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サンローラン(Saint Laurent)の歴史

サンローランの歴史を語るには、ファッションデザイナーとしてのイヴ・サンローランの輝かしい経歴について語ることが欠かせません。
サンローランは1936年、当時の仏領アルジェリアの比較的裕福な家庭に生まれ育ちました。
17歳になったとき、ファッションデザイナーを養成する「シャンブル・サンディカル・ド・ラ・オート・クチュールファッションデザインスクール」に入学すると、類まれなる才能を発揮します。

3ヶ月のコースが終了する頃に行われたデザインコンクールに出したカクテルドレスが、ドレス部門において最優秀賞を獲得。これによって、当時すでに世界的に活躍していたクリスチャン・ディオールとの交流がはじまります。
しかし、ディオールはサンローランを後継者として育てるつもりであったものの、サンローランがディオールに入社してわずか3年で急逝。このとき21歳だったサンローランが主任デザイナーとして抜擢され、突如としてカリスマデザイナーのクリスチャン・ディオールを失った巨大なブランドを見事救い上げました。

その後、アルジェリア戦争の際に徴兵されたことでサンローランはディオールを去りますが、除隊後の1962年にオートクチュールメゾン「イヴ・サンローラン」を設立。
これより、サンローランは“モードの帝王”と呼ばれるトップデザイナーとしての道をひた走ります。
特に、肌が透けて見える「シースルー」をはじめ、男性狩猟服を女性ファッションに取り込んだ「サファリルック」や裾が広がったパンツ「パンタロン」など、ファッションのタブーに挑むようなアイテムを次々に発表します。
今でこそ当たり前のものばかりですが、すべてはイヴ・サンローランというひとりのデザイナーが生み出したものでした。

そんなイヴ・サンローランは、およそ40年間トップデザイナーとして活躍し続けたあと、2002年に引退。
その才能は「将来的にもこれ以上の人材は見つけられない」と言われるほどのもので、引退と同時にサンローランのオートクチュール部門が廃止となった理由といわれています。
しかし今もなお、イヴ・サンローランが蒔いた種はサンローランというブランドの中で、そしてまたサンローランのアイテムを身につける人々の中で生き続けています。