い価値を持つ作品」とされていますので、状態のいいものであれば高額買取も期待できるでしょう。
ここでは、そんな古澤万千子のプロフィールや作品について、また買取金額についてご紹介したいと思います。
古澤万千子とはどんな着物作家?
古澤万千子は1933年、東京都の浅草で生まれました。
「下町」として知られる浅草で生まれ育った彼女は幼少の頃から植木や樹木といった植物が大好きだったといいます。
そんな古澤万千子は東京府立第一高等女学校(現・都立白鷗高等学校)に在学中、東京藝術大学で教授をしていた久保守(くぼまもる)に師事し、5年ほどデッサン、油絵を勉強しました。
ちなみに久保守は「詩情が漂う画家」として有名な洋画家です。久保守の教えや作品はのちの古澤万千子の作品づくりの基盤となっています。
染織の技術、技法は森義利から習得しました。
森義利(もりよしとし)は浮世絵版画の彩色法である「合羽摺り(かっぱずり)」の第一人者として知られる作家で、「版画の世界で知らない者はいない」とされるほど有名な人物です。
そんな森から直々に染織の基本を学んだ古澤万千子は、人間国宝に認定されている染織工芸家・芹沢銈介(せりざわけいすけ)や美術評論家・柳宗悦(やなぎむねよし)といった実力者たちからもその能力を認められるようになり、徐々に独自の作風を確立させていきました。
1957年、自身の作品を国画会工芸部に初出品した古澤万千子。1960年には国画会新人賞を受賞します。
こうしてひとりの染織家としての地位を築いていた古澤は、国画会会員の染織作家・柳悦博を通じて白洲正子と出会います。
白洲正子は随筆家としてさまざまな著作を残している人物で、のちに「彼女(古澤万千子)の作品が美しい理由は、その方法がまったく独自のものだからである」と高く評価しています。
1961年、国画会で「最優秀」と認められた作品に贈られる「国画賞」を受賞。1963年には国画会会友優作賞を受賞し、自身も国画会会員となりました。
1966年から1977年の12年間は日本民藝館新作展で審査員を務めた古澤万千子。1971年には結婚をし、大分県大分市に活動の拠点を移しています。
以降、大分の自然をテーマにした作品を数多く生み出し、多くの人の心を惹きつけ続けています。
「即興の詩」と評される染織家
古澤万千子の作品の特徴は「染めの技法を使い分けていること」だといえます。
作品の中には手描きや絞り染めのほか、芹沢銈介氏が確立させた「型絵染め」、江戸時代から人気が高い「友禅染め」などさまざまな技法が用いられており、常に斬新な作品を生み出しています。
また、「下書きをしない」というのも古澤作品の大きな特徴です。通常、染めものをするときには「下絵」という下書きのような工程があるのですが、彼女はこれを行いません。
下絵をしないことで自由に、古澤が感じたものをそのまま表現することを大切にしているのだといいます。
そのため、「ここには絞りを入れよう」などと、途中で技法が変わったり加えられたりすることもあります。これが「即興の詩」と称される理由で、吉澤万千子の作品にしかない美しさ、楽しさがあるのだといわれています。
また、古澤万千子は化学染料を使わず、天然染料だけで染め上げるというこだわりを持っています。派手、大胆なデザインでありながら、優しくあたたかみのある色味が特徴です。
主に着物、帯を作っており、彼女を高く評価した白洲正子も彼女の作品のコレクターだったといわれています。
古澤万千子の作品紹介
ここでは古澤万千子の作品の一部を紹介します。
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『蝶々』
2006年、第80回国展に出品された作品で、タイトルどおり優雅に舞う蝶々が描かれています。背景にはみずみずしい「青」が用いられており、ところどころにあしらわれた円状の模様が幻想的な作品となっています。
蝶にはそれぞれ異なる色が使われており、「細かい手仕事」を感じさせるグラデーションが際立つ作品となっています。 -
『虫に矢』
2009年、第83回国展に出品された『虫に矢』。
トンボやバッタ、蝶といった虫たちが描かれ、作品の下部にはタイトルにある「矢」を大胆に置き、古典的な印象を演出しています。
また、この作品の特徴には「香」「夢」といった漢字が描かれています。古澤万千子は作品に漢字をデザインとして用いることが多く、古澤にしか描けない斬新さ、独特な世界観を表現しています。 -
『すいかずらの花Ⅱ』
2011年、第85回国展に出品された作品です。
香りがよく、香水やアロマオイルとしても人気が高い「スイカズラ」を一面にちりばめているこちらの作品は、非常に可憐で繊細な絵付けが特徴になっています。
こちらの作品には漢字や動物は登場していませんが、多くある古澤作品のなかでも「代表作」と呼ばれる作品のひとつだとされています。 -
『早春 ふたたび』
2013年、第87回国展に出品された『早春 ふたたび』は春の訪れを喜ぶ鹿や蝶、蟹が大変可愛らしい作品となっています。
全体に使われている深緑が広大な草原を思わせてくれる作品です。 -
『遊ぶ』
2016年、第90回記念国展に出品されたこちらの作品『遊ぶ』。 「古澤万千子らしい」といわれるこの作品は小人のように見られる小さな人々や蝶が楽しそうに宙を舞っています。
古澤がデザインとして取り入れている漢字には「舞」「自」「行」などが描かれており、自由さ、遊び心が満載な作品となっています。 -
『はる』
2019年、第93回記念国展に出品された『はる』。
桃色と黄色の2色が非常に鮮やかな印象となっており、上部に描かれた大勢の鶴たちが嘴(くちばし)に毬を咥えています。
「酔」「袖」「平」といった漢字が用いられているこの作品には、うららかな春、そしてめでたさが感じられる作品となっています。
古澤万千子の着物買取
価格はどれくらい?
古澤万千子の着物や帯は独特の世界観が盛り込まれており、多くの着物コレクターから高い評価を得ています。
しかし、古澤万千子の作品は一般販売される作品が少なく、販売が行われたとしてもすぐに完売となってしまい、「欲しい」と思っても簡単に手に入れることはできません。
よって、買取の世界でも「希少性」が評価されており、一度人に手に渡ったもの、中古となったものでも高い需要を持ちます。
とくに高い価値が期待できるのは着物で、古澤万千子らしい作品(植物や動物、漢字を使った作品)は4万円で買取されたこともあります。また、着物の買取価格は時代によって大きく変化するので、時期によってはそれ以上の値がつくこともあります。
なお、福ちゃんでは古澤万千子の作品の買取を積極的に行っています。
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