着物作家・本郷大田子とは?
買取価格はどのくらい?
今回は着物作家の本郷大田子についてまとめてみました。
本郷大田子は京都出身の染色家で、「虹染(にじぞめ)」を確立させた人物です。現在は2代目が「本郷大田子」を襲名しており、3代目も同工房の染色家として活動されています。本郷大田子の着物の特徴は「淡くて儚い」「得も言われぬ色」であること。着物買取の世界でも本郷大田子の着物は注目されており、状態のいいものであれば高額買取も期待できるといわれています。
今回は主に2代目・本郷大田子のプロフィールや作品について、また着物の買取相場などについてまとめてみました。
「本郷大田子について知りたい」 「本郷大田子の着物の売却を考えている」 という方はぜひチェックしてみてください。
本郷大田子とはどんな着物作家?
初代・本郷大田子は戦時中から戦後にかけて活躍した染色家です。
10年以上の歳月を経て生み出した「虹染」は斬新な手法、美しさが評価され、1975年には京都府より「創意工夫発明功労賞」を受賞しました。
ちなみに、「大田子」の雅号は、大田子が氏子であった「大田神社」から頂戴しているといいます。
2代目・本郷大田子は1942年、京都で生まれました。風景画を得意とする画家、水田慶泉(みずたけいせん)に師事し、「大田子草堂塾」で染色について学びます。
本郷大田子の技術・想いを継承した2代目は数々の個展を開催し、着物を着ることがない世代、地域にも「きものの美しさ」を伝えています。
1979年にはパリの国際会議場・パレデコングレパリで『キモノ&ドレープ』を、1981年には神戸の国際交流会館にて『モダンジャパン‘81』を発表し、「本郷大田子」の世界観を国内外問わずにアピールしました。
1986年、2代目本郷大田子を正式に襲名。また同年には服飾功労賞を受賞しています。
以降もニュージーランドやベルギーなどで個展を開催し、海外に「日本の着物」そして「虹染」の美しさを伝えてきました。
1994年、本郷大田子が十八番とする「虹文字」をテーマにした個展『虹文字展』を開催。2001年にはポルトガル国立セアルテ芸術専門機関CRATにて「国際芸術文化功労賞」を受賞しています。
独自の染色技法「虹染」
虹染は、初代・本郷大田子が考案した染色技法です。
白い反物に染料をのせて「にじみ」を発生させ、さらに異なる色を何色も重ねにじませていきます。こうして何色も重ね、ぼかしていくことで「虹のよう」、「何色と定義付けることが難しい」といわれるグラデーションが完成するのです。
当初は「大田子染め」と呼ばれていた技法ですが、「にじんだ色」「虹のような」という掛け言葉から、「虹染」と呼ばれるようになりました。
虹染の作業は手作業で行われ、本郷大田子の感性、またインスピレーションを表現します。よって、同じものは二つとして存在しません。
なお、3代目・本郷公崇(ほんごうきみたか)氏によると、「京風の『はんなり』した色に染めることが多い」とのことですが、着る人の年齢や場面、また肌の色や髪の毛の色を想像しながら色を重ねているのだといいます。
ちなみに京都には伝統的な「京友禅」が存在しますが、この京友禅と本郷大田子の「虹染」との決定的な違いは分業制ではないこと。
京友禅の中でも「手描き友禅」といわれる友禅染めの場合、「図案」「下絵」「糊置き」「挿し友禅」「蒸し」「仕上げ」「金彩・刺繍」の工程を別々の職人が仕上げています。
一方の虹染は「すべての工程をひとりで行う」という点が大きく異なるといえるでしょう。
京友禅ではほかの色がにじんだり染み込んだりしないよう「防染」という工程がありますが、虹染は「にじみ」が特徴の染め技法であるため、特定の箇所以外の防染は行いません。
また、虹染は染料を乗せた瞬間に乾いていくため、染めの工程にかかる時間は1時間30分から2時間と大変スピーディーです。そのため、迷いのない筆運びや筆さばきが求められます。
本郷大田子の作品紹介
独特な世界観が人気の「虹染」。
本郷大田子は現在2代目と3代目が中心となり、
美しい作品の数々を生み出しています。
ここではそんな本郷大田子の
作品の一部を紹介したいと思います。
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連山朝ぼらけ
本郷大田子の代名詞ともいえる代表作が、こちらの『連山朝ぼらけ』です。
早朝に見られるオレンジ色の光陽と、宵が残っている様子を表す淡い紺色の組み合わせが大変美しく、京都の雄大な空、山々が表現されています。
京友禅に施されるような、金彩、箔などは一切使用していませんが、壮大で見るものの心を惹きつけます。 -
高山寺紅葉
本作品は京都市内にある高山寺の紅葉を描いています。
着物の世界では四季がテーマとされることが多く、とくに加賀友禅では四季など「自然」を取り入れることが多いとされていますが、本郷大田子の作品はこの加賀友禅とも異なる「リアルさ」、「ロマンティック」さが感じられます。
また、古くから多くの作者がテーマにしてきた「紅葉」ですが、既出の作品にはない大胆さ、美しさが堪能できる作品になっています。
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夜桜
タイトル通り「夜桜」をテーマにした本作品です。 この作品のポイントは炎が描かれていること。
春とはいえ、「まだ暖を取らねばならない京都の夜」を描写しており、炎が持つ「力強さ」と、散ってゆく桜の「儚さ」といったコントラストが非常に美しい作品となっています。 -
幻の花
5~6月に青色の花を咲かせる杜若(かきつばた)を描いた本作品。
こちらは本郷大田子とゆかりがある大田神社の池で見られるワンシーンを描いたものといわれています。
花の周りには霞がかかっており、「幻の花」という表題がよく似合う幻想的な作品となっています。
本郷大田子の着物買取
価格はどれくらい?
本郷大田子の着物は、著名人にも愛用者が多く、国内外問わず高い評価を得ています。
とくに、何色も色を重ねて表現する「虹色」は目を引く美しさがあり、中古市場でも注目されています。
気になる本郷大田子作品の買取額ですが、具体的には最高で2万円で取引されたという実績があります。
しかし、これはあくまでも一例です。
本郷大田子の作品は「同じものが存在しない」「唯一無二である」という特徴があるため、状態、作品によっては上記でお伝えした額以上の取引額になることも考えられます。また、時代によって着物の価値は変化するので、査定の時期によっても価格は変わります。
福ちゃんでは本郷大田子など有名作家が手がけた着物の買取を強化しています。
「他店で値段がつかなかった」
「状態が良くないため、売れないかもしれない」
などの場合も、一度買取福ちゃんにご相談ください。
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