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着物作家・上野為二とは?
買取相場はどのくらい?

今回は、京友禅の世界でその名を知られる着物作家・上野為二についてまとめてみました。

上野為二という作家は現在、2003年にその名を襲名した2代目が活躍していますが、京友禅の世界で特に高い評価を得ているのは初代・上野為二(1901~1960年)です。

初代の上野為二は、長い年月に渡って京友禅の技術を伝えてきた上野家の仕事を受け継ぎ、発展させ、ついには人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定されるまでに至りました。

作品の中には美術館に所蔵されているものもあり、高い価値を誇ります。

では、そんな上野為二とは具体的にはどのような作家なのでしょうか。 ここでは、プロフィールや主な作品、買取価格の目安などについて解説していきたいと思います。

目次

上野為二の歴史について

初代・上野為二は1901年、京都に生まれました。

為二が生まれた上野家はもともと友禅染を家業にしており、父の上野青江は友禅染のデザインを考案する図案家として活躍した人物でした。ちょうど京都市中が戦場になったこともあった幕末の動乱期が過ぎ、明治維新の成立後に首都が東京に移され、府内全域に暗いムードが蔓延していました。

そんなとき、京都では伝統工芸や芸術を積極的に後押しする取り組みを行い、その中で画家や着物作家などが活躍。上野青江もそのひとりであり、京友禅の着物を制作するかたわら図案集を出すなどしています。

そんな父親がいる家庭で育った為二は、自然と京友禅に親しむ生活を送るようになります。

父の弟子となって本格的に家業を学び始めたのは1925年頃だといわれていますが、それ以前には京都美術工芸学校や関西美術院で日本画や西洋画を学んで素養を身につけていました。
父親ゆずりの才能を発揮しつつ、京友禅だけでなく現在の石川県に伝わる加賀友禅の染織技術も修得。京友禅の世界をさらに進化させることに貢献します。

その作風は、京友禅と加賀友禅を融合した「京加賀」と呼ばれています。

上野家の工房には、家に伝わる京友禅に加えて加賀の地に伝えられてきた加賀友禅をも吸収しようとして為二が集めたおびただしい数の研究資料が、現在も残されています。

また、上野為二は日本工芸会に所属して日本伝統工芸展に作品を発表。高い評価を得るとともに、審査員としても活躍しました。

そして長年の活躍と確かな技術が認められ、1955年には人間国宝に認定されます。

上野為二は人間国宝に認定された5年後の1960年に亡くなりますが、その技術は子の忠夫、そして1957年生まれの孫・2代目上野為二(本名は真)へと受け継がれています。

上野為二の「京友禅」の特徴は?

そもそも京友禅とは、色彩が豊かで絵画的な表現が特徴的な“友禅模様”を発展させてきた歴史がある京都の染織物を指します。

“千年の都”として華やかな文化が栄えてきた京都ならではの、上品で優雅な雰囲気、そして重厚感がありながらも軽やかな仕上がりになっているのがポイントです。

友禅は昔から、京都だけでなく現在の石川県でも発展してきた歴史がありますが、京友禅は石川県に伝わる加賀友禅にはない金彩や繊細な刺繍をほどこすのが特徴で、独特のきらびやかさがあります。

京友禅が、平安時代から京都に続く貴族文化を反映したものである一方、加賀友禅は“武家風”の友禅だといわれることもあります。

そんな京友禅の技術をきわめた上野為二は、加賀友禅の技術をも学んで積極的に取り入れ、「京加賀」と呼ばれる独自の友禅を編み出しました。

京友禅らしい華やかさとともに、落ち着きのある加賀友禅のムードを盛り込み、気品あふれる独自の世界観を確立しています。

上野為二の作品は「落款」に注目

着物の買取査定において重要なポイントはいくつかありますが、中でも特に“作家もの”の場合に重要になる点として「落款」が挙げられます。

落款は、着物が完成したときに施される作家の証です。

着物の作家はそれぞれ独自の落款を持っており、着物の買取査定を行う査定士は、その落款の有無やデザインなどをチェックすることで価値を定めるための参考にします。

たとえば上野為二が手がけたとされる着物を査定する場合、上野為二の落款が捺されているかどうか、そしてそれは本物であるかどうかをチェックするというわけです。

また、落款自体は現在、インターネットでも見ることができる場合があるので、着物の査定に関して深い知識を持っていない人であっても、ある程度の判断をすることも可能となっています。

ただし、上野為二の着物の場合は注意する必要があります。

というのも、「上野為二」という名を持つ着物作家は「初代」と「2代目」の2人がおり、それぞれの落款が非常に似通ったものであるためです。

素人目にはなかなか見分けるのが難しいとされているので、「人間国宝の初代・上野為二の着物だと思っていたら実は2代目だった……」ということも考えられます。

上野為二の着物を査定・買取してもらう場合は、上野為二の着物に関する専門的な知識と、多くの事例を見てきた経験がある査定士のいる着物買取業者を利用すべきといえるでしょう。

上野為二の作品紹介

きらびやかで華やかな京友禅に加賀友禅の要素を盛り込み、
独自の「京加賀」と呼ばれる友禅染を確立させた初代・上野為二。

その作品はいずれも高い価値を持ちますが、
ここではそんな上野為二の作品をいくつか紹介したいと思います。

  • 一越縮緬地友禅訪問着「寿山の曙」

    一越縮緬(ひとこしちりめん)は、通常の縮緬に比べて薄手で繊細な凹凸(シボ)が上品な雰囲気をかもし出す特徴的な生地です。
    そんな生地を使って制作されたこちらの訪問着は、朝靄がかかった山々の向こうに日が昇り、曙の気配が感じられる……そんな時間帯の情景を格調高く描いています。
    秋らしく、緑豊かな山々の中には鮮やかな紅葉が見られ(右袖と裾にあたる部分)、アクセントになっているのがポイントです。

    この作品は上野為二が晩年に手がけたもので、1958年に完成。現在は東京国立近代美術館に所蔵されています。

  • 黒縮緬地近江八景模様振袖

    1933年に制作された作品で、2022年には東京都の「丸紅ギャラリー」開館記念展に展示されたこともある友禅染の振袖。
    全面にわたってデザインされているのは、近江の国(現在の滋賀県)で古くから8つの名勝地として知られる「近江八景」です。近江八景は、かつて江戸時代の浮世絵師・歌川広重が浮世絵のシリーズ作品を制作したことでも知られています。

    こちらの振袖は、歌川広重と同時代に作られた、近江八景がデザインされた僧侶の袈裟をモチーフにした作品です。もとになった袈裟は明るい白縮緬地のものですが、為二はあえて気品と奥行きが感じられる黒の縮緬地を用い、品格のある近江八景を美しく描き出しています。
    日本画・西洋画の素養を持つ上野為二ならではのアート感覚に優れた作品のひとつといえるでしょう。

上野為二の着物買取
価格はどれくらい?

生涯にわたって多数の着物を手がけてきた上野為二。
特に初代は人間国宝の認定を受けているだけあって高い価値を持ちますが、価値は時代によって変動します。

また「初代」と「2代目」では買取価格の目安が異なるので注意が必要です。

すでに紹介したように、初代と2代目は落款が似通っているので、経験豊富な査定士に見てもらわなければ誤った判断をくだされる場合があります。

具体的には、本当は高い価値を持つ初代の着物なのに、査定士が未熟なせいで2代目の着物だと見誤り、安い価格を提示されてしまったりすることが考えられます。

というわけで、上野為二の着物査定・買取に関してはぜひ福ちゃんにお任せください!

福ちゃんには、着物の査定に関する豊富な知識と経験を有する査定士が在籍しております。査定は無料で承っていますので、気軽にお声がけください。

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