着物作家・栗山吉三郎とは?
買取価格はどのくらい?
今回は着物作家の栗山吉三郎についてまとめてみました。
栗山吉三郎は「栗山工房」の創設者で、沖縄の「琉球紅型(びんかた)」と京友禅を組み合わせた「和染紅型」を確立させた人物です。
栗山工房の着物、帯は沖縄で生産されている紅型とは異なる風合い、そこはかとなく感じられる京友禅の優雅さが特徴となります。
現時点でも人気が高い作家で、着物の世界、買取の世界でも非常に注目されています。
今回はそんな栗山吉三郎の人物像や過去事例をもとにした買取額についてご紹介します。
「栗山工房について知りたい」「栗山工房の着物を売りたい」とお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
作家・栗山吉三郎とは?
初代・栗山吉三郎は京都で生まれました(出生年に関しての詳細は不明)。
小さな頃から絵を描くことが好きだったという吉三郎は、自身が好きな絵画の道に進むことを決意。当初は油絵を学ぶつもりだった吉三郎ですが、このとき親交が深かった河井寛次郎と柳宗悦(やなぎむねよし)たちによる民藝運動に参加しました。
ちなみに、柳宗悦は美術評論家であり哲学者であり、「民藝運動」では「もっと日本の工芸品に目を向けよう」といった内容を主張していました。
大正時代は西洋の文化が入ってきた時代で、日本人は徐々に美術品や芸術品の見方が変化していきました。こうしていつのまにか根付いてしまった「西洋の華美な装飾品が良し」とされる風潮に警笛を鳴らしたのが柳宗悦たちだったのです。
これに感銘を受けた栗山吉三郎は美術の道を志し、写生の旅を積極的に行います。
そんな中、河井氏とともに出向いた沖縄で、伝統工芸品である「紅型(びんかた)」に出会います。
かつての琉球王朝を思わせる琉球紅型の鮮やかさ、美しさに感銘を受けた栗山吉三郎は、自らも紅型師になることを選択。そして、琉球紅型と京友禅を融合させた「和染紅型」を確立させました。
1952年に独立した栗山は「栗山工房」を設立。
当時はまだ「紅型といえば沖縄」「京都の着物は京友禅」が当たり前だった時代でしたが、栗山は自分にしかできない「和染紅型」を追求しました。
1960年、栗山吉三郎の一番弟子となる大箭秀次氏が入社。ひたむきに師匠の「和染紅型」を追い続け、1989年2代目栗山吉三郎を襲名。
現在は2代目栗山吉三郎の娘である西田裕子氏が工房を支え、「3代目・栗山吉三郎」となるための準備を進めているようです。
沖縄の型染めと京友禅の融合
「和染紅型」
琉球紅型と京友禅、それぞれの美しさを掛け合わせた『和染紅型』。
不溶性の顔料を使わず丁寧に染められた和染紅型は、現代的で斬新な美しさも感じられます。
そもそも、この「和染紅型」の誕生背景には「帯の有無」があったといいます。
帯をしない琉球衣装はこすれて色が落ちることがありません。 しかし帯を巻いて着用する着物の場合、伝統的な紅型染めでは帯部分だけが色落ちしてしまうという点が問題となったのです。
「紅型師になる」だけでなく、「着物として、新しい紅型を作る」ということを目指した栗山は、課題点となった「紅型の色落ち」に京友禅の技術、染料を取り入れ対応します。
試行錯誤を重ね、生まれた栗山吉三郎の紅型。これが現在の「和染紅型」となったのです。
また、「下絵」「挿し友禅」「金彩・刺繍」などと工程が多い京友禅では「分業制」が当たり前でしたが、栗山工房ではほとんどの作業をひとりで行う「一貫作業」で制作を行っています。
さらに、「使用する防染糊(色移りを阻止する役目を果たす糊)にはもち糊しか使用しない」など、使用する材料にもこだわっている栗山工房。
着物の世界では若者の職人が減少傾向にあるといわれていますが、栗山工房では若者の職人の育成も行っており「和染紅型の技術継承」にも力を入れています。
栗山吉三郎の作品紹介
まったく新しい着物として誕生した「和染紅型」は、
幅広い世代が着られるよう配色、
絵柄が豊富であるという特徴があります。
ここでは栗山吉三郎の作品の一部を紹介します。
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振袖『雲重ね花菱入草花』
成人した女子が式典の際に着用する「振袖」。
『雲重ね花菱入草花』は朱赤とオレンジ、そして足元に差し色として使われている黒色の配色が特徴的な作品になっています。また、草花や花菱模様にはピンク色や水色、緑色など「紅型」の伝統的な配色を採用。沖縄の青空がよく似合う振袖です。
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振袖『しだれ梅に大雪輪』
こちらは全体的に藍色、水色で彩られた梅があしらわれている振袖です。
一般的な振袖は「豪華絢爛」を求め、たくさんの色を使って縁起の良い絵が描かれていますが、こちらの『しだれ梅に大雪輪』は色彩、絵柄に統一感があり、非常に落ち着いた印象に仕上がっています。「大人っぽい着物が着たい」
「個性的な着物が着たい」という女性にぴったりな着物です。
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訪問着『首里御所解』
「御所解(ごしょどき)」とは、和服で用いられる伝統的な文様の一種で、四季を示す草花や貴族の御所車などを描き「物語や文献で見る世界」を表現しています。
特に京都の場合、『源氏物語』がテーマとされることが多く、かつては京の貴族にも愛されていたといわれていますが、栗山工房がテーマとして選んだのは沖縄の首里。白地に藍色で描かれた首里の草花が大変美しい作品となっています。
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訪問着『垣に草花』
鮮やかな黄色が印象的な本作品。赤、紫といった草花が非常に「琉球びんかた」らしさを感じられる作品となっています。
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帯『陽明松笹入花鳥』
大きな花模様と鳥が、古典的な印象となる本作品。
使用されている色はえんじ、紺、深緑など、日本の伝統的な色となっており、豪華で上品な仕上がりとなっています。 -
帯『更紗No.10』
「更紗」はインドで作られている木綿布のことをさします。
本作品は、ステンドグラスを見ているかのようなデザインが特徴で、パステルブルーやピンクといった色彩が非常に現代的でお洒落な印象となっています。
栗山吉三郎の作品の
買取額はどのくらい?
栗山吉三郎 (栗山工房)の作品の着物や帯は「京友禅とも紅型両方の特徴を活かした新しい着物」とされており、幅広い世代に高い評価を得ています。
とくに「紅型らしさ」を感じられる着物に関しては高い需要があり、状態によっては高価買取が期待できるといわれています。
現在は今後3代目となる西田裕子氏が中心となり、工房の職人たちが「栗山作品」を手掛けていますが、買取の世界では現状初代や2代目が手がけた作品に高い希少性が認められており、最高で20万円もの価格がついたという実績があります。
さらに、着物の価値は時代によって変化するので、それ以上の価値がつくことも考えられます。
なお、福ちゃんでは栗山吉三郎など作家物の着物の買取に力を入れています。
「栗山工房のものと思われる着物がある」
「他店では買取不可といわれてしまった」
といった状態でも大丈夫です。
買取福ちゃんには着物の買取に精通した査定士が在籍しており、「品物の価値」を見逃しません。
古い着物や他店で断られてしまった着物でも、お買い取りできる場合がございますので、ぜひ着物の買取の際には福ちゃんの無料査定をご利用ください。